日本公衆衛生雑誌
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55 巻 , 12 号
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公衆衛生活動報告
  • 上木 隆人
    2008 年 55 巻 12 号 p. 811-821
    発行日: 2008年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    目的 要介護高齢者の増加の中で介護予防事業の必要性が増しており,あわせてその行政指標が求められている。すでに健康指標として検討されている要介護認定者数を用いた健康余命を住民にも理解されやすい行政指標として使用するために,計算方法の改善を検討する。
    方法 行政政策推進に資する指標として改善を行う点として,死亡率計算における人口や死亡数の取り方,および Chiang の方法と85歳以上定常人口計算における簡易生命表の活用などを主な課題とした。厚生労働省の平成12年市町村別生命表と厚生統計テキストブックの生命表作成方法による平均寿命を比較の基とし,4 つの改善方法による平均寿命を検討した。人口は住民基本台帳人口の使用を検討し,死亡数の平均の取り方は二つの視点(当該年から過去の平均値をとる方法,平均値をとる期間)から組み合わせた 4 つの方法をあげ,それら改善法を用いて,都内24自治体の平均余命を計算し,改善法の比較検討を行った。差の検討には大熊らの較差を用いた。また,65歳健康寿命を定義し24自治体の平成12年と13年の推移を検討した。
    結果 平均余命は,平成12年市区町村別生命表と厚生統計テキストブックの方法による生命表とに大きな差は無く,住民基本台帳人口を使用した著者らの改善法は前 2 者に比較して男女ともやや低い値をとった。改善法において,死亡数平均値を中央年の平均値(改善法I,II)とするか否(改善法III,IV)かの差は男女とも特に大きくなかった。人口は住民基本台帳人口を使用することが適切と考えられた。改善方法間の相関係数では改善法IIIが適切と考えられた。改善法IIIで 5%以上の較差を示した自治体はなかった。
    結論 人口の取り方および死亡数の取り方など改善し,市区町村の行政的需要に応えられる計算法を検討し,改善した方法を用いて65歳健康寿命(東京保健所長会方式)として定義し,報告した。
資料
  • Etsuji OKAMOTO
    2008 年 55 巻 12 号 p. 822-829
    発行日: 2008年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    Objectives The aim was to summarize the outcomes of the controlled trials in the “Health-Up” model projects of the National Health Insurance to quantify the effects of individualized health promotional programs (IHPPs) on outpatient and pharmaceutical health care expenditure.
    Methods Reports submitted to the Ministry of Health, Labor & Welfare by municipalities participating in the projects were reviewed and monthly per-capita outpatient and pharmaceutical expenditures were extracted. Comparisons were made between the intervention and control groups as to temporal changes between one year before and the one year after the programs. Temporal changes were evaluated with reference to effect ratio with 95% CI.
    Results A total of 31 programs conducted in 17 municipalities were included in the review. A total of 2,947 people participated in the IHPPs and 6,666 people were assigned to the control group in a randomized or matched manner. IHPPs varied widely as to the effects on health care expenditures: Sixteen programs demonstrated reduction effects (ER<1), of which two were statistically significant, while fifteen programs demonstrated inflationary effects (ER>1), of which two were significant. Overall, per capita health care expenditure of all participants increased by 4.7% (95%CI: 1.003-1.094) or 6,697 yen above the controls. The pooled ER was 1.044 (95%CI: 1.000-1.091) indicating a 4.4% inflation of the per capita health care expenditure of participants compared to the controls during the year after the interventions.
    Conclusions Overall, IHPPs demonstrated slight but significant inflationary effects on outpatient and pharmaceutical health care expenditures. Follow-up studies must be conducted to adjudicate the long-term effects of IHPPs on health care expenditure.
  • 林 真由美, 荒木田 美香子
    2008 年 55 巻 12 号 p. 830-836
    発行日: 2008年
    公開日: 2014/07/01
    ジャーナル フリー
    目的 知的障がい児者の性教育はその認知的特性から繰り返し行うことが必要である。性教育を実施するにあたっては,家庭は重要な役割を担うため,家族に対する支援が必要となる。そこで,本研究では家庭における性教育支援にむけて,基礎資料を得るために調査を実施し,子どもの障がい程度と性別で検討を行った。
    方法 2006年10~11月に近畿 6 府県の「手をつなぐ育成会」の協力を得て,質問紙調査を実施した。質問紙は各育成会の保護者会に参加した会員に1,357部の配布を依頼し,対象者は知的障がい児者の主な養育者とした。調査票の内容は,1. 家庭内での性教育実施の有無と内容,2. 子どもの性的成熟に関する保護者の認知,3. 性教育および支援に対する保護者の考え,4. 性支援の内容で構成した。
    結果 回収数は472部(回収率34.8%)であり,記入者は母親が388人(83.8%),父親が51人(11.0%)であった。知的障がい児者の平均年齢は28.6±9.5歳であり,障がい程度は重度群(67.6%)と中軽度群(28.7%)の 2 分類とした。家庭における性教育実施率は22.9%と低く,中軽度群の実施数は重度群に比べて有意に高かった(χ2(1)=21.94, P<0.001)。子どもの性的成熟においては,「エッチな雑誌やテレビへの興味がある」に,中軽度(男)の子どもをもつ保護者の認知は41.3%と最も高く,「恋愛感情を持つ相手がいる」には,中軽度(女)の保護者の認知が36.6%と最も高かった。一方で,「交際相手がいる」に関しては,中軽度(女)においても9.8%と保護者の認知は低かった。子どもの性教育は,地域や家庭において教育の必要性を感じている保護者は多く,性に関する窓口を69.8%の保護者が希望した。保護者を対象とする講座には52.5%の参加意思がみられ,中軽度群・30歳未満の子どもをもつ保護者に希望が高かった。
    結論 調査対象者には重度の知的障がい児者をもつ保護者が多いこともあり,家庭における性教育の実施,および子どもの性的成熟に関する保護者の認知は低かった。子どもの性に関して支援を望む保護者は多く,今後は相談窓口および講習会の開催にむけての支援体制づくりが課題となった。
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