医療
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39 巻, 12 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 真山 旭
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1032-1037
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ハンセン病は, 聖書や仏典の記載により, 古代から罪の一つの典型として, 誤つて社会的に取り扱われ, 医学的にもまた, 永年不治という暗黒下に置かれてきた.
    しかし, 最近の20年間でハンセン病の研究や医療は大きく進歩し, 特にハンセン菌のマウス足底内移植法による確実な増菌, アルマジロ静脈内移植法によるらい腫型病変の全身性形成, 多剤併用療法による短期間内の治癒, 分子生物学的手法によるハンセン菌ワクチン開発など, まさに日進月歩である.
    ただ, 多大の努力がなされているものの, 人工合成培地上でのハンセン菌の培養には, いまだ成功していないのは遺憾である.
    この時点で, ハンセン病医学の基礎, 臨床を, 新しい視点から整理して近代医学の流れに統合し, 理解いただけるように, この小論をまとめてみた.
  • 原田 澄
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1038-1044
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    ミコバクテリアは抗酸性とchromophobic(嫌色素性)として存在する. chromophobic菌は石炭酸フクシンで, フクシンにも対称染色にも染色されない菌である. この両者は,過沃度酸・石炭酸パラロザリニン, 過沃度酸メセナミン銀により検出可能となる. この染色の理論は, 長時間の過沃度酸酸化により細胞から生じたアルデヒドがパラロザリニンとSchiff baseを造るか, 又は, メセナミン銀がアルデヒドにより還元されて金属銀となるからである.
    これらの方法により, これまで石炭酸フクシンにより菌が検出されない病巣において, 結核菌やらい菌を多数検出することが可能となつた.
  • 西沼 啓次, 武田 雅俊
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1045-1053
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    血中クレアチンキナーゼ(CK)活性上昇は種々の疾患時に認められている. 心筋梗塞においてCK-MBアイソザイムが, 筋疾患・神経疾患・悪性腫瘍などでは, CK-BBアイソザイムが血清中に出現する. このような身体疾患とは別に, 精神分裂病・躁鬱病・周期性精神病などの急性精神症状悪化時に血中CK活性の上昇が, 血中高カルシウム値と共に認められる. 上昇したCK酵素のアイソザイム型が骨格筋(MM)型であることや, 患者の骨格筋に特徴的変化が認められることから, 精神疾患における血中高CK活性は, カルシウムによる筋細胞膜透過性亢進に基づく筋細胞傷害に起因すると考えられる. 中枢神経系のカルシウム変動を引き起こす機構は現在のところ不明な点が多いが, 近年のカルシウム研究の知見を考え合わせると, 血中高CK活性を示す精神病患者においては, CSF中カルシウムを一定に保つ機構が不安定であり, この原因として甲状腺機能不全が関与していると思われる.
  • 名取 徳彦
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1054-1057
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Duchenne型進行性筋ジストロフイー症(DMD)における6q12又は13の部位の出現頻度を明らかにするために, DMD患者49名について染色体の脆弱性試験をおこなつた. 方法: 葉酸欠乏培地とBrdU添加培地との2種類の培地を用いて末梢血0.2mlを96時間培養した. 結果と考察: 正常コントロール20名では染色体又は分体のギヤツプを広範囲に認めたが, 個々の出現頻度はすべて1%以下であつた. DMD患者では, 49名中30名(61.2%)に2%以上の出現頻度でhot spotが認められ, その中で最も出現頻度が多かつた部位は6q12又は13で, 49名中20名(40.8%)に認められた. 葉酸欠乏培地とBrdU添加培地において高頻度に認められたことから, その部位に何らかのDNA合成の傷害があると推察した, 現在DMDの遣伝子の座位はXp21又は22と考えられているが, 6q12又は13の部位もDMDの病因と何らかの関連があると考えられ, 今後更に検討を要すると考えられる.
  • 東村 道雄, 水野 松司, 名倉 英一
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1058-1064
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    培養腫瘍細胞, K-562(chronic myelogenous leukemia cell-line), HA-60(acute promyelocytic leukemia cell-line)及びNKM-1(acute myelomonocytic leukemia cell-Iine)には, 石油エーテル可溶のsulfolipidが存在した. しかし, 正常人リンパ球及びマウス肝細胞には, このようなsulfolipidは存在しなかつた. マウス肝細胞には, 培養腫瘍細胞にみられるようなsulfolipidはなかつたが, KOH/methanolで水解することにより遊離する少量のsulfolipidが見出された.
  • 諸冨 康行
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1065-1069
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    高血圧の成因におけるレニン・アンジオテンシン系(R-A)系の役割を検討するため, R-A系阻害剤であるアンジオテンシンIIアナログ(A II A)を用いて, 各種実験高血圧ラツトにおける反応を検討した. 高レニン性として腎動脈狭窄高血圧ラツト(GB-HT), 低レニン性としてDOCA-salt高血圧ラツト(DOCA-saltHT)また自然発症高血圧ラツト(SHR)に〔Sar-1, Ile-8〕アンジオテンシンIII 100μg/kgの1回注入による血圧反応を観察した. 血漿レニン濃度(PRC)の高値であつたGB-HT, SHRでは初期昇圧反応は鈍く, 降圧反応はGB-HTで著明で, SHRではみられなかつた. PRCの低値であつたDOCA-salt HTでは, 初期昇圧反応はややつよく, 降圧反応はみられなかつた.
    これらの結果はGB-HTではR-A系が主役を演じ, DOCA-salt HT, SHRでは主役でないことを示し, AHAはレニン依存性高血圧を判定する上で有用であることを示している.
  • 原田 澄, 佐々木 紀典, 左奈田 精孝, 小沢 利治, 小関 正倫
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1070-1073
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    clofazimineは, 1957年にBarryによつてalinoaposafranineより誘導され, 抗結核, 抗らい作用がある. 1962年にBrawnらが始めてらい腫型らいに用い有効であつた. 抗らい作用と, らい反応抑制作用があるので, 反応期らいの治療に使用される. 症例は76才, 男. らい腫型らいの反応期でclofazimine 1日量100mg, 2年間投薬した. 体位転換介助時, 介助側前腕皮膚が広範囲に, 介助による外力により剥離. clofazimine投薬中止により改善. 病理組織学的に, 真皮collagenは固有の連絡を失い, 互いに, あるいは表皮附属器周囲に集合.
    Elastica-Van Gieson染色で弾性繊維の断裂像. acute pancreatitisにて死亡. 小脳剖検所見でCPM(central pontine myelinolysis)を認めた. 電解質異常, アルコール乱用などはないが, 糖尿病, 進行性末梢神経症状がみとめられた.
  • ―2例の電顕的観察―
    木花 いつみ, 籏野 倫, 山嵜 雄一郎
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1074-1076
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    色素性痒疹の典型的な皮疹について, 18才と23才の男子例で電顕的観察を行つた. 表皮では基底層のケラチノサイトの細胞内浮腫及び変性・萎縮像がみられた. 細胞間浮腫, dyske ratosis, 電子密度の乏しいcytoid bodyなどもみられた. 真皮ではリンパ球, マクロフアージよりなる細胞浸潤がみられ, 後者の中には小塊状となつたメラニン穎粒を貧食しているものもあった. 苔癬様組織反応の基本型である扁平苔癬の電顕像と比較しつつ, 本症の電顕像について若干の考察を加えるとともに, 本症の色素沈着のおこり方についても考察した.
  • 飯田 光男, 駒田 美弘, 吉住 完, 永田 憲男, 東 英一, 川崎 肇
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1077-1080
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    バルプロ酸(「VPA」と略)を服用中に無症候性高アンモニア血症を呈した症例で, VPA漸減中に経時的に血漿アミノ酸, 有機酸を測定した.
    症例は21才女性で, 全身性強直性間代性痙攣を伴う脳性麻痺で5年2カ月間VPAを服用していた. 定期検査で血中アンモニアが正常の3倍と高値を呈したため, VPAを漸減中止したところ血中アンモニアは正常化したが, 経過中, hyperglycinemia, hyperglutaminemiaを呈し, 更にglutamate family (glutamate, proline, hydroxyproline)とaspartate family (aspartate, lysine, homoserine, methionine, isoleucine)の低値を認めた. 乳酸は低値, ピルビン酸は高値であつた. 以上の代謝異常はVPA漸減中止後正常化した.
    上記のようなアミノ酸, 有機酸の長期にわたる異常が生体に与える影響についての報告はないが, VPAの種々の副作用と関連している可能性もあり, 今後の検討が必要である.
  • 篠原 博, 上野 和行, 高月 潔, 上本 清隆
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1081-1083
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    市販2品目のテオフイリン持続性製剤のバイオアベイラビリティーを比較検討する目的で, in vitroの試験として溶出試験, in vivoの試験として血中濃度曲線下面積(AUC)を比較した. 前者の結果より, 両製剤ともに直線的な溶出性を示した. しかし, pH6.8の溶出液では, 溶出速度に大きな差があり, T50%は製剤Aは約12時間, Bは約4時間であつた. 後者の結果より, AUCの比(B/A)は約1.5であつた. したがつて, 両製剤間のバイオアベイラビリティーに大きな相異があることが認められた. かつ, Aは消化管から100%吸収されないことが示唆された.
  • 与那原 良夫, 佐藤 仁政, 高原 淑子, 田島 幸, 中島 修, 萩原 秀穂, 大棒 秀一, 石橋 章彦, 下杉 彰男, 星 正司, 平野 ...
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1084-1088
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    核医学共同利用システムは, 参加施設の検体を実施施設(国立東京第二病院核医学センター)に集中させ, 多くの項目を効率よく検査測定し, そのデータを正確かつ迅速に報告することを目的としている. そして地域医療の連帯化, 近代化, 合理化に, 十分対応し得る作業体制が企画, 実行されたものである.
    過去5年間の利用状況について統計を取つたところ, 総件数, 総点数とも着実に伸びを示している.
    また発足当初より利用件数が少ない施設は, 自施設に処理能力を有するためと思われる.
    今後の問題として, コンピユータ導入によりデータの遅延, 煩雑さを緩和してゆくことが急務であると考えられた.
  • 森田 一喜朗, 吉峰 一博, 平田 耕造
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1089-1092
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和38年2月1日より58年1月31日までの過去20年間における国立福岡中央病院泌尿器科剖倹症例について若干の分析を行つた.
    症例はいずれもCT導入前のもので, 現在のCT, 超音波を駆使しての診断学前で, いわゆる症例のバラッキ(他科疾患など)が見られる.
    泌尿器科剖検例は78例で, 全体1,422例中の5.5%, 泌尿器科死亡患者148例中52.7%の剖検率で, 剖検症例のうち73%は悪性腫瘍であつた.
  • 印東 利勝
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1093-1099
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    L-dopa, carbidopaの10対1の併用療法を39例, L-dopa, benserazideの4対1の併用療法を20例に施行し, 数年間にわたり臨床効果と副作用を両群で比較検討し, 以下の結果を得た. 治療前の障害度は両群同等であつた.
    1)臨床効果は最大改善時はParkinson scoreに両群で有意差はなく, Yahr stageではbenserazide併用群で有意にすぐれていた(p<0.05). 最終診察時では, Parkinson score, Yahr stageとも両群間で同等であつた.
    2)副作用は上肢のL-dopa induced dyskinesiaがbenserazide併用群で有意に低率(p<0.05)であつた. 消化器系, 自律神経系副作用はcarbidopa併用群でより高率にみられ, 精神症状でも高度なものはcarbidopa併用群のみにみられたが, 有意な差ではなかつた.
    3)以上によりL-dopa, benserazideの4対1の併用療法はL-dopa, carbidopaの10対1の併用療法よりすぐれていると推察された
  • 天野 博史, 吉井 才司, 東村 道雄, 安田 行信, 中村 栄一, 秋山 三郎, 柳瀬 正之
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1100-1106
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    新抗菌物質ofloxacin(DL8280)の肺結核に対する治療効果を検討した. DL8280の投与の対象となつた19名の患者は全部が硬化巣中空洞または硬化壁空洞を有する陳旧肺結核を有し, 多剤耐性結核菌を排出していた. DL8280は1日量300mgで1回に経口投与し, 6~8カ月続けた. 併用薬剤は既に耐性となつた抗結核剤を用いるか, またはDL8280の単独投与とした. DL8280の投与により, 3名の患者で直ちに排菌がとまり, 他の2名では3カ月に排菌がとまつた. 菌が陰性化しなかつた症例では, 投与第3または第4ヵ月にDL8280耐性結核菌が出現した. 副作用は特になかつた. 以上から, DL8280は肺結核の治療に有効な薬剤であると考えられた
  • 畑江 芳郎, 西 基, 中館 尚也, 服部 拓哉, 武田 武夫
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1107-1110
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)及びエバンズ症候群に対するインタクトγ-グロブリン療法による効果をみた.
    急性ITP2例, 慢性ITP2例及びエバンズ症候群1例に静注用γ-グロブリン(GV-523)400mg/kg5日間連続投与した. ITP4例では投与5~10日後に血小板数は40万/mm3以上増加した. その後3例では投与開始30日以内に投与開始前値まで低下した. 1例のみ血小板数5~10万/mm3を維持した. エバンズ症候群では効果がみられなかつた.
    血小板表面関連免疫グロブリン(PAIgG)値は治療後に低下する傾向がみられた. 血清IgG値はGV-523治療で明らかに増加したが, エバンズ症候群ではITPのそれに比べると増加度は低かつた.
    静注用γ-グロブリンの大量療法は高価であり, また効果は一時的であるが, 出血症状が著しい時や, 外科的手術を受けるITPの患者には有効な治療法と思われる
  • 染野 敬, 中村 久, 蝦名 謙一
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1111-1115
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1969年4月から1983年12月までの手術患者について統計的観察を行つた. 手術患者数は2466名であつた. 性別は, 男性1967名(79.8)%, 女性499名(20.2%)であり, 男性が非常に多かつた. 男性の年令別では, 61~70才が362名(18.4%)と最も多く, つぎに70~80才320名, 0~10才250名, 51~60才249名の順に多かつた. これに対して, 女性の年令別順位は41~50才101名, 51~70才91名, 61~70才84名の順に多く, 男性の年令分布と異なつていた. 手術総件数は3269件であつた. その内訳は腎の手術508件(15.5%), 尿管の手数405件(12.4%), 膀胱の手術367件(11.2%), 膀胱鏡手術210件(6.4%), 前立腺の手術304件(9.3%), 陰嚢および陰嚢内容の手術566件(17.4%), 陰茎および尿道の手術379件(11.6%), その他の手術530件(16.2%)であつた.
  • II. 骨髄 4. 形質細胞
    青木 誠, 村山 直弘
    1985 年 39 巻 12 号 p. 1116-1119
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 39 巻 12 号 p. 1120
    発行日: 1985/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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