日本公衆衛生雑誌
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50 巻 , 7 号
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原著
  • 宍戸 由美子, 井手 玲子, 二階堂 敦子, 中野 匡子, 安村 誠司
    2003 年 50 巻 7 号 p. 571-582
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 福島市は,生活習慣改善のための健康教室「元気茶屋教室」を実施している。本教室について,複数の指標を用いて教室参加前後の変化を測定し,多面的に教室の評価を行うことを目的とした。
    方法 平成11年12月から13年 3 月までに本教室を卒業した55人のうち,国民健康保険加入者で教室開始時に何らかの疾病治療をしている者26人中,教室参加月の国保医療費の請求が 0 円であるものを除いた19人を対象に,セルフケア能力,主観的健康度,客観的健康度,経済,社会支援環境から評価した。①セルフケア能力,主観的健康度の評価のため,教室卒業時と卒業後 3 か月時に,生活習慣と自覚症状に関するアンケートを実施した。②客観的健康度の評価のため,教室参加時と卒業時,卒業後 3 か月時の 3 点で,身体計測値(血圧,体重,体脂肪率,BMI)・体力測定値(握力,最大酸素摂取量,大腿四頭筋筋力,長座位体前屈,開眼片足立ち)を比較した。③経済的評価のため,教室参加前 1 年間と参加後 1 年間の国保医療費を比較し,血圧,体重,体脂肪率,BMI の変化,教室の満足感の有無との関連をみた。また,教室参加前 3 か月間,参加後 3 か月間,卒業後 3 か月間の医療費を比較した。さらに,教室参加前 3 か月時,教室参加時,卒業時,卒業後 3 か月時の,1 月あたりの医療費を比較した。④社会支援環境として,教室卒業者による自主組織の育成状況を検討した。
    成績 ①セルフケア能力では,食習慣と運動習慣の改善と継続がみられ,教室の満足度は高かった。主観的健康度については,自覚症状の改善がみられた。②客観的健康度については,卒業時は,教室参加時に比べ,拡張期血圧,体脂肪率が下がっていた。また,参加時に比べ,卒業後 3 か月後には,収縮期血圧,拡張期血圧が下がっていた。③医療費は,教室参加の前後で有意な変化はみられず,血圧,体重,体脂肪率,BMI の変化,教室の満足感の有無との関連もみられなかった。④社会支援環境については,平成12年度末現在,教室卒業者による 3 つの自主組織が作られ,活発に活動中であった。
    結論 教室の効果として,医療費については明らかな効果はみられなかったが,セルフケア能力,主観的健康度,客観的健康度の改善がみられ,社会支援環境が整備されつつあると考えられた。今後は,本教室について,さらに多面的,長期的に総合的な評価を行い,教室内容の改善に努めたい。
  • 福井 小紀子, 小澤 元美
    2003 年 50 巻 7 号 p. 583-593
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 検診機関におけるがん告知直後および約半年後の患者の心理的状況,およびそれらと保健師および家族のサポート状況との関連を検討する。
    方法 検診機関で消化器(胃,大腸,または食道)がんと診断され,その告知を受けた患者105例を対象に,告知当日,1 週間後,および告知後約半年の心理的状況(ショックの程度と身体・心理的状況),およびがん告知後の保健師・家族のサポート状況(サポートの有無とその評価)について尋ねる自記式質問紙調査を郵送にて実施した。告知後の患者の心理的状況および保健師・家族のサポート状況を Visual Analogue Scale により測定し,これらの関連を重回帰分析にて検討した。
    結果 がん告知後の患者のショックの程度は,告知当日(62.8±26.1)に比べて告知後 1 週間(86.4±33.0)には上昇し,半年後(25.4±26.4)には低下した。告知当日の患者のショックの程度は保健師のサポートが有り(P=.01),患者によるその評価が高いほど(P=.003)有意に低いことが示された。告知後 1 週間の患者のショックの程度も同様に,保健師のサポートが有り(P=.02),その評価が高いほど(P=.04)有意に低かった。一方,告知後約半年の患者の身体・心理的状況は患者による家族のサポートへの評価が高いほどそれぞれ有意に良好であった(P=.04, P=.02)。
    結論 本研究により,消化器がん患者の告知後 1 週間の心理的負担は高く,その負担の軽減には告知直後の保健師によるサポートが有効であることが示された。また,告知後半年間には患者のニーズに見合うサポートが家族により行われることにより患者の身体・心理的状況が改善することが示された。これらの結果から,告知直後の医療者による患者への重点的な支援が重要であるとともに,がん告知以降に家族による適切な患者支援が長期的に行われるために,家族支援体制の整備の重要性が示唆された。
  • 飯田 和質, 森下 陽子, 正通 寛治, 松井 利夫
    2003 年 50 巻 7 号 p. 594-604
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 福井県の子宮頚がん車集検における1974年からの20年間を,前期(1974~1983年)と後期(1984~1993年)に分けて検討し,集団検診の受診率の変化によるがん発見率の変化,若年者の異形成およびがんの増減傾向,高齢者の受診率の推移などを明らかにし,今後の課題などを検討する事を目的とした。
    対象および方法 検診対象は,本県内の市町村および保健所が募集した女性である。検診方法は検診車による集団検診方式で,スクリーニング検査法は子宮頚部の視診および擦過細胞診である。要精検者には施設において二次検診として組織検査などを行った。
    結果および考察 1) 受診者数は後期は前期に比べて約 6 割の増加がみられたが,1988年以降の数年間は横這い傾向となっていた。
     2) 異形成の発見率は,前期0.19%,後期0.27%で約 4 割の増加であった。
     3) がんの発見率は,前期0.18%,後期0.1%となり前期で高く後期に半減していた。
     4) 年齢階層別の細胞診成績をみると,IIIa 以上の細胞診で前期は年齢と共に発見頻度が高くなり,後期は横這いの傾向がみられた。
     5) 細胞診分類と二次検診結果(組織型)のクロス集計では,細胞診IIIa に占める二次検診結果のうち異形成の割合,また細胞診IIIb に占める二次検診結果のうち上皮内がんの割合が前期より後期に高かった。
     6) 年齢階層別の組織型別発見率では,前期では,20歳代から60歳代にかけて加齢とともに異形成,上皮内がん,浸潤がんとも発見率が上昇していた。一方,後期では異形成発見率は20,30,40歳代に多く,がん発見率は20,70歳代に高く,他は減少していた。
     7) がん発見までの受診回数を検討すると,前期は,浸潤がんの96%および上皮内がんの86%は初回受診者であった。後期では,上皮内がんおよび浸潤がんの50~57%が初回受診者であった。
     8) 受診者の年齢層別構成割合では20歳代で0.6%,30~34歳で6.2%であったが,初回受診者では20歳代で65.5%および30~34歳で48.6%と高かった。
     9) 保健所別の子宮頚がん発見成績では,福井0.13%,金津0.11%,奥越0.09%,丹南1.11%,嶺南0.04%であった。
     以上より後期が前期よりがん発見率が低下していたが,後期に若年層に異形成およびがんの増加傾向が認められた。若年者の受診参加を啓発するとともに,初回受診者の増加を促進し,検診受診者の継続受診を奨励することが,受診者数の増加となると考える。また,精度管理の上から異形成の追跡検診を充実させることが重要である。
公衆衛生活動報告
  • 久保田 美穂, 柳沢 茂, 佐々木 隆一郎, 畑山 善行
    2003 年 50 巻 7 号 p. 605-612
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 結核集団感染事例における化学予防の対象者に,アンケート調査による服薬状況と服薬継続に関連する要因について検討することを目的とした。
    方法 結核集団感染事例の化学予防対象者88人に,服薬開始 1 か月後に服薬状況調査を,更に,6 か月間の服薬を完了した81人を対象に,服薬継続に関連する要因の調査を実施した。調査には,いずれも自記式のアンケート調査票を用いて行った。
    結果 1. 6 か月間の化学予防を終了できた者は88人中81人であり,開始者の92%(男90.5%,女100%)であった。
     2. 81人(男67人,女14人)の終了者に対するアンケート調査では,69人(男55人,女14人)から回答が得られ,回答率は85.2%であった。
     3. 回答が得られた69人のうち,22人(31.9%)は 6 か月間毎日服薬していた。また,6 か月間で服薬していない日が 7 日未満の者が37人(53.6%)であった。
     4. 服薬継続に関する要因では,初発患者の職場と同一フロアーで勤務する人に,「毎日服薬」や「服薬しない日が 7 日未満」の服薬良好者が多い傾向にあった。
     5. 保健所が行った支援事業と服薬継続との関連については,服薬開始時に実施した「予防内服に関する医師や保健師による健康教育」,服薬開始 1 か月後に実施した「服薬状況調査及びそれに基づく医師又は保健師による個別相談」と「パンフレットの配布」が役立ったと回答する人が多かった。
    考察 初発患者と同一フロアーに勤務しない人に服薬中断者が多い傾向は,同じ接触者であってもフロアーが違うという理由で予防内服に対する意識が低くなるということであり,今後注意が必要と考えた。
     保健所が行った支援事業の中で,医師,保健師が直接担当した予防内服に関する健康教育,面接による相談が服薬継続に寄与していることが窺われ,フェイス・トウ・フェイス(対面)による直接的な情報提供や従来からのパンフレットの配布という文書による情報提供も効果的であることが認識された。
     今後の集団的な予防内服の事例で保健活動を効率的に行う上で重要な要因であることが示唆された。
  • 藤原 恭子, 築島 恵理, 岸 玲子
    2003 年 50 巻 7 号 p. 613-621
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 本調査は高齢者のための在宅サービスの一つであるホームヘルプサービスを担うヘルパーを対象とし,滞在型ヘルパー(滞在型),巡回型ヘルパー(巡回型)それぞれにおける労働実態と健康管理,ソーシャルサポート,満足感,将来的な問題について明らかにすることが目的である。
    方法 札幌市からホームヘルプ事業の委託を受けている事業所35か所のうち調査協力が得られた34か所に勤務している常勤ならびに週15時間以上勤務している非常勤者(計433人)を対象に,無記名自記式調査票を用いて実施した(回収率80.2%)。勤務状況,仕事内容,専門性,満足感,将来的な問題,研修教育機会,健康管理,ソーシャルサポートについて質問を行い,滞在型ヘルパーと巡回型ヘルパーそれぞれにおける勤務形態(常勤者と非常勤者)別の比較を t 検定または Fisher 検定を用いて行った。
    結果 滞在型,巡回型に共通した特徴として,給与に対する満足感が低いこと,体力的な不安が高いこと,上司からのサポートが少ないといった傾向が認められた。滞在型,巡回型ともに,常勤者の給与に対する満足感は低く,非常勤者の腰痛対策の実施率は低かった。また,滞在型では,非常勤者の中期研修(就労後の教育機会)や感染症対策の実施割合が低く,巡回型では,常勤者は離職願望が高いことが示された。その一方で,仕事に対する満足感や継続希望は高く,非常勤者の半数は常勤での勤務を希望していた。
    考察 ヘルパー労働の非常勤者割合の増加を考えると,非常勤者に対する健康管理の徹底や介護サービス向上のための研修教育機会の充実が求められると推察された。また,非常勤者の常勤化や介護サービス労働における労働条件の再検討がホームヘルプサービスの充足につながる可能性も考えられた。
  • 須賀 万智, 吉田 勝美
    2003 年 50 巻 7 号 p. 622-629
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 ポピュレーション・ストラテジーの観点から,健康日本21計画を支援する「地域・職域診断サービス」を開発する。
    方法 地域・職域の定期健康診断データを収集して,都道府県レベル,市町村レベル,事業所レベルの健康障害や健康リスク要因の状況とその問題を明らかにし,市町村単位,事業所単位のより身近な小規模な集団を対象にした健康課題の具体的戦略を提案するアルゴリズムを構築する。そして,データの収集から診断結果報告書の発行までの作業プロトコールを作成する。
    結果 ①データの収集とデータベースの構築,②データの解析,③診断結果報告書の作成と発行という大きく 3 つの作業工程が必要である。①では,各都道府県において地域・職域の定期健康診断を実施する施設(健診機関)から定期健康診断データとして属性情報,検査情報,問診情報を収集する。②では,検査結果からみた健康異常と問診結果からみた健康リスク要因について,全国,都道府県,対象集団(地域であれば市町村,職域であれば事業所)の有所見率を算出して,対象集団の有所見率が全国の有所見率より大きい上位 3 項目を選択して,対象集団の問題リストを作成する。③では,問題リストにある 6 項目のグラフによる優先課題の提示と 3-4 個の具体的戦略の提案を行う。
    結論 「地域・職域診断サービス」は地域・職域の戦略的健康情報システムと優先課題を選定する実践的評価系を提供するとともに,対象集団における適用性,実現可能性を考慮した具体的戦略を提案することで,根拠にもとづいた公衆衛生を実現する。本サービスの利用は地域・職域の疾病予防対策において新たな進展をもたらし,健康日本21計画の推進につながると期待される。
資料
  • 塚田 満男, 田浦 勝彦
    2003 年 50 巻 7 号 p. 630-638
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 市民(成人,障害者,生徒)における歯科保健の現状と課題を明らかにすることにより,今後,地域において展開される歯科保健対策推進の方向性を検討する。
    方法 仙台市が平成11~12年度に実施した「仙台市歯科保健実態調査」の調査結果を基に成人市民(一般成人,障害者,障害児保護者,保育所・幼稚園児保護者,小学校 3 年生保護者)および中学 1 年生,高校 3 年生を対象に歯科疾患の日常生活に及ぼす影響や歯科保健に関する知識,意識,歯科保健行動や歯科保健情報の充足度等を対象群別,性,年代別に集計,分析するとともに群間比較を行った。
    成績 アンケート調査票の有効回収率は個々人に対する郵送法で実施した成人調査は26.9%と低かったが,施設等を通じて配布,回収した調査(障害者,保護者,生徒)では69.1%から94.2%であり,ほぼ良好な回収率であった。その結果,成人市民の約半数は過去 1 年以内に歯科治療を受けており,そのうちの約 7 割の者には歯科疾患に関連した自覚症状を認めた。成人対象の約30%の者と中・高校生対象の4.2%~6.0%の生徒は歯科疾患とそれに随伴する不快症状により日常生活に支障を来していた。「ムシ歯は病気と思う」と回答した者は中学 1 年生の39.2%から小学 3 年生保護者の62.7%であり,成人市民の 4 割は「年をとると歯が抜けるのは仕方ない」とみなしていた。
     また,すべての調査対象が「歯科疾患(う蝕,歯周疾患)の予防法」の第一選択肢として「歯みがき」をあげ,う蝕予防効果が科学的に確認されている「フッ化物」の応用をあげた者は少なく,歯周疾患予防に有効である歯間部清掃用具の使用者も小学 3 年生保護者の 4 割が最多で,成人市民では 1 割に過ぎなかった。成人市民の 6 割強は「かかりつけ歯科医」があると答えたが,「定期健診」の受診者は 1 割弱にすぎず,1 年以内に「歯みがき指導」や「歯石除去」を受けた者の割合も低かった。
     「8020運動」を聞いたことがあるとする市民は 4 割強に止まり,「喫煙と歯周疾患が関係ある」と回答した者は 3 割であった。
    結論 本調査では,成人対象の34.2%の者が歯科疾患やそれに由来する不快症状により日常生活に影響を被っており,依然として歯科保健は社会的な課題の一つである。今後,市民の歯科保健の向上のためには歯科保健意識の醸成を図るとともにヘルスプロモーションの理念を基盤に,科学的根拠に基づいた体系的,継続的な歯科保健対策の推進が必要であることが明らかとなった。
  • 土井 陸雄, 松田 肇, 内田 明彦, 神田 栄次, 神谷 晴夫, 紺野 圭太, 玉城 英彦, 野中 成晃, 奥 祐三郎, 神谷 正男
    2003 年 50 巻 7 号 p. 639-649
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 北海道から本州への移動畜犬数および国外からの輸入畜犬数を調査し,畜犬を介する本州への多包条虫,単包条虫侵入のリスクを検討する。
    方法 青森県から兵庫県まで29都府県 9 政令市を対象に,狂犬病予防法に基づく畜犬の居住地変更届の年間届出数を平成 8~13年度の 5 ヶ年余にわたり集計し,航空 3 社およびフェリー 3 社からペット輸送状況を聴取し,また人口移動統計などを資料として北海道から本州への年間移動畜犬数を推計した。次に,動物検疫所報告資料により国外からの輸入畜犬数を集計し,単包条虫,多包条虫流行圏との関係を検討した。また,ペット同伴宿泊施設の実態をアンケート調査した。
    結果 狂犬病予防法に基づく畜犬の居住地変更届から,毎年,約140頭の畜犬が北海道から本州へ飼主とともに移動していることが分かった。しかし,未届犬が相当数ある実態から,実際の移動畜犬数は約300~400頭余と推定された。また,北海道に乗り入れている航空 3 社およびフェリー 3 社への調査結果から,年間 1 万頭余のペットが北海道から道外に輸送されていることが分かった。その大半は観光目的などで飼主とともに来道し道外に戻るペットだが,北海道内から居住地移転するペットおよび観光目的などで道外へ移動する道内居住のペットが含まれている。北海道における野犬,畜犬の多包条虫感染調査結果を考慮すると,北海道からの移動畜犬中に毎年数頭から最大30頭程度の多包条虫感染犬が含まれる可能性が示唆された。
     また,輸入畜犬数は毎年約1.5万頭に上り,ドイツ,フランス,中国など多包条虫,単包条虫常在国からも数百頭が無検疫で輸入されていた。
     ペット同伴宿泊施設は概ね衛生的に運営されているが,多包虫症感染予防について適切な行政指導が必要と思われた。
    結論 多包条虫流行地の北海道から本州へ移動する畜犬および多包条虫・単包条虫常在国からの輸入犬について,早急に糞便検査を行って本州への多包条虫,単包条虫侵入のリスクを明らかにするとともに,流行拡大阻止体制を早急に整備するべきである。
  • 高岡 道雄, 南 龍一, 上野 文彌, 石下 恭子, 佐々木 昭子, 大井 照, 角田 正史, 竹島 正
    2003 年 50 巻 7 号 p. 650-656
    発行日: 2003年
    公開日: 2014/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 平成11年の精神保健福祉法改正により,一部の精神保健福祉業務が平成14年 4 月から市町村に委譲されることとなった。この委譲にあたり県型保健所管内の市町村の準備状況および県型保健所がどのような支援策を考え実行しているか調査し,円滑な業務委譲に役立てることを目的とした。
    方法 47都道府県ごとに人口500万までは 2 か所,500万を超える場合,3 か所の県型保健所を無作為に抽出し103保健所に対し,平成13年10月にアンケート調査を実施した。回答結果を全国保健所長会のブロックに合わせて 6 ブロックに分け,回答結果のブロック別頻度の比較を行った。
    成績 47都道府県83保健所(80.6%)から回答を得た。回答した保健所管内の市町村数は684であった。市町村の約 4 割が何らかの精神保健福祉業務を既に実施していた。しかし委譲業務の担当部署については調査時点で約 6 割の市町村しか決定していなかった。保健所に関しては95%以上の保健所が研修会の開催を行っており,また市町村との同行家庭訪問も78%の保健所が行っていた。
     保健所への影響については,精神障害者福祉施策が充実するなど精神保健福祉業務の推進を評価する意見が約 8 割ある一方で,市町村間の実施体制の格差等の精神保健対策の後退を心配する意見も約 6 割あった。
    結論 保健所の対応では,「研修会の開催」,「家庭訪問を市町村と実施」などにより円滑な委譲が行われるよう協力体制を整えていた。
     一方,市町村の対応としては,調査した平成13年10月段階では,約 6 割の市町村しか委譲業務の担当部署を決定していなかった。
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