ハンセン病は, 聖書や仏典の記載により, 古代から罪の一つの典型として, 誤つて社会的に取り扱われ, 医学的にもまた, 永年不治という暗黒下に置かれてきた.
しかし, 最近の20年間でハンセン病の研究や医療は大きく進歩し, 特にハンセン菌のマウス足底内移植法による確実な増菌, アルマジロ静脈内移植法によるらい腫型病変の全身性形成, 多剤併用療法による短期間内の治癒, 分子生物学的手法によるハンセン菌ワクチン開発など, まさに日進月歩である.
ただ, 多大の努力がなされているものの, 人工合成培地上でのハンセン菌の培養には, いまだ成功していないのは遺憾である.
この時点で, ハンセン病医学の基礎, 臨床を, 新しい視点から整理して近代医学の流れに統合し, 理解いただけるように, この小論をまとめてみた.
抄録全体を表示