日本公衆衛生雑誌
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64 巻 , 2 号
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原著
  • 福川 京子, 岡本 玲子, 小出 恵子
    2017 年 64 巻 2 号 p. 61-69
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/16
    ジャーナル フリー

    目的 保健師に活動の対象とめざす成果の記述を求め,活動計画等の説明に必要な構文の要素(活動の対象,成果の内容,時間,程度)の有無とその内容の実態を検討する。

    方法 無作為抽出した全国自治体の常勤保健師を対象に,平成22年11~12月に自記式質問紙調査を行った。活動の対象とめざす成果の記述は構文完成型設問で求め,各要素の有無別の人数分布と記述内容,一連の記述内での要素の「記述あり」を合計した要素数(要素数 4,要素数 3,要素数 2,要素数 1,要素数 0)別の人数分布,要素数と属性(保健師経験年数,所属)との統計的関連を確認した。各要素の記述内容は,類似する意味ごとに分類し,分析した。

    結果 調査票配布数1,615,回収数1,088(67.4%),有効回答数961(59.5%)であった。活動の対象の要素の「記述あり」は81.0%,成果の内容の要素は58.8%,時間の要素は3.4%,程度の要素は18.5%であった。その記述内容は,活動の対象の要素は特定の属性や範囲,成果の内容の要素は健康指標や行動変容等に関する具体的な健康課題等,時間の要素は年度や年数などの期限等,程度の要素は全・無および特定の率・割合・数等であった。「記述なし」に該当した内容は,抽象的なビジョンであるか,活動の対象の成果ではなく自分自身の活動内容や状態を表すものが多かった。要素数別の結果は,要素数 4 が2.4%,要素数 3 が15.6%,要素数 2 が33.8%,要素数 1 が37.7%,要素数 0 が10.5%であり,要素数の減少において主に時間,程度,成果の内容,活動の対象の順に要素が欠落する傾向が観察された。要素数 4 の保健師は保健師経験年数が最も長く,所属は都道府県での割合が高かったが,要素数別の相関比および連関係数は0.1未満であった。

    結論 保健師による活動の対象とめざす成果の記述において,構文の要素をすべて含むものはわずかであり,とりわけ時間および程度の要素の記述が少なかった。要素の記述がない場合,抽象的あるいは保健師活動実績を表す内容が多かった。保健師には,対象の具体的な健康課題等の成果の内容と,その達成時期および数量的な程度を記述することに課題がある可能性が示唆された。

  • 堀越 直子, 大平 哲也, 安村 誠司, 矢部 博興, 前田 正治, 福島県県民健康調査「こころの健康度・生活習慣に関する調査」グループ
    2017 年 64 巻 2 号 p. 70-77
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/16
    ジャーナル フリー

    目的 福島県立医科大学では,福島県からの委託を受け,東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射線の健康影響を踏まえ,将来にわたる県民の健康管理を目的とした「県民健康調査」を毎年実施している。そのうち,平成23年度「こころの健康度・生活習慣に関する調査」の生活習慣支援対象者(高血圧・糖尿病)に対し,看護師・保健師等が実施した電話支援の効果,特に次年度の調査票への回答および医療機関受診の勧奨効果を明らかにすることを目的とした。

    方法 平成23年度「こころの健康度・生活習慣に関する調査」の生活習慣支援対象者(高血圧・糖尿病)1,620人をベースラインデータとし,平成24年度「こころの健康度・生活習慣に関する調査」の結果との関連を縦断的に検討した。

    結果 平成23年度の生活習慣支援対象者で,電話支援を実施した者(以下,電話支援者)は1,078人,電話番号の未記載や留守等で電話支援を実施しなかった者(以下,電話未支援者)は542人であった。単変量解析の結果,電話支援実施の有無で,居住場所(P=0.001),教育歴(P<0.001),就業状況(P<0.001)に違いがみられた。

     平成24年度調査票への回答者数は,電話支援者が616人(57.1%),電話未支援者が248人(45.8%)であり,電話未支援者に比べ電話支援者の平成24年度調査票回答率は高く,統計的に有意であった(P<0.001)。また,平成24年度調査票への回答の中で,医療機関に受診したと記載のあった者は,電話支援者が184人(29.9%),電話未支援者が68人(27.4%)であり,電話未支援者に比べ電話支援者の受診者の割合は高かったが,統計的に有意差はなかった。

     多変量解析の結果,平成24年度調査票への回答には,電話支援を受けた者であることが有意に関連した(P=0.016)。

    結論 電話支援者は電話未支援者に比べ,次年度の調査票回答率が有意に高く,電話支援の取り組みは,調査票回答率の向上に有効であると考えられる。

公衆衛生活動報告
  • Chiharu AOYAGI, Shiomi KANAIZUMI, Kumiko SHIKAMA, Keiko SAKOU
    2017 年 64 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/16
    ジャーナル フリー

    Objectives To offer an empirical lens—based on the account of a yogo teacher employed at a temporary school in the community where she was relocated after experiencing the Great East Japan Earthquake alongside her students—into the subjective experience of health support activities carried out during the year immediately following the disaster.

    Method An interview was conducted with one yogo teacher who experienced the Great East Japan Earthquake, employed at a public junior high school in the region to where she was evacuated. Analysis involved a narrative approach whereby the yogo teacher's story was rewritten as a story in chronological order.

    Results The immediate course of events following the disaster was divided into three periods and examined. Period 1: The yogo teacher first experienced the earthquake and was forced to evacuate alongside her students, during which time she felt strong [sense of loss] and [sense of despair]. Period 2: At the reopening of the school in temporary classrooms, she believed her top priority was doing what she could as a yogo teacher and contributing to reopening the school, while working with other teaching staff to make the most of their surroundings. The school's reopening brought a significant sense of security and joy to students. This led her to [finding hope], and she recovered her positive attitude. Subsequently, problems manifested such as bullying and violence. She believed that [being there for the children] was the most important thing she could do as a yogo teacher and continued to provide [emotional care]. Period 3: At the time of completion of a temporary school building, she was [confused and explored] the delay of the children's recovery from emotional problems. She coordinated with a university professor of psychology to conduct classes to alleviate students’ tension and stress using strategies such as relaxation techniques. She realized the importance of initiatives that involve [a keen sense of connection and joy].

    Conclusion The yogo teacher interviewed for this study, despite being affected by the disaster herself, was always thinking about what she could do to address the various health problems that troubled her students, flexibly promoting health support activities in cooperation with school faculty and mental health professionals. Through these health support activities, she realized that these activities should be accomplished not solely by the yogo teacher, but by bringing together various teachers and professionals in- and outside of the school.

資料
  • 宮脇 梨奈, 石井 香織, 柴田 愛, 岡 浩一朗
    2017 年 64 巻 2 号 p. 85-94
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/16
    ジャーナル フリー

    目的 主要メディアのひとつである新聞に掲載されたがん予防関連記事の掲載頻度およびその内容について検討することを目的とした。

    方法 2011年に発行された全国紙 5 紙(読売,朝日,毎日,日本経済,産経新聞)の朝夕刊に掲載されたがん予防関連記事を対象に,掲載紙,掲載月,朝夕刊,情報元を確認した。その上で,予防記事に対しては,人のがんにかかわる要因の記載の有無,そのうち生活習慣関連要因(喫煙,食物・栄養,飲酒,運動・身体活動,肥満)が記載された記事では予防,リスク,推奨基準の記載の有無,および詳細内容を確認した。検診記事に対しては,検診部位,対象者,受診間隔の記載の有無,および受診を促進する内容であるかを確認した。

    結果 がん予防関連記事は全国 5 紙のべ272件(がん関連記事全体の5.1%)確認され,そのうち予防は208件で取り扱われていた。また,記載された人のがんにかかわる要因では,食物・栄養が56件,持続感染が40件,喫煙が32件と多かった。生活習慣関連要因の中でも飲酒(12件),運動・身体活動(11件),肥満(10件)は少なかった。また,食物・栄養以外では予防よりもリスクの取り扱いが多く,推奨基準の記載はのべ13件であった。一方,検診について取り扱う記事は92件であった。その中では,乳がん検診が31件と最も多く,その他のがん検診は20件に満たなかった。また,検診対象者や受診間隔は7件,検診受診を促進する内容は39件の記事で記載されていた。

    結論 新聞においてがん予防関連記事は取り上げられているものの十分とは言えず,掲載されていた記事においても取り扱われる生活習慣関連要因や検診部位には偏りがあり,具体的な基準を示す記事は少ないことが明らかとなった。新聞の影響力を考えると,今後はいかに,具体的な予防行動やその基準,検診対象者や受診間隔などを含めた記事の取り扱いを増やしてもらうかを検討する必要性が示唆された。

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