日本公衆衛生雑誌
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49 巻 , 3 号
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原著
  • 神田 晃, 川口 毅
    2002 年 49 巻 3 号 p. 167-177
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 小中学生のタイプ A 行動パターンと小児生活習慣病関連の検査成績および生活習慣との関連を検討する。
    方法 埼玉県 I 町の小学 4 年生(277人)および中学 1 年生(297人)に対して,山崎の日本版児童用タイプ A 検査(MYTH)を用いてタイプ A 行動パターンを測定し,同時期に行われた小児生活習慣病予防検診成績,さらに,運動習慣,食習慣に関する項目を含む調査を行い,タイプ A 得点との関連を分析した。
    成績 タイプ A 合計得点は,全体および男子において,小学 4 年生は中学 1 年生よりも高い傾向がみられた。学年別に,全17項目の得点を変数として因子分析を行った結果,タイプ A 行動パターンは「競争性因子」,「焦燥・攻撃性因子」の 2 因子に展開された。両群間の因子スコアの差をみたところ,男女とも小学 4 年生は中学 1 年生よりも「焦燥・攻撃性因子スコア」が有意に高かったが,「競争性因子スコア」は差がみられなかった。「競争性因子スコア」は小中学生とも「スポーツや運動が好き」,「授業以外のスポーツをしている」群が有意に高く,小学 4 年生では「食べ過ぎと親に言われる」(いいえ),「食べるスピードが速いか同じ」群が有意に高かった。「焦燥・攻撃性因子スコア」は小中学生とも授業以外のスポーツをしていない群,スポーツが好きでない群,「菓子を食べながら TV,本をみる」群が高い傾向を示した。また,小学 4 年生では「いつも腹一杯になるまで食べる」群が有意に高く,中学 1 年生では「よく噛んで食べる(いいえと回答)」,「食べ過ぎと親に言われる」群が高い傾向を示した。中学 1 年生は,動脈硬化指数と「競争性因子スコア」との間に有意な負の相関,「焦燥・攻撃性因子スコア」との間には逆に有意な正の相関がみられた。また,動脈硬化指数が高い群ほど「競争性因子スコア」は低値を示し,逆に「焦燥・攻撃性因子スコア」は動脈硬化指数が高い群ほど高値を示す傾向がみられた。
    結論 タイプ A 行動パターンを「競争性」と「焦燥・攻撃性」の 2 サブタイプ別に分析することにより,生活習慣および動脈硬化指数との関連を見出した。これらのサブタイプを表す因子スコアを指標として,タイプ A 行動パターンを追跡調査することは,今後の小児のタイプ A 型行動パターンと虚血性心疾患リスクとの関連研究に有用であると考えられた。
  • 渡辺 丈眞, 松浦 尊麿, 渡辺 美鈴, 土手 友太郎, 清水 宏泰, 河野 公一
    2002 年 49 巻 3 号 p. 178-187
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 地域に在住する生活自立高齢者の日常生活時血圧変動と抑うつ症状,睡眠状況との関連を明らかにすることを目的とした。
    方法 一農村地域に在住し基本的生活動作能力障害のない高齢者41人を対象とした。抑うつ症状(Geriatric Depression Scale 短縮版)および基本的 ADL,高次生活動作能力(老研式活動能力指標),日常の自覚的睡眠感,現病歴に関する問診と携帯型自動血圧心拍計による24時間血圧脈拍の測定,手関節部アクチグラムによる睡眠・覚醒の判定,測定時の睡眠・生活行動に関する自記式の記録を実施した。
    結果 (1)高血圧治療中の者は,覚醒時・夜間睡眠時ともに有意に高い収縮期・拡張期血圧平均値を示した。
    (2)自覚的睡眠感と日常生活時血圧変動との関連は明らかでなかった。
    (3)アクチグラムによる睡眠評価指標と日常生活時血圧変動との関連は明らかでなかった。
    (4)高血圧治療中の者では,抑うつ症状が強いほど夜間睡眠時の収縮期および拡張期血圧の低下が有意に少なく,高血圧治療を有さない者では,抑うつ症状の強いものほど24時間および覚醒時の収縮期・拡張期血圧平均値が有意に高かった。
    結論 地域に在住する生活自立高齢者において,抑うつ症状は日常生活時収縮期・拡張期血圧平均値が高いことおよび高血圧治療者の収縮期・拡張期血圧の夜間睡眠時低下が小さいことと関連していた。一方,日常生活時血圧変動と睡眠障害との関連は明らかでなかった。
公衆衛生活動報告
  • 小路 ますみ
    2002 年 49 巻 3 号 p. 188-204
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 地域保健法成立による保健所の改編と機構改革直後の都道府県保健所保健婦の実践例から,広域的システム構築のための要件と活動指標を提示することにある。
    方法 資料収集担当者は,福岡県糸島地区における平成 9 年 4 月 1 日から平成11年 3 月31日までの精神保健福祉領域のシステム構築に携わった,著者を含む保健婦経験年数14~21年の 3 人の都道府県保健所保健婦である。データの収集には実践保健婦の回想法による現象観察を用いた。活動指標は,帰納的な質的研究法である Berelson, B. の内容分析を用い,要件は現象学的方法で導き出した。
    結果と結論 124の質的データが抽出され,活動指標として16のカテゴリーに分類できた。また,要件として 5 つのカテゴリーが導きだせた。
    広域的システム構築には,独立した関係機関・団体との組織間調整が必要であり,要は協働と合意をとりつける会議運営にある。これは,保健所の期待される機能であり,保健所に属する保健婦の強化すべき機能とも言える。
    1 広域的システム構築のための要件
    要件は,活動指標の各項目に関係性を持ち,活動指標の踏破に必要な条件とも言える。
    1) 問題の核心を突き,解決志向を高める「現実的課題」
    (1) 現実的課題をとらえる看護の視点
    (2) 志気を高める現実的かつ明快な課題提供
    2) 活動を支える内外の「共同責任者」
    3) システム構築の母体となる「個性・専門性・機能の相互依存・補完関係」
    (1) 個人や各関係機関・団体の得心ある協働体制を導く「調整力」
    (2) 専門性の発揮を促す「組織全体に関する知識や情報の共有」
    (3) 内発的動機づけを高揚させる「個人の尊重」
    4) 協働と合意を取り付ける「期待に応える役割調整」
    5) 組織を動かす「リーダーシップと組織マネージメントとの統合力」
    2 広域的システム構築のための活動指標
    活動指標は,会議運営を中心に,その体制づくりと,システム成立時の役割配分,会議運営で得られた協働体制を基とする連動的発展的システム構築へと,大きく 4 段階の構成になっている。特記すべき活動指標は次の通りである。
    1) 担当業務と保健所の機能との一貫性をとらえ,保健所の重要施策に位置づけることができる。
    2) 有効な媒体活用と相手の感情・気持ちをとらえ,志気を引き出す会議運営ができる。
    3) 他の活動への連動的発展構想を立て,実践できる。
    4) 達成予測がもてる。
  • 永見 宏行, 金田 麻里子, 天野 タエ子, 伊藤 史子, 北島 和子, 木村 馥, 高橋 忠雄, 丸山 浩一, 吉村 伸子, 渡辺 紀明
    2002 年 49 巻 3 号 p. 205-210
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 介護予防を軸とした現場の公衆衛生活動の評価指標を開発する。
    方法 平成10年に介護保険準備のために実施された要援護高齢者等の実態調査結果より,東京23特別区の「標準化要支援・要介護者比」を算出し,地域差および他の健康指標との相関を検討した。
    結果 区別の標準化要支援・要介護者比は,都心,山手,西部の区で低く,南部,東部の区で高い傾向を示し,地域差が存在した。
    区別の標準化要支援・要介護者比と他の健康指標との関連においては,平均寿命(女),65歳平均余命(男),同(女)それぞれとの間で負の相関を,脳血管疾患(男),同(女),心疾患(男),同(女)および胃がん(女)それぞれの標準化死亡比との間で正の相関を,一人当たり部屋面積との間で負の相関を示した。
    ブロック別の標準化要支援・要介護者比は,余暇活動(講座・講演,ボランティア,スポーツ,サークル,その他)への参加状況との間で負の相関傾向を示した。
    結論 標準化要支援・要介護者比は,住民にわかり易く,区市町村レベルで算出できる指標であり,介護保険が定着した段階では,介護予防を軸とした現場の公衆衛生活動の評価指標として使用できることが示唆された。
資料
  • 南 珠恵, 松本 浩, 近藤 文雄, 山田 靖治, 松村 年郎, 安藤 正典, 宮﨑 豊
    2002 年 49 巻 3 号 p. 211-221
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 平成 9 年 1 月に竣工した愛知県内の新築住宅 1 戸におけるホルムアルデヒドの室内,外気濃度,および個人曝露濃度調査,ならびに揮発性有機化合物および二酸化窒素濃度調査を行い,これら化学物質の室内濃度の経時的変化,室内濃度と個人曝露濃度との相関,それに室内濃度と室温,湿度との相関等についても検討を加えた。
    方法 ホルムアルデヒド濃度の調査を,平成 9 年 4 月,6 月,8 月,10月および平成10年 2 月に,また,揮発性有機化合物および二酸化窒素濃度の調査を,平成 9 年 8 月と平成10年 2 月の 2 回行った。
    成績 平成 9 年 4 月に28日間連続(48時間サンプリングを計14回)して測定した「精密調査」では,ホルムアルデヒドの室内(居間,台所,寝室)濃度は,42回中34回(81.0%)の測定で厚生省が示した「室内濃度指針値」(0.08 ppm)を上回っていた。その後,平成 9 年 6 月,8 月,10月および平成10年 2 月に実施した「経時的調査」では,6 月および 8 月における各部屋 7 回,計21回の測定中20回が「室内濃度指針値」を超え,築 7 か月後まではホルムアルデヒドの室内濃度は高いレベルで推移していた。ホルムアルデヒドの個人曝露濃度も築 7 か月後まで高い値を示していたことから,今回の調査対象となった新築住宅の居住者は,この間高濃度のホルムアルデヒドに曝露されていたものと考えられた。一方,気温,湿度が高い 6 月から 8 月にかけては,室内(居間)のホルムアルデヒド濃度が増加し,「経時的調査」期間中における居間のホルムアルデヒド濃度と室温および相対湿度との間には,それぞれ有意な正の相関(P<0.001)が認められた。また,ホルムアルデヒドの室内濃度が高い場合には,窓の開放による換気により,その濃度を有効に減少させうることが明らかとなった。
    揮発性有機化合物のうち,トルエンの室内濃度は築 7 か月後にも外気濃度よりも高い値を示していたが,他の物質は外気とほぼ同じ値を示していた。また,築13か月後にはすべての物質の室内濃度が外気濃度とほぼ同じ値を示し,今回調査を行った揮発性有機化合物は,時間経過とともに速やかに減少することが示された。二酸化窒素濃度については,開放型暖房器具を使用していた 2 月の寝室の濃度が,大気中の環境基準である0.06 ppm を超える値を示した。
    結論 今回の調査対象となった住宅の居住者は,高い濃度のホルムアルデヒドおよび二酸化窒素に曝露されていたと推測された。今後,ホルムアルデヒド等化学物質の放散量が少ない建材の使用や,適切な換気の励行および開放型暖房器具の使用をやめるなどの対策を施す必要があると考えられた。
  • 植田 美津江
    2002 年 49 巻 3 号 p. 222-228
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 日本の職域における喫煙状況や喫煙対策の現状を経時的に把握し,今後の喫煙対策推進の基礎資料を得る。
    対象と方法 健康保険組合連合会に加入している全国の健康保険組合に対し,企業内の喫煙率,企業内推進活動,社内禁煙(分煙)などに関する調査用紙と返信用封筒を郵送,用紙に記入と返送を依頼した。
    調査は,1985年,1987年,1992年,2000年の計 4 回実施し,調査内容や設問の表現は1985年および1987年の内容に準じるようにした。
    結果 4 回にわたる調査の対象となった健康保険組合数は,いずれも1,600~1,800数であったが,有効回答率はそれぞれ30%前後であった。調査票の返送率,情報の収集状況,喫煙対策推進状況などからみて,職域のたばこに対する関心が年々非常に高まっているとは言いがたかった。また,全体の喫煙率は低下傾向にあるものの女性の喫煙率は若干上昇してきている点は,全国の喫煙率の動向と同様であった。
    全体に社内禁煙の取り組みの動きがあり,特に2000年調査では分煙室の設置が進んだが,それ以上の具体的な対策が著しく進んだ傾向は認めなかった。一方で,喫煙対策実施のきっかけで最も多かったのが「従業員の健康のため」であったこと,一旦社内で決まったことはきちんと守られる傾向が強いこと,喫煙対策の提案者が経営者・管理者であることなどから,企業の経営者や管理者が従業員の健康を尊重する意思を明確にした上で,喫煙対策を提唱すれば,社内分煙に代表される喫煙対策がさらに推進する可能性が示唆された。
    考察 企業のトップリーダーに向けた,喫煙対策アプローチを推進していくことが職域の喫煙対策のポイントである。
  • 横山 美江
    2002 年 49 巻 3 号 p. 229-235
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    目的 双子家庭における育児問題を,単胎児家庭との比較から分析し,双子家庭への効果的な支援のあり方を検討した。
    方法 調査対象は,1994年以降に双子を出産した母親234人,および1994年以降に単胎児を出産し,かつ双子の母親と年齢をマッチさせた単胎児の母親200人である。調査内容は,母親の妊娠中の不安,育児協力者の状況,子供の世話をする時間的ゆとり,疲労状態,睡眠状態等である。
    結果 1. 妊娠中不安を感じたと答えた者は,単胎児の母親に比べ双子の母親の方が有意(P<0.001)に多く,不安に感じる内容についても双子の母親と単胎児の母親で差異が認められ,双子の母親は双子が生まれることに伴って生じるさまざまな要因に対して不安を抱いていた。
    2. 子どもを世話する時間的ゆとりがあまりないあるいはまったくないと回答した母親は,単胎児家庭で13.6%であるのに対し,双子家庭では68.9%と,双子家庭の方が子どもをみる時間的ゆとりがないと感じる母親が有意(P<0.001)に多かった。
    3. 双子家庭の母親は,単胎児家庭の母親に比べ有意に重度の疲労感を訴えていた。また,単胎児家庭における母親の睡眠時間は平均 7 時間19分であるのに対し,双子家庭の母親の睡眠時間は平均 6 時間32分と,双子家庭の母親の方が有意(P<0.001)に短かく,夜間 2 回以上起きる者も有意(P<0.05)に多かった。
    4. 夫の育児協力状況別に母親の疲労状態を分析すると,夫の協力のある双子の母親は,夫の協力のない双子の母親よりも心身両面で疲労感が有意に軽減していた。
    結論 双子家庭の母親は,単胎児家庭の母親に比べ,疲労感が強く,睡眠状態も悪化し,かつ時間的に余裕のない中で育児に追われていることが明らかとなった。また,妊娠中の不安についても,双胎妊娠した妊婦は,双子が生まれることに伴って生じるさまざまな要因について不安を抱いており,妊娠中からの適切な情報提供を含むサポートの必要性が示唆された。
  • 臼田 寛, 紺野 圭太, 河野 公一, 玉城 英彦
    2002 年 49 巻 3 号 p. 236-245
    発行日: 2002年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    Objective The objetive of the paper are to introduce the current global tobacco control measures undertaken by WHO and other international organizations, and to describe the impact on domestic tobacco control in Japan.
    Methods Publications and documents, mainly for WHO, were reviewed especially with reference to the Framework Convention on Tobacco Control (FCTC).
    Results WHO has been promotion comprehensive tobacco cotrol globally as well as regionally in order to assist and promote its national health policy. In 1998, WHO established the Tobacco Free Initiative (TFI) to take action against the growing health impact of tobacco consumption around the world. WHO has also been proposing the FCTC, the first international convention in the health field, which includes, for example, restrictions on advertisement, selling to, or buying from persons aged under 18. Currently, the FCTC is beint negotiated by governments and is expected to be ratified before May 2003. WHO is also working together with other international organizations, such as the World Bank, in synchronizing its global tobacco control policy.
    Discussion and Conclusions “Smoking and health” is, without doubt, the most significant public health problem internationally and domestically. However, tobacco control tends to be less strict in Japan than in other developed countries. Even among health personnel in Japan, the health impact is still underestimated, thus its cintrol remains partial. Accelerated public health compaigns against tobacco and health promotion activities are greatly needed. These could be carried out more effectively in the broad context of promotion of the FCTC.
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