医療
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41 巻, 11 号
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  • ―MDSの概念と亜型分類についての検討―
    高橋 隆一
    1987 年 41 巻 11 号 p. 931-938
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1977年Sultanらは, はじめてmyelodysplastic syndrome(MDS)の概念を提唱し, その後FABグループは, 芽球比率を中心に, 骨髄の輪状鉄芽球または末梢血の単球増加によつて5亜型に分類した. 不応性貧血, 非定型性白血病および前白血病などの定義の不明確な汎血球減少症を比較的容易に分類できるためMDSの定義および亜型分類は広く用いられつつある.
    しかし芽球比率の高い亜型を白血病とせずにMDSに分類していることに疑義があり, 亜型により予後およびovert leukemia発症率にかなりの差異があるなどMDSの概念および亜型分類の再検討が必要と考えられる.
    MDSおよびその周辺疾患について再検討を加えつつ総説を試みた.
  • 山田 清美
    1987 年 41 巻 11 号 p. 939-945
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近年の分子遺伝学の進歩により, ヒトの正常染色体に現在30種類以上の癌遺伝子があることが判明している. 一方, 白血病にみられる特異的染色体異常には圧倒的に転座型が多いことが明らかになつた. そして, 癌遺伝子が活発に働いている遺伝子の近傍に転座によつて移行することにより, 癌遺伝子の活性化が誘発され遣伝情報を出すようになること(位置効果)が白血病発生の細胞遺伝学的機序であることが確実になつてきた. したがつて, この場合における白血病型と染色体異常の特異性との関連性は発現している癌遺伝子の種類によるのではなく, 癌遣伝子の転座先の特定性によるもので結果的には染色体の切断点が特異的となると理解することができる. ここでは, 白血病における代表的な染色体異常型を挙げ, その細胞遺伝学的および臨床血液学的特徴を要約した.
  • 武田 武夫, 畑江 芳郎, 中舘 尚也, 畑山 由起子, 信太 知
    1987 年 41 巻 11 号 p. 946-950
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    小児癌白血病研究グループで1972年から1985年の間に扱つた476人の小児ALLについて, CNS白血病の発生率を検討した. 評価可能例455例中216例(47.5%)が再発した. うち76例で初回再発の部位がCNSであつた(35.2%). このうちCNS単独再発は62例であつた.
    CNS再発の率は頭蓋予防照射群で6.2%と, 非照射群26.9%に比較して有意に低かつた. ハイリスク群でのCNS再発率は14.6%であり, スタンダードリスク群の8.9%に比較して有意に高かつた. CNS再発後の生存率は8年後10%であつた.
    CNS白血病についての寛解導入後の維持療法について, 薬剤の髄注の間隔が8週間よりも4週間の方が効果的であることを示唆する症例を提示した.
  • 中出 泰充, 田中 正夫, 藤原 義久, 村瀬 卓平, 大北 威, 木村 禧代二, 広田 豊
    1987 年 41 巻 11 号 p. 951-958
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1975~1985年の11年間に国立名古屋病院血液センターに入院した141例の急性白血病症例につき, 年令, FAB分類, 治療に用いた抗白血病剤, 寛解率, 予後の点から解析を加えた.141例の内訳は, AML121例, ALL20例で, 年令の中間値はAML45~50才, ALL20~25才であつた. FAB分類は日本で諸家が報告しているものと比し, M5が多い傾向がみられた. 治療薬剤では, 1975~1977年にはcyclocytidineを含んだ併用療法が多く, 1978年以後はDCMP二段療法と, BH-AC・DMP療法が中心であつた. この11年間を4つの年次に区切つて寛解率を算出すると, 第I期は43%, 第II期からは50%台に向上し, 第IV期には63%に達した. 寛解率は年令によつて有意に異なり, 10~40才の寛解率は40才以上のそれに比し, 格段に高かつた. 50%生存期間は第I期が3ヵ月であつたが, それ以後1981~1983年の9ヵ月まで向上した. ALLの50%生存期間は9ヵ月であつた.
  • 特にDICの旱期診断と治療の重要性について
    高橋 隆一, 三好 保由, 田渕 勝彦, 安藤 潔, 新保 卓郎, 村瀬 忠, 青木 誠, 川戸 正文
    1987 年 41 巻 11 号 p. 959-964
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性前骨髄球性白血病(APL)に血管内凝固症候群(DIC)を高率に合併することは周知の事実であるが, 他の白血病の場合にも未治療時にDICを合併していることはまれではなく, その早期診断と治療は, 白血病の治療上極めて重要である. しかしAPL以外の白血病について未治療時のDIC合併とその早期診断および治療に言及している報告は少なく, その予後は不良である.
    われわれは, 白血病患者の未治療時に凝血学的検査を必ず行い, DICを合併していた17例を早期に発見し良好な結果を得たので, DICの早期診断と治療の重要性を強調したい.
  • 高橋 隆一, 三宅 康弘, 田渕 勝彦, 三好 保由, 村瀬 忠, 青木 誠, 福井 谷祐一, 川戸 正文
    1987 年 41 巻 11 号 p. 965-969
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血(再不貧)と発作性夜間血色素尿症(PNH)とは従来全く別個の疾患と考えられていたが, 両者の関連を示唆する症例が報告されてから次第に注目されるようになつてきた.
    我々は, 再不貧からPNHに移行したと考えられる2例を経験したので報告する. 症例1は再不貧として治療中にSugar Water testのみ陽性化し, 感染合併時はじめて血色素尿を認め, 再不貧から再不貧-PNH症候群を経てPNHへ移行したと考えられ, 症例2は, 再不貧として治療中蛋白同化ステロイドによつてほぼ正常に回復したにもかかわらず, 中止によつて貧血が増強し, sugar water test, Ham試験およびヘモジデリン尿が陽性化し, 再不貧からPNHに移行したと考えられる症例である.
  • 浜田 嘉徳, 辻 正子, 長町 典夫, 橋本 佳久, 東敬 次郎, 窪内 憲幸, 香川 正博
    1987 年 41 巻 11 号 p. 970-974
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    Rh E不適合による新生児溶血性疾患の同胞例を報告した.
    母親は初妊娠, 血液型はB型, CCDee. 妊娠前に子宮筋腫の手術の際, 1,000mlの輸血の既往があつた.父親の血液型はA型ccDEEであつた.
    症例1(兄), 出生体重3,1609, 39週, 帝王切開, O型, CcDEe. 生後3日の総ビリルビン27.4mg/dl, 光線療法およびO型血液により交換輸血を行つた.
    症例2(妹), 出生体重3,330g, 40週, 帝王切開, O型, CcDEe. 臍帯血, 直接クームステスト陽性, 総ビリルビン3.9mg/dl, 生後24時間の総ビリルビン12.4mg/dlのため, O型血による交換輸血および光線療法を行つた, 分娩後の母体間接クームステスト1,024倍. 不規則抗体検索により, 抗E抗体を証明した. 日本人ではRh E陰性者が約50%であるため, E不適合は高率であり, 輸血に際し, ABO, Rh DのみならずRh Eの検索が必要である.
  • 三好 保由, 田渕 勝彦, 新保 卓郎, 村瀬 忠, 青木 誠, 川戸 正文, 高橋 隆一
    1987 年 41 巻 11 号 p. 975-979
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫の経過中に末梢血および骨髄に腫瘍細胞を認めた場合には, 悪性リンパ腫の白血化か, 悪性リンパ腫の治療による二次性白血病のいずれであるかを鑑別して治療することが重要である. 悪性リンパ腫の白血化は, 発症1年以内に認められる症例が多く, 数年後に認められることはまれである. しかし最近の治療の進歩と共に長期生存例が増加しつつあるために, かかる症例も今後増加すると考えられる. 今回われわれは, 初回治療で完全寛解し, 約7年後に白血化した悪性リンパ腫(diffuse, medium-sized cell type)の1例を経験したので報告する.
  • 丹村 敏則, 伊藤 朋文, 日栄 康樹, 近藤 芳正, 松下 豊顕, 埜村 智之
    1987 年 41 巻 11 号 p. 980-982
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性骨髄性白血病患者で白血病細胞が赤血球貧食を示した症例を経験したので, 文献的考察を加え報告した. 患者は48才, 男性. 全身倦怠感を主訴として来院. 末梢血で汎血球減少を認めた. 骨髄像で有核細胞数10万/mm3, 巨核球15/mm3, 骨髄芽球63.4%であつた. 白血病細胞は, ペルオキシダーゼ反応陽性, ナフトール・ASD・クロロアセテートエステラーゼ陽性, α・ナフチルブチレートエステラーゼ染色陰性で, FAB分類のM2の急性骨髄性白血病と診断した. 骨髄鏡検像にて, 赤血球貧食を示している白血病細胞を認めた.
  • 山崎 圭子, 中林 治夫, 沓掛 伸二, 嵐山 恭志, 安部 明郎, 島野 毅八郎
    1987 年 41 巻 11 号 p. 983-986
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    比較的良好な経過をとつているCrow-Fukase症候群の1例を経験したので報告する. 症例は48才の女性で, 剛毛, 皮膚色素沈着, 浮腫, ポリニユーロパチーをはじめ, 耐糖能低下, 月経異常などの多彩な症状とIgA(λ)のM蛋白を認めた. 本例は手袋―靴下型の知覚障害を認めたが, 痛覚のみが保たれていた. 腓腹神経生検では軸索変性に加えて脱髄が認められていた. そのヒストグラムでは主として大径線維の障害が強く, 小径線維は比較的保たれており, 痛覚が保たれていたことと関連していると考えた. また副腎皮質合成ステロイド剤の投与なしで3年近くにわたり経過観察をしているが, 神経症状の進行は認められていない.
  • 渡部 信一, 笹生 俊一, 木村 格
    1987 年 41 巻 11 号 p. 987-991
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    失語症者の記銘力と入力情報のfamiliarityとの関係を明らかにする目的で, 高頻度語・低頻度語・無意味刺激の3群の刺激を用い, 聴覚提示・視覚提示の2条件を設け実験を行つた. その結果, 以下の点が明らかになつた.
    1) 入力情報のfamiliarityの違いによつて, 失語症者の記銘力に有意な差は認められなかつた.
    2) 聴覚提示条件と視覚提示条件の間に, 有意差は認められなかつた.
    以上の結果に対し, 記憶モデルを用いて検討を加えた.
  • 丸山 信之, 有馬 邦正
    1987 年 41 巻 11 号 p. 992-995
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は86才女性で, 77才ころより「陰部の盛痒感や, 皮膚がムズムズすることで虫が体内に入つたことがわかる」と執拗に訴え, 不眠, 被害的になつたため, 昭和51年(79才)当所に入院. 入院後死亡するまでの7年間, 寄生虫妄想は断続的に出現し, その他にも被害, 被毒妄想, 年金や生命線に関する妄想が相次いで出現した.一方痴呆症状は入院当時捉えられなかつたが, 入院後1年目ころから痴呆化が目立つてきた. 本症例における妄想を中心とした長期にわたる症状の経過と転機については, 脳障害それ自体のほかに性格, 生活史, 発病状況などを総合しての心的力動のほかに, 家族歴にみられる負因や神経病理学的所見にみられるAlzheimer原線維変化, 老人斑の出現及び神経細胞脱落などの形態学的変化が, 軽度であることなどが関与していると考えられた.
  • 11.自己免疫疾患と妊娠
    堤紀 夫, 伊藤 治英, 田中 忠夫, 柏木 登
    1987 年 41 巻 11 号 p. 996-999
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 41 巻 11 号 p. 1000
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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