医療
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36 巻, 4 号
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  • ―特に血清中の免疫抑制因子とその作用について―
    杉之下 俊彦, 泉 孝英
    1982 年 36 巻 4 号 p. 305-314
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺癌症例には免疫機能の低下がいわれている. この免疫機能低下に多くの要因が考えられているが, その一つに血清中の免疫抑制因子の関与の可能性, さらに, 免疫抑制因子の性状と生物学的意義について述べた. 著者らの肺癌血清の免疫抑制因子は免疫抑制においてlong actingであり, これを用いたSerum Immunosuppression testを行い, その成績は肺癌症例に特徴的かつ高率に陽性であつた. この免疫抑制の機序は血清因子と細胞の相互作用によるsuppressor cellの誘導を介して発揮される成績であつた.
  • 鈴木 裕太郎, 川上 仁, 大久保 哲夫
    1982 年 36 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    心房細動f波の振幅を200例のリウマチ性弁膜症, 300例の非リウマチ性心疾患について検討した. 前者の73%はf波2.0mm以上で後者の84%はf波が2.0mmよりも小さかつた. 心不全が改善されるとf波は小さくなるものが多かつた. 肺末梢血管圧が高いものほどf波は小さい傾向が見られたが例外も多かつた. 弁膜症の手術後はf波が小さくなる傾向があつた. 長期間観察例ではf波が年月の経過とともに小さくなる傾向が見られた. 左房の組織学的検査では重症例で筋の肥大, 変性, 萎縮, 線維化, 内膜の肥厚などの異常所見が強かつたが, 比較的軽症例ではこれらの変化は割合軽度であつた. 硬化性心疾患ではこれらの変化は比較的軽度で高年令のためか血管の硬化が著しかつた. 上記所見より我々は心房細動f波の振幅は心房の病理組織的異常によつて規定されるが, また血行力学的因子特に心房への負荷の程度によつても影響を受けるものであろうと推測している.
  • 安冨 徹
    1982 年 36 巻 4 号 p. 321-324
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和48年12月から同50年4月までの期間再発乳癌に対して国立病院有志14施設で無作為選択による化学療法の効果を検討した. 薬剤はA群: 5-Fu d. s. 5mg/kg+Endoxan P. O. 1 mg/kg, B群: Endoxan P. O. 2 mg/kgをそれぞれ6週間連用し, UICCの判定基準により効果を判定した. 成績はA群がリンパ節および胸壁軟部に21/39(53.8%)のP. R.効果を示し, B群の6/36(16.7%)に比し有意に有効率が高かつた. しかし他の遠隔病巣への効果は例数が少なく評価出来ない. 全病巣に対してはA群25/73(34.3%), B群12/73(16.4%)の有効率であつた.
    続いて昭和53年5月よりA群(Adriamycin+Endoxan混注)とB群(5-Fu+Methotorexate混注+Endoxan内服)の2群の検討に入つている. 現在までの報告例24のうち9例(37.5%)にP. R.効果を認めている. そのほか各班員の多用処方例を紹介した.
  • ―特に投与法と投与量について―
    高塚 雄一, 沼田 憲男, 河原 勉, 富野 捷治
    1982 年 36 巻 4 号 p. 325-330
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    局所進行乳癌に対しては, いまだ確固たる治療法が確立していないのが現状である. 我我はこれに対しadriamycin(ADM)を使用した動注療法を施行し, かなりの知見を得たので報告する. ADMを単独で間歇投与することにより, 十分量のADMが投与可能となり, その有効率(CR+PR)は62.5%と良好であつた. このような治療効果は, とくにADMの1回投与量及び総投与量と関連しており, 1回量で30mg以上, 総量150mg程度投与されたものに高い有効率が認められた. しかし, このようなADMの投与量においては, 全身的副作用が高頻度に出現し, うち主なものとしては脱毛(87.5%), 消化器症状(62.5%)や白血球減少(62.5%)があつた.
    なお, 遠隔成績については, 治癒手術後のリンパ節再発が極めて少なかつたのが特徴的であつたが, 全体として経過年数が短く, 結論には至らなかつた.
  • ―自験3例報告と妊娠時乳癌に対する外科的ホルモン療法の考察―
    秋山 憲義, 永井 長純, 三宅 寿郎
    1982 年 36 巻 4 号 p. 331-334
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    妊娠時の特殊なホルモン, 免疫環境が妊娠時乳癌の特徴ある臨床像をつくると考えられる. そこで, 妊娠時乳癌3例と39才以下の非妊娠時乳癌34例との比較を行つた. また, 現在, 妊娠時乳癌の治療としての外科的ホルモン療法の評価は一定していない. そこで妊娠時乳癌における外科的ホルモン療法の意義について文献的考察を行つた.
    (1)妊娠時乳癌の特徴は病悩期間が長く, 腫瘍径が大きく, 対側乳房に転移しやすいが, 十分な治療を行えば予後はさほど悪くない. また, 腋窩リンパ節転移と腫瘍の大きさとの関係は, 妊娠, 非妊娠に関係なかつた.
    (2)妊娠時乳癌における外科的ホルモン療法としての人工妊娠中絶の意義はホルモン学的, 免疫学的にあり, 妊娠前あるいは妊娠前半に気づいた妊娠時乳癌には人工妊娠中絶をすすめ, 再妊娠を避けるのが好ましいと考える.
    さらに, 外科的ホルモン療法の評価には免疫面からの検討も必要である.
  • 田島 洋, 久保 秋夫, 森田 敬知, 稲垣 敬三, 荒井 他嘉司, 平田 正信
    1982 年 36 巻 4 号 p. 335-339
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    原因不明の胸水貯留疾患27例に対して, 胸腔鏡下に生検を施行した. 生検部位は肉眼的に所見の認められた病巣胸膜を24例, 腫脹した縦隔リンパ節を1例, 前上縦隔腫瘍を1例であつた. 胸膜生検の21例は本法にて結核性胸膜炎3例, 癌性胸膜炎17例. 胸膜中皮腫1例に確定診断をつけることができたが, 診断不能の結核性胸膜炎1例は抗結核剤投与によるいわゆる治療的診断によつて, また癌性胸膜炎の2例は, 手術およびその後の胸水の細胞診にて判明した. 縦隔リンパ節生検例は肺血管内皮腫, 前上縦隔腫瘍生検例は悪性胸腺腫によるものと診断しえた. また胸膜に肉眼的所見の認められなかつた扁平上皮癌は手術が施行され, 肺癌に合併した二次感染によるものと判明した. 原因不明の胸水貯留疾患に対しては本法は有用であり, 積極的に試みられるべき方法と思われる.
  • 佐藤 紘二, 古川 正二位
    1982 年 36 巻 4 号 p. 341-346
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患患者が, 呼吸管理上問題となるHypercapnia状態へ移行する時点を, 非観血的な方法で知ることを目的に, 動脈血ガス分析値と心電図右前胸部誘導波型とを対比検討した. その結果, 心電図が可逆性の変化を呈す間は, 動脈血ガス所見と右前胸部誘導のT波は比較的良く関連して動く. 特に, Hypercapniaへ陥つた場合には, V1誘導のT波は有意性をもつて陰転化していた. 一方, 従来から肺疾患に特異的といわれる肺性P波の出現頻度は, Hypoxia, Hypercapniaが増強すると多くはなるものの, 肺性PからHypercapniaに移行した時点を判断することは困難であつた. 慢性閉塞性肺疾患では, V1誘導陰性T波も肺性Pも血液ガス所見の消長により出没し, 機能性であることは, 肺胞低酸素性血管攣縮による肺高血圧に帰因したものと思われる. 慢性閉塞性肺疾患での心電図所見は, 心肺症状の総合的な表現の場と考えられるので, その病態把握に良いモニターとなり得る.
  • 木村 荘一, 久保 秋夫, 森田 敬知, 稲垣 敬三, 荒井 他嘉司, 平田 正信, 大谷 直史, 鈴木 俊光, 井上 皓, 松田 美彦, ...
    1982 年 36 巻 4 号 p. 347-351
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々の施設において昭和49年以来8例の肺過誤腫を経験しているので, それらについて臨床および病理学的検討を行つた.
    症例の内訳は男性5例, 女性3例である. 年令は32才から62才の範囲にあり, 30才代, 40才代に多発している. 発見動機は集検4例, 胃透視中に発見されたもの1例, 血痰, 胸痛, 肺炎などの呼吸器症状より見いだされたもの3例である. 腫瘍の局在部位は右側7例で, 特に右下葉に多発している. 肺野型7例, 気管支型1例で, 肺野型の腫瘍陰影の性状は周囲との境界は鮮明で, 均等性で, 辺縁が凹凸不平なのが4例, 平滑なのが3例であり, 内部に石灰沈着が認められたのは2例であり, 大きさは最小1.2×0.9cm, 最大14×12cmである. 病理組織学的には軟骨性のもの7例, 非軟骨性のもの1例で, 非軟骨性のものは有茎状に発育していた. 更に肺過誤腫では珍しい巨大肺過誤腫, 気管支内過誤腫, 有茎性非軟骨性過誤腫の3症例を提示した.
  • 長浜 文雄, 安田 悳也, 中林 武仁, 小六 哲司, 安塚 久夫, 斎藤 孝久
    1982 年 36 巻 4 号 p. 353-361
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1345例のじん肺症, 264例の同症剖検, 37例の同症合併肺癌, 314例の原発性肺癌について性, 年令, 喫煙量, じん肺症病型, 肺癌組織型などを推計学的に互いに比較検討し, 次の結果をえた. (1)剖検じん肺症例は高令者が多く, 病型は4型が多く, その死因には喫煙は無関係. (2)じん肺合併肺癌例の病型は3型が多い. (3)男性の一般並びにじん肺合併肺癌例には重喫煙者が多く, 組織型分布の差はない. (4)一般肺癌例では男女とも60才以上が過半数を占め男は女の3.8倍, 扁平上皮癌は男性に, 腺癌は女性に多く, 重喫煙者には小細未分化癌, 扁平上皮癌が多く, 腺癌は喫煙と関わりが少ない. (5)喫煙量並びに二, 三の職業性粉じんの肺癌発生率を比較考案し, その危険度を発症年令, 組織型, 肺内発性部位(中心型か, 末梢型か)より推測した. (6)じん肺症に合併した慢性気管支炎(含慢性肺気腫)には軽喫煙者が多かつた.
  • 本邦3例目
    船木 治雄, 大田 早苗, 広瀬 脩二, 又井 一雄, 赤塚 宣治
    1982 年 36 巻 4 号 p. 362-367
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は体動時の動悸と息切れを主訴に来院した56才の主婦に超音波心断層図を施行して心房内腫瘍を発見し, 開心術によつてこれを切除した. 腫瘍は下大静脈から右房へ侵入した, 奇怪な形態をしたものであつた. すなわちブヨブヨとしたのう腫様のものと, 4本の, 最大. 指の太さくらいのタコの足様のものからなり, このタコの足様のものの1本は, 右室から肺動脈へと伸びており, またのう腫様のものとタコの足様のものの1本は下大静脈へと連なつていた. 病理学的検査の結果, leiomyomaと判明した. 原発臓器としては子宮か下大静脈が考えられるが, 正確なところは不明である.
    この種の腫瘍は世界の文献でも130例前後, 日本では2例しか報告されていない非常に珍しいものである.
  • 力武 安津子, 石出 猛史, 斉藤 利隆, 力武 知之
    1982 年 36 巻 4 号 p. 368-372
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    31才女性リウマチ性僧帽弁閉鎖不全症を有し, 発熱・全身倦怠感・体重減少を主訴に来院, 速やかに菌検出が出来, CETを主として治療で軽快した症例を経験したので報告する. Haemophilus属は上気道の常在菌で, 他の器官の一次または二次的な起炎菌となり得るが, Haemophilus属による心内膜炎は細菌性心内膜炎の0.5~1%を占めるにすぎない. 過去10年間の本邦での報告例は, H. aphrophilus心内膜炎が1974年松本らによる3症例初報告以来7例, H. influenzae心内膜炎は1978年の著者らによるもの1例, H. parainfluenzae心内膜炎は1979年の加藤らによる報告1例があるにすぎない.
  • 本良 いよ子, 伊勢 忠男, 渡辺 坦, 小田島 秀夫
    1982 年 36 巻 4 号 p. 373-376
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    抵抗血管拡張作用を有する, Caイオン拮抗剤の一つ, Nifedipineを各種弁膜性疾患に負荷して, 急性反応をみ, 減後負荷療法の一手段としての, 各種弁膜症に対する効果を検討した. 心血管系正常7, 僧帽弁逆流12, 大動脈弁逆流8, 僧帽弁狭窄9, 及び大動脈弁狭窄6例を対象とし, 一方の前腕動脈に穿刺留置したヴエヌーラ針を介して, 観血的に, 動脈圧波型を観察記録, また, cuvette法による色素稀釈曲線描記を, Nifedipineカプセル10mg負荷前後において行つた. いずれの群においても, ほぼ同程度の末梢血管抵抗の減少と降圧をみたが, 心腔内圧及び波型の変化, また超音波検査法による左室拡張終期経の変化を合わせ考え, 1回駆出量, あるいは心係数の改善については, 逆流性弁膜疾患においてこそ, 減後負荷療法が有用であることと結論した.
  • 安達原 曄子, 市村 一義, 横田 史津子, 三枝 伸子
    1982 年 36 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腫瘍性疾患や先天性心疾患は, 小児性領域でも特に全身衰弱を来しやすい疾患である. 前者ではとくに抗腫瘍剤の副作用による衰弱も大きな問題である. これらの問題に対しては, 漢方方剤の併用により一層の治療効果をあげることが出来ると考えた. 最近5年間で, 急性リンパ性白血病5名, ヒスチオサイトーシスX1名, 先天性心疾患3名に対して証に基づいて選んだ漢方方剤を西洋医学的治療に併用した.
    5名の急性リンパ性白血病のうち3名は今もつて生存しているが, 再発もない. とくに柴胡桂枝乾姜湯を投薬した場合に, 免疫グロブリンが正常化する傾向がみられ, 全身状態が改善し, 体重増加が著しい. 先天性心疾患においてもVSDの1例では遅延していた精神運動発達が柴胡桂枝乾姜湯の投与により促進された. また総肺動脈管遺残の1例に冬には真武湯, 夏には清暑益気湯を用いたところ, 浮腫がなくなり, 利尿剤を中止できた.
  • 松浦 憲司, 岩崎 健資, 壬生 保博, 安武 敏明, 渡辺 友宏
    1982 年 36 巻 4 号 p. 381-384
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和53年より, 肺癌を疑われBFSを利用して経気管支肺生検(TBLB)および擦過細胞診(Brushing)を施行したのは112例である. 肺疾患におけるBFSを利用したTBLB及びBrushingの意義につき検討した.
    1)胸写上, Coin Lesionを呈する疾患は, TBLBで53%, Brushingで83%診断できた.
    2)扁平上皮癌は, TBLBで88%, Brushingでは病巣部位, 腫瘍径に関係なく100%診断できた.
    3)腺癌はTBLBで68%, Brushingで96%診断でき, 腫瘍径が3cm以上の時, Brushingで診断できるが, 腫瘍径が3cm以下になると, 病巣部位によつて診断率が異なる.
    4)胸写上, 浸潤型の肺胞上皮癌は, TBLB, Brushingで100%診断できる.
    5)初回発生例の結核腫の場合, 腫瘍径が2cm以上になるとBrushingで結核菌を証明でき, 乾酪壊死物質が排出されるため, 陰影も早期に消失することが多い.
  • 小林 元壮, 村山 正毅, 桑原 正知, 長江 聡一, 猶本 良夫, 中川 潤, 井出 愛邦
    1982 年 36 巻 4 号 p. 385-387
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和46年から55年まで国立岩国病院で入院加療となつた胸部外傷103例の検討を行つた. 性別では男84例, 女19例で鈍的外傷の97例の受傷機転は交通事故51%, 転落打撲32%, 労働災害17%であつた. 死亡例は13例あるが, その死因をみると合併損傷の程度が大きく関与している. 胸部外傷を重症度に応じて4つのStageに分類し, Stage別に治療内容の概要を述べた. 特にFlail chestに対しては, 手術による外固定より人工呼吸による内固定を原則としていること, また管理上の留意点をいくつか述べた.
  • 1. 頸椎装具
    藤村 祥一
    1982 年 36 巻 4 号 p. 389-391
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 36 巻 4 号 p. 392-393
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 36 巻 4 号 p. 393
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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