医療
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62 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • ―間(ま), 螺旋, 生命の長さなど―
    生田 房弘
    2008 年 62 巻 5 号 p. 257-269
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    [開会の辞]Edogawa College of Neurological Science (E-CNS)と申しますのは, 江戸川を挟んで国府台病院の湯浅, 西宮, 墨東病院の鎌田, 順天堂浦安病院の田中が中心になりまして, われわれはいまだ学徒である, ともに学ぼうということで企画された学舎です. 平素は症例検討を行っているのでありますが, 本日は特別講義ということであります. この特別講義のねらいあるいは意図がどこにあるのかをはじめにご紹介します. それは「常に変わらない学問に対する情熱をもって新たな道を拓かれた先人に学びたい. そのお人柄に触れたい. また, 懐かしい恩師の講義を再びお聞きしたい」ということに要約されます. そこで, 本日は第1回の特別講義ということで, 本特別講義に最もふさわしい先生, 新潟大学名誉教授生田房弘先生をお招きしております. 生田先生をご紹介します(順天堂浦安病院 田中).
  • 梶川 隆, 竹本 俊二, 池田 昌絵, 友田 純
    2008 年 62 巻 5 号 p. 270-274
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    閉塞性睡眠時無呼吸症候群: obstructive sleep apnea syndrome (OSAS)と高血圧については, いくつかの疫学研究で報告され, その重要性が認識されている. 高血圧とOSASとの関連を調べるため, Body Mass Index (BMI)25以上または顕著ないびき, 昼間の眠気症状のある高血圧患者連続25例に簡易型終夜ポリソムノグラフイを装着. 無呼吸低呼吸指数(AHI)と年齢, BMI, 降圧剤数, 外来血圧, 睡眠中最低酸素飽和度, 平均酸素飽和度, Creatinine, 尿酸, CRP, 脂質, をmild SAS群(AHI: 5-19.9/h), moderate SAS群(AHI: 20-39.9/h), severe SAS群(AHI: ≥40/h)別に検討した. AHI>30/hrの患者には経鼻的持続陽圧呼吸: nasal continuous positive airway pressure (nCPAP)を施行し前後の血圧を検討した. 25例全例にOSAS(AHI>5/h)を認め男女比は15対10, 平均SaO2, 収縮期血圧では有意にOSASの重症度に応じて平均SpO2の低下, 収縮期血圧の高値が認められた.
    AHIと降圧剤数では相関係数0.46, 有意(P<0.05)な正相関が認められ, 睡眠時無呼吸症をともなう高血圧症例ではAHIが高いほど降圧に多剤を必要とし, 降圧に難渋する傾向が認められた。AHI>30/hの高血圧患者(n=13)にnCPAPを導入し開始前と導入4週後の外来収縮期血圧は139.4±18.3vs120.9±7.7mmHg, と有意(P<0.01)に収縮期血圧の改善を認めた.
    nCPAP導入により降圧効果が認められ, 睡眠時無呼吸症を合併する薬剤抵抗性高血圧症例ではnCPAPは降圧剤を補助する有力な治療手段と考えられた.
  • 甲斐 達夫, 橋本 雅司, 藏本 ちひろ, 桐山 陽子, 中村 絵理香, 下村 真代, 加来 まどか, 平木 洋一, 春野 忠美
    2008 年 62 巻 5 号 p. 275-280
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長崎医療センターにおける高齢者19名について, BIPM(ビアペネム)の有効性の検討を行った. 投与されたBIPMの投与量は6.7mg/kg/dayであった. BIPMの母集団平均パラメータ(2コンパートメントモデル)を使用し, 患者19症例の血中濃度を計算した結果, Cmaxは18.40μg/ml, T1/2/βは1.58hr-1, CLtotは6.64L/hrおよび血中濃度―時間曲線下面積: area under the concentration-time curve (AUC)は49.98μg・hr/mlであった. C反応性蛋白: creactive protein (CRP)は有意な差はなかったものの改善傾向が認められた. 白血球: white blood cell (WBC) (P<0.0001)および体温(P<0.001)は改善した. 腎機能については, 19症例中1症例においてSCrが増加した. Streptococcus pneumoniae (以下, S. pneumoniae)の場合, %MIC以上の濃度を維持する時間: time above MIC (TAM)が50%以上になる到達確率: target attainment (TA%)は, 最小発育阻止濃度: minimum inhibitory concentration (MIC) (0.25μ9/ml)の場合97.5%で, MIC (0.5μ9/ml)の場合89.1%であることが示唆された. また, Pseudomonas aeruginosa (以下, P. aeruginosa)感染を想定した場合, MIC50 (1μ9/ml)の場合, %TAMが50%以上になるTA%は56.2%であり, %TAMが30%以上になるTA%は90.3%であった. また, MIC90 (16μ9/ml)の場合, %TAMが50%以上になるTA%は8.6%であり, %TAMが30%以上になるTA%は29.3%であった. これらのことより, BIPMに対して感受性が高くMICが低いS. pneumoniaeに対しては, 1回300mg・1日2回の投与で, 有効性が得られる可能性がうかがえた. しかしながら, BIPMに対して感受性が低くMICが高いP. aeruginosaの感染症では, 投与量の増量や投与回数の増加等の投与設計が必要と思われた. しかしながら, 代謝や排泄機能が悪化した高齢者への投与は, より慎重に行い投与設計の検討が必要と思われる.
  • 藤原 清宏
    2008 年 62 巻 5 号 p. 281-284
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 女性. 咳噺を主訴に来院した. 胸部CT所見では, 右下葉にconsolationが認められた. 5年前より右S2に気管支拡張症が認められ, 中葉舌区症候群もあり, 経過観察中であった. 喀痰培養で3回抗酸菌が検出され, DNA-DNA hybridization法(DDH法)でMycobacterium peregrinumが同定され, 平成15年の結核病学会基準を満たすM. peregrinum肺感染症と診断された. クラリスロマイシン, レボフロキサシン, ミノマイシンの併用による化学療法を行い, 画像上改善が得られた.
  • 白木 照夫, 大澤 和宏, 竹内 一文, 田中屋 真知子, 高橋 夏来, 佐藤 慎二, 片山 祐介, 湯本 晃久, 河野 晋久, 斎藤 大治
    2008 年 62 巻 5 号 p. 285-290
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    目的:上腸間膜動脈閉塞は, 急性期に適切な診断治療が行われない場合, 一般に予後不良である. 病態により様々な治療法が選択されるが, 血栓塞栓性閉塞の場合, 内科的にはカテーテルを用いた血行再建術が行われる. しかし, その際に少なからず末梢塞栓が生じると考えられ, これを予防できれば合併症も軽減でき, 治療に資する点も大きいと考えられる. 今回われわれは, 急性冠症候群で行われる末梢塞栓予防を, 上記疾患の治療に用いた症例を経験したので報告する.
    症例と画像所見:79歳の男性が, 胃がんの外科的治療の目的で入院した. 本患者は僧帽弁置換術と永久式ペースメーカー植え込みの既往があり, クマディン投与中であった. 術前待機中に突然腹痛をおこし, 造影CTで上腸間膜動脈の閉塞が認められ, 心房細動にともなう血栓塞栓症と診断された. 経カテーテル的に血栓溶解薬を投与したが閉塞動脈は再開通せず, バルーンによる血管形成術を組み合わせ, 再開通を得たが, 末梢塞栓のため術後に下血を生じた. 14日後に再度腹痛発作をおこし, 造影CTにて初回発作と同様に上腸間膜動脈の閉塞が認められた. 初回治療時の結果を考慮し, 血栓溶解薬, 血管形成術に血栓吸引療法を組み合わせた結果, 末梢塞栓をごく少量にとどめることができ, 術後の下血も生じなかった.
    考察:上腸間膜動脈閉塞は, 高齢で基礎疾患を有する患者に多いことから, 外科治療の予後も不良である. 代替的にカテーテル治療が行われるが, 血栓溶解薬単独では残存狭窄が, 血管形成術では解離や末梢塞栓が問題となる. 今回われわれは冠動脈形成術で行われる末梢塞栓予防法を血栓溶解療法と血管形成術に併用することで, 末梢塞栓を低減することができた.
    結論:経カテーテル的な組み合わせ治療による早期の血行再建術は, 上腸間膜動脈閉塞の不良な予後の改善のために, 有用な治療法の1つとなると考えられた.
  • 小原 博
    2008 年 62 巻 5 号 p. 291-295
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筆者らは2000年以降, ベトナム保健省および主要病院と協力して院内感染対策能力の強化に努めてきた. 2003年のSARS流行時には緊急に派遣され対策に協力し, 平素から院内感染対策能力を向上させておくなど, 地道な努力が大切なことを教訓として得た.
    最近, ベトナムでは新型インフルエンザ発生が危惧されている. 流行時には院内感染が多発することが予想され, 病院における診療能力強化とともに院内感染対策能力強化も重視されている. 筆者は2004年から3年間保健省政策アドバイザーとして勤務したが, その間医療従事者を対象とした研修会開催など, 主に院内感染対策の観点から新型インフルエンザ対策にも関与した. 院内感染対策は医療の質向上や新型インフルエンザ対策に有益であり, 先進国はもとより開発途上国の病院においても重視すべきである.
  • ―病理免疫組織学的検討を中心に―
    中尾 美也子, 古川 明日香, 吉村 未央, 野中 隆, 黨 和夫, 柴田 良仁, 岩永 彩, 豊岡 辰明, 内藤 愼二
    2008 年 62 巻 5 号 p. 296-301
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    消化管の内分泌細胞癌はきわめてまれな腫瘍で, 早期から転移を示すなど悪性度が高く予後不良の腫瘍であるが, 病巣の中にさらに腺癌成分を有するものは腺内分泌癌と呼称される. 今回, 直腸の腺内分泌細胞癌の1例を経験したので病理組織学的検討を中心に報告する. 症例は68歳, 男性. 排尿困難を主訴に近医泌尿器科を受診. 直腸診にて下部直腸の腫瘤を指摘され国立病院機構嬉野医療センター(当院)消化器科紹介となった. 大腸内視鏡では肛門輪より約4cmの部位に腸管腔の2/3周を占める比較的境界明瞭な硬い隆起性の腫瘍性病変が認められ生検を施行, adenocarcinomaの診断にて摘出手術が行われた. 腫瘍組織は, 3×5cm大, 中心に潰瘍を形成する低隆起性病変で, 割面は灰白色調充実性であった. 組織学的には不明瞭な腺管様構造(リボン状構造)を示しながら充実性, 胞巣状に増殖, 浸潤するcarcinomaで, 表層部ではgoblet cellに類似した細胞形態を示していた. 腫瘍細胞は, 免疫組織化学にてepithelial membrane antigen (EMA) (+), keratin (+), AE1%AE3 (+), Neuron-specific enolase (NSE) (-), chromograninA (-), carcinoembryonic antigen (CEA) (+), S-100 (+), gastrin (-), calcitonin (-), Alpha-fetoprotein (AFP) (+), somatostatin (+), synaptophysin (+/-), CD56 (-), P53 (-), Ki-67 (focal+)を示した. 以上の所見からadenoendocrine cell carcinomaと診断した.
  • ―補聴器の最近の進歩―
    水足 邦雄
    2008 年 62 巻 5 号 p. 302-305
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 大日本住友製薬株式会社第二学術企画部感染症グループ
    2008 年 62 巻 5 号 p. 306-307
    発行日: 2008/05/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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