脊髄損傷患者のリハビリテーションのゴールは家庭復帰, 社会復帰である. しかし, 褥瘡や尿路感染など合併症の併発, 個人および社会的環境の受け入れ態勢の不備など, 多くの問題をかかえるため, 現実にはなかなか難しくなっている. さらに, 受傷時に搬送される場合, 多くは救急病院であり, 患者は障害の受容がなされず, 十分なリハビリテーションが行われないので入院が長期化することもしばしばである.
これら脊髄損傷患者の家庭復帰のための問題点について検討した. 1)脊髄損傷患者の家庭復帰には受傷時より目的をもった計画的なリハビリテーションが行われる必要がある. 2)リハビリテーションの最終目的である家庭復帰, 社会復帰には医師, PT, OTは勿論のこと市町村の福祉係, ホームヘルパー, ボランティァなどの連携が十分なされる必要がある. 3)家屋の改造, 改築にあたっては患者のニーズを十分に取り入れ, 妥協しないことも大切である.
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