医療
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46 巻, 9 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 田中 真澄, 川上 定男, 松木 英行, 岡西 茂, 藤田 佳宏
    1992 年 46 巻 9 号 p. 687-690
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1981~1990年の10年間に当院, 国立福知山病院外科で施行された全身麻酔症例は1,255例であり, このうち80歳以上の高齢者は51例(4%)であった. その疾患別は, 胃癌16例, 大腸癌13例, 他の悪性疾患9例, 良性疾患13例であった.
    緊急手術と待機手術とに区別すると, 緊急手術群22例, 待機手術29例であった. 術後1ヵ月以内に死亡した手術死亡例は前者が8例(36%)であり, これに比して後者は1例(3%)のみであった.
    80歳以上の超高齢者と60歳台の中高齢者を比較すると, 前者では, 手術時間が短く, 出血量も少なかった.
    以上の結果より, わが施設での80歳以上の高齢者の手術には既にリスクの面から深い配慮がなされていたことが想像された.
  • 有馬 良一, 吉川 宣輝, 山本 信夫, 佐野 好文, 林 輝子, 佐々木 和正, 倉田 明彦
    1992 年 46 巻 9 号 p. 691-696
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    大腸早期癌で, villous typeを除いた422例を隆起型, 表面隆起型, 陥凹型に肉眼分類した. この肉眼型と組織型, 壁深達度, 腫瘍最大径および腺腫成分の関係を検討し, 肉眼型と癌の発育, 進展および組織発生について考察した. またリンパ節転移例を検討し, 組織学的危険因子と, ポリペクトミーされた早期癌に対する病理側の対応の仕方を検討した. この結果, 陥凹型はsm癌が多く, 分化産が低い傾向があった. また腫瘍径が小さく, 純粋癌の比率が高いため, de novo癌の頻度が高いと考えられた. リンパ節転移例の検討では, sm浸潤の程度とリンパ管侵襲の両因子を組合せて検討することがよい指標となり, 隆起型で分化度の低い癌, 陥凹を有する表面型が危険因子であった. また表面型の一部には隆起型からの移行例が含まれる可能性があり, 腫瘍の大きさや周囲粘膜の性状も考慮して癌の組織発生を考える必要があった.
  • 唐沢 哲郎, 後藤 濬二, 柴田 金光
    1992 年 46 巻 9 号 p. 697-703
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    子宮体癌および子宮内膜増殖症のスクリーニング検査として, 通常の体癌検査前に, 経腟超音波による子宮内膜厚測定を月経周期正常群98例, 月経周期延長群39例, 閉経群152例に施行した. 子宮体癌, 子宮内膜増殖症, 子宮内膜ポリープの病的所見例の内膜厚は, 3群ともに対象良性子宮内膜厚に比し, 有意に高値を示した(p<0.001, p<0.001, p<0.001). また, 病的所見例の検出は, 月経周期正常群sensitivity 0.6~0.67, accuracy 0.84, 延長群sensitivity 0.71, accuracy 0.84. 閉経群sensitivity 0.86, accuracy 0.9の評価を示し, スクリーニング検査としての有用性が認められた.
    子宮体癌の検出率は, 閉経前40%, 閉経後87.6%であった. 壁内浸潤との関係では, 閉経前内膜限局群0%, 壁内浸潤1/2以下群33%, 壁内浸潤が1/2を超える群100%であった. 閉経後では, 同様にそれぞれ50%, 85.7%, 100%であった. 経腟超音波による子宮体癌の検出は, 閉経後例では非常に有用であるが, 閉経前の軽度壁内浸潤体癌例には不十分な検査であった.
  • 高橋 立夫, 服部 和良, 小林 由充子, 井上 繁雄, 今川 健司, 浅井 昭, 桑山 明夫
    1992 年 46 巻 9 号 p. 704-710
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    前頭蓋窩底内外に及ぶ病変や中頭蓋窩底および高位脳底槽にみられる一部の病変に対して従来の脳神経外科手術的な頭蓋骨骨切りのみでなく顔面頭蓋底骨骨切りを26例に加え手術を施行した. 前頭蓋窩底中央部に対しては, Midline supraorbital approachを, これより外側や中頭蓋窩に及んだりする病変にはOrbitozygomatic approachを利用した. 病変部の処置後はtemporoparietal fasciaを利用し硬膜欠損を修復し, 頭蓋底はgaleal frontalis myofascial flapやvascularized calvarial bone flapで二重に再建したり, 中頭蓋窩はpedicled temporal muscleで充填し髄液漏を予防できた. 硬膜外膿瘍や側頭葉の脳浮腫, 挫傷をそれぞれ4例と3例に生じたがあとの19例は良好であった. このように脳神経外科疾患に対する頭蓋底外科の応用はきわめて有用であった.
  • 宮地 修平, 上西 秀典, 西山 辰美, 高田 統, 三原 正和
    1992 年 46 巻 9 号 p. 711-714
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    マウスを用いて, in vivoおよびin vitroの細胞性免疫に対する薬用人参抽出液の免疫学的効果を検討した. in vivo実験はマウスの足の裏に注射した羊赤血球に対する遅延型過敏反応について行った. in vitroにおける脾細胞の応答には, T細胞マイトージェン(concanavalin A, Phytohemagglutinin)を用いた.
    その結果, 抽出液は, 遅延型過敏反応を抑制したが, マイトージェンに対する脾細胞の応答には影響を及ぼさなかった.
    以上の結果より, 抽出液が細胞性免疫を抑制したが, それはT細胞に作用したためではなく, マクロファージが直接的に阻害されたことを示唆するものである.
  • 宮地 修平, 西山 辰美, 高田 統, 岡田 博, 三原 正和
    1992 年 46 巻 9 号 p. 715-719
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    今回の実験は, X線照射マウスのリンパ球に対する薬用人参抽出液の効果を研究することを目的とした. 抽出液をX線照射マウスに投与した後, 脾細胞を取り出し, リンパ球数, プラーク形成細胞数及びリンパ球サブポピュレーションについて検討を行った. その結果, 抽出液は, リンパ球数及びリンパ球サブポピュレーションに影響を及ぼさなかった. しかし, PFC数については, 減少を予防するとともに, 減少したPFC数を回復させる作用が認められた. つまり, 抽出液がX線によるB細胞の抗体産生能の低下を予防及び回復させることが推測された. これは, 抽出液がリンパ球の産生に関与したためではなく, B細胞に作用して抗体産生能を賦活させたためと考えられた.
  • 佐藤 紘二, 大崎 敏郎, 栗崎 博司
    1992 年 46 巻 9 号 p. 720-723
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    心房細動は, ありふれた心疾患の一つであるが, 心原性と思われる脳症状を始め種々の愁訴にみまわれるので, 臨床的には重要な疾患の一つである. 就中, 心原性脳塞栓症は重要な併発症であり, その進展を予防する必要がある. 従来, 左心系弁膜疾患に起因する心房細動を除いた孤立細動は, 無害であるといわれていた時代があったが, CTやMRIの登場により, 非弁膜症性心房細動にも, 年齢因子を考慮に入れても, 微小脳塞栓がかなり存在することが明らかとなり, 今や再検討の必要にせまられている. CTやMRIは非常に有用ではあるが, 高価な上, 画像の分解能にも限界がある. 他方, 心房細動患者の脳波所見は, その症状の幾分かを反映している. それ故, 漸次出現する徐波化の経過を追跡すれば, 微小脳塞栓の補助診断として有用と思われる.
  • 坂口 一彦, 立岩 誠, 水谷 哲郎, 宮武 博明
    1992 年 46 巻 9 号 p. 724-728
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    再膨張性肺水腫は, 気胸や胸水にて虚脱した肺を, 治療により再膨張させた後に生じる肺水腫であり, その発生は比較的まれとされてきた. しかし近年, 自然気胸の増加に伴い, 胸腔ドレナージを施行する際に, 医原性合併症としての本症の発生に注意を払う必要がある. 諸家の報告と, 自験例での特徴をまとめると, (1) 長期間の肺虚脱(3日以上)の症例に発生する. (2) 急激な肺の再膨張のあと数時間以内に発生するものが多いが, 部分的な再膨張過程においても出現をみるものがあった. (3) 従来は持続的陰圧吸引後に多いとされてきたが, 近年用いられるようになったフラッターバルブによる平圧脱気に際しても出現する可能性が高い. (4) 死亡例から, ほとんど自覚症状をしめさぬ軽症例もあり, 注意深い経過観察により, 本症の発生頻度は, 従来の報告以上に高い可能性をもつものと思われる.
  • 中橋 恒, 吉松 隆, 岩男 裕二郎, 土橋 一仁, 堀内 芳夫, 北川 和生, 後藤 純
    1992 年 46 巻 9 号 p. 729-733
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1979年4月から1989年12月までに当科で縮小手術(区域切除・部分切除)を施行した原発性肺癌14例について検討した.
    縮小手術を選択した理由は, 低肺機能7例・75歳以上の高齢4例・呼吸機能上著しい障害はないが残存肺の気腫性変化が強く肺葉切除不能と判断した1例・腎移植後免疫抑制剤使用中1例・胸膜播種1例であった. 全例の5年生存率は53%で, I期症例の5年生存率は63%と良好な結果であった. 生存例8例中非担癌生存は4例で, 全例1期症例であった. 3例に長期生存が得られた. 再発率は57%(8/14)と高く, 局所再発5例・遠隔転移3例であった. 術後の合併症は, 膿胸1例と呼吸不全により多臓器不全を併発し死亡した1例のみであった.
    以上より縮小手術は症例の選択には慎重を要するが, I期症例に対して呼吸機能温存及び根治性の面から良好な結果が得られた.
  • 増田 栄太郎, 吉田 冲, 佐尾 山信夫, 深田 義夫, 津田 洋, 原内 大作, 田中 克浩, 片山 和久, 小田 修治, 堀家 一哉, ...
    1992 年 46 巻 9 号 p. 734-737
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    消化管の一部(主に結腸)が右横隔膜と肝との間に嵌入した状態をChilaiditi症候群と呼び, 臨床症状が乏しくまれな病態である. 今回, 我々は, 3例の臨床症状を呈し, 一過性および恒久性と思われるChilaiditi症候群を経験した. Chilaiditi症候群は, 胸部, 腹部レントゲン検査で偶然見つかることが多く, 一般に無症状で特別な治療は必要ないが, 臨床症状を呈するものについては注意深い消化管の検索を行うべきであると考えられた.
  • ―MODULITH SL-20の使用経験―
    五月女 直樹, 唐沢 英偉, 三木 亮, 北 和彦, 加藤 直也, 竹下 明宏, 藤原 慶一, 上野 高次
    1992 年 46 巻 9 号 p. 738-742
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    体外衝撃波結石破砕装置として新しい電磁変換方式のSTORZ社製MODULITH SL 20を使用し, 8ヵ月間に32例の胆嚢胆石の治療を行った. 破砕効果は破砕片3mm以下の著効例が13例(40.6%), 5mm以下の有効例が10例(31.3%)であった. 胆石消失効果は完全消失が6例(18.8%)であった. USパターンでIa型は4例全例で著効, 完全消失がみられている. 術中, 疼痛が2例に, 気分不快が1例にみられた. 合併症としては胆石発作が2例, 胆嚢炎が3例にみられたが, 保存的治療で軽快している. 本装置は胆嚢但石の治康に十分な効果が期待できる.
  • 小川 達次, 大沼 歩, 浅黄 司, 鹿又 達郎, 鳥海 良明
    1992 年 46 巻 9 号 p. 743-746
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所宮城病院内科病棟の医療従事者63名(医療群), 内科入院患者35名, 外来患者50名(外来群)の鼻腔内メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の保菌率を調査した. 医療群の黄色ブドウ球菌(SA)保菌者は19名30.1%で, 内6名からはMRSAが検出された. MRSA感染症5名を除く入院患者(内科群)30名中, SA保菌者は9例30%であったが, MRSA症例は認めなかった. 外来群では6例12%にSA保菌者を認め, MRSA症例は2例であった. 医療群のMRSA保菌率が他2群と比較して高かった点は, 医療従事者間でMRSAの定着が進んでいることを示唆しており, 院内感染源として注意を要する. 外来群では入院歴のある2名からMRSAが検出され, 今後も増加すると予想される. 市中感染, 老人ホーム内感染あるいは見舞客1とよる院内への持ち込みの危険性も考慮しながら, 鼻腔内保菌状況を観察していくことが重要である.
  • ―その診断, 管理に対する1考察―
    丸尾 原義, 上田 康夫
    1992 年 46 巻 9 号 p. 747-751
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    子癇を合併したHELLP症候群及び類似した肝機能異常合併妊娠の症例を報告し, その診断と管理について考察した. 症例1は27歳初産婦で, 妊娠33週に上腹部症状とともに妊娠中毒症状が増悪し, 子癇発作が出現したため当院転送となった. 入院時検査で血小板の減少, 肝酵素の上昇, 溶血が認められ, 胎児仮死の適応で帝王切開を行い, 1312g女児を娩出した. 症例2は27歳初産婦双胎例で, 妊娠36週より上腹部症状を伴って血圧の上昇, 血小板の減少, 肝酵素上昇が認められた. 妊娠37週にterminationを目的として分娩誘発を行い, 経腟的に2440g男児, 2058g女児を娩出した. 両者ともに, 分娩後検査値は次第に正常化した. HELLP症候群の管理において, 本疾患の予後及び分娩後に臨床所見が改善することを考えると, その早期診断はきわめて重要である. 妊娠中, 特に妊娠後半期に上腹部症状を呈した場合, あるいはスクリーニングとして, 肝機能や血小板の検査を行うことが, 早期診断, 治療に有用であると考えられた.
  • 村岡 英雄, 水谷 由美子, 松坂 利之, 安齊 ルイ子, 田端 幸枝, 藤田 さかえ, 岡崎 直人, 稲富 正治, 河野 裕明
    1992 年 46 巻 9 号 p. 752-757
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我が国のアルコール医療の流れを考慮し, 1987年4月からアルコール依存症者専門のデイケアーを開始した. 対象者は当院入院未経験者で―グループ10名程度とし, 同時期に治療を開始し同時期に治療を終了し, 期間は4週間とした. 以上のデイケアープログラムを終了した患者は1991年4月現在で141名であった. 彼らの平均年齢は47.2歳(24~74歳)で, 住居地は東京都が最も多く37名(26.2%)であった. 彼らの片道通院時間は約2時間であったが, デイケアー期間中の出席率は97.2%でほとんど欠席者はいなかった. また断酒予後についてはデイケアー終了後の期間を考慮し, 1990年12月現在の患者119名に対し1991年4月行った. その結果41名(34.5%)が完全断酒を継続していた. 以上から当院で行っているアルコール依存症者専門のデイケアーは外来機能の一つのあり方として有効な手段であると思われた.
  • 9. 気管支鏡による診断法
    平野 裕志
    1992 年 46 巻 9 号 p. 758-760
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 46 巻 9 号 p. 761-762
    発行日: 1992/09/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 46 巻 9 号 p. 762
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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