日本公衆衛生雑誌
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56 巻 , 11 号
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原著
  • 谷口 優, 小宇佐 陽子, 新開 省二, 上松 志乃, 永沢 文子, 青木 政勝, 武藤 伸洋, 阿部 匡伸, 深谷 太郎, 渡辺 直紀
    2009 年 56 巻 11 号 p. 784-794
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    目的 本研究目的は,在宅高齢者における身体活動ならびに知的活動の増加による改善効果を明らかにし,認知機能の向上との関連を明確にすることである。このことによって,認知症予防教室の持つべき要素を検討する基礎資料としたい。
    方法 東京都杉並区では,2007年度同区の高齢者を対象に,「歩く!好奇心教室」を開催した。本健康教室では,ウォーキングを通じた身体活動の増加と,携帯電話の機能を覚えて使いこなすことによる知的活動の賦活などを行った。本教室は区内 4 地域で開催され,合計で61人の在宅高齢者が 7 週間の教室に参加した。本研究では介入期間中の 1 日平均歩数の変化量を身体活動の指標とし,携帯電話のカメラ機能による写真の撮影枚数と,インターネットの地図上に写真とコメントを表示できる情報共有システム(略称“Dress”)に投稿した枚数のそれぞれを知的活動の指標とした。分析対象者は調査が完了した37人で,身体活動ならびに知的活動の増加を多寡別に多かった群と少なかった群に分けた上で,各測定項目の変化量との関連性を Mann-Whitney の U 検定を用いて比較した。その後,これらの間に分析に用いた交絡要因の影響とは独立した関連性があるのかどうかを,基本的な属性を調整した重回帰分析で検討した。
    結果 本教室における身体活動の増加が多かった群は少なかった群に比べ,通常歩行速度,最大歩行速度の変化量が大きく,これらの間には独立した関連性がみられた。身体活動の増加は身体機能の変化との間に独立した関連性があることが示唆されたが,認知機能の変化との間には関連がみられなかった。知的活動の指標とした携帯カメラ撮影枚数が多かった群は少なかった群に比べ,体重,BMI, TMT 課題 B 所要時間,コーピング尺度(問題焦点型得点)の変化量が大きく,体重,BMI, TMT 課題 B 所要時間の変化量との間には独立した関連性がみられた。また,Dress 投稿枚数が少なかった群は多かった群に比べ,コーピング尺度(回避型得点)の変化量が大きく,この間には独立した関連性がみられた。知的活動の増加は認知機能ならびに心理的機能の変化に寄与することが示唆された。
    結論 地域在宅高齢者の認知機能の改善を目的とした健康教室においては,身体活動の増加のみでなく,知的活動の賦活にも力点を置いた内容とする必要があると考えられる。
  • 榊原 康人, 森田 一三, 坪井 信二, 小林 松美, 渡邉 靜男, 松久 勝彦, 中垣 晴男
    2009 年 56 巻 11 号 p. 795-804
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    目的 愛知県飛島村において,住民に対して,歯科衛生士による個別訪問指導,もしくは,歯の健康づくり得点の内容に合わせて作成したリーフレット郵送による介入を行い,歯の健康づくり得点の向上効果を比較することを目的とした。
    方法 2004年 5 月に愛知県飛島村で行われた定期住民健康診査において,歯科の診査を受けた786人のうち,歯の健康づくり得点が15点以下で,1 歯以上保有する446人を対象者とした。対象者は,年代別,男女別に,無作為に 3 群に分け,歯科衛生士による個別訪問を行い指導する群(訪問群),リーフレットを年に 3 回郵送する群(年 3 回郵送群)およびリーフレットを年に 1 回郵送する群(年 1 回郵送群)とした。分析は,2007年 5 月の定期住民健康診査を受診した対象者のうち,歯科衛生士による訪問を 1 回以上受けた訪問群,年 3 回郵送群および年 1 回郵送群の間で,歯の健康づくり得点の増加率を比較した。分析は各群の間で Mann-Whitney 検定および費用効果分析を行った。
    結果 男女合わせての歯の健康づくり得点の増加率は,3 年間で訪問群が46.2±8.1%,年 3 回郵送群は31.2±4.4%,年 1 回郵送群は25.0±5.2%であった。歯の健康づくり得点の増加率は訪問群,年 3 回郵送群そして年 1 回郵送群の順で低くなり,訪問群は年 1 回郵送群よりも有意に高かった(P<0.05)。
    結論 歯の健康づくり得点が目標値16点未満である15点以下の地域住民を対象として,3 種の方法で介入を行った結果,歯科衛生士による個別訪問は,リーフレットの郵送よりも効果があり,歯の健康づくり得点の増加率が高かった。一方,リーフレットの郵送に関しては,同一期間中に多数回の郵送を行う方が,少ない回数の郵送を行うよりも点数を向上させる効果が高くなると結論できる。
短報
  • 久保田 晃生, 永田 順子, 杉山 眞澄, 石塚 貴美枝, 海野 芳之
    2009 年 56 巻 11 号 p. 805-810
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は,地域の健康づくりに関連する調査において,日常の身体活動の指標としての 1 週間の歩数を,何日(あるいは,どの曜日の組合せ)で代表できるか検討することである。
    方法 本研究の解析対象者は,静岡県内に在住の20歳以上65歳未満の成人で,データ欠損値のない223人(男性63人,50.3±10.4歳(平均値±標準偏差),BMI 25.8±3.7 kg/m2,女性160人,49.0±10.6歳,BMI=23.5±3.8 kg/m2)である。歩数調査は平成20年 6 月から 8 月の間で実施した。この解析対象者の 7 日間の歩数調査の結果を解析した。各曜日および各曜日を組合せた歩数の平均値,標準偏差をそれぞれ計算した。そして,1 週間の歩数を,何日で代表できるか検討するため級内相関分析および重回帰分析を行った。
    結果 解析対象者の 7 日間の 1 日あたりの平均歩数は8,854±3,356歩であった。各曜日の平均歩数に有意な違いが認められた(P<0.001)。多重比較の結果,火曜日と金曜日の平均歩数は,土曜日と日曜日の平均歩数よりも有意に多かった(P<0.001)。各曜日の組合せの平均歩数で計算した級内相関係数によって,3 日間以上の組合せの時に0.80以上になることが明らかとなった。説明変数を 3 日に固定した重回分析を行ったところ,35通りのモデルの自由度調整済決定係数は全て0.80以上を示した。
    結論 地域に在住する成人の 1 週間の身体活動状況について,歩数計を用いて評価する場合,1 週間のどのような曜日の組合せでも良いが,無作為に選択された 3 日間の歩数調査を行う必要があることが示唆された。今後は,解析対象者や調査期間を増やした研究が望まれる。
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