目的 健康日本21の中間報告書では,身体活動・運動分野の重点課題の 1 つとして,「エクササイズガイド2006の普及啓発」を挙げているが,エクササイズガイド2006を認知している者は非常に少ない(肥後・中村,2008)。本研究の目的は,今後の普及活動に向けての手がかりを得るために,エクササイズガイド2006の認知状況と,人口統計学的変数および他の健康づくり施策の認知状況との関連性を検討し,エクササイズガイド2006を認知している者の特徴を把握することであった。
方法 社会調査モニタ1,613人(40.2±12.2歳)を対象に,インターネット調査を実施した。調査項目のうち,従属変数はエクササイズガイド2006の認知状況(聞いたことがある/聞いたことがない)であり,説明変数は,他の健康づくり施策の認知状況(健康日本21,食事バランスガイド,特定健診・特定保健指導)および人口統計学的変数(性別,年齢階層,婚姻状況,BMI, TV 利用時間,インターネット利用時間など)であった。統計解析は,ロジスティック回帰分析を用いた。
結果 全対象者の12.3%の者が,エクササイズガイド2006を聞いたことがあると回答した。50歳以上(OR=2.17; 95%CI=1.11-4.22),世帯収入1000万円以上(OR=1.94; 95%CI=1.05-3.61),運動習慣(OR=1.75; 95%CI=1.07-2.86),健康日本21の認知(OR=23.60; 95%CI=15.26-36.52),食事バランスガイドの認知(OR=5.52; 95%CI=3.01-10.13),および特定健診・特定保健指導の認知(OR=3.41; 95%CI=2.12-5.48)が,エクササイズガイド2006の認知に有意に回帰した。
結論 本研究と先行研究により得られた主要な知見は,中高齢者の方がエクササイズガイド2006を認知しているものの認知率は低い点,エクササイズガイド2006の普及において低学歴者に対象を絞った戦略を立てる必要性は高くない可能性がある点,健康日本21とエクササイズガイド2006について情報の認知の段階では現状が類似している可能性が高い点である。エクササイズガイド2006の効果的かつ具体的なプロモーション手法を開発していくことが求められる。
抄録全体を表示