日本公衆衛生雑誌
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61 巻, 12 号
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原著
  • 川上 諒子, 村上 晴香, 宮武 伸行, 澤田 亨, 樋口 満, 宮地 元彦
    2014 年 61 巻 12 号 p. 705-717
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/09
    ジャーナル フリー
    目的 本研究は,「健康づくりのための身体活動基準2013」で推奨されている身体活動量の基準(3 メッツ以上の強度の身体活動を23メッツ・時/週)および身体活動量の方向性(身体活動量を今より少しでも増やす。たとえば毎日10分長く歩く:プラス・テン)を満たすこととメタボリックシンドロームとの関連について横断的に検討した。
    方法 対象者は,23歳から64歳までの成人男女906人であった。3 次元加速度計を用いて,3 メッツ以上の身体活動量を客観的に測定し,身体活動量の基準の達成を評価した。身体活動量の基準達成と日本の診断基準に基づくメタボリックシンドロームとの関連について検討するため,多変量ロジスティック回帰モデルを用いて調整オッズ比および95%信頼区間を求めた。さらに,身体活動量の方向性との関連について検討するため,1 日10分の歩行に相当する3.5メッツ・時/週の身体活動量の増加ごとの調整オッズ比を求めた。
    結果 メタボリックシンドロームの該当者は40人(4.4%),メタボリックシンドローム予備群は93人(10.3%)であった。身体活動量の基準未達成者に対する達成者のメタボリックシンドローム予備群以上の調整オッズ比(95%信頼区間)は,0.49(0.33-0.74)と有意な関連が認められた。また,3.5 メッツ・時/週ごとの身体活動量の増加に対する調整オッズ比は,0.92(0.87-0.98)と有意な負の量反応関係が認められた。
    結論 身体活動量の基準や身体活動量の方向性(プラス・テン)を満たすことは,メタボリックシンドロームの低い頻度と関連することが示唆された。
  • 中世古 恵美, 松田 宣子, 小寺 さやか
    2014 年 61 巻 12 号 p. 718-731
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/09
    ジャーナル フリー
    目的 バヌアツ共和国の小学校高学年における喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験に関連する要因を明らかにする。
    方法 バヌアツ共和国の都市部と地方部の小学 6, 7, 8 年生を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した。主な調査項目は,基本属性(性別,年齢,学年),喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験,食品に対する認識,非感染性疾患に関する知識,健康行動に対する態度,嗜好品への関心,保護者からの健康に関する助言頻度,保護者の喫煙・飲酒・カヴァ飲用であった。分析は,喫煙・飲酒・カヴァ飲用の各嗜好品別に,単変量解析を用いて経験群と未経験群との比較分析を行い,嗜好品の使用経験に関連する要因について検討した。さらに単変量解析で P<0.05で有意差のみられた変数を独立変数,嗜好品の使用経験を従属変数とするロジスティック回帰分析を行った。解析には統計解析ソフト SPSS for Windows.Ver18.0を用い,有意水準は P<0.05とした。
    結果 質問紙の回収率と有効回答率は100%で,都市部 1 校194人,地方部 3 校221人,合計415人を分析対象とした。分析対象者のうち,各嗜好品の使用経験者は,喫煙33人(8.0%),飲酒51人(12.4%),カヴァ飲用24人(5.8%)であった。
    ロジスティック回帰分析の結果,喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験の間にはそれぞれ有意な関連があり,3 種類の中のどれか 1 種類の嗜好品の使用が他の嗜好品使用の促進要因となることが示唆された。嗜好品別では,喫煙には家族の喫煙と性別,飲酒経験には,学年,飲酒への関心,市販食品ならびにローカル食品が好きという認識,カヴァ飲用経験にはカヴァ飲用への関心,適量飲酒に対する健康態度,ローカル食品は健康的という認識が有意に関連していた。
    結論 生徒の喫煙,飲酒,カヴァ飲用経験には,他の嗜好品の使用経験,食品への認識,嗜好品への関心,家族の嗜好品使用が有意に関連していた。したがってバヌアツ共和国において未成年からの喫煙,飲酒,カヴァ飲用を予防するための介入策を考える上ではこれらの要因を考慮することが必要である。
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