医療
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49 巻, 12 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 井澤 豊春
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1007-1012
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    呼吸器核医学の概要について述べた. 呼吸器核医学は1950年代のKnippingやWestに遡るが, 事実上は1963年Taplinの131I-MAAの創製に始まる. 131I-MAAにより肺栓塞の診断はもとより, 局所肺機能の研究が長足の進歩を遂げた. 放射性ガスやエロソールは肺内換気分布の研究を促進した. 肺血流の調節に局所低酸素性肺血管収縮が重要である. 換気/血流の一致, 不一致はそれぞれ器質的ないし血管性肺疾患を鑑別する. 吸入エロソールの肺内沈着パターンは閉塞性肺疾患の鑑別に有用である. テクネガスは肺換気分布の診断に役立つ. 呼吸器核医学によって, 非呼吸性肺機能が解明されてきた. 気道粘液輸送系の動的な粘液運搬動態が明らかにされ, 4つの異常な運搬形式が明らかになった. 粘液運搬に対する薬剤効果の客観的な評価も可能になった. 99mTc-DTPAエロソールの吸入で肺上皮透過性の研究が可能になり, 喫煙や間質性肺疾患で亢進していることがわかった. 呼吸器核医学は現在まだ不明な非呼吸性肺機能の解明にも有用性が期待される.
  • 西村 康, 上西 圀宏, 谷口 謙, 鵜飼 聡, 高石 仁
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1013-1017
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々は, 慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(CIDP)の3例, ならびに多発性硬化症(MS)の7例に対して免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)を試み, 1986年より約2年から8年の長期フォローを行った.
    1985年以降に当科を受診しIVIGを施行したCIDPおよびMSの患者に関し, 臨床経過をランキンスケールに従って示し有効性を評価した. 免疫グロブリン大量静注療法は,初回投与は15~20gを3~5日間, その後維持量として1カ月に1日のみ15~20gを投与した.
    CIDPの長期投与3例に関しては, 3例すべてに臨床症状の改善を認め, MSでも7例のうち3例に免疫グロプリン投与期間中の再発の減少や軽症化ならびに症状の早期の軽快を認めた.
    IVIGの有効性に関しては異論があるが, 発病後早期の本療法の開始と同療法の長期継続により, 症例によってはこれらの疾患に対する有用な治療法になり得ると考えた.
  • 松前 孝幸, 内山 裕之, 渡辺 裕子, 村上 穆
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1018-1022
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近われわれは挿管困難症に対してファイバースコープを用いて, 気管内挿管を行っている. 平成5年1月より6年3月までには76例施行したが, これは同時期の全身麻酔症例の3.8%に当たる. ファイバー挿管中緊急手術の症例は15%, また対象疾患としては頚椎疾患・外傷, 顔面外傷が多くを占めた. 試みた結果, 成功は71例, 不成功が5例であった. 不成功例の内訳は口腔内出血のためファイバースコープの視野が得られなかった例が3例, 技術的未熟によるもの2例であった.
    ファイバースコープを用いた挿管法は今後広く普及することと思われる. この方法は手技的には若干の習熟を要すので, 普段より積極的に施行し慣れておくことで, 救急時にもスムースに行うことができる.
  • 松浦 隆志, 小栗 修一, 古田 斗志也, 原口 勝, 江口 哲
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1023-1027
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    (1)上部消化管狭窄12例に対してバルーン拡張術を行い, 狭窄の改善度および臨床症状の改善度ともに奏功率75%と良好な結果を得た. (2)合併症としては潰瘍形成著明な食道癌放射線治療後症例に食道気管瘻を認めたが, そのほかには重篤なものは認あなかった. (3)以上, 本法は比較的手技が容易で患者の苦痛や合併症も少なく, 上部消化管狭窄に対してまず試みられるべき有効な治療法と思われた. なお, 肺がんリンパ節転移の1例にメタリックステントを挿入したが, むしろ臨床症状の増悪を認め今後の課題と思われた.
    上部消化管狭窄に対するIVR療法は, 比較的手技が容易であり, 器具も比較的安価で簡便なまた重篤な合併症も少なく, まず, 行われるべき治療方法と考えられた.
  • 国立療養所中央共同研究会「心身症・登校拒否班」
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1028-1032
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立療養所小児慢性疾患病棟に受け入れるべき登校拒否について明らかにするために, 平成2年度より4年度に入院した登校拒否263名を斎藤の4タイプ分類で分類し, 治療内容, 退院後の進路および社会適応, 入院中の問題行動について検討した. 治療内容はタイプによる差異はなかったが, 退院後の進路は全日制高校への進学が過剰適応タイプで多く, 他のタイプでは定時制高校への進学が比較的多くみられた. しかし, 家庭引き取りも各タイプ15%前後にみられた. 退院後の社会適応では, 過剰適応, 受動タイプで78%, 75%に良好な社会適応を認めたが, これに比べ衝動統制未熟タイプは65%, 分類不能は55%でやや低率だった. 入院中の問題行動は, 衝動統制未熟タイプの70%に認められた. 以上より, 現在の病棟構造, スタッフにおいて受け入れるべき登校拒否のタイプは, 過剰適応および受動タイプであると考える.
  • 岸 久世, 廣岡 慶治, 安田 雄紀, 谷口 徳士, 岡田 武夫, 池 信平, 陳 若富, 浅生 雅人, 林 亨
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1033-1035
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞を発症した慢性透析患者に緊急PTCAを施行し, IABPを留置したところ, MBの上昇を伴わないCPK, LDHの上昇, 末梢循環不全の進行が起こり, 5日後に死亡した. 病理解剖では, 全身の高度な動脈硬化像, 小腸の虚血性出血性壊死像およびコレステリン塞栓を認めた. 本例は動脈硬化が高度な慢性透析患者へのカテーテル操作, IABP使用によりshower embolismを合併し, 腸管壊死をきたしたと考えられる.
  • 影山 洋, 谷田貝 茂雄, 篠原 保
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1036-1041
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    大量の両側胸水がみられた結核性胸腹膜炎の1例を報告する. 症例は20歳女性, 約2週間前より発熱があり, 精査のため入院. 39℃台の発熱, CRP高値, 軽度のトランスアミナーゼの上昇とLDH, アルカリフォスファターゼの上昇がみられた. 抗生剤の静脈内投与を施行したが下熱せず, 入院第8病日には左胸水が出現した. 胸水は浸出液で, 細胞診, 好酸菌染色, 一般菌培養は陰性であった. CTスキャンでは腹水も認められ, 第13病日には胸水が増加, 胸腔ドレーンを留置した. さらに第16病日には右胸水も大量に貯留していたため右胸腔ドレーンも留置した. 左胸腔ドレーン挿入時, 胸膜生検を施行したが, ラングハンス型巨細胞が多数みられる類上皮肉芽腫と抗酸性に染色される桿菌が認められたことより結核性胸腹膜炎と診断した. 抗結核薬による治療により, 下熱, 胸水腹水の消失, 炎症所見の陰性化がみられた. 結核性胸腹膜炎の報告はまれであり, 1980年以後我々の調べた限りでは15例の報告をみるにすぎない. この中で両側の胸水貯留した例が1例あるが中等量であり, 本症例のように大量の胸水が両側に貯留した症例はみあたらなかった.
  • 三木 理, 波多野 淑弘, 中本 一海, 古見 健一, 青木 則之, 宮川 明
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1042-1045
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    心窩部痛という一般的な消化器症状を主訴とし, 経過中に高カルシウムクリーゼを呈したprimary hyperparathyroidismを経験した. 症例は, 典型的な骨病変や腎結石などはみられなかったにもかかわらず, 短期間に腎不全を示した. 副甲状腺ホルモンの異常高値を認めた. 他の内分泌疾患の合併はなかった. 補液, カルシトニンの投与を行い, 多彩な臨床症状の消失となった. US, CTに加えてscintigramによる画像検索を行い, 異所性の副甲状腺腫瘍を確認した. 根治のたあに外科的に手術を行い, 内部に嚢腫をともなう巨大な腺腫を摘出した. 手術により治癒した. primary hyperparathyroidismに関して文献的考察を加え, 報告する.
  • 川井 充, 新谷 盟子, 市川 弥生子, 山本 知孝, 小宮 正, 宍倉 順子
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1046-1049
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    麻痺性イレウスは障害度の高いデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に比較的多くみられる重大な合併症の一つである. 強い脊柱前彎と贏痩が危険因子となる. 悪心嘔吐のエピソードをくりかえすと食事摂取量が減少し, 体重がさらに減少する. この悪循環は中心静脈栄養で簡単に絶つことができる. 5kg程度体重を増加させるだけで, その後の消化器症状を予防し食事摂取量を増やせることがある.
  • 馬渕 淑子, 村上 信之, 伊藤 栄一, 奥田 聡
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1050-1055
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    CT上左前頭葉を中心に前頭葉皮質下, 外包, 島前半に広がる梗塞で, 神経心理学上超皮質性感覚失語とGerstmann症候群を呈した55歳, 男性(右利き)の1症例を報告した.視床や被殻病変, 左前頭葉病変での感覚失語の報告例はあるが, Gerstmann症候群を合併した報告例は少なく, これらの症候が前頭葉病変でも生じ得ることを示したと思われる希有の症例である. また本症例は左前頭葉損傷にもかかわらず流暢性タイプの失語で, 左前頭葉病変でも超皮質性感覚失語が生じるとする意見(濱中, 1992)を支持するものである.
  • ―その生検と病理組織学的診断について―
    岡本 司, 田村 尚彦
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1056-1059
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    気管支内腔型過誤腫の1例について報告し生検と切除による確定病理診断にっき検討を加えた.
    59歳の男性が空咳と呼吸困難を主訴として当院へ紹介され入院した. X線検査で両肺のびまん性網状陰影が認められた. ガリウムシンチでは両肺のびまん性のとりこみがみられた. 呼吸機能検査では著しい障害が認められた. RA試験は陽性であった. RAによる間質性肺炎の診断がつきステロイド療法が行われた. 気管支鏡で右下葉気管支内のポリープ状腫瘍がみられた. 生検は2回行われた. 第1回目の生検では腫瘍以外の部が採取され第2回目の生検でangiomyxomatousな部が認められた. 内視鏡的ワイヤ切除標本で脂肪と軟骨を認め軟骨性過誤腫と診断された. 生検と確定病理診断につきretrospectiveに検討を加えた.
  • 池田 正仁, 恵良 昭一
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1060-1063
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    日常臨床上遭遇する早期大腸癌のほとんどはcarcinoma in adenomaの像を呈する隆起型病変が主体であり, de novo説を裏付けるような病変の報告はきわめてまれであった. 今回, 我々はde novo癌の可能性の強いIIc+IIa型早期直腸癌の1例を経験したので報告した.
    症例は65歳, 男性で大腸癌集団検診にて要精検といわれ来院. 大腸内視鏡検査にて直腸にIIc+IIa型病変を認めた. 生検にてGroup5, 外科的切除標本にて深達度mのIIc+IIa型早期直腸癌(高分化腺癌)と診断された. 腺腫像は認められなかった.
    隆起型のみでなく, 平坦・陥凹型早期大腸癌の存在も十分認識して大腸の精査を行うことが今後の大腸癌治療成績向上のためには不可欠と考えられた.
  • 水谷 滋, 岩瀬 毅信, 杉峯 雅彦
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1064-1067
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    脊髄損傷患者のリハビリテーションのゴールは家庭復帰, 社会復帰である. しかし, 褥瘡や尿路感染など合併症の併発, 個人および社会的環境の受け入れ態勢の不備など, 多くの問題をかかえるため, 現実にはなかなか難しくなっている. さらに, 受傷時に搬送される場合, 多くは救急病院であり, 患者は障害の受容がなされず, 十分なリハビリテーションが行われないので入院が長期化することもしばしばである.
    これら脊髄損傷患者の家庭復帰のための問題点について検討した. 1)脊髄損傷患者の家庭復帰には受傷時より目的をもった計画的なリハビリテーションが行われる必要がある. 2)リハビリテーションの最終目的である家庭復帰, 社会復帰には医師, PT, OTは勿論のこと市町村の福祉係, ホームヘルパー, ボランティァなどの連携が十分なされる必要がある. 3)家屋の改造, 改築にあたっては患者のニーズを十分に取り入れ, 妥協しないことも大切である.
  • 浦田 重治郎, 亀井 雄一, 奥津 務, 蓮沼 光衛, 白川 修一郎, 大川 匡子
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1068-1072
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    関東甲信越地方にある国立病院6施設の外来患者を対象として平成5年10月18日から23日まで睡眠薬処方の実態を調査した. 院内処方箋で投薬を受けた14394名中1240名(8.6%), 精神科を除くと576名(4.5%)が睡眠薬を処方されていた. 年齢階層的には60歳代に睡眠薬処方数のピークがみられ, 特に内科系および外科系では高齢者に多く処方される傾向があった. 処方された睡眠薬の種類ではニトラゼパムが最も多く, トリアゾラム, フルニトラゼパム, プロチゾラムと続いた. 精神科ではニトラゼパムやフルニトラゼパムなどの長時間作用型の, 内科系および外科系ではトリアゾラムやプロチゾラムなどの短時間作用型の睡眠薬が多く処方される傾向が認められた.
  • 村山 良雄, 小菅 浩文, 鍋谷 重吉, 吉田 和也, 山田 昌弘, 太田 圭子, 山下 明美
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1073-1076
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    日本全国で大規模災害の発生する危険性があるが, 当院のある明石市周辺は交通の要衝であり, 大規模交通災害の起こる可能性が少なくない. 平成4年の信楽高原鉄道事故を期に当院独自の大規模災害対応策を検討し, 各種緊急資材の配備やマニュアルを試作してきた. これらを基に信楽高原鉄道, 大阪ニュートラム事故, 名古屋空港事故を例にシュミレーションを行った. 事前に準備しておくと単独でもかなりな規模の交通災害に対応可能と考えられたが, より大規模な災害では単独では限界があり, 全国的な国立病院の支援, 協力態勢が不可欠であり, 災害の正確な情報伝達, 複数期間の統括, 救護班の派遣, 資材の備蓄, 空床の確保などの問題点が示唆され, これらを考慮した総合的な訓練の必要性が痛感された.
  • 11. 股関節疾患の跛行の運動分析
    鈴木 三夫
    1995 年 49 巻 12 号 p. 1077-1083
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 49 巻 12 号 p. 1084
    発行日: 1995/12/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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