日本公衆衛生雑誌
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61 巻 , 8 号
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原著
  • 山北 満哉, 内田 博之, 川村 堅, 本間 隆之, 小田切 陽一
    2014 年 61 巻 8 号 p. 371-384
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/08
    ジャーナル フリー
    目的 日本人成人における肥満者割合および脂肪エネルギー比率の年次推移に対する年齢,時代およびコホートの効果をベイズ型 APC (age-period-cohort)分析によって明らかにし,肥満者割合と脂肪エネルギー比率の関連性を検討する。
    方法 1995年~2011年の国民栄養調査および国民健康・栄養調査における肥満者割合の年次推移と 1 人 1 日当たりの脂質,動物性脂質,炭水化物,たんぱく質および動物性たんぱく質の摂取量,そしてエネルギー摂取量から算出した各エネルギー比率を用いて,20–29歳から60–69歳までの年齢階級別,男女別に一般コホート表を作成した。各コホート表について,ベイズ型 APC 分析を適用して 3 効果を分離し,3 効果が肥満者割合や各エネルギー比率の変化に与えた影響を効果曲線として表した。
    結果 肥満者割合の年次推移に対する APC 分析の結果,3 効果の中で年齢効果が最も大きく,男女ともに30–39歳で急激な増加を示した。時代効果は,男性では一貫した増大トレンドを示し,女性ではほとんど変動はみられなかった。コホート効果は,男性では1962–1971年生まれ以降低減トレンドに,女性では1965–1974年生まれを変曲点として増大トレンドに転じた。
     肥満者割合に対する各効果曲線とは異なり,脂肪エネルギー比率の年次推移に対する年齢効果は男女ともに一貫した低減トレンドを示した。時代効果は男女ともに,1998年以降の緩やかな低減トレンドから2001年に著減後,2008年まで横ばいから僅かな増大トレンドで推移し,以降は増大トレンドに転じた。3 効果の中でコホート効果が最も大きく,女性では1976–1985年生まれ以降低減トレンドに転じたものの,男女ともに若年世代で増大するトレンドを示した。これらの効果曲線は動物性脂肪エネルギー比率の年次推移に対する各効果曲線と類似していた。
    結論 肥満者割合と脂肪エネルギー比率の効果曲線のトレンドと変曲点には一致を認めず,肥満者割合の変化にはエネルギー消費量等,他の要因が寄与している可能性が示唆された。一方で,肥満者割合は30–39歳で著増し,脂肪エネルギー比率は20–29歳で最大,かつ若年コホートほど増大傾向にあることから,日本人成人の肥満対策として,若年期からの食生活指導,とくに動物性食品の適切な摂取に対する指導が必要である可能性が示唆された。
研究ノート
  • 加藤 佳子, 濱嵜 朋子, 佐藤 眞一, 安藤 雄一
    2014 年 61 巻 8 号 p. 385-395
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/08
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は,平成17年(2005年)国民健康・栄養調査と国民生活基礎調査の個票データを用い,食習慣改善に対する態度の構成概念(共通因子)について検討し,メタボリックシンドローム(MetS)との関係について調べることであった。
    方法 30歳以上の者(N=3,084)を分析対象とした。はじめに,食習慣改善に対する態度についてたずねた14項目を用いて探索的因子分析を行い共通因子を抽出した。確証的因子分析により因子的妥当性を確認するとともに信頼性(Cronbach の α 係数)を検証した。食習慣改善に対する態度と MetS の状況との関連を調べるために,男女ごとに多項ロジスティック回帰分析を行った。年齢,世帯員数,運動習慣の有無,睡眠による休養を調整変数とした。
    結果 「バランスのとれた栄養摂取に関する食習慣」および「摂取量制御に関する食習慣」の二つの因子が抽出された。α 係数は0.82と0.75であり,確証的因子分析によって得られたモデルの適合度は GFI=0.96等と良好であった。「バランスのとれた栄養摂取に関する食習慣」と MetS の状況との間に関連性はみられなかった。MetS の状況の分布には男女差がみられた。「MetS が強く疑われる」は16.3%(男性24.4%,女性10.7%),「MetS の予備群」は15.2%(男性24.1%,女性8.9%),「MetS が疑われない」は68.5%(男性51.5%,女性80.5%)であった。「摂取量制御に関する食習慣」について,「MetS が疑われない」を対象として多項ロジスティックス回帰分析を行った結果,男性におけるオッズ比(95%信頼区間)は「MetS の予備群」で0.57(0.42–0.78),「MetS が強く疑われる」で0.52(0.38–0.71)であった。女性においては,「MetS の予備群」では0.36(0.25–0.53),「MetS が強く疑われる」では0.39(0.27–0.56)であった。
    結論 「バランスのとれた栄養摂取に関する食習慣」および「摂取量制御に関する食習慣」を食習慣改善の観点としてとらえる妥当性が確認された。「摂食量制御に関する食習慣」の改善に対する態度は,MetS の予防に有効であることが示唆された。
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