日本公衆衛生雑誌
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56 巻, 8 号
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原著
  • 平井 寛, 近藤 克則, 尾島 俊之, 村田 千代栄
    2009 年 56 巻 8 号 p. 501-512
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    目的 本研究では,地域在住高齢者9,702人を 3 年間追跡し,要介護認定のリスク要因の検討を行った。
    方法 2003年10月,東海地方の介護保険者 5 市町の協力を得て,各市町に居住する65歳以上で要介護認定を受けていない高齢者24,374人を対象とした自記式アンケート郵送回収調査を行った。調査回答者は12,031人(回収率49.4%)であった。このうち,性別,年齢を回答していない者(n=1387),歩行,入浴,排泄が自立していないまたは無回答の者(n=905),2003年10月31日までに要介護状態になった者,死亡した者(n=37)を除いた9,702人を分析対象とし2006年10月まで 3 年間追跡した。
     目的変数(エンドポイント)は要介護認定とした。説明変数として年齢,家族構成,等価所得,教育年数,治療中の疾病の有無,内服薬数,転倒,咀嚼力,BMI,聴力障害,視力障害,排泄障害,老研式活動能力指標,うつ,主観的健康感,飲酒,喫煙,一日当たりの平均歩行時間,外出頻度,友人との交流,社会的サポート,会参加,就労,家事への従事を用いた。
     Cox 比例ハザード回帰分析を用いて,要介護認定についてのハザード比を求めた。分析は男女別に行った。分析にはすべて SPSS 12.0J for Windows の Cox 比例ハザード回帰を用いた。
    結果 3 年の追跡期間中の死亡は520人,要介護認定838人,重度要介護認定380人であった。転出等による追跡打ち切りが103人であった。男女共通して要支援以上の要介護認定の高いリスクと関連していることが示されたのは,年齢高い,治療中の疾病あり,服薬数多い,一年間の転倒歴あり,咀嚼力低い,排泄障害あり,生活機能低い,主観的健康感よくない,うつ状態,歩行時間30分未満,外出頻度少ない,友人と会う頻度月 1 回未満,自主的会参加なし,仕事していない,家事していないこと,であった。
    結論 要介護に認定に関連するリスク要因を明らかにした。これらに着目した介護予防プログラムの開発が必要である。
  • 栗盛 須雅子, 福田 吉治, 大田 仁史
    2009 年 56 巻 8 号 p. 513-524
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/06/13
    ジャーナル フリー
    目的 平均余命と加重障害保有割合(以下,WDP)に基づいて都道府県を分類し,地域保健医療福祉指標を用いてグループの地域特性を明らかにすることを目的とした。
    方法 WDP は介護保険統計と効用値を用いて算出した。65歳平均余命と65~89歳年齢調整 WDP に関して階層的クラスター分析を行い,各クラスターと地域保健医療福祉指標との一元配置分散分析と Games-Howell 法による多重比較を行った。その後,クラスター間の変数の平均値の差からグループの特性を比較検討した。
    結果 4 つのクラスター解を採用し,各グループは65歳平均余命と65歳以上年齢調整 WDP の平均値に基づいて,長余命低障害群,長余命高障害群,短余命低障害群,短余命高障害群と呼ぶこととした。男性は,長余命高障害群は老人医療費と介護保険給付額,および医師数が短余命低障害群より有意に高かった(順に,P<.01, P<.05, P<.01)。また,長余命高障害群は,心疾患死亡率と脳血管疾患死亡率が短余命低障害群より有意に低かった(順に,P<.01, P<.001)。 女性は,長余命高障害群は老人医療費と介護保険給付額が短余命低障害群より有意に高かった(それぞれ,P<.05)。また,長余命低障害群は,悪性新生物と心疾患死亡率が短余命高障害群より有意に低かった(順に,P<.05, P<.01)。
    結論 都道府県を同じような地域特性をもつグループに分類し,他の自治体と比較検討し,グループの地域特性を明らかにすることは,地域の現状の客観的把握,施策の目標の設定,客観的な施策の評価に役立ち,意義があると考えた。
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