The Japanese Journal of Antibiotics
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45 巻, 12 号
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  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 鈴木 香苗, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1609-1621
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1991年の後半において, 当所に全国の医療機関から送付されてきた臨床分離株, 及び各種感染症患者採取材料から分離・同定した臨床分離株の中から, 主として外来患者由来と考えられる株を対象にして, Rokitamycin (RKM) に対する抗菌活性を検討することを目的に対照薬剤を加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結論を得た。
    1. 供試400株のMacrolides系抗生物質 (MLs) 高度耐性株 (MIC値≥100μg/ml)の耐性パターンは55に分類されたが, 交叉耐性の割合はStaphylococcus spp. においては14員環MLsのErythromycin (EM) とClarithromycin (CAM) が100%, EMとOleandomycin (OL) は85.2%であった。16員環MLs高度耐性株は14員環MLsに比較して低率であつたが, 16員環MLs間の交叉耐性の割合は, Acetylmidecamycin (MDM-AC) とKitasamycin (Leucomycin (LM)) は100%, MDM-ACとJosamycin (JM) は93.3%, MDM-ACとRKMは53.3%であった。一方, Streptococcus spp., Peptostreptococcus spp. のそれは14員環MLsと16員環MLsにほぼ共通の耐性パターンを示したが, RKMには相関を示さなかった。
    なお, Anaerobic streptococci, Bacteroides fragilis groupでは大部分が14員環MLsと16員環MLsに共通の耐性パターンを示したが, 一部にはStaphylococcus spp. と類似のパターンも認められた。
    2. 1975~1980年, 1986年, 及び1989年分離株と今回の検討成績を比較したMLs耐性菌の経年的推移は, Staphylococcus aureusはほぼ横ばい状況, Streptococcus pyogenesは1975~1980年分離株に比較して割合が低下しているが, Streptococcus pneumoniaeには経年的な増加が認められた。
    3. 臨床分離株のMLs耐性の多くは誘導型であるが, そこにおける誘導には薬剤間に差があり, 14員環MLsにおいては強く, 16員環MLsにおいても生じる。そして, 16員環MLsの中にあつてはRKMの誘導性が最も低いことが示唆された。これらのことから, RKMは1990年代を迎えた今日においても, 臨床的に有用性の高いMLsの一つとの結論を得た。
  • 望月 康弘, 金指 秀一, 秦 大資, 大久保 秀夫, 伊藤 節子, 真弓 光文, 三河 春樹
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1622-1634
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規セフェム系経口用抗生物質Cefprozilについて臨床的検討を行い, 以下の結論を得た。
    1. 本剤1日15.3~60.0mg/kgを3~4回に分け, 経口投与した42例 (扁桃炎,咽・喉頭炎19例, 肺炎13例, 頸部化膿性リンパ節炎2例, 尿路感染症2例, 猩紅熱, 中耳炎, 化膿性耳下腺炎, 伝染性膿痂疹, 節,急性腸炎各1例) に対する臨床効果は, 著効24例, 有効14例, やや有効4例で有効率は90.5%であつた。
    2. 除菌効果については, 検討し得た28例のうち19例で消失し, Staphylococcus aureusが分離された1例で減少した。
    3. 投与期間は3~10日間で, 副作用としては, 下痢の2例で本剤との関係が疑われたが, 1例は投与中止後速やかに軽快した。他の1例は継続投与で軽快した。臨床検査値では, 好酸球増多の2例で本剤との関係が疑われ, 他の1例において投与後のS-GOT, S-GPTが軽度上昇していたが, 本剤との関係は明らかでない。
    4. 以上の結果から, 本剤は小児の各種急性感染症に対して有用な抗生物質であると思われた。
  • 禹 満, 東野 博彦, 圀府寺 美, 中村 眞紀子, 河崎 裕英, 木野 稔, 小林 陽之助
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1635-1641
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口セファロスポリン系抗生物質Cefprozii (CFPZ, BMY-28100) の細菌学的及び臨床的検討を行つた。
    34例の患者に, CFPZを1日7.7~36.2mg/kgで3回に分けて経口投与した。
    臨床的検討は全身状態が極めて不良のため投与2日目で中止した1例を除く33例 (急性肺炎3例, 急性気管支炎2例, 急性上気道感染17例, 尿路感染症4例, 化膿性リンパ節炎1例, その他の軟部組織感染6例) について行つた。臨床効果はウイルス感染が示唆された2例を除く31例について評価し, 著効8例, 有効23例で, 有効率100%であつた。
    細菌学的効果は9株中6株 (66.7%) に菌の消失がみられた。CFPZの抗菌力は, Cefaclorより強い活性を示した。
    副作用及び臨床検査値異常は2例に認められ, 悪心・顔面蒼白を示したもの1例, 好酸球増多がみられたもの1例であつた。
    以上から, CFPZは小児科領域感染症の治療において, 安全で有用な薬剤と期待される。
  • 春田 恒和, 筒井 孟, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 小林 裕
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1642-1649
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児細菌感染症16例 (8カ月~9歳6カ月) に対してCefprozil (CFPZ, BMY-28100) 細粒1日29.4~35.7mg/kgを3~4回に分割して投与し以下の成績を得た。
    1. 咽頭炎5例, 扁桃炎, 腺窩性扁桃炎各3例, 肺炎, 伝染性膿痂疹各2例, 猩紅熱1例計16例の臨床効果は著効9例, 有効7例で無効例はなく有効率100%であった。
    2. 起炎菌と考えられた17株 (Haemophilus influenzae10株, Haemophilus parainfluenzae2株, Streptococcus pyogenes3株, Staphylococcus aureus 2株) に対する細菌学的効果は不明の1株を除いた16株中, 消失11株, 不変5株で消失率68.8%であつた。不変の5株はすべてHaemophilus属であつた。
    3. 臨床的副作用は認められなかつた。臨床検査値異常として血小板増多2例, 好酸球増多2例認められたが, いずれも問題になるようなものではなかつた。
    4. 全例服薬可能で服薬拒否はなかつた。味, 匂いについては特に問題ないと考えられた。
    5. 以上の成績から, 本剤は小児科外来における細菌感染症に使用しやすい経口剤であり, 1日量30mg/kg, 3~4回に分割して投与すれば所期の効果が得られるものと考えられた。
  • 関口 隆憲, 椎野 芳郎, 村川 和義, 西森 緑, 幸山 洋子, 木原 克明, 岡本 喬
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1650-1657
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) 細粒を急性扁桃炎15例, 急性気管支炎, 尿路感染症各3例, 計21例に使用した。
    臨床効果は著効15例, 有効4例, 無効2例で有効率は90.5%であつた。細菌学的効果では, 起炎菌は全株消失した。副作用については1例に軟便がみられた。検査値異常として好酸球増多が1例にみられた。
    以上の成績からCFPZ細粒は各種の小児細菌感染症に対し有用な薬剤と考えられた。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1658-1662
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症20例 (扁桃炎8例, 気管支炎10例, 化膿性リンパ節炎1例, 尿路感染症1例) にCefprozil (CFPZ, BMY-28100) 細粒を使用し, 下記の結果を得た。
    1日投与量は29~50mg/kgとし, 3回に分割し5~90間経口投与した。臨床的効果は著効16例, 有効4例で, 有効率は100%であった。副作用は認めなかったが, 臨床検査値異常として血小板増多を1例に認めた。
    以上の結果から, CFPZ細粒は小児科領域の各種感染症に対し有用な薬剤と考えられる。
    Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) は1983年ブリストル・マイヤーズスクイブ研究所にて創製された非エステル型の経口用セフェム系抗生物質である。本剤はセフェム骨格の3位に1-Propenyl基を有し, invitm抗菌力においては, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトルを示すが, 特にグラム陽性菌に対して, 強い抗菌力を示す。
    今回我々はCFPZ細粒を小児科領域感染症に対し使用したので報告する。
  • 伊藤 道徳, 武田 英二, 黒田 泰弘
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1663-1666
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    非エステル型の経口セフェム系抗生物質であるCefprozil (CFPZ, BMY-28100) 細粒を小児感染症15例に使用し臨床的検討を行つた。
    対象は10カ月から11歳までの男児6例, 女児9例で, 投与量は185~41.7mg/kg/日, 投与期間は3~8日間であつた。
    臨床効果は著効3例, 有効12例で有効率は100%であつた。副作用として軽度の好酸球増多が1例に認められた。
  • 戒能 幸一, 松本 修平, 貴田 嘉一, 松田 博
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1667-1675
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) の吸収, 排泄並びに有効性と安全性について検討し, 以下の結果が得られた。
    1. CFPZの最高血中濃度は経口投与1時間後に得られ, 2.9~55μg/mlであつた。CFPZの血中半減期は0.9~1.2時間であつた。
    2. 呼吸器感染症16例, 外耳道炎1例に対するCFPZの臨床的有効率は100%で, 細菌消失率は83.3% (5例/6例) であつた。
    3. 臨床分離菌Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus Haemophilus influenzae, Corynebacterium diphtheriaeに対するCFPZのMICは, Cefaclorのそれと比較するとH. influenzaeは同じであるが他はCFPZの方が低値であった。Ampicillinとの比較では, S. aureusに対してはCFPZのMICが低値で, S. pyogenes, C. diphtheriaeに対しては両者ほぼ同等であつたが, H. influenzaeについてはCFPZのMICの方が高値を示した。
    4. CFPZの臨床的副作用としては18例中1例に軽症の下痢が認められただけであつた。又, 臨床検査値の異常として好酸球増多が16例中5例 (31.3%) に認められた。
    以上の結果から, CFPZは小児科領域の感染症に対する第1選択の抗生剤として有用であると考えられた。
  • 脇口 宏, 大石 尚文, 城戸 紳二, 武市 知己, 武田 興二, 吉村 加与子, 野村 伊知郎, 藤枝 幹也, 荒木 久美子, 倉繁 隆信
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1676-1683
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口用セフェム系抗生物質のCefprozil (CFPZ, BMY-28100) による各種小児感染症の治療及び体内動態に関する検討を試み, 以下の結果を得た。
    疾患別有効率は急性気管支炎2例/4例 (50%), 咽頭炎4例/5例 (80%), 喉頭炎0例/1例, 扁桃炎7例/7例 (100%), 伝染性膿痂疹6例/6例 (100%), 節1例/1例, 包皮炎1例/1例で, 全体としては21例/25例 (84%) であつた。
    副作用は1例にだけGOT, GPTの上昇がみられた。
    4例で薬剤の血中濃度の推移, 並びに2例で尿中排泄量を測定し, 血中半減期はBioassay法で1~2時間であつた。投薬後6時間の尿中排泄率はBioassay法で51.8%, 77.8%であった。
    CFPZは小児期の各種感染症に有効かつ副作用が少ないことから, 臨床上, 安全で有用な抗生物質であると考えられた。
  • 本廣 孝, 荒巻 雅史, 織田 慶子, 川上 晃, 古賀 達彦, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 山下 文雄, 田中 耕一, 松隈 義則, 荒木 ...
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1684-1699
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephem系抗生物質 (CEPs) のCefprozil (CFPZ) の細粒を小児の皮膚軟部組織感染症に投与し, これらの症例から分離したStaphylococcus aureus53株の接種菌量106CFU/mlに対して本剤と対照薬としてCEPsのCephalexin (CEX), Cefaclor (CCL) の2剤, Penicillin系抗生物質 (PCs) ではAmpicillin (ABPC), Methicillin (DMPPC), Cloxacillin (MCIPC) の3剤, 計6薬剤の薬剤感受性試験を実施した。臨床投与例は6カ月から10歳8カ月の73例であったが, 臨床効果の判定できた症例は膿痂疹65例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群1例, 節1例, 皮下膿瘍と肛門周囲膿瘍各々3例, 1例, 計71例で, これらの症例に対する1回平均投与量は8.4mg/kg, 1日3回か4回 (3回は57例, 4回は14例) で, 平均6日間投与し, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用と臨床検査値への影響について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. S. aureus53株に対する薬剤感受性試験ではCEPsのCFPZのMICは0.78~3.13μg/ml域が52株98.1%を占め, MIC0.78μg/mlの株が最も多く45株84.9%で, MIC90は1.56μg/mlを示し, Methicillin-resistantS. aureus (MRSA) 1株に対するMICは100μg/mlであつた。CEXとCCLのMIC90はいずれも6.25μg/mlで, MRSA1株に対してのMICは各々200, 100μg/mlであった。PCsのABPC, DMPPC, MCIPCのMIC90はそれぞれ6.25, 3.13, 0.39μg/mlで, CFPZはMCIPCに次ぐ抗菌力を示した。
    2. 71症例に対する主治医判定での臨床効果は全例有効以上で, 非常に優れた成績が得られた。
    3. 症例数の多い膿痂疹についてScoreにより判定したところ, 投与開始3, 5, 7日後に各々52, 39, 20例で判定が可能であつた。その際の有効率はそれぞれ90.4, 100, 100%であった。各判定日について1日投与量別に臨床効果をみると投与開始3日後では22.5~30.0mg/kgと30.1~45.0mg/kgの2群間の比較で有効率は後者が17.2%高く, 著効率でも45.3%と高率であり, 1日投与量は22.5~30.0mg/kgでもよいが30.1~45.0mg/kgを分3か分4で5日間投与すればより優れた臨床効果が得られると思われた。
    4. 細菌学的効果はS. aureus60株で判定でき, すべて消失し, 1日投与量別による違いはなかつた。
    5, 副作用の出現例はなく, 服薬を嫌う症例もなかった。臨床検査値への影響では検査された症例は少なかったが, 異常値を示したものはなかった。
  • 本廣 孝, 荒巻 雅史, 織田 慶子, 川上 晃, 古賀 達彦, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 山下 文雄, 高城 信彦, 岡林 抄由理, 佐 ...
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1700-1735
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生物質cefprozil (CFPZ) の小児用製剤である細粒を種々の細菌感染症に投与し, 分離菌中起炎菌あるいは起炎菌と推定されたグラム陽性球菌のStaphylococcus aureus2株, Streptococcus pyogenes49株, Streptococcus pneumoniae4株の55株, グラム陰性桿菌のHaemophilus influenzae10株, Escherichia coli18株, Proteus mirabilis1株の29株, 計84株の接種菌量106CFU/mlに対しセフェム系抗生物質ではCFPZとCephalexin (CEX), Cefaclor (CCL) の3剤, ペニシリン系抗生物質ではAmpicillin (ABPC), Methicillin (DMPPC), Cloxacillin (MCIPC) の3剤, 計6薬剤を用いMICを測定した。体内動態については7歳1カ月から12歳3カ月の小児9例中各3例に本剤4.0, 7.5, 15.0mg/kgを食前30分に投与し, 血清中, 尿中濃度及び尿中回収率をBioassay法とHigh-performance liquid chromatography (HPLC) 法で測定, 5カ月から12歳5カ月児の咽頭炎34例, 扁桃炎5例, 急性気管支炎8例, 肺炎8例, 猩紅熱52例, 急性化膿性中耳炎4例, 尿路感染症47例, 化膿性リンパ節炎1例, 包皮炎1例, 計160症例に本剤の1回平均投与量8.6mg/kgを1日3回か4回 (3回は130例, 4回は30例) で, 平均7日間投与し, 臨床効果, 細菌学的効果をみると共に, 脱落症例を加えて副作用と臨床検査値異常について検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. CFPZの抗菌力はグラム陽性球菌中S. aureus2株ではMIC0.78μg/mlか1.56μg/mlで, MCIPCのMICに次ぎ小を示した。S. pyogenes49株では全株がMIC≤0.025μg/mlで, ABPCのMICと同じで, 他の4剤のMICより優れた。S. pneumoniae4株ではMIC0.20~1.56μg/ml域を呈し, DMPPCとMCIPCのMICに類似か同じで, CEX, CCLのMICより優れたが, ABPCのMICより大を示した。グラム陰性桿菌中H. influenzae10株ではすべての株がMIC1.56μg/mlか3.13μg/mlで, MIC90は3.13μg/mlを呈し, CCL, DMPPCのMICに類似し, CEX, MCIPCのMICより優れたが, ABPCのMICより大の傾向を示した。E. coli18株までのMICは全株が0.78~50μg/mlに分布し, MIC90は12.5μg/mlで, CEXとCCLのMICに類似し, ABPC, DMPPC, MCIPCのMICより優れた。P. mirabilis1株ではMIC1.56μg/mlで, CCL, ABPCのMICと同じで, CEX, DMPPC, MCIPCのMICより優れた。
    2. 9例中各3例に本剤4.0, 7.5, 15.0mg/kgを投与しての血清中濃度をBioassay法で測定したところ, 各投与群の平均最高濃度は投与1時間後で, それぞれ3.18, 3.88, 8.43μg/mlを示し, 4.0, 75mg/kg投与群と15.0mg/kg投与群間にDose responseがみられ, 平均半減期は各々1.0, 1.2, 1.1時間で類似した。平均AUCはそれぞれ7.8, 9.9, 25.2μg・hr/mlで, 4.0, 7.5mg/kg投与群と15.0mg/kg投与群間にDose responseがみられ, HPLC法による各投与量群のパラメーターの平均はBioassay法に類似した。
    3. 尿中濃度は血清中濃度を測定した同一症例で測定でき, 4.0, 7.5, 15.0mg/kg投与群をBioassay法でみると, その平均濃度は各投与量群共に投与後2~4時間が最高濃度を呈し, それぞれ237.0, 300.3, 1,458.3μg/mlで, 投与後6時間までの平均回収率は各々56.4, 49.8, 46.7%を示し, HPLC法による平均最高濃度, 平均回収率共にBioassay法と著しい違いはなかった。
    4. 160症例に対する臨床効果は157例98.1%が有効以上で, 非常に高い有効率を呈した。
    5. 細菌学的効果は114株について判定でき107株93.9%が陰性化し, 高い消失率を示した。
    6. 脱落症例を加えた166例で, 全例副作用の出現はなかつた。
    7. 臨床検査値では顆粒球減少が1例, 好酸球増多が3例, 血小板増多が1例に出現し, いずれも本剤との関係があるかもしれないとされた。
    以上から, CFPZは小児科領域の種々の細菌感染症中起炎菌と重症度を考慮して選択すれば, 非常に有用な薬剤と言える。
  • 永野 清昭, 前田 秀典, 柳 忠道, 辻 芳郎, 今村 甲, 中山 紀男, 柳島 正博, 福田 晋平
    1992 年 45 巻 12 号 p. 1736-1744
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefprozil (CFPZ, BMY-28100) はグラム陽性・陰性菌に対して広範なスペクトルを有する非エステル型の経口用Cephem系抗生物質である。我々は小児科領域におけるCFPZ10%細粒の基礎的, 臨床的検討を行ったので報告する。
    1. 基礎的検討CFPZ7.5mg/kg, 10mg/kg食後30分投与を行った。平均血清中のピークは投与後1~2時間にあり, Cmaxはそれぞれ3.65±0.24μg/ml, 6.38±3.23μg/mlであった。半減期の平均はそれぞれ0.90±0.16時間, 1.29±0.50時間であった。投与後6時までの尿中排泄率はそれぞれ48.4±1.7%, 41.2±5.1%であった。
    2. 臨床的検討
    対象疾患は咽頭炎4例, 扁桃炎3例, 気管支炎3例, 肺炎5例, 百日咳1例, リンパ節炎1例, 中耳炎1例, 尿路感染症4例の計22例である。臨床効果は著効14例, 有効5例, やや有効1例, 判定不能2例で有効率は95.0%であつた。細菌学的効果では, 分離菌17株に対し, 消失8株, 減少0株, 菌交代5株, 不変4株で菌消失率は765%であつた。副作用, 臨床検査値異常は認めなかった。
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