医療
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38 巻, 12 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 高橋 隆一
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1130-1137
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    リンパ節は, 細網細胞と細網線維とから成る網状構造でリンパ球で満たされており, 皮質と髄質に分けられる. 皮質の外層にはB細胞から成る濾胞があり, 内層, 労皮質域は主としてT細胞から成る. 感染, 炎症および悪性腫瘍などによつてリンパ節の構造, BおよびT細胞の分布の変化を来し, B細胞クロンの変化は免疫グロブリン合成の変化を来す. γ-グロブリン異常を伴うリンパ節疾患は少なくなく, 免疫グロブリンの変化は, リンパ節疾患の診断, 予後判定上重要である.
  • 1. 心電図に及ぼす影響と硫酸アトロピン
    折橋 洋一郎
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1138-1145
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    著者は, かつて1963年~1966年に当院精神科に入院して, 筋弛緩剤を用い, 挿管全身麻酔, 人工呼吸のもとに頭部通電けいれん治療(ECT)を行つた49症例, 耳介通電304, 前頭通電86回の通電直後からとつた心電図記録を整理し, 心停止, プロツク群, 心房細動, 心室性期外収縮その他厘々の不整派が出現し, 硫酸アトロピン0.5mgの前処置で, この不整脈はかなり減り, 1.0mgの前処置では激減することをみとめた. これらの不整脈は, 約5分で消失する一過性, 可逆性の, 主として副交感神経刺激性の中枢性不整脈と考えられる.
    今日, 精神科治療の中心である向精神薬投与によつても, 悪性症候群や突然死が報告されており, ECTは硫酸アトロピンの前処置と充分な全身管理のもとでは安全で, 症例によつてはなおECTは有効で見直される価値のあることを述べた.
  • 2. 通電部位及び重積治療と不整脈
    折橋 洋一郎
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1146-1152
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    挿管全身麻酔, 人工呼吸のもとで筋弛緩剤を用い, 各回に硫酸アトロピン0.5mgの前処置をして, 心電図と血圧が術前に復する約5分間おいて, 1日に3回ずつ, 前頭通電あるいは耳介通電でECTを行つた49症例の心電図で, 各々第1回の耳介通電40例, 前頭通電25例を比べると, ブロツク群, 心室性期外収縮及びその他の不整脈は, 延髄や間脳により多く電流が通ると考えられる耳介通電に頻度が多いが, その種類や消失する時間には変りはない. 又, 重積治療の耳介通電32例, 前頭通電25例では, 条件は同じであるのに, 回数を重ねるにつれて不整脈はより少なくなるか, あるいはあらわれなくなり, これは通電刺激に対する中枢神経系の慣れ, あるいは防御機制の強化を考えせしめた.
    ECTは危機回避の治療手段でもあり, 耳介通電, 重積治療には, 各々の利点があり, 充分な管理と方法の選択及び厳しい症例の選択という条件のもとで再評価したい.
  • 清水 英利
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1153-1159
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和40年9月から58年3月までに単科精神病院などから90名の身体合併症患者を転入院させた. 依頼施設は近接するすべての精神病院を含む9病院である. 年令は25以上65才未満までが83.4%を占め, 措置患者が48.9%を占める. 分裂病が最も多く64.4%, 中毒14.4%, 脳器質精神障害10%, てんかん5.6%であり, 身体合併症は外科53.3%, 内科と整形外科それぞれ12.2%, 婦人科7.8%で悪性腫瘍と骨折が多い. 処置は手術50%, 保存療法36.7%, 精査13.3%で, 外科の52.1%, 整形外科の72.2%が手術をした. 身体合併症の転帰は治ゆ63.3%, 軽快17.8%, 未治8.9%, 死亡10%である. 治ゆまたは軽快して元の病院に帰つたものが72.2%あり, 悪性腫瘍, 腹膜炎, 肺炎などで9名死亡した. 在院期間は比較的長く, 1週間をこえて3ヵ月以内が68.9%も占め, 3ヵ月をこえて6ヵ月以内という長期在院例が15.6%もある. この中には悪性腫瘍や大腿骨骨折などが多かつた.
  • 石垣 一彦
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1160-1163
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    簡易精神鑑定で精神分裂病と診断された22人の患者について精神医学的調査を行い, 次の結果を得た.
    1.発病から犯行までの期間は5年以上の者が半数以上(12人)で, 1年未満はわずか2人であつた.
    2.犯行の種類は暴力犯が8人, 財産犯6人, 破壊犯6人と続き, 放火, 殺人者では6人の自殺企図者が認められた.
    3.殺人, 放火の被害者(物)の多くは家族(殺人)や自宅(放火)であった.
    4.犯行の半数が妄想, 幻覚などの異常体験と関係していた.
    5.半数以上(12人)の患者が治療を受けていなかつた.
    6.多くの患者の家庭環境や患者家族の人間関係は良くなかつた.
  • 小児分裂病共同研究班
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1164-1169
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和55年度からはじまつた国立精神療養所共同研究「小児分裂病の精神医学的研究」は, 3年間の研究期間を終了した. この第1年度(昭和55年)には, 参加9施設の最近5年間の15才までに発病した小児分裂病の実態調査(149例)を行い, その発病・症状・経過・予後に関する研究, 第2年度(昭和56年度)には, 10才以下発病の小児分裂病の特徴と, 小児分裂病に対する治療とケアに関する研究, 第3年度(昭和57年)には, 16~18才発病の若年性分裂病について, その発病・症状・経過, とくに10年後の予後について研究が行われた. それぞれの年度の結果については, 研究成果報告書(内容は文末に記載)を毎年印刷し刊行したが, ここにその大略を述べる.
  • 金田 鈴江
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1170-1173
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    9番染色体の長腕の欠失(9q-)の報告が, 1972年, Newton et al. によつて行われて以来, 現在までに7例が報告されている. 本邦ではまだ報告がみられていない.
    当院では重症心身障害児にみられる染色体異常の頻度をその種類を知ることを目的に, 入院中の患児について染色体学的研究を行つているが, これまでに行つた染色体検査例のうち1例に, 9番染色体の長腕の欠失したものが見出されたのでここに報告する.
    症例は重度精神発達遅滞, 身体及び言語の発達遅滞, てんかん, 行動異常を呈するが, 異形, 奇形などの臨床症状の認められない15才男子である. 染色体検査の結果9番染色体の長腕の短い(9q-)ことが見出され, Gバンド分染法による核型分析の結果, 二次狭窄部分が欠失している(46, XY, del(9)(q11q13)ことが明らかにされた.
  • 紫藤 昌彦, 折橋 洋一郎, 垣田 康秀, 山口 登, 西田 正彰, 石田 元男
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1174-1179
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    抗精神病薬により抗利尿ホルモン不適当分泌症候群(SIADH)を併発した分裂病の1例を経験した. 症例は憑依妄想を主症状とし, 妄想に影響された自殺企図により腰椎圧迫骨折を起こし, 各種抗精神病薬の投与では妄想の改善が見られず, その副作用のSIADHによる低ナトリウム血症が持続し, これらの治療過程において更に自殺企図を繰り返すなど, 極めて治療困難な例と思われた. 我々はこの症例に筋弛緩剤使用による無けいれん頭部通電治療を行つたが, その結果, 憑依妄想が消失したのみならず, 血清電解質値も正常に復し, 良好な経過をたどり退院に至つた. 症例の提示と共に, 抗精神病薬の副作用と身体合併症に対する処置, かかる症例への頭部通電けいれん治療の適応とその施行方法, 総合病院における精神科と他の診療科との協力の問題などについて考察を加えた.
  • 清水 章子, 山口 啓子, 山田 堅一, 杉山 由樹, 稲熊 順子, 武田 明夫
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1180-1183
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    てんかん患者50例の83妊娠の調査から次の結果を得た.
    (1)対象の自然流産率は19.3%, 奇形発生率は9.0%であり, その内容としては心房中隔欠損2例, 斜頸, 停留睾丸, 二分脊椎, 口唇口蓋裂が各1例みられた.
    (2)妊娠中のけいれん発作の頻度の高いものが自然流産をおこす率が高かつた.
    (3)自然流産と奇形発生はともに服薬剤数が多くなるほど高率になる傾向がみられた.
    (4)薬剤別奇形発生率ではTMOが著しく高率であつた.
    (5)各薬剤の1日平均服用量は奇形のみられた群が奇形のみられなかつた群よりも多い傾向がみられた.
    以上から, TMOは妊娠には使うべきでなく, 他の薬剤については最も有効な薬物を単剤で最少有効量で投与することが望ましいと思われる.
  • 利斎 輝郎
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1184-1185
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高度の四肢痙性麻痺を伴う脳性小児麻痺患者の妊娠・分娩を経験したので報告する.
    患者: M・O, 生後3ヵ月時に発症, 現在身体障害者1級と認定されている.
    結婚: 27才時に27才の健康な男子と結婚
    現症: 四肢に高度の痙性麻痺を伴い, 自宅でも身の回りのことすら全く出来ず, 夫及びボランテイアの協力を受けている.
    当方の話は十分理解出来るし, 又, 本人の言葉は言語障害を伴うが, なんとか聴取可能である. 夫婦共挙児を熱望する.
    妊娠経過は特記すべき異常は認められず, 順調に経過する. 経腟分娩は全く不可能なため帝王切開施行. 新生児は2810gの女児で異常を認めない. 母乳も十分で退院, 1ヵ月検診では母児共全く異常を認めなかつた.
  • 名取 徳彦, 佐藤 元, 中川原 寛一
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1186-1189
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は21才女性, 生後10日目に日光にあたり頬部に紅斑出現, 1才5ヵ月ごろ精神発達遅延に気づかれ, 色素性乾皮症と診断される. 3才発語, 10才難聴, 13才歩行障害出現し, 次第に進行, 神経学的には, 小頭を伴う知能低下, 難聴, 言語障害, 足の変形と四肢不全麻痺, 運動失調, バビンスキー反射陽性が認められ, そして皮膚線維芽細胞のDNA修復率が2%以下であることから, DSC症候群と診断. CT像は, 両側頭葉の高度萎縮, 大脳皮質, 脳幹の軽度萎縮, 脳室の中等度拡大を呈した. 染色体分析は, UV照射前のSCEの増加が認められた. 以上より, 本症例はDNAの除去修復障害に, 更に複製後修復障害が加わつた, まれな1例と考え, 報告した.
  • 中島 寛, 国定 寛之, 古川 惣一郎, 児玉 寛
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1190-1193
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1970年Maroteauxがmicrogeodic diseaseとして5症例を報告して後, 多くの報告をみる. われわれも同一の疾患と思われる2症例を経験した.
    1例は7才男児. 1月中旬の発症で, 右示指中節に腫脹, 発赤, 圧痛をみた. X線像にて, 右示指中節骨に小円形透明像, 硬化像をみる. 他例は11才男児. 3月初旬の発症で, 右中指中節にしもやけ様の症状が出現する. 4月中旬初診. 右中指中節骨に小円形透明像を認めた. 2症例共, microgeodic diseaseと診断した. 本症は, 発生時期, 発生年令, 性別, 罹患部位に特徴があり, 診断は比較的容易である.
    病因はいまだ確定されていないが, 寒冷による循環障害が最も重要な一因と考えられている. しかし, 本邦での発表症例は中部, 近畿地方に多く, 北海道, 東北地方での発生報告例をみない.
  • 大滝 正己, 中田 誠介, 美濃地 忠彦, 田村 栄稔, 跡部 正明, 北村 信夫, 遠藤 省三, 河原 勉
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1194-1196
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    8年前に外傷性横隔膜ヘルニアをおこし, 急性期の症状が明らかでなかつたが, 最近になりイレウス症状, 心不全症状を呈してきた症例に外科的治療を行い良好な結果を得たので報告する.
    症例は60才, 女性. 昭和49年夏ごろ, 子供に左側腹部を蹴られたが特に症状がなかつたため放置した. しかし, 1ヵ月後より腹痛, 腹部膨満, 便秘, 悪心, 嘔吐などのイレウス症状がおこり, 某院にて外傷性横隔膜ヘルニアと診断された. 昭和56年の春ごろより胸痛, 呼吸困難, 動悸などの心不全症状があらわれたため, 同年11月横隔膜ヘルニアに対する外科治療を目的として当科に入院した. 手術所見では左横隔膜肋骨部が線維性にひ薄化し, その部分で横行結腸が嵌頓していた. 横隔膜に対しては二重重層形成術を施行し, 横行結腸は腹腔内に還納した. 術後イレウス症状, 心不全症状は軽快し, 約1ヵ月後に退院した.
  • 巌 康秀, 山下 滋, 深井 清子, 小野 章, 川添 太郎
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1197-1201
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    癌による広範囲の難治性疼痛を訴える12名の入院患者に対して, 持続硬膜外モルヒネ注入を行つた. 本法は従来の鎮痛法と比べ広範囲の疼痛に有効であり, 長時間にわたつて作用するにもかかわらず副作用も軽微で合併症も少なかつた. 除痛効果については無効例はなく, 著効を示したものは50%であつた. しかし副作用については66%の患者で訴えがなく, 訴えがあつてもすべて軽微であつた. 呼吸循環系の抑制の有無については, 血圧, 脈拍, 動脈血ガスを測定したが, 大きな変化を示すものはなかつた. また持続硬膜外プロツクに際して, 問題となる硬膜外カテーテルの長期留置に関しては, カテーテル先端とカテーテル挿入部皮膚の細菌学的検索を行つたが菌を検出しなかつた. 持続硬膜外モルヒネ注入法は, 効果および安全性の点から優れた鎮痛法であり, 癌に起因する疼痛に対して適切な方法といえる.
  • 武田 武夫, 畑江 芳郎, 服部 拓哉, 中舘 尚也, 西 基
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1202-1203
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    尋常性疣贅4名, 伝染性軟属腫4名についてメトトレキセートを直接腫瘤内に注入した. 濃度としては5mg/mlの方がより薄い溶液よりも効果が大きかつた. 伝染性軟属腫においては治療後2~3週で消失した. 尋常性疣贅も同じ位の期間で消失するが注射の回数は多かつた. 注射時の疼痛を除けば特に副作用はみられなかつた.
  • 12.全身管理と器機
    川添 太郎
    1984 年 38 巻 12 号 p. 1204-1207
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 38 巻 12 号 p. 1208-1209
    発行日: 1984/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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