結核性萎縮膀胱に対し, 薄い和紙を核とした合成樹脂の人工材科を一時的な補填材料とし, 膀胱の再生を基礎として, 自然排尿可能な尿路を再建する方法を開発した.
これらの症例は1970年より1980年までに, 私たちの病院に尿路結核のため種々なる病状を呈し入院した17症例に実施した.
手術方法は, 図1に示すごとく, 3群に分類した. (1)第I群は萎縮膀胱に対し, 再生のための拡大術のみ, (2)第II群は拡大術と膀胱尿管新吻合術とを併用しなければ, ならないもの, (3)等III群は, (A)第一次手術として拡大術を(B)第二次手術とし再生膀胱・回腸・尿管(腎盂)の吻合術を実施した. この結果は, 表1に示すごとくで, 第1群は8例, 第皿群は6例, 第III群は3例である. このうち, 15症例の自然排尿は可能となつた. 再建できなかつた2症例は, 基礎疾患として膠原病を有していた.
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