医療
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41 巻, 7 号
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  • 木村 哲, 長谷川 親太郎, 中島 淳
    1987 年 41 巻 7 号 p. 586-591
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1)1980年以降の5年間に国立東京第二病院で経験した64例の前立腺癌症例は, 未治療:58, 再燃:6, また, 非進行癌:36, 進行癌:28であった.
    2)治療は, 前立腺全摘出術, 除睾術, ホルモン療法, 癌化学療法, 放射線療法など「東2-1」治療原則に従つて集学的に施行した.
    3)治療開始12週後に, 治療内容別に, 近接効果を検討した.
    4)遠隔治療成績は, 最長5年の実測生存率を算出して, その1年, 3年, 5年について, 未治療群vs再燃群, Stage別, 細胞のGrade別に比較検討した.
    5) 期間内の死亡は15例で死因などについて, 若干検討した.
    6) 1986年以降の症例は「東2一II」の治療法と, γ-seminoproteinを新たな腫瘍マーカーとして, 新治療年度の歩みを始めた.
  • 藤田 公生, 村山 猛男, 成田 佳乃, 御厨 修一
    1987 年 41 巻 7 号 p. 592-595
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    膀胱を保存したまま腫瘍に1回大量照射を行う, 術中照射(開創照射)を13例に行い, その適応と限界を検討した. 3例に再発をみたが, その再発例の分析からみても, 腫瘍の存在部位を確認し, 確実に照射野内に入れる努力を行えば, 局所制癌にすぐれた効果を示し, 膀胱機能を保存したまま癌の根治性を計ることができる治療法である.
  • ―自験例33例の検討から―
    鈴木 盛一, 肱岡 隆, 林 良輔, 雨宮浩 浩, 木村 玄次郎, 佐谷 誠
    1987 年 41 巻 7 号 p. 596-602
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    昭和53年10月28日から昭和61年8月31日までの約8年間において, 国立循環器病センターで施行した死体腎移植18例, 生体腎移植15例の計33例について, その問題点と今後の対策について検討した. 組織適合度と移植腎生着率に関しては, 生体腎移植例のAZ使用例で相関が認められたものの, CsA例及び死体腎移植例では相関は得られなかつた. 術前輸血も, とくにCsAを用いるようになつてから移植腎生着に影響する因子ではないように思われた. 今回の検討から, 移植成績, とくに死体腎移植成績に関与する最も重要な因子は, ATN, donorよりの持ち込み感染, recipientの術前管理の問題であり, これらの解決のためには, 脳死での積極的な腎摘出と共に, 死体腎提供者の増加が最も可及的な課題と考えられた.
  • 国立療養所腎不全中央協同研究会
    1987 年 41 巻 7 号 p. 603-607
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所9施設で, 昭和60年9月までに, 6から18才で透析/移植を受けた末期腎不全61例(男42, 女19)を検討した.
    原疾患の4分の3は糸球体腎炎/ネフローゼ症候群で, 慢性腎盂腎炎, 腎低・異形成, アルポート症候群が各数%である. 約30%の症例が学校検尿で発見され, 6~8才例が多いことから, 幼児検尿の必要性が示された. 10例が発症・発見後1年以内に導入され, 体重35kg未満例にIPDが多用された. 維持透析はHD55例, CAPD 6例で, 14例が腎移植を受け, 10例が生着している.
    導入後1~162ヵ月(平均44ヵ月)の最終観察時, 38例が透析, 10例が移植で生存, 11例が死亡, 2例が不明であつた. 死因のうち脳出血が最も多かつた.
    現状の判明した38例中6例が社会復帰困難であつた. 腎移植を受けていない患者の4分の3は移植を望んでおり, 医療側の対応の確立が待たれている.
  • 富沢 修一, 竹内 衛, 柳本 利夫, 千葉 高正, 吉川 秀人, 小沢 寛二
    1987 年 41 巻 7 号 p. 608-614
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    学校集団検尿で血尿と蛋白尿を以つて発見された9才男児ループス腎炎を, 早期より血漿交換療法を中心に, pulse療法, prednisolone, cyclophosphamide療法を併用し, 治療2ヵ月後にはネフローゼ状態を脱し, 3ヵ月後にCH50の上昇と内因性クレアチニン・クリアランスの正常化がみられた. 血尿は1年半後, 蛋白尿は2年後にほぼ消失した.
    治療2年後に2回目の腎生検を行い, 分葉化の著明であつたびまん性増殖性変化は軽微になり, 蛍光抗体所見もC1qやC4の沈着が軽度に改善し, また電顕所見は上皮下や内皮下の沈着物が消失していた.
    血漿交換療法をSLE診断早期に実施する有効性については, 多くの症例検討を必要とすると思うが, 腎障害の著しい小児例の予後は悪いことから, 積極的な“攻めの治療”として重要であとる考えた.
  • 鈴木 壽三男, 岩淵 勉, 長谷川 延広
    1987 年 41 巻 7 号 p. 615-617
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全の経過中に, 運動失調症が出現した症例を観察する機会を得た. 本症例の病態上の特徴は, 慢性腎不全による副甲状腺機能亢進状態にもかかわらず, 大脳基底核に石灰化が認められた点と, 慢性腎不全による続発性免疫不全状態にもかかわらず, T細胞百分率の増加, キラー細胞百分率の増加が認められた点である. 運動失調症出現の要因として, 副甲状腺ホルモンの神経毒性, 及び脳の乏突起膠細胞と共通抗原をもつといわれているnatural killer細胞の増加に伴い, 何らかの免疫機構が神経組織に作動した可能性が考えられた. 仮説ではあるが, 病態追究のワンステツプとして発表する.
  • 野坂 周, 宮田 誠, 都田 潤一郎
    1987 年 41 巻 7 号 p. 618-621
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    男性2例, 女性5例の7例にCAPDを行つてその合併症について検討した. 透析期間は3~48ヵ月で, 継続中のもの3例, HDへ移行1例, 死亡3例である. 合併症のうち腹膜炎はもつとも発生頻度が高く, 臨床症状と排液混濁で診断し, 培養によつて確定診断した. 培地は血液培養用のものを使用した. 治療は腹腔内の頻回洗浄を行つたが, 頻回の液交換は白血球の食菌作用や防御因子を減少させるという指摘がある. しかしこの方法によつて, 自覚症状の速やかな改善, 腹腔内の減菌効果, 除水量の低下などに有効に作用した. カテーテルに関する合併症は透析液の漏出, 出口部やトンネル感染があり, 1例はカテーテルの体外脱落があつた. その他腰痛, 低血圧, ヘルニア, 痔疾, 便秘, 皮膚掻痒症など多彩な合併症がおこり, これらの原因, 治療, 予防について検討した.
  • 染野 敬, 蝦名 謙一, 平野 繁
    1987 年 41 巻 7 号 p. 622-625
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    腎外傷の保存的療法中に認めた, まれな合併症の2症例を報告した. 症例1は, 9才男子. 学校の鉄棒から転落し, 保存的療法で受傷後3週間経過して紹介された. 右側腹部の硬結状腫脹とDIPで, 右水腎症と腎外尿疲の所見を認めた. 手術所見では腎盂に約1.5cmの裂傷があり, この部位から尿流出を認め, 後腹膜腔仮性嚢胞のために, 水腎症を増強していた. 腎瘻術と損傷部閉鎖術を施行した. 症例2は, 13才男子. サツカー練習中, 足蹴りをうけた. 腎血管造影で腎下極の末梢部損傷の診断で, 当院救命センターから当科に転科した. 受傷後2週間目のDIPは, 右腎盂の拡大と腎外尿流出所見を示していた. 手術所見では, 右腎下極の腎実質の一部断裂壊死と後腹膜腔内血腫形成を認めた.また一部腎杯の粘膜が, 裂傷を伴つて露出していた. 右腎瘻術と腎部分切除術を施行した.
  • 小田 昌良, 藤本 宣正, 下江 庄司
    1987 年 41 巻 7 号 p. 626-629
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    対側副腎転移を認めた腎細胞癌の1症例を報告する. 患者は55才女性で, 肉眼的血尿と右腰痛を主訴に受診した. 血管造影・CTなどにより, 右腎腫瘍及びその左副腎転移が疑われた. 右腎摘除及び左副腎摘除を施行した. 左副腎も右腎と同じclear cell typeのadenocarcinomaの病理組織像を呈していた. 自験例は, 我々が調べ得た限りでは本邦11例目にあたり, この自験例を含めた11例について若干の文献的考察を行つた.
  • 北川 道夫, 南方 茂樹, 渡辺 俊幸, 三軒 久義
    1987 年 41 巻 7 号 p. 630-634
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    著者らは, 1985年1月より1986年6月までに56例, 59腎に対しPNLを施行した. その結果は59腎中55腎において臨床的に成功しており, 成功率は93.2%と諸家の報告にほぼ匹敵するものであつた.
    著者らのPNLの手術手技のポイントとして, 特に尿管結石例において, 術前に結石の腎盂内移動を試みており, 現在まで20例に施行し, 14例70%において成功し, その後のPNLが安全かつ容易に行えた. また尿管合併症もなく, 今後是非試みられるべき方法と考えている. 著者らのPNLの実際を述べ, その結果について報告する.
  • 高田 格郎, 鵜養 恭介
    1987 年 41 巻 7 号 p. 635-638
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    近い将来, 発症頻度の増加が予想される疾患の一つに腹部の動脈瘤があげられる. この動脈瘤によつて二次的に尿管の通過障害をきたした症例報告は本邦ではいまだ少なく, 自験2例の経験を述べたい.
    動脈瘤による尿管障害は, 総腸骨動脈瘤では1側性, 腹大動脈瘤では両側性のことが多く, 高度の場合には腎不全から尿毒症となる. 両側性尿管障害の発症機序は, 機械的圧迫と後腹膜線維症によると説明されているが, 我々の経験によれば, これ以外の機序の可能性も残されている.
    腹部の動脈瘤は血管外科医だけが取り扱う疾患と考えられていたが, これからは泌尿器科医の関与する機会も増えると思われる.
  • 藤村 憲治, 新里 仁哲, 上野 文磨, 鍋倉 康文, 下村 貴文, 寺崎 博, 土岐 直隆
    1987 年 41 巻 7 号 p. 639-643
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1967年より1985年までに泌尿器系癌188例の放射線治療を行つた. 睾丸腫瘍15例, 前立腺癌37例, 膀胱癌84例の治療成績を検討し, 以下の結果を得た.
    睾丸腫瘍全体の5年生存率は79%で, 転移陰性群10例では100%, 転移陽性群5例では40%と明らかな差がみられた.
    前立腺癌全体の5年生存率は19%で, Stage B, C 19例では32%, Stage D 18例では12%と治療成績不良であつた.
    膀胱癌84例中, 30 Gy以上の根治照射群は54例, 膀胱全摘術施行前後の放射線治療例(手術群)は17例であつた. 5年生存率は, 根治照射群では16%, 手術群では55%と明らかな差がみられた.
    前立腺癌, 膀胱癌の根治的放射線治療方法の改善と集学的治療の必要性が強調される.
  • 樋口 久晃, 和田 佳子, 荒木 英爾
    1987 年 41 巻 7 号 p. 644-647
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍(比較的早期の系統的治療開始前183, 進行期103), 非悪性疾患(肝硬変症22), 健常者(103)について, 血清シアル酸を酵素法にもとづき, 遠心方式自動分析装置Cobas Bioにより測定した.
    比較的早期の悪性病態において, 血清シアル酸濃度平均値は肺癌で最も高く(76.9mg/dl), 乳癌, 肝細胞癌では低く(それぞれ56.2, 54.1mg/dl), 陽性を呈する例はなかつた. しかし, 進行乳癌では平均69.9mg/dl, 陽性率33.3%と著明な増加傾向を示した.
    悪性病態において血清シアル酸濃度はシアロ糖蛋白, ムコ蛋白などと正の相関性を示し, 他の生化学的マーカーとは異なる変動様式をとることを明らかにした.
  • 水野 治, 田中 忠夫, 堤 紀夫
    1987 年 41 巻 7 号 p. 648-652
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    当院産科を受診し, 妊娠, 分娩, 産褥が正常であつた26例(年令20~33才, 28.4±2.2(SD)才)を対象に妊娠15, 32, 34, 36, 38週, 分娩後28~44(35.9±6.9)日のlecithin: cholesterol acyltransferase (LCAT), 総コレステロール(TC), HDLコレステロール(HDL-C)を測定.
    1) LCATは妊娠15週に比し32週有意に増加(78±15 vs 91±17nmol/ml/h, p<0.05).
    32~38週の間で有意差なし. 分娩後64±15nmol/ml/hで15週より有意に低値(p<0.01).
    2) 妊娠15週のTCに比し32週有意に増加(184±24 vs 244±51mg/dl, p<0.01). 32~38週の間で有意差なし. 分娩後は228±45mg/dlと36, 38週より有意に低値(p<0.05), 32, 34週と有意差なく, 15週に比し有意に高値(p<0.001). 3) HDL-Cは妊娠初期, 末期, 分娩後平均約70mg/dlで有意差なし.
    これらの脂質代謝異常が将来, 動脈硬化性疾患の発症に関与してくる可能性があるか否か検討を続ける必要があろう.
  • 田中 昭吉, 古川 哲也, 安達 恭祐, 石本 三洋
    1987 年 41 巻 7 号 p. 653-656
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    てんかん患者がアルコールを飲用した場合という社会的見地から, バルプロ酸とエタノールの相互作用について動物痙攣モデルを用いて検討した. バルプロ酸200mg/kg P. O. 15分前に投与し, 痙攣発現率80%のpentylenetetrazolを投与すると約38%痙攣が抑制された.エタノール慢性処置群のラツトにおいては, この痙攣抑制効果は増強され59%であつた. 対照ラツトのバルプロ酸200mg/kg P. O. 投与後の血中濃度は約30分にピークをもち, 46.55±7.20 (n=8)μg/mlであつた. 一方, エタノール処置ラツトでは, 15~75分まで対照の約3倍高い血中濃度を維持した. アルコール処置ラツトでは, 肝臓のコハク酸脱水素酵素活性は有意に減少していた. 以上, アルコールを慢性的に投与されたラツトにおいて, バルプロ酸の血中濃度は著明に上昇し, その抗痙攣効果が増強することを示し, この効果の機序にはアルコールの肝障害による代謝抑制が一部含まれる可能性を示唆した.
  • 7.不育症の免疫学的治療
    堤 紀夫, 伊藤 治英, 田中 忠夫, 柏木 登
    1987 年 41 巻 7 号 p. 657-659
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 41 巻 7 号 p. 660
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 41 巻 7 号 p. 660a
    発行日: 1987/07/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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