目的 「住民の健康づくりチェック表」を作成して,地域住民の健康づくりを推進する一助とした。
方法 最初に,健康日本21(第 2 次)等を参考に健康づくりチェック表の項目を検討した。次に,第 2 次廿日市市健康増進計画にかかる調査票にチェック表の項目を含み,2012年 8 月に質問紙調査を行った。対象は20歳以上の市民で,年齢階級別かつ地区別の層化抽出法で無作為抽出した。結果を本研究に活用する旨を記載した無記名式の調査票を郵送し,返信用封筒で回収した。データを性別年齢階級別に比較し,チェック表の特徴等を検討した。
結果 チェック表は23項目で,得点を設定したチェック表を作成した(総計33問)。項目は,健診,がん検診,歯科検診,血圧,HbA1c 又は血糖値,脂質異常,BMI,歯の本数,朝食,野菜類,果物,塩分,栄養バランス,運動,喫煙,飲酒,睡眠,ストレス,こころの状態に関する 6 項目の質問,外出,地域活動,健康づくりを目的とした活動,地域のつながりで,健康管理[3 項目],身体的健康度[5 項目],食生活と運動習慣[6 項目],嗜好品[2 項目],心の健康度[3 項目],社会的活動[4 項目]の 6 つに分類した。調査票配付数は4,002件で,有効回収数は1,719件(回収率;43.0%)であった。分類ごとの平均得点±標準偏差は,健康管理1.69±0.98 (N=1,343),身体的健康度6.52±1.51 (N=1,444),食生活と運動習慣12.97±4.36 (N=1,511),嗜好品2.29±0.94 (N=1,518)であり女性が高く,心の健康度5.81±1.80 (N=1,469)は男性が高かった(
P<0.05; Mann-Whitney 検定)。年齢階級別にみると,健康管理は40~50歳代が高く,身体的健康度は70歳以上から20歳代へ段階的に高く,食生活と運動習慣は20歳代から70歳以上へ段階的に高く,嗜好品は20歳代が高く,心の健康度は20~30歳代が低く40歳代から70歳以上へ段階的に高く,社会的活動1.93±0.87 (N=1,539)は40歳代以降で高い傾向が示された(
P<0.05;Kruskal-Wallis 検定)。
結論 住民の健康づくりを可視化するチェック表を作成し,多面的に点数化を試みたところ,個人が生活習慣を振り返ることができ,集団や地域の健康づくりへの傾向を把握できることが示唆された。
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