医療
Online ISSN : 1884-8729
Print ISSN : 0021-1699
ISSN-L : 0021-1699
44 巻, 5 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 金綱 史至, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 449-454
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ハンセン病においてはらい菌に対する細胞性免疫応答を欠くらい腫型から, 細胞性免疫を示す類結核型まで広範囲の臨床的, 病理組織学的及び免疫学的スペクトルが観察される. 細胞性免疫におけるらい腫らい患者の無応答性はらい菌抗原に対して特異的であり, この無応答性におけるマクロフアージまたはTリンパ球の役割に関して行われた研究報告を評論した.
    現在, 臨床経過中における抑制細胞(サプレツサーTリンパ球及びマクロフアージ)の生成がらい腫らい病患者のらい菌特異的な無応答性に寄与していると考えられている. しかし, 人類集団にはらい菌抗原に対するヘルパーT細胞自身の受容体に多様性があることを仮定した方がハンセン病の免疫学的スペクトルを理解するのに合理的ではないかとおもう.
  • 田村 拓久, 高島 秀敏, 金沢 一, 渋谷 統寿, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 455-459
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)の若年心不全死に関し全国アンケート調査を行い当院の呼吸不全死亡例の臨床症状, 検査所見と比較しDMD心不全の早期発見と治療時期決定のための臨床的指標を検討した.
    10才時に骨格筋機能障害度がV度以上で, 15才時にチアノーゼ, 浮腫, 呼吸困難などの臨床症状が出現し, 心拡大, 肺水腫, 心電図上異常Q波を認める症例は心不全死することが判明した.
  • 村井 知也, 辻 修一, 中西 克之, 福井 聡, 小林 昌幸, 藤井 慶子, 野崎 公敏
    1990 年 44 巻 5 号 p. 460-466
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小腸の機能的X線像の研究特に経口的経時的方法によるバリウムの盲腸到達と胃排出を調査し, 以前の成績との比較検討を目的とした. 対象は某工場の230名で胃集検後30分で小腸の透視撮影を行い検討した. 30分後盲腸到達者は135名(58.7%), 盲腸到達しバリウム先進部が下行結腸下部以下のもの22名(9.6%), 胃排出終了者は12名(5.2%), 盲腸到達と胃排出終了という運動亢進の組合わせは8名(3.5%)であつた. 以前の成績と比較すると, 盲腸到達能の亢進が認められた. 胃排出能には差はなかつた.
    造影剤は100w/v%ゾルと粉末2種混合145w/v%ラキソベロン(+), (-)の3種を使用したが盲腸到達と胃排出に有意差はなかつた. ただラキソベロンはバリウム先進部の結腸下部到達を促進させた.
  • 池永 健, 古川 正人, 中田 俊則, 草野 敏臣, 林 〓欽, 田代 和則, 渡部 誠一郎, 梯 昭彦, 高山 隼人, 宮崎 哲真
    1990 年 44 巻 5 号 p. 467-471
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    われわれは13年間に胃原発悪性リンパ腫を10例経験した. 男性7例, 女性3例で平均年令60.5才. 臨床病期分類は胃癌取扱い規約ではStage I 0例, Stage II 1例, Stage III 4例, Stage IV 7例であつた. 7例に胃切除術(胃全摘4例, 幽門側胃切除3例)を施行した. 治癒切除4例で, うち1例は術後化学療法を行い53カ月生存中で, 残存リンパ節に癌が遺残し絶対非治癒切除となつた2例は術後6カ月, 9カ月で原病死し, 非切除例は3例で生存期間は最長23カ月であつた. 治癒切除例では絶対非治癒切除・非切除例より長期生存例が認められたが, 絶対非治癒切除例では非切除例より予後が悪かつた. 以上より胃原発悪性リンパ腫の手術術式としては, 腫瘍を可及的に切除し, 十分なるリンパ節郭清を行う必要岬があり, 絶対非治癒切除になる場合には化学療法を行つたほうが, 長期生存を期待できると考えられた.
  • ―隆起型早期胃癌との対比―
    古澤 元之助, 友田 博次, 瀬尾 洋介, 能塚 隆之, 林 逸朗, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 472-479
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1978年1月から1987年12月までに切除された胃1341例のうち, 組織学的に異型上皮巣と診断された病巣を有していた63例, 73病巣を同期間内に切除されたIおよびIIa, IIa+IIc型早期胃癌134病変と比較検討した. 異型上巣を有する胃の60.3%に癌が併存し, 隆起型早期胃癌例の12.8%に異型上皮巣が存在していた. 異型上皮巣は胃癌取扱い規約のA領域に最も多く, C領域には極めて少なく, 最長径2.0cm以下のものが多く, 4.1cm以上のものには腺腫内癌が存在する頻度が高かつた. 肉眼型ではIIa+IIc型を呈する病変は早期癌である頻度が有意(P<0.001)に高く, 病変の表面にびらんや潰瘍を認める頻度は早期癌に有意(P<0.005)に高く, 平滑である頻度は異型上皮巣に高い傾向(P<0.025)にあり, 発赤の頻度は早期癌に裾色の頻度は異型上皮巣に有意(P<0.001)に高かつた. 異型上皮巣73病巣のうち10病巣, 13.7%に腺腫内癌を認めた.
  • 加藤 博之, 若杉 英之, 横田 昌樹, 堤 卓也, 古川 正幸, 山田 幸生, 船越 顕博
    1990 年 44 巻 5 号 p. 480-483
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    九州がんセンターで最近2年間に経験した65才以上のPTCD施行例14例(男5例, 女9例, 平均年令72.2才)につき, 基礎疾患, 胆道閉塞部位, 肝機能, 1日胆汁流出量を検討した. 基礎疾患は全例悪性腫瘍で, このうち7例が原発性胆道腫瘍であつた. 胆道閉塞部位は肝門部6例, 総肝管3例, 総胆管5例であつた. PTCD施行時の肝機能では胆道系酵素が主に上昇していたが, トランスアミナーゼの上昇を伴つているものもあつた. PTCD施行前後のビリルビン値の比率を計算して減黄率とした. 減黄率と1日胆汁流出量との間には有意の正相関が認められたが, 減黄率と年令, 胆道閉塞部位, 肝機能, PTCD施行時のビリルビン値との間には明らかな相関はみられなかつた. この他にも高令者には病識が乏しい, コンタクトがとりにくいなどの特徴があり, PTCDの施行上特別の配慮が必要である.
  • 竹島 多賀夫, 太田 規世司, 谷口 玲子, 北川 達也, 森山 喜芳, 吉野 邦夫
    1990 年 44 巻 5 号 p. 484-490
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    HPLC-ECD法によるモノアミン, インドールアミン及び代謝産物の測定系を確立し臨床応用した. 髄液中MHPG, 5-HIAA, DA, DOPAC, HVAを同時に, 再現性よく, 高感度にて約40分で分析可能であつた. パーキンソン病19例, 老年痴呆13例及び対照22例の髄液を分析した. L-DOPA非投与時のパーキンソン病において, 5-HIAA, HVAが対照に比べ有意に低下していた. L-DOPA投与中のパーキンソン病では5-HIAAが有意に低下しており, HVAは正常化していた. 老年痴呆では, 血管性痴呆, アルツハイマー型痴呆ともに5-HIAAが対照に比べ有意に低下していた. パーキンソン病, 老年痴呆の合理的な診断及び治療に, 髄液中のモノアミン, インドールアミン及び代謝産物の測定は有用であり, 今後, 広く臨床応用されるべきであると考えられた.
  • 和田 佳子, 文 慶成, 荒木 英爾, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 491-495
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ornithine carbamoyltransferase (OCT, EC 2.1. 3.3)は肝ミトコンドリアに局在する尿素サイクルの主要酵素である.
    本研究では, 悪性疾患における血清OCT活性測定の意義を明らかにするため, 癌患者119名, 健常者98名について, 血清OCTをdiacetyl monoxime-反応にもとづき, GOT, GPT, ALP, GGTP, LDHなど5酵素と同時測定した. それら6酵素について胃癌, 肺癌, 乳癌, 肝癌における相互活性を図示し, 特徴的形状を得た. この表示で, 肝細胞癌と転移性肝癌が異なる形状を呈することなどからも, 血清OCTと他酵素の同時測定は診断的意義をもつと考えちれる.
  • ―Camitシステムの評価―
    吉田 途男, 和田 正彦, 森島 豊彦, 西沢 秀子, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 496-500
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Camitシステムは患者側には全く負担なしにデータの整理が系統的に可能であり, 臨床の現場で用いて診療側にとつて患者の血糖コントロール状態を的確に把握し, 管理のための判断の支援を行えるものであると考えられた.
  • 庄嶋 健, 高城 克義, 並川 和男, 川村 亮機, 荒木 啓介, 水谷 純一, 土井口 幸, 山口 哲也
    1990 年 44 巻 5 号 p. 501-506
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    熊本県内15の公的病院外科に, 入院し治療を受けた末期癌患者に対するIVHによる栄養管理の状況について調査検討した. IVH栄養管理は施設によつて末期癌の94.4%から29.4%に行われていた. IVH栄養管理開始時のPSはPS3が41%, PS4が47.7%であつた. IVHによる栄養管理の開始は死亡の1カ月以前で63.3%, 1カ月以内で36.7%であつた. このIVH栄養管理を施行した症例のうち, 主たる栄養管理がIVHによるものは, 死亡の1カ月前で61.5%, ここを境として急速に上昇し, 死亡2日前で90.9%にもみられた. IVHと抗癌剤との併施は死亡5カ月前で38.9%にみられたが, 死亡1カ月前からは併施例は激減していた. これらの検討から末期癌に対するIVH栄養管理の適応は明確なものはなく, 施設や主治医によつて異なつていることが判つた. IVH栄養管理はcostの面からも高価であり, 末期癌のIVH栄養管理はその施行に際し十分検討を行う必要があると考えられた.
  • 鹿野 奉昭, 赤松 稔, 雷 哲明, 野田 尚一, 家永 睿, 加藤 哲男
    1990 年 44 巻 5 号 p. 507-510
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    総胆管切開後Tチユーブを挿入するかどうか意見の分かれるところであるが, 挿入時の入院期間の延長や入院コストの問題は本邦の実情にそぐわず, 情報ドレーンとして, 遺残結石などへの治療のルートとしてメリツトが多く, 本邦では大部分の施設で留置している. Tチユーブのトラブルは抜去前と抜去後に分けられ, 抜去前のトラブルはTチユーブ作製時に細心の注意を払い, さらには胆道造影を行うことによつて防ぎうる. 抜去後のトラブルは胆汁性腹膜炎など重篤なものが多い. 一般的には術後2週間目で造影を行い3週間目で抜去するが, 自験例のように3週間目で抜去しても胆汁性腹膜炎をおこしたことは瘻孔形成が不十分であつたためとおもわれる. 高令者やpoor riskの患者には術後1ヵ月をすぎて抜去することが合併症を予防する一つの方法とおもえた.
  • 野間 興二, 広瀬 憲文, 石川 勝憲, 大村 一郎, 山脇 成人, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 511-516
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は47才女性. 意識障害, 嘔気, 嘔吐を主訴に入院. 血糖586mg/dl, 尿アセトン強陽性, 動脈血pH7.19, HCO38.3mEq/lであり糖尿病性ケトアシドーシスと診断した. その誘因は尿路感染症であつた. 治療によりケトアシドーシスも改善し, 感染もとれたが, ジギタリスに反応しない頻脈, 37.5℃の微熱が持続し, 甲状腺機能検査で甲状腺機能亢進症の存在も判明した. 自験例は, 甲状腺腫や眼球突出などの典型的所見を欠く, いわゆるmasked hyperthyroidismと考えられた. 本例は20才ころより動作緩慢となり, 40才ころより自立歩行困難となつており, 頭部CTでオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)と診断した. OPCAを基礎にもち糖尿病性ケトアシドーシスにmasked hyperthyroidismを合併したきわめてまれな症例を経験したので報告した.
  • 古川 正幸, 船越 顕博, 椋田 稔郎, 横田 昌樹, 山田 幸生, 若杉 英之, 安部 宗顕
    1990 年 44 巻 5 号 p. 517-521
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例: 68才, 男性. 心窩部痛, 口渇を主訴として入院した. 皮膚は乾操し, 傾眠状態. 血糖600mg/dl, 血中・尿中ケトン体強陽性だが, ICAやICSA陰性. 胃内視鏡で胃角部に大きな潰傷が認められた. 少量のインスリン持続注入によりケトアシドーシスは改善し, 安静・食事療法・シメチジン投与により潰瘍は縮小した. その後インスリンは不必要となつたが, 耐糖能障害はなおみられた. 入院後6週目の胃粘膜生検で高分化腺癌が認められた. 胃部分切除時に施行された膵生検では膵島におけるリンパ球浸潤はみられなかつた. インスリン非依存型糖尿病のケトアシドーシスは重症感染症やストレスによつて発症することが知られている. 本症例では感染はなく早期胃癌を伴う巨大潰瘍が認められた. 入院前に糖尿病が指摘されたことはなく, 潰瘍形成に関連した種々の状況がケトアシドーシス出現の一因と考えられ, 精査が胃癌の早期治療を可能にした.
  • 上田 容生, 水野 千佳, 名村 宏之, 矢坂 義則, 岡田 敏男, 尤 芳才, 立岩 誠, 水谷 哲郎, 谷本 道則, 山下 英行
    1990 年 44 巻 5 号 p. 522-529
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    下垂体腺腫は腫瘍内に出血あるいは梗塞をおこすことによりさまざまな神経症状を呈し, 重症例では死に至るものもみられる. これらは下垂体卒中(pituitary apoplexy)として知られているがその原因は明らかではない. 今回我々は意識障害・心停止・呼吸停止にて発症した63才男性の下垂体卒中の症例を経験した. 症例は入院時の緊急画像検査にて下垂体病変が疑われ各種内分泌学的検査にて汎下垂体機能低下症の存在が明らかになつた. 症例は外科的な腫瘍摘出術の適応となり, 摘出標本より嫌色素性細胞が大部分で下垂体卒中による壊死変性が認められた. 術後は視力障害・視野狭窄・眼球運動障害などの神経症状は残しているものの, 手術後の頭部CT検査では下垂体病変を示唆する所見は存在せず, ホルモン補充療法(DDAVP 2.5μg, hydrocortisone 20mg, levothyroxine 0.1mg)にて良好な日常生活を送つている.
  • 有村 利光, 川井田 孝, 富加見 章, 佐多 正一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 530-533
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    肺のinflammatory pseudotumorの2例を経験した. 症例1は41才, 男性. 軽度の咳嗽と喀痰がある. 集検で発見され, 肺癌を否定し得ず左肺上葉切除術施行. 症例2は62才, 男性. 無症状であり集検で発見され, 肺癌を否定し得ず右肺上葉切除術施行. 2例とも組織学的にinflammatory pseudotumorであつた. 著者らが集計し得た肺のinflammatory pseudotumorの本邦報告例は, 自験例も含めて66例であつた. 男性例が多く, 右肺が左肺より多い. 有症状例は47%で, 呼吸器感染症の既往があるものが24%あつた. 治療としては手術が行われており, 肺葉切除術が最も多い. 予後は良好であるが再発例も3例報告されている.
  • 矢倉 道泰, 福田 彰, 上司 裕史, 原田 英治, 大林 明, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 534-537
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    患者は71才, 男性. 背部痛を主訴に受診. 胸部X線で右下肺野に異常陰影を指摘され精査入院となる. 呼吸器科で肺のシンチ, CT, 気管支造影, 肺動脈造影, 消化管透視などの検査が行われるも異常所見はなく, 肝腫瘍による横隔膜挙上が疑われて肝シンチが撮られた. 右側画像で前上方に突出する腫瘤がみられたために当科に転科となる, US, CTでは腫瘤の表面は平滑で内部は正常パターンを呈し, 腹部血管造影でも腫瘍濃染像や無血管領野はみられなかつた. 腹腔鏡を施行したところ, 右葉窮隆部に表面平滑で赤褐色調のなだらかな隆起がみられ, 生検してみると正常肝組織であつた.
    以上より横隔膜部分弛緩症と診断した, 原因となるものはなく先天性と考えられた. 横隔膜部分弛緩症の診断はUS, シンチなどの画像診断で, ある程度可能であるが本例のように腹腔鏡を行えば診断は確定する.
  • 田辺 昇, 田中 正夫, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 538-541
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は58才女性, 昭和59年12月25日左混合型脳内出血のため他院にて血腫除去術を受け, この際3単位の輸血を受けた. 術後経過は順調であつたが昭和60年2月18日, 著明な貧血を認めたため, 輸血6単位施行したところ発熱, 黄疸, 褐色尿, 乏尿, LDH 1617IU/l, (I型43%), ハプトグロビン15mg/dl, BUN 104mg/dl, Cr 9.3mg/dlを認め, 血管内溶血, 急性腎不全と診断, 3月4日東京都立駒込病院に転院後保存療法にて改善した. また不規則抗体として抗E, 抗Dia抗体が検出された. 本例は輸血後不規則抗体により血管内溶血を起こし, 腎不全が惹起されたものと考えられる. 不規則抗体による腎不全の報告例は本邦ではまれと考えられたので報告した.
  • ―とくに診断について―
    川村 展弘, 市川 度, 村上 俊穂, 白石 哲, 北條 郁生, 市原 透, 山岡 透
    1990 年 44 巻 5 号 p. 542-545
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脾原発と考えられる悪性リンパ腫の2例を報告し, 診断上の問題点につき検討した.
    超音波所見はmultiple hypoechoic nodules, 単純CTではmultiple low density areaがみられ, dynamic CTによりtumorは明瞭となつた. 腹腔動脈造影所見ではavascular massとしてみとめられた. 脾シンチグラムではcold noduleとして描出された.
    症例1は切除標本の組織学的診断により脾悪性リンパ腫と診断され, 症例2はエコーガイド下脾穿刺吸引細胞診により本症と診断された.
    開腹例における脾穿刺後の出血時間は5分30秒以内であり, 出血量は20g以下であつた.
    エコーガイド下脾穿刺吸引細胞診は, 脾悪性リンパ腫の組織学的診断に有用な検査法となると考えられる.
  • 5. アルール性肝障害-チエツクポイント-
    安部 明郎, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 546-550
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 第8回~第10回東京地区国立病院外科研究会, 第51回, 第52回愛知県下国立病院療養所神経内科症例検討会
    朔 元則, 矢加部 茂, 竹尾 貞徳, 前川 宗一郎, 吉田 康洋, 池尻 公二
    1990 年 44 巻 5 号 p. 551-552
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
feedback
Top