日本公衆衛生雑誌
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60 巻 , 6 号
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特別論文
公衆衛生活動報告
  • 片山 靖富, 笹井 浩行, 長尾 陽子, 江藤 幹, 田中 喜代次
    2013 年 60 巻 6 号 p. 346-355
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/26
    ジャーナル フリー
    目的 講義の総時間数,期間,教授内容は等しく,講義回数の多寡のみ異なる 2 つの減量教室を開催し,週 1 回または週 2 回の減量教室を自由選択した時の減量効果と減量維持効果,脱落者数について比較することとした。
    方法 対象者は,心血管疾患の危険因子(例えば,肥満,高血圧,脂質異常,高血糖など)を最低 1 つを有し減量することが望ましい52人の中年女性であった。週 1 回(120分)の教室を自ら選択した群(週 1 回教室自由選択群)26人,週 2 回(60分/回,計120分/週)の教室を自ら選択した群(週 2 回教室自由選択群)11人,希望に反して(週 1 回教室の定員の超過に伴って)週 2 回の教室に割り付けられた群(週 2 回教室非自由選択群)15人であった。減量教室の講義の総時間数は26時間,期間は13週間,目標エネルギー摂取量は1200 kcal/日に統一した。週 1 回教室の群は,1 回 2 時間の講義を,週 2 回教室の両群は,1 回 1 時間の講義を受けた。教室修了から 1 年後,参加者に質問紙を郵送し,自己申告にて体重の情報を得た。
    結果 13週間の教室期間中の脱落者数は,週 1 回教室自由選択群で 5 人(19.2%),週 2 回教室自由選択群で 1 人(9.0%),週 2 回教室非自由選択群で 8 人(53.3%)であり,有意差(P<0.05)が認められた。体重は各群とも参加前から後にかけて有意に減少し(週 1 回教室自由選択群:−4.3±2.7 kg,週 2 回教室自由選択群:−6.7±3.0 kg,週 2 回教室非自由選択群:−6.0±3.4 kg),週 2 回教室自由選択群の体重減少量が他の群より有意に大きかった。1 年後の体重に有意な増加は認められなかった(週 1 回教室自由選択群:+0.4±1.3 kg,週 2 回教室自由選択群:−0.1±2.3 kg,週 2 回教室非自由選択群:+0.5±0.6 kg)。繰り返しのある二元配置分散分析では,体重の変化に有意な交互作用(時間×群)は認められなかった。
    結論 講義回数を増やすことで介入中の減量効果が高まり,講義回数が少ないと 1 年後の調査回答数•率が低くなることが示唆された。また,自由選択群の脱落者は非自由選択群よりも少ないことから,参加者のニーズに合わせた講義回数は脱落者を減らせる可能性がある。
研究ノート
  • 小田切 陽一, 内田 博之, 小山 勝弘
    2013 年 60 巻 6 号 p. 356-369
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/26
    ジャーナル フリー
    目的 児童•生徒の肥満や痩身は学校保健上の重要な課題である。肥満,痩身傾向児の出現率の時代推移は,時代の影響に加えて,年齢の影響,さらには,生まれ世代に特有のコホートの影響を含んでいる。これらの影響を分離して,年齢によるリスク,時代のリスク,さらには世代のリスクを評価することは,肥満や痩身に対する児童•生徒の保健指導を進める上で重要である。本研究の目的はベイズ型 age-period-cohort(APC)分析を使用し,1977∼2006年の間の肥満傾向,痩身傾向児の出現率の推移を分析し,年齢,時代,コホートの影響を評価した上で,2007∼2016年までの肥満傾向,痩身傾向児の出現率の推計を行うことである。
    方法 1977∼2006年の学校保健統計調査から,6∼14歳の児童•生徒の肥満傾向児,痩身傾向児の出現率のデータを得て,標準コホート表を作成した。これにベイズ型 APC 分析を適用して,年齢,時代およびコホート効果を推定した。また,2007∼2016年までの肥満傾向,痩身傾向児の出現率の推計を行った。
    結果 肥満傾向児の出現率に対する年齢効果は男子では 6∼11歳,女子では 6∼12歳で増大し,以降で低減した。時代効果は男女に共通して,1990年代の後半まで増大し,以降低減した。コホート効果は男子では1963∼1969年生まれまで増大,その後1981年生まれまで低減し,それ以降のコホートでは一貫して増大した。女子では,1964∼1975年生まれまで低減した後,1990年生まれまで増大,以降は横ばいから緩やかな増大を示した。痩身傾向児の出現率に対する年齢効果は,男子では 7∼10歳,女子では 7∼12歳まで増大し,以降は横ばいとなった。時代効果は,男女ともに2000年頃まで増大し,以降わずかに低減した。コホート効果は男子では1985∼1994年生まれまで増大し,1994年生まれ以降で低減した。一方,女子では,1976∼1993年生まれまで増大,1993年生まれ以降横ばいから低減した。時代効果とコホート効果のトレンドが持続すると仮定した場合,2007∼2016年の間の肥満傾向児,痩身傾向児の出現率は横ばいで推移すると推計された。
    結論 本研究の結果は,肥満傾向児,痩身傾向児の出現率の年次推移に対して,3 要因(年齢,時代,コホート)のうち年齢が最も強く影響した要因であったが,時代とコホートの影響も受けて推移してきたことが明らかとなった。また,肥満傾向児,痩身傾向児の出現率の推計結果は,2007∼2016年の間は横ばいで推移することを示しており,年齢,時代,コホートのリスクに対応した保健指導が肥満傾向,痩身傾向児の低減にむけて重要であると考えられた。
資料
  • 成瀬 昂, 田口 敦子, 永田 智子, 桑原 雄樹, 村嶋 幸代
    2013 年 60 巻 6 号 p. 370-376
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/26
    ジャーナル フリー
    目的 2012年から定期巡回•随時対応型訪問介護•看護サービスが介護保険サービスとして開始されたが,その具体的な対象像は明らかになっていない。本研究では,このサービスの必要者に近い者の像として,「一日のうちに介護もしくは看護職員による頻回な訪問(一日に 3 回以上)を必要とする要介護者」の発現率とその対象像を明らかにする。
    方法 2011年 7 月に滋賀県 K 市内および近隣に開設されている73か所の居宅介護支援事業所に調査協力を依頼し,そこに勤務する居宅介護支援専門員全員を対象に調査協力を依頼した。居宅介護支援専門員が担当する事例のうち,K 市内に居住し,要介護 1 以上の全事例を対象に,基本属性と,訪問介護•看護サービスの充足状況,頻回な訪問の必要性に対する居宅介護支援専門員の判断について,無記名自記式質問紙を用いて調査した。そして,Chi-squared Automatic Interaction Detection を用いて,頻回な訪問が必要な者の対象像を記述した。
    結果 1,448事例について回答を得た。そのうち居宅介護支援専門員によって頻回な訪問が必要と判断されたのは110人(7.8%)で,うち61人(全体の4.2%)は訪問介護もしくは看護が不足していた。頻回な訪問の必要性の有無を従属変数とする Chi-squared Automatic Interaction Detection の結果,頻回な訪問の必要性が最も高い対象像は「要介護 4 以上で,介護可能な同居家族が 1 人以下の者」で,該当者の30.8%に頻回な訪問が必要であった。次いで必要性が高かったのは,「要介護 1∼3 で,なおかつ処方された薬を指示通りに服用していない者」で,該当者の18.1%が頻回な訪問を必要としていた。
    結論 訪問サービスを一日のうちに頻回に必要とし,かつ訪問介護もしくは看護に不足がある者が要介護者の4.2%いた。定期巡回•随時対応型訪問介護•看護サービスは彼らの unmet needs 解消の一助となる可能性があり,積極的サービス整備の必要性が確認された。また,訪問サービスを一日のうちに頻回に必要とする可能性の高い対象像として,要介護 3 以下の者が含まれていた。定期巡回•随時対応型訪問介護•看護サービスは主に重症者を想定した報告が多いが,地域で実際にサービス整備を進める上では,軽症者の必要性も考慮する必要がある。
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