目的 バヌアツ共和国の小学校高学年における喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験に関連する要因を明らかにする。
方法 バヌアツ共和国の都市部と地方部の小学 6, 7, 8 年生を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。主な調査項目は,基本属性(性別,年齢,学年),喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験,食品に対する認識,非感染性疾患に関する知識,健康行動に対する態度,嗜好品への関心,保護者からの健康に関する助言頻度,保護者の喫煙・飲酒・カヴァ飲用であった。分析は,喫煙・飲酒・カヴァ飲用の各嗜好品別に,単変量解析を用いて経験群と未経験群との比較分析を行い,嗜好品の使用経験に関連する要因について検討した。さらに単変量解析で
P<0.05で有意差のみられた変数を独立変数,嗜好品の使用経験を従属変数とするロジスティック回帰分析を行った。解析には統計解析ソフト SPSS for Windows.Ver18.0を用い,有意水準は
P<0.05とした。
結果 質問紙の回収率と有効回答率は100%で,都市部 1 校194人,地方部 3 校221人,合計415人を分析対象とした。分析対象者のうち,各嗜好品の使用経験者は,喫煙33人(8.0%),飲酒51人(12.4%),カヴァ飲用24人(5.8%)であった。
ロジスティック回帰分析の結果,喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験の間にはそれぞれ有意な関連があり,3 種類の中のどれか 1 種類の嗜好品の使用が他の嗜好品使用の促進要因となることが示唆された。嗜好品別では,喫煙には家族の喫煙と性別,飲酒経験には,学年,飲酒への関心,市販食品ならびにローカル食品が好きという認識,カヴァ飲用経験にはカヴァ飲用への関心,適量飲酒に対する健康態度,ローカル食品は健康的という認識が有意に関連していた。
結論 生徒の喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験には,他の嗜好品の使用経験,食品への認識,嗜好品への関心,家族の嗜好品使用が有意に関連していた。したがってバヌアツ共和国において未成年からの喫煙,飲酒,カヴァ飲用を予防するための介入策を考える上ではこれらの要因を考慮することが必要である。
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