目的 本研究の目的は,2011年夏季の電力不足という環境変化による節電への態度が,身体活動増減認識と関連したかどうかを明らかにすることであった。
方法 首都圏•京阪神圏都市部の20~79歳の2,400人に,Web 調査を実施した。主な質問項目は,節電への態度(努力,受容,憤怒の 3 項目)と,4 つの場面における身体活動の増減認識(歩く時間,階段の昇り降りや自転車に乗る機会,自宅や職場での身体活動,運動•スポーツ機械)であった。人口統計学的要因を調整したロジスティック回帰分析により,両者の関連性を検討した。
結果 電力不足による節電に対する態度の「努力」は,「歩く時間(Odds Ratio:1.44, 95%Confidence Interval:1.11–1.89)」,「自転車乗車機会と階段昇降(OR:1.61, 95%CI:1.23–2.12)」,「自宅や職場での身体活動(OR:1.53, 95%CI:1.18–2.00)」の増加認識と関連していた。また,「受容」は,「自転車乗車機会と階段昇降(OR:1.50, 95%CI:1.12–2.02)」,「自宅や職場での身体活動(OR:1.50, 95%CI:1.13–2.00)」の増加意識と有意に関連していた。一方,「憤怒」は,「歩く時間(OR:0.80, 95%CI:0.66–0.95)」,「自転車乗車•階段昇降(OR:0.79, 95%CI:0.65–0.96)」の増加認識とは否定的な関連する一方,「運動•スポーツ機会(OR:0.84, 95%CI:0.70–1.02)」の減少と肯定的な関連を示した。
結論 電力不足による社会的取り組みを前向きに受け入れ,自らも節電努力をしようとする態度を持っていることが,身体活動が増加したと認識することと関連していることが示唆された。
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