医療
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40 巻, 12 号
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  • ―特に早期直達手術群と非直達手術群の対比において―
    高僑 慎一郎, 園部 真, 甲州 啓二, 藤本 俊一, 広田 茂
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1094-1098
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    破裂脳動脈瘤死亡例を早期直達手術群と非直達手術群の対比において検討した. 対象は当院にCTが導入された1977年7月から経験した破裂脳動脈瘤270例である. クモ膜下出血発症48時間以内に直達手術を施行し, 脳室脳槽ドレナージ(VCD)を併用した98例中死亡は17例(17.3%)で, その死亡原因の内訳はmassive hemorrhageによるもの7例, vasospasmによるもの5例, 心肺合併症などによるもの5例である. また非直達手術群62例中死亡は55例(88.7%)で, その死亡原因は29例がmassive hemorrhageによるもの, 14例が入院後のreruptureによるもの,7例がvasospasm, 5例が心肺合併症によるものである. また術前のsurgical risk gradingと予後との関連も検討した.
    急性期破裂脳動脈瘤の治療に関して, われわれは, VCDを併用する早期直達手術を主張するとともに, 死亡例のなかで今後救命可能な症例について考察を加えた.
  • 三好 豊二
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1099-1103
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    DHSMが昭和46年生産中止になり,硫酸SMにかえつてよりは,副作用としての難聴はほとんど見られなくなつたが, それに代り前庭障害が問題として登場してきた. SMは全身投与のため, 両側前庭が同時, 同速度で障害されるので, めまいは自覚されることがほとんどなく, 不可逆な程度まで障害が進んで始めて平衡失調が生じてくる. 従つて両側前庭障害の早期診断法を確立することが強く望まれる. この目的のために, 両側前庭障害を生じた患者のカルテを詳細に検討し, 初期症状と思われるものを見出し, 投与量, 期間, その後の経過などについても検討した. その結果初期症状として最も多いのは歩行中のふらつきである. jumbling現象はほとんどの例に見られたが, 訴えとしては意外に少なかつた. 早期に投与を中止すれば, 充分な回復が見られた. 20g, 1ヵ月以内に症状を来す例は, 障害の進行が早いので, この間は注意すべきである. 頭振読字法は早期発見に有用である.
  • 梅田 悦生, 鳥山 稔
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1104-1108
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    メニエール病, 突発性難聴, 前庭神経炎は内耳性めまいの代表的な疾患であり, これらの疾患は確立された診断基準によつて明肇に他のものから区別できる. しかし, 現実にはメニエール病疑い例とか上気道感染の前駆のない前庭神経炎あるいは明確な診断をつけられないいわゆる内耳性めまいが多い.
    めまいの診断は難しいとよくいわれる. この難しさはめまいの理論の難解さにある. 個々の疾患についてはよく説明されている. しかし, めまい全体についての明快な理論に欠ける. たとえば, メニエール病とメニエール病疑い例の間には何らかの関連性があるのだろうか, という簡単な問題の答えが難しい.
    著者らは内耳性めまいをより簡潔に理解するための一つの方法として内耳性めまいを解剖学的・病理学的に分類し分析した.
  • 割田 雄司, 野口 誠, 土屋 梅佳, 森沢 真知子, 横尾 恵美子, 曽田 忠雄, 宇野 公男
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1109-1113
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1980年4月から1985年9月までの5年6ヵ月間に当科で摘出手術を行つた顎口腔領域の類表皮嚢胞10例について臨床統計的観察を行つた. 患者の年令は20才代から50才代までの各年代にほぼ均等に分布しており, 従来の報告とほぼ同様であつた. 発生部位に関しては口腔領域の好発部位とされている口底部発生例はなく, 比較的まれとされている頬部(5例)および下唇部(2例)が大半を占め, 諸家の報告とは異なつていた. しかし, 頬部や口唇の嚢胞は直径20mm以下の小嚢胞が多く, 粉瘤あるいは粘液瘤などとの臨床診断で処置され, 病理組織学的検索の行われない場合も多いと推測され, 頬部あるいは口唇部への発生頻度は諸家の報告より高い可能性も考えられた. 病理組織学的検索では全例が皮膚付属器官を含まない類表皮嚢胞で, 摘出後の再発例はなく予後は良好であつた.
  • 井上 愼三, 時松 和恵, 香川 正博, 松村 香代子
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1114-1117
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1983年4月より1984年3月までの, 国立善通寺病院における20名27症例の角膜潰瘍について報告した. 内訳は, カタール性角膜潰瘍7名, 飼行性角膜潰瘍13名,(数回の再発を含める)であつた. 起炎菌の分離は27症例中23症例に行い, 17症例に分離, 同定, 感受性検査ができた. 検出菌はStaphylococcus epidermidis5株, Streptococcus pneumonia3株, Staphylococcus aurcus3株, Acinetobacter, Neisseria, Streptococcus viridans, Diphteroid, Micrococcus, C群Streptococcus各1株であつた. 薬剤感受性検査はSB-PC, GM, DKB, TOB, CP, TC (以上の薬剤は点眼剤として市販されている) と内服剤のAC-PCについて行つた. 検出菌のうち一部の菌に薬剤に対する耐性が存在したが, 他の薬剤に対して感受性が高いため治療は充分に行えた. SCL連続装用者4名に飼行性角膜潰瘍を起こし, 2名は再発を繰り返していた. 昭和58年度には緑膿菌性及び真菌性角膜潰瘍はなかつた.
  • 広川 正泰, 宮地 直丸
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1118-1120
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    新鮮な網膜血管閉塞症8例にウロキナーゼの大量療法を行い, 視力, 眼底所見, 蛍光眼底造影から治療効果を判定した.
    網膜中心静脈切迫閉塞症 (非虚血型) は,4例全例とも有効であつた.
    出血型網膜中心静脈閉塞症(虚血型)は3例中1例が有効であつた.
    網膜中心動脈閉塞症は, 1例ではあるが有効であつた.
  • 大迫 芳郎, 本田 三平, 中山 治美, 西野 力男, 原 朋邦, 森川 節子
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1121-1123
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    網膜芽細胞腫は小児悪性固型腫瘍の中で最も頻度が高い.
    我々は膜芽細胞腫脳転移症例を経験した. 転移症状発症時, 髄液中LD且活性の上昇は著明で, 治療経過とともに正常化した. 血中LDH, 髄液中蛋白質量も同様の変化を示した. 血中,髄液中β2-microglobulinは変化を示さなかつた.
    LDHは, 網膜芽細胞腫の再発, 転移, 治療の指標として有用と思われた.
  • 木元 克治, 目野 俊子, 吉住 孝之
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1124-1126
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    症例は68才の女性, 白内障治療の目的でチオプロニンが投与され, 約1ヵ月後黄疸出現. 血清ビリルビンの高値と胆道系酵素の上昇があり, リンパ球刺激試験はチオプロニンが2,127%と陽性で, チオプロニンによる薬剤性肝障害と診断した. 血清ビリルビンは正常化したが, 胆道系酵素の中等度上昇とトランスアミナーゼの軽度上昇が続き, 経過が遷延した.
  • 第3報 肺機能
    遠山 有能, 宮地 直恒, 小園江 和之, 山本 高史
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1127-1132
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当院で加療中の片麻痺患者のうち, 24例について肺機能検査の検討を行つた. (1) %VCは平均値ではほぼ正常値を示したが, 約1/3は正常値以下であつた. (2) %MVVは21例が正常値以下で, 平均値も56に過ぎなかつた. (3) 1秒率, 動脈血ガス分析では両者ともほぼ正常値を示した. 胸部断面CT像について胸郭断面積の呼吸比は, 患側ではほとんど動きが認められず, 胸囲の呼吸差も例外なく患側の値が低く, 呼吸筋の筋電図でも明らかな健患差が認められた. %VCと%MVVは脳出血群に比し脳梗塞群に低値をとるものが多く, また歩行可能群に比し車いす装具群に低値をとるものが多かつた. すなわち片麻痺患者で麻痺側の呼吸筋の機能低下があり, 胸郭の運動が制限され, そのために拘束性障害がおこる可能性があるが, リハビリ訓練により上下肢の機能が回復すればその程度に応じて呼吸機能も回復する傾向がうかがわれる.
  • 勝木 弘美, 野辺 薫, 山田 洋子, 竹井 久美子, 吉永 繁彦, 有井 真弓
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1133-1136
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者に対するデイケア効果についての報告は極めて少ない. そこで国立療養所福岡東病院のデイケア患者のうち, 評価を行つた脳卒中患者43例についてデイケア開始時及び6カ月後の評価を比較し, デイケア効果を検討したので報告する.
    評価項目は身体機能, 行つているADL, 患者の行動範囲, 復職または家庭での役割, 日常の過ごし方, 生活に対する意欲の6項目である. すべての項目において43例の90%以上が維持または改善を示したことから, 現時点においてはデイケア効果があるといえ, 脳卒中患者に対するデイケアの必要性を示唆している.
  • 井上 圭太郎
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1137-1141
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    全国60施設の国立療養所に脳血管障害後遺症を持つ患者のADL, およびリハビリテーシヨン阻害因子などについてのアンケート用紙を配布し, 37施設, 合計1175人の患者の回答を得た. 男女別内訳は男性624人, 女性551人で, 平均年令は68.5才±11.0才である. 性, 年令, 病型診断, 麻痺発症後の期間, および意欲, 半側空間失認, 深部知覚障害, 失語などの有無, そして長谷川式簡易知能評価スケールなどが患者のADL能力に与える影響の程度をロジステイツク回帰分析を用いて定量的に表した結果, その大きさは意欲め有無が最大で, 以下左半側無視, 深部感覚障害, 性差, 年令などの順番となつた.
  • ―CT誘導による定位脳手術による治療―
    甲州 啓二, 広田 茂, 須賀 俊博, 園部 真, 高橋 慎一郎, 福田 守邦
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1142-1146
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脳膿瘍の1例を報告する. 患者は, 5才の男児で, 生後4ヵ月の時にフアロー四徴症と診断され, 9ヵ月の時, 左側に, Blalock-Taussig手術を受けた. 更に, 2才7ヵ月の時に, 右側にも同じ姑息手術を受けた. 5才になり, 左顔面, 左上肢にけいれんが出現した. 脳塞栓を疑い, 抗けいれん剤の投与にて経過をみていたところ, 2週後, 発熱, 頭痛, 嘔吐が見られるようになつた. 頭部CTスキヤンを施行すると, 右大脳半球に, 占拠性病変がみられ, 造影剤投与にてリング状の増強効果がみられた. 以上の結果から我々は, 脳膿瘍と診断した. 抗生物質投与を試みたが, 膿瘍腔の拡大が進行したため, 外科的治療を施行した. CT誘導による定位脳手術にて膿瘍内容の穿刺を行つた. 全身用CT (TCT-70)と, Leksell型の装置を使用した. 手術は, 全身麻酔下に行つた. 2個の膿瘍腔を穿刺, 排膿した. 術後のCT上では, マスサインは改善していた. 細菌培養の結果は, Peptostreptococcusが同定された. CT誘導による定位脳手術は, 正確, 簡単且つ安全な手段であり, 今後広く用いられるものと思われる.
  • 松海 信彦, 石光 宏, 西本 健, 原田 泰弘, 宮田 伊知郎, 西浦 司, 津野 和幸
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1147-1151
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    もやもや病に合併した脳底動脈瘤の1症例を経験したので, この発生機序ならびに治療上の問題点などにつき, 文献的考察を加え報告した. 症例は61才, 男性. 昭和59年5月, 突然, 気分不良, 意識消失をきたし, 頭痛, 嘔吐を訴え, 翌日当科に入院した. 入院時, 意識は清明で, 項部硬直以外の神経脱落症状はみられず, CTでクモ膜下出血を認めた, また脳血管撮影では, 内頸動脈は両側とも頸部の起始部から狭小化しており, 眼動脈を分岐した直後で閉塞し, 脳底部にもやもや血管が認められた. それに対し, 椎骨脳底動脈系ならびに外頸動脈系はよく発達し, さらに脳底動脈先端部に嚢状動脈瘤を認めた. 出血源はこの動脈瘤の破裂によるものと考えられ, 直達手術を考慮した. しかし, 発症後7日目ころより次第に意識レベルは低下し始め, 16日目昏睡状態となり, CTで広汎な梗塞像および再出血像を認め, 20日目死亡した.
  • 山嵜 雄一郎, 木花 いつみ, 籏野 倫
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1152-1155
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近当科で経験した高令者の頭顔部皮膚有棘細胞癌の2例を報告し, 若干の文献的考察を加えた. 症例は第1例が92才の男子の頭頂部の腫瘤であり, 部位的に全摘が可能であつたが, 入院中にS状結腸癌の合併が判明した. 第2例は96才の女子の鼻根部の腫瘤であつたが, 非観血的な治療を施行するも十分な効果をあげることができず, 治療中途で死亡した.
    1975~84年の10年間に本邦で有棘細胞癌285例が報告されているが, 90才以上の症例は8例であつた. これらは頭頸部に生ずることが多く, 基礎病変としてはsenile keratosisが多かつた.
  • 高橋 隆一, 田渕 勝彦, 三好 保由, 村瀬 忠, 青木 誠, 福井谷 祐一, 川戸 正文
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1156-1160
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1930年代から染毛剤との関連を示唆する造血障害, 特に再生不良性貧血(再不貧)の症例が報告きれているが, いまだに報告例は少ない. しかし血液専門医は, 染毛剤の関与が疑われる血液障害症例を少なからず経験しており, 従来の報告例は氷山の一角にすぎないと考えている.しかし否定的意見もあり, 染毛剤と造血障害, 特に再不貧との関連はいまだに明らかでない.
    最近われわれは既往疾患や常用薬剤の使用歴がなく,染毛剤使用中に発症した再不貧の2例を経験したので報告する.
    症例1 61才, 主婦. 5年間染毛剤使用後に再不貧発症.
    症例2 50才, 主婦. 2年間染毛剤使用後に再不貧発症.
    両例共染毛剤の中止,副腎皮質ステロイドのセミ・パルス療法および蛋白同化ステロイドにより貧血の改善を認めた.
  • 野口 誠, 割田 雄司, 曽田 忠雄
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1161-1164
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    血管腫は, 顎口腔領域では比較的頻度の高い腫瘍である. 好発部位は舌, 口唇, 頬粘膜などで, 顎下部への発生は少ないようである.
    顎下部の血管腫は, 他の嚢胞性疾患や腫瘍性疾患との鑑別が難しく, 穿刺によつて血液が吸引されない症例もあり, またangiographyでも明らかな所見が得られないことが多く, 診断が因難なことも少なくない.
    著者らの症例では, 来院前にガマ腫あるいは甲状腺疾患などの診断を受けていたが, 穿刺により血液が吸引され臨床的に血管腫の診断を得ることができた.
    2 症例とも比較的境界明瞭な腫瘤としてみられ, 全摘出が可能であつた. 摘出後の経過は良好で再発はない.
  • 12. 耳鳴の診断と治療
    猪 忠彦
    1986 年 40 巻 12 号 p. 1165-1167
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 40 巻 12 号 p. 1168
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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