日本公衆衛生雑誌
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58 巻 , 3 号
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原著
  • Jinichi SUZUKI, Kimiko SARUTA
    2011 年 58 巻 3 号 p. 159-167
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/06
    ジャーナル フリー
    Objectives The purpose of this study was to identify socio-environmental and personal variables associated with high school students smoking behavior by applying multilevel analyses.
    Methods A cross-sectional survey of the first-year students of five public senior high schools in western Kanagawa Prefecture, Japan was conducted using multilevel logistic regression analyses with students at level 1 and schools at level 2. Self-administered questionnaires were returned by 517 out of 597 enrolled students, and information was collected regarding the prevalence of previous and current smoking and socio-environmental, educational and personal variables.
    Results The rates of past and current smoking were found to be 25.2% and 12.6% in males and 16.9% and 5.2% in females, respectively. Maternal smoking, having friends or older schoolmates who smoked and lower probabilities of high school academic achievement potential were significantly associated with both past (adjusted ORs of 2.37, 4.28 and 2.98, respectively) and current (adjusted ORs 2.46, 5.57 and 3.02) smoking.
    Conclusions It is recommended that health professionals in charge of school-based educational programs should tailor the teaching methods to fit the students' backgrounds and specific vulnerabilities. Educational programs for smoking prevention focusing on the students' mothers and classmates or students in high schools with reduced academic achievement potential should be developed.
  • 松原 建史, 柳川 真美, 山口 靖子, 大藤 直子, 進藤 宗洋, 小池 城司
    2011 年 58 巻 3 号 p. 168-175
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/06
    ジャーナル フリー
    目的 本研究は,一般日本人成人における二重積屈曲点(以下,DPBP; double product break point)相当の代謝当量(単位は METs)から評価した最大下有酸素性作業能力レベルを調べ,安全かつ効果的に行える平均的な運動強度を明らかにすることを目的とした。
    方法 DPBP による運動処方コースを受診した438人(男性123人,平均年齢53.5±17.0歳,女性315人,52.8±12.5歳)を本研究の対象とした。DPBP の測定は自転車エルゴメータによる漸増運動負荷試験を行い,運動負荷試験中の心拍数と収縮期血圧の積である二重積(DP)が,仕事率の増加に伴い急増する点を DPBP とした。
    結果 DPBP 相当の代謝当量は男性と女性で,それぞれ5.3±0.9 METs と4.9±0.7 METs であり,研究対象者のうち87.2%が 6 METs を下回っていた。
    結論 本研究により一般日本人成人では,中等強度であっても階段上がり(8 METs)など種類によっては健康づくりとしては不適当な運動になることが示唆された。心疾患のリスクが疑われる者などに,健康づくりを目的とした運動の強度を設定する際は,6 METs を上限強度とし,運動時 HR や自覚的運動強度(RPE; ratings of perceived exertion)も目安に総合的な判断が必要であると考えられた。
研究ノート
  • 陳 金娣, 新田 静江
    2011 年 58 巻 3 号 p. 176-182
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/06
    ジャーナル フリー
    目的 中国農村部の家族介護を支える体制整備への提言資料を得るために,高齢者の在宅ケアサービスの利用ニーズとその関連要因を明らかにすることとした。
    方法 経済発展の速い 1 農村の無年金高齢者102人を対象に,主観的健康感,ADL,慢性疾患と自覚症状の有無,ソーシャルサポート,うつ状態,要介護状態時の意向と在宅ケアサービスニーズを面接調査した。また,ニーズの関連要因をカイ二乗,Fisher の直接確率検定および t 検定,Wilcoxon 順位和検定を用いて分析した。
    結果 対象者は73.3±5.1歳,子供を4.0±1.4人有し,主として配偶者と同居し,親族の仕送りを収入源としていた。慢性疾患と自覚症状を有する者が半数以上,ADL は99.8±1.6点,ソーシャルサポートは35.9±5.7点,うつ状態は3.9±2.7点,75.5%が健康と自己認識し,64.7%は要介護状態になった場合に自宅で暮らす意向があった。在宅ケアサービスは,訪問介護と住込み介護と老人ホーム以外のサービス実施への賛成割合および利用ニーズ割合は高く,無料~安価での利用を希望していた。ニーズとの関連要因は,地域医療機関と ADL,訪問看護と年齢,通所介護と ADL に有意差がみられた。訪問リハビリテーションは有配偶者と自覚症状がない者,訪問介護は慢性疾患がない者,住込み介護は経済的余裕者,老人ホームは有配偶者,通所介護は自覚症状がない者に有意に高かった。
    考察 在宅ケアサービスのうち,医療と保健関連サービス利用ニーズが高かったことは,農村新型合作医療保険で医療費控除対象となっていない外来での受診や健康指導•相談への期待の大きさと推察される。住込み介護利用ニーズが経済的余裕者に高かったことは,現状のサービス利用経費は高すぎるものと推察される。老人ホームと訪問リハビリテーション利用ニーズが有配偶者に高かったことは,同居の配偶者への介護負担を考慮した回答と捉えられる。子供の同居率の低い状況下で,要介護状態になった場合に自宅で暮らしたいという大多数の高齢者の希望を叶え,伝統的な老親扶養に基づく家族介護を支えるには,在宅ケアサービス体制の整備が課題と思われる。
    結論 中国農村部の高齢者の在宅ケアニーズと関連要因について調査した結果,サービス実施への賛成と利用ニーズは高く,配偶者の有無,自覚症状の有無,慢性疾患の有無,ADL,年齢がニーズに関連していた。
  • 吉本 好延, 三木 章江, 浜岡 克伺, 大山 幸綱, 河野 淑子, 佐藤 厚
    2011 年 58 巻 3 号 p. 183-189
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/06
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は,わが国の既存統計では把握することができない救急搬送を伴った高齢者の転倒と社会経済状態の関連性を明らかにすることであった。
    方法 解析対象は55消防本部であり,転倒搬送件数は,平成19年の 1 年間に救急搬送された一般負傷に含まれる,死亡または入院加療を必要とした高齢者の転倒13,855件(男性4,225件,女性9,630件)であった。研究デザインは,生態学的研究であった。転倒の標準化発生比は,各消防本部が単年度に搬送した実際の転倒数と,最も人口の多い消防本部を標準集団とした期待転倒数により算出した。転倒の標準化発生比に関連する社会経済的指標は,各消防本部の都市的地域の有無,老年人口の割合,人口密度,舗装道路の割合,高齢夫婦世帯数,高齢単身世帯数,第一次産業•第二次産業•第三次産業就業者数,雇用者の割合,役員数の割合,世帯密度,課税対象所得,完全失業者の割合,医師数,病院数の計16項目とし,ステップワイズ重回帰分析にて解析を行った。
    結果 男性の転倒の標準化発生比に関連した要因は,高齢単身世帯数,高齢夫婦世帯数,役員数の割合であり,標準偏回帰係数はそれぞれ,0.810, −0.440, −0.321を認め,これら 3 要因による自由度調整済み決定係数は0.394であった。女性の転倒の標準化発生比に関連した要因は,高齢単身世帯数,第二次産業就業者数,完全失業者の割合,都市的地域の有無,役員数の割合であり,標準偏回帰係数はそれぞれ,0.907, 0.529, −0.415, 0.411, −0.252を認め,これら 5 要因による自由度調整済み決定係数は0.454であった。
    結論 救急搬送を伴った高齢者の転倒は,地域の世帯状況や就労状況,就労上の地位などが関連した。転倒予防対策は,高齢者を取り巻く人的•物的環境を整備し,社会的ネットワークを形成することや,就労上の地位に対応した生活習慣の指導などが必要であると推察された。
資料
  • 原田 和弘, 柴田 愛, 李 恩兒, 岡 浩一朗, 中村 好男
    2011 年 58 巻 3 号 p. 190-198
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/06
    ジャーナル フリー
    目的 健康日本21の中間報告書では,身体活動•運動分野の重点課題の 1 つとして「エクササイズガイド2006の普及」が挙げられている。一方,肥後•中村(2008)によれば,エクササイズガイド2006の認知者の割合は,他の健康づくり施策よりも低いものの,エクササイズガイド2006認知者の方が歩行習慣者の割合が多いことが報告されている。本研究の目的は,エクササイズガイド2006の認知度の経時変化を検討することと,エクササイズガイド2006の認知と身体活動量との関連性を縦断的に検討することであった。
    方法 対象は,社会調査モニター1100人(39.8±SD10.1歳)であった。2007年11月(T1),2008年12月(T2)の計 2 回,インターネットを用いた質問調査を縦断的に実施した。エクササイズガイド2006の認知度は,「内容を知っている」,「聞いたことはあるが内容は知らない」,「聞いたことがない•今回の調査で始めて知った」の 3 段階で評価した。週当たりの身体活動量(METs•時/週)は,IPAQ–SV(Craig et al., 2003;村瀬他,2002)を用いて推定した。Mann–Whitnney 検定を用いて,期間中にエクササイズガイド2006を認知した者と,認知しなかった者の身体活動量の変化量を比較した。
    結果 エクササイズガイド2006の内容を知っていた者の割合は,T1 で1.4%,T2 で2.2%であり,認知度の有意な経時変化は認められなかった。調査期間中にエクササイズガイド2006を知った者の方が,両時点とも知らなかった者と比較して,身体活動量が低下傾向にあった(P=0.013)。
    結論 1 年間で認知度は向上しておらず,我が国においてエクササイズガイド2006の普及は進んでいないことが示唆された。エクササイズガイド2006の戦略的な普及方策の検討が求められる。ただし,先行研究とは異なり,エクササイズガイド2006を認知することが,身体活動の促進に対して肯定的な影響を与える可能性は示されなかった。普及が進み,認知度が向上した段階で検討を行うことで,両者の関係がより明確となるだろう。
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