日本公衆衛生雑誌
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54 巻 , 12 号
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原著
  • 山口 創生, 三野 善央
    2007 年 54 巻 12 号 p. 839-846
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は,高等学校の生徒において精神障害者に対する偏見を減少させるための介入プログラムを実施し,そのプログラムを評価し,効果を検証することである。
    方法 近畿圏内の公立高等学校に通う 2・3 年生(16~18歳)を対象とし,180人(介入群99人と対照群81人)の生徒に質問紙票を配布した。
     介入方法については,精神保健福祉全般についての授業一時限(50分)と当事者の語り一時限(50分)とした。
     調査方法は自己式質問紙票調査を用いた。同じ学校・同じ学年で介入群:上記の介入を行う群と,対照群:介入を行わない群を設け,それぞれに初回調査,介入から 1 週間後(第 2 回調査),2~3 か月後(第 3 回調査)に同様の質問紙票を用いて追跡調査を実施し,その結果を比較した。
    結果 回収率は介入群において初回調査:98.0%,第 2・3 回調査:88.9%であった。また対照群においては初回調査:90.1%,第 2・3 回調査:93.8%であった。介入後,介入群においては好ましい態度変容がみられた。全体的な指標として質問紙票に対する回答を点数化し,好ましい回答の平均値を比較(t-検定)すると,初回調査においては介入群:40.6 対照群:43.1であった。第 2 回調査においては介入群:51.1 対照群:41.5であった。3 か月後の調査においては介入群:47.4 対照群:42.8であった。すなわち介入群では 1 週間後には,より好ましい態度変容が認められたが,対照群では変化が認められなかった.また,3 か月後には介入の効果は小さくなっていた。
    結論  精神障害者に対する偏見の減少を目的とした授業は高校生の態度や意識に好ましい変化を与えた。しかし,変容した態度や意識の長期間の継続は困難であり,継続的な教育の必要性が示唆された。
  • 江川 賢一, 種田 行男, 荒尾 孝, 松月 弘恵, 白子 みゆき, 葛西 和可子
    2007 年 54 巻 12 号 p. 847-856
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 基本健康診査受診者で過体重および肥満者の運動と食習慣改善による体重減少を目的として,市町村事業を活用した地域保健プログラムの有効性を非ランダム化並行群比較試験により検証する。
    方法 2002年度に東京都あきる野市が実施した市民健康診査受診者のうち,65歳以下かつ Body Mass Index(BMI)24.2以上の者全員(1,115人)を研究対象とした。全員にダイレクトメールを送付して募集した。対象者の希望に応じて,9 か月間の減量コース(介入群)に46人が,1 回のみの事後指導コース(対照群)に50人がそれぞれ登録した。2002年11月から2003年 7 月のプログラム期間中に中断あるいは追跡不能となった者を除く76人(男性 9 人,女性67人)を解析対象とした。介入群には月 1 回,1 回 2 時間,合計 9 回の健康生活教室を開催し,行動変容を促進するための個別支援プログラムとプログラム終了後の継続のための地域支援プログラムを提供した。対照群には健診結果に基づく従来型の保健指導を実施した。
    結果 介入前特性は女性の年齢および身長を除き群間差は認められなかった。介入群の BMI は介入前平均27.2(標準偏差=2.8)kg・m−2 から介入後25.3(3.1)kg・m−2 に減少した。対照群では介入前26.4(1.7)kg・m−2 から介入後26.1(1.7)kg・m−2 に減少した。反復測定分散分析により,有意な時点×群の交互作用が認められ,性および年齢を調整しても有意であった。運動行動ステージの実行期および維持期の割合は,介入群では介入前後で増加(31%→60%)したが,対照群では変化はなかった(45%→48%)。食生活行動ステージでも同様に,介入群では増加(24%→80%)し,対照群では変化はなかった(29%→26%)。
    結論 市町村事業を活用した地域保健プログラムは,過体重および肥満者の運動および食生活行動変容を促進し,体重を減少させる有効性が示唆された。
資料
  • 長弘 佳恵, 小林 小百合, 村嶋 幸代
    2007 年 54 巻 12 号 p. 857-866
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 結核対策の一つとして,治療中断を防ぐために Directly Observed Treatment, Short-course (DOTS) が推進されている。結核罹患および治療中断の高リスク集団とされる不安定就労・生活者の DOTS 受療の経験を記述し,彼らにとっての DOTS 受療の意味を明らかにすることを目的とした。
    方法 横浜市等が協働実施する寿地区の DOTS を受療する26人を研究協力者とし,参与観察・半構造化面接・診療録類の閲覧によりデータを収集した。面接は,DOTS の経験を時系列で尋ねて内容を逐語録に起こし,継続的に比較して質的に分析した。
    結果 協力者は全員男性であり,55.3±8.4歳であった。分析の結果,「入院を受け入れ,生活が一変する」,「与えられた仕事を続ける自分に自信を持つ」,「自分を大事にしようとする」の 3 カテゴリが抽出された。さらに,これらを関係付け包括する中核カテゴリとして,〔DOTS を務め上げる中で生きる意味を探し,自分を大事にしようとする〕が生成された。
    結論 不安定就労・生活者は,DOTS 受療を継続する中で,自身の体のことを考えて生活するようになり,生きる意味を見出して自分自身を大事にしようとしていたことが明らかとなった。
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