Cephalosporin系抗生物質は, グラム陽性, 陰性菌に対してBactericidalに作用し, Broad-spectrum antibioticであり,
Cephalosporium acremoniumから得られる7-Aminocephalosporanic acidを母核としている。Cephalothin (CET) が1962年に合成されて以来, Cephaloridine (CER), Cephaloglycin (CEG), Cephalexin (CEX), Cefazolin (CEZ) が登場した。
Cephapirin (CEP) は, 1970年, 米国ブリストルによつて合成されたCephalosporin系抗生物質で, 右記の構造式をもち, 化学名はSodium7-(pyrid-4-yl-thioacetamido) cephalosporinateである。
CEPの毒性は, マウスでLD
505,000mg/kg以上 (i. v.), ラットで5,000mg/kg以上 (i. v.) および12,000mg/kg以上 (経口) と, きわめて毒性は低く, 軸物実験で, 亜急性毒性, 催奇形毒性もみとめられていない1)。
CEPの安定性は, パイアル保存で, 2年間安定であり, その水溶液の抗菌活性の低下も1~2日では問題とならない。
CEPの抗菌力については, 構造の類似しているCephalothin (CET) と, ブドウ球菌, 耐性ブドウ球菌等に対しては, ほぼ同程度であるが, 溶血性レンサ球菌, 肺炎球菌に対しては, CETより感受性が優れていると報告されている2)。
CEPの健康志願者による筋肉内投与時の血中濃度は, かなり良好な値を示している。また, 血中半減期は, 平均0.62時間と比較的早いようである3)。
著者らは, 今回, この新Cephalosporin系合成抗生剤を入手する機会を得たので, 耳鼻咽喉科領域における急性感染症に対するCEP投与の臨床経験について報告する。
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