日本公衆衛生雑誌
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54 巻 , 7 号
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原著
  • Mitsuko ISHII, Yasuo OHASHI
    2007 年 54 巻 7 号 p. 419-426
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    Objective This study was conducted to examine whether an educational videotape might change peoples' attitudes toward participating in future cohort studies by a prospective randomized controlled trial.
    Methods The participants were recruited from the residents of Kamogawa-city (139 at a health promotion festival, 54 from a nursery care study class, 53 from an elderly class, and 9 individuals who had not attended a health checkup for more than 10 years). All participants were randomized into a control group and an intervention group, and were asked to fill out a questionnaire designed to evaluate attitudes toward participating in future cohort studies. Those in the intervention group, however, were also asked to watch a videotape, produced by the authors to explain the objectives, significance, and security policies of a cohort study planned to be conducted in the same city, before completing the questionnaire.
    Results In the intervention group, 44% (54/123) showed a positive attitude to future participation, while the figure was only 25% (31/122) in the control group (Cochran-Mantel-Haenszel χ2: P=0.0025).
    Conclusion The videotape proved to be a useful tool for informing the general public about the nature of cohort studies and to increasing probable participation.
  • Hom Nath Chalise, Tami SAITO, Ichiro KAI
    2007 年 54 巻 7 号 p. 427-433
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    Objective The purpose of this study was to identify significant factors for loneliness in older adults in Nepal.
    Methods The subjects (N=195) were members of the Newar caste/ethnicity, aged 60 years and above (mean(±SD) 68.81(±7.69) years and 52% male) and living in Katmandu City. Data were collected by face-to-face interview using a three-item loneliness scale, developed based on the University of California at Los Angeles (UCLA) Loneliness Scale and prepared with a translation and back translation technique from English into Nepalese. The data were analyzed using logistic regression analyses.
    Results More than two-thirds of Newar elderly experience some type of loneliness. A statistically significant correlation was found between feelings of loneliness and age, sex, household status, total family size, network size, social participation, self-reported health, chronic health problems, working status, instrumental activities of daily living (IADL), and perceived economic satisfaction. Results of logistic regression analyses showed age, network size, and perceived economic satisfaction to be significant factors for loneliness.
    Conclusion Loneliness is an important public health issue, predicting low quality of life among older adults. The present results indicate many elderly Nepalese experience some form of loneliness, with age, network size and perceived economic satisfaction as significant factors. However, this result may not be generalized to the greater population of Nepalese older adults and the external validity of the UCLA Loneliness Scale is an important criterion to examine in future research.
公衆衛生活動報告
  • 小和田 暁子, 浜田 有希江, 青木 眞里子, 郡山 洋一郎, 坂野 晶司, 寺西 新, 黒岩 京子, 森 亨
    2007 年 54 巻 7 号 p. 434-439
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 QuantiFERON® TB 検査(以下,QFT 検査)は,ツベルクリン反応検査とは違って,過去の BCG 接種の影響を受けずに結核感染を診断できる新しい検査方法である。この QFT 検査を,2005年 6 月より足立保健所衛生試験所に直営導入し,保健所結核接触者健診における行政検査として実施している。本報告は,その後2006年 3 月までの実施状況を分析し,検討するものである。
    方法 QFT 検査対象者は,2005年 6 月から2006年 3 月にかけて,肺結核症患者と接触して接触者健診の対象者となった足立保健所管内に住む区民のうち,QFT 検査を受けることについて同意した者67人である。QFT 検査実施時期は,接触者が感染源である肺結核患者との最終接触後 2 か月以降である。すべての QFT 検査は足立保健所衛生試験所細菌検査部門で実施した。また,ツベルクリン反応検査もできる限り同時に実施した。
    結果 QFT 検査を実施できた接触者総数は67人であった。QFT 検査結果は,陽性が 9 人,判定保留が 5 人,陰性が53人であった。このうち,QFT 検査と同時にツベルクリン反応検査を実施できた接触者は48人,そのうち発赤長径が30 mm 以上の者は22人であった。ツベルクリン反応で発赤長径が30 mm 以上の者で QFT 検査が陽性となった者は 4 人,発赤長径が30 mm 未満であった26人の中で QFT 検査が陽性となった者は 5 人であった。QFT 検査が陽性となった 9 人については化学予防を指示した。このように QFT 検査の導入によって,従来のツベルクリン反応検査に比してより精度の高い潜在結核感染の診断が可能になった。
    結論 足立保健所では,既存の設備・検査技術を生かして衛生試験所細菌検査部門に QFT 検査を直営導入した。このことにより,QFT 検査の持つ「採血後12時間以内でできるだけすみやかに培養を開始する」という検査制限事項を容易に克服できた。さらに接触者健診の成果としてより精度の高い化学予防対象者の選別が可能になり,保健所の対人保健サービス部門と検査部門の密な連携による保健所機能強化につながった。
資料
  • 羽山 順子, 足達 淑子, 西野 紀子, 押領司 文健
    2007 年 54 巻 7 号 p. 440-446
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 日本の乳幼児は就床時刻が遅れており,就床時刻の遅れが引き起こす夜間睡眠時間の短縮が児の成長に及ぼす影響が懸念されている。
    本研究は,児の成長と睡眠との関連も含め,睡眠の状態を把握することを目的とし,概日リズムが確立する月齢である生後 4 か月の乳児を対象とした睡眠の調査を行った。
    方法 分析対象者は,福岡市中央区の 4 か月児健診を受診した児の養育者203人のうち,調査に同意し回答した母親194人だった。調査内容は母子の睡眠習慣と睡眠の問題,児の眠りに関する母親の対応,母親の健康状態であった。調査は健診受診時に調査紙を母親に渡し,2 日後の予防接種を受ける際に持参させ回収した。得られた調査結果は健診結果とリンケージし,回答者全体の状況を記述した。その後夜間(0-6 時)の覚醒の有無を元に,覚醒群(111人)と非覚醒群(83人)に群分けし,比較検討を行った。
    結果 児全体の平均就床時刻は22.5時で,22時以降に寝る児の割合は69.4%だった。就床時刻が定まらない児は16.5%いた。夜間 0-6 時には57.2%の児が 1 回以上覚醒していた。就眠困難や中途覚醒のような睡眠問題を持つ児は28.6%いた。
    覚醒群と非覚醒群との比較では,覚醒群は非覚醒群に比べ就床時刻が不規則である者の割合が高く,睡眠の問題を持っている者の割合が高かった。覚醒群の児は就眠困難を持つ児の割合が高かった。児の身長と体重に差は認められなかった。
    結論 就床時刻が遅いことと,高率の夜間覚醒が 4 か月児の実態としてみられた。夜間覚醒が高率にみられたことは,概日リズム形成の遅れを表している可能性もある。
  • 勝村 裕一, 康永 秀生, 今村 知明, 小山 博史, 大江 和彦
    2007 年 54 巻 7 号 p. 447-453
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    背景 近年,医療安全に対する国民の関心が高まっており,有効な医療安全対策も数多く報告されている。しかし一方で,医療安全対策には多額の投資が必要である場合も少なくなく,意思決定者は,予算制約の中でどの医療安全対策を優先して実施するべきか判断に困ることが多い。
    目的 これまで刊行された医療安全対策の経済評価研究についてレビューを行い,各研究の質を評価することを目的とした。
    方法 MEDLINE, Cochrane Library, NHS Economic Evaluation Database 2005,医学中央雑誌を利用して,医療安全対策の経済評価に関する文献のレビューを行った。対象基準として,完全な経済評価(full economic evaluation)であることを条件に含めた。経済評価研究の質を評価する手段として,Drummond ら(1997)のチェックリストを用い,スコアリングを行った。
    結果 該当文献は 5 件であり,感染症管理に関する文献が 3 件,薬剤有害事象に関するものが 1 件,輸血に関するものが 1 件であった。
    結論 医療安全対策の医療経済評価研究はまだ少なく,多くの医療安全対策の費用対効果は十分明らかにされていない。今後の研究の蓄積が望まれるとともに,研究の質評価も行われ,医療における意思決定に有用な情報が十分に提供される必要性を認めた。
  • 胡 秀英, 石垣 和子, 山本 則子
    2007 年 54 巻 7 号 p. 454-464
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 帰国10年以上の中国帰国者 1 世およびその中国人配偶者における精神的健康問題の実態とその関連要因を明らかにする。
    方法 関東在住の帰国10年以上(10~26年)の中国帰国者 1 世とその中国人配偶者99人(平均年齢63.9歳)を対象に質問紙調査を行った。対象者の精神的健康の測定には,精神的健康調査票(General Health Questionnaire) 12項目版(以下 GHQ12)を用い,関連要因として①人口学的特徴,②日本での社会参加状況,③セルフケア行動状況,④高次生活機能(老研式活動能力指標),⑤身体的健康(体力指標,健康度自己評価)を調査した。分析には,平均値の差の検定と χ2 検定,GHQ12を従属変数としたロジスティック回帰分析を用いた。
    成績 全体的に GHQ の得点が高く,精神的健康問題が疑われる対象者(GHQ12≧4 点)は 7 割ほどであった。とくに訴えの多かった症状は生きがいを感じない(74.7%),不幸せ感(72.7%),ストレス(59.6%),物事を決定できない(57.6%),憂うつ気分(56.6%),不眠(55.5%)であった。ロジスティック回帰分析の結果,GHQ12≧4 点と有意な関連がみられた項目は,日本語によるコミュニケーションが全く不可能(OR: 5.48, 95%CI: 1.52-19.82),保健医療福祉情報の提供者がいない(OR: 5.25, 95%CI: 1.32-20.95),若い人に自分から話しかけることがない(OR: 3.51, 95%CI: 1.05-11.74),健康度自己評価が低い(OR: 15.49, 95%CI: 4.11-58.48)の 4 項目であった。
    結論 本研究に参加した帰国後10年以上の中国帰国者 1 世とその中国人配偶者は,精神的健康問題の頻度が高いことがうかがわれた。精神的健康度には,言語の障壁や保健医療福祉情報の提供者の有無,若年者とのコミュニケーションの有無,健康度自己評価が関連していた。以上より,中国帰国者 1 世およびその中国人配偶者への多側面の支援の必要性と緊急性が示唆された。
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