日本公衆衛生雑誌
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61 巻 , 11 号
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研究ノート
  • 山縣 恵美, 木村 みさか, 三宅 基子, 山田 陽介, 桝本 妙子, 渡邊 裕也, 吉田 司, 横山 慶一, 吉中 康子, 杉原 百合子, ...
    2014 年 61 巻 11 号 p. 671-678
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/11
    ジャーナル フリー
    目的 高齢者の閉じこもり予防を考えるうえで,外出が減りつつある高齢者等,閉じこもりリスクのある者も含めた支援は重要である。そこで,本研究は地域の身体機能測定会に参加した自立高齢者を対象に,閉じこもりの実態を,閉じこもり予備群も含めて把握した。さらに,閉じこもりとそのリスクの状況と体力との関連を明らかにし,リスク要因を視野に入れた高齢者の閉じこもり予防につなげる基礎資料を得ることを目的とした。
    方法 京都府亀岡市在住で要介護 3~5 の者を除く全高齢者に日常生活圏域ニーズ調査を実施した。有効回答者13,159人(72.2%)のうち,全23地区から抽出した10地区に居住する要支援・要介護を除く自立高齢者(4,859人)に身体機能測定会の案内を行い,測定会に参加した1,328人(男性647人,女性681人)を対象とした。解析項目は,質問紙より,基本属性 4 項目と厚生労働省の介護予防のための「基本チェックリスト」から閉じこもりに関する 2 項目,身体機能測定から,体格および体力測定12項目と総合的な体力指標 FAS(Fitness Age Score)を用いた。閉じこもりとそのリスクの状況と体力との関連については,閉じこもりに関する 2 項目を用いて区分した 3 群(閉じこもり群,閉じこもり予備群,非閉じこもり群)の間で,男女別に年齢を共変量にした共分散分析を用いて体力の平均値を比較した。
    結果 閉じこもり高齢者の割合は,男性で約 5%,女性で約 6%であった。閉じこもり予備群は,男女とも25%程度を占めていた。体力の平均値は,男女ともに,非閉じこもり群,閉じこもり予備群,閉じこもり群の順に低値を示した。非閉じこもり群と閉じこもり群で有意差が認められた項目は,男性は片足立ち(開眼・閉眼),垂直跳び,長座位体前屈,握力を除く 7 項目および FAS,女性は10 m 歩行時間(通常速度・最大速度),Timed Up and Go(TUG),チェアスタンドの 4 項目であり,女性より男性で関連する体力項目が多かった。
    結論 対象者は身体機能測定会に実際に参加した比較的意欲の高い高齢者と考えられるが,5%が閉じこもり,25%がその予備群と判定され,とくに閉じこもり群で低体力を示した。以上より高齢者の外出行動には,体力が関連することが示された。女性においては,他の要因の関与も考えられるが,本結果は,男女ともに高齢者の体力の維持・向上が閉じこもり予防につながる可能性を示唆するものと考える。
  • 遠又 靖丈, 辻 一郎, 杉山 賢明, 橋本 修二, 川戸 美由紀, 山田 宏哉, 世古 留美, 村上 義孝, 早川 岳人, 林 正幸, 加 ...
    2014 年 61 巻 11 号 p. 679-685
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/11
    ジャーナル フリー
    目的 介護保険の統計資料を用いた研究において,健康日本21(第二次)の目標である「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」は,2011年から要介護 2 以上の認定者数が 1 年ごとに 1%ずつ徐々に低下した場合(健康寿命延伸シナリオ)に2020年に達成されうることが報告されている。本研究は,この健康寿命延伸シナリオを達成した場合の介護費・医療費の節減額を推定した。
    方法 要介護認定区分別の介護費・医療費(人口一人あたりの平均)の基礎資料として,介護給付費実態調査と宮城県大崎市の調査データを用いた。2011~2020年の自然経過(現状シナリオ)の要介護認定者数は,将来の人口構成が「日本の将来推計人口」のとおりで,年齢階級別の要介護認定者(要介護 2 以上で区分別)の出現割合が2010年と同じである場合とし推定した。次に,健康寿命延伸シナリオ達成による要介護認定者の減少人数を算出した上で,介護費・医療費の推定節減額を算出した。
    結果 各年次の要介護 2 以上の減少分がすべて「認定なし」に移行すると仮定した場合,2011~2020年の累計で 5 兆2,914億円が節減されると推定された。さらに要介護 2 以上の減少分がすべて「要介護 1」に移行すると仮定した場合,同期間の累計で 2 兆4,914億円が節減されると推定された。
    結論 健康日本21(第二次)の達成によって約 2 兆 5 千億円~5 兆 3 千億円の介護費・医療費の節減という,健康づくり政策の投資効果の目安が明らかとなった。
資料
  • 松下 宗洋, 澤田 亨, 中潟 崇, 西 信雄, 奥田 奈賀子, 宮地 元彦
    2014 年 61 巻 11 号 p. 686-692
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/11
    ジャーナル フリー
    目的 国民健康・栄養調査における歩数の平均値は,健康日本21における身体活動・運動分野の評価に用いられるとともに,国民の身体活動や運動に関する代表的なデータとして利用されている。本研究は,国民健康・栄養調査における歩数のデータの特性を明らかにすることを目的とした。
    方法 2008年から2010年の計 3 年分の国民健康・栄養調査のデータのうち,1 日の歩数および歩数計装着状況のデータがある21,914人を対象として分析を行った。栄養摂取状況調査票の身体状況調査項目における歩数計の装着状況として終日歩数計を装着したと回答した群を「終日装着群」とし,「非終日装着群」との平均値,中央値,外れ値,度数分布の比較を行った。
    結果 2008年,2009年,2010年における「非終日装着群」の割合は,すべての測定年において全体の約 8%であった。各年の平均歩数は,「終日装着群」が「非終日装着群」より1,076から1,472歩高い値を示していた。また,両群ともに外れ値が存在し,度数分布については両群とも歩数の多い方に裾を引いていることが確認された。それに伴い,平均値は中央値よりも約600歩多い値を示していた。
    結論 国民健康・栄養調査の歩数のデータには歩数計を終日装着していない約 8%の者が含まれ,データが正規分布を示さないことから,国民の身体活動や運動に関する代表値として利用する際にはデータの特性を考慮する必要があると考えられる。
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