目的 平成19年度 A 町基本健康診査結果から,糖尿病予防の必要な者を特定し,6 か月にわたる教室を実施し,その介入効果を 1 年間の追跡により明らかにすることを目的とした。
方法 平成19年 8~9 月に実施した A 町基本健康診査受診者で,40歳以上65歳未満の国民健康保険加入者で糖尿病予防の必要な者から,ヘルスアップ教室(以下,教室とする)に参加した20人を対象とした。対象者には 6 か月にわたる積極的支援を行い,経時的比較には,生活習慣,健康意識等の項目によるアンケート調査と血液検査等の結果を用いた。さらに,1 年後のフォローアップ研修終了時に,半構成的グループインタビューにより教室終了後の生活実態を把握した。
結果 6 か月にわたる教室を実施した結果,体重,BMI(Body Mass Index),腹囲,TG, HbA1c の 5 項目が教室前と比較し,実施後は有意に減少し(
P<0.05),効果がみられた。1 年後まで追跡できた者は少なく,血液検査等の結果は教室開始前の状態にほぼ戻っていた。
1 年後に実施した面接聞き取り調査から【客観的データの確認や記録】,【ストレスを貯めない方法での食事・運動の継続】,【買い物や食事環境の整備】,【食生活改善行動と困難性】,【運動習慣の継続と困難性】,【自己および周囲からの評価】,【現実にあわせた減量の修正】,【家族の協力支援】,【友人や地域の支援】,【家族への配慮】,【参加の動機と目標】の11カテゴリーが抽出された。
結論 6 か月間の教室により,BMI(Body Mass Index),HbA1c など 5 項目において開始前と比較し有意に効果が認められた。1 年後まで追跡できた者は少なく,血液検査等の結果はほぼ開始前の状態に戻っていた。家族については,配偶者などの同世代では協力が得られていたが,世代が異なる家族への配慮から食生活改善のスタイルを変えにくい現状が明らかとなった。食生活・運動習慣の困難な面を把握し,対象者の個別性に配慮した保健指導のスキルアップが今後の課題といえよう。
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