日本音響学会誌
Online ISSN : 2432-2040
Print ISSN : 0369-4232
47 巻, 12 号
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  • 伊福部 達, 橋場 参生, 松島 純一
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 903-910
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    本論文では、人工喉頭音声や合成音声の音質改善を目的に、母音の自然性を決める要因を調べた。音声の中でも定常な母音は、ほの一様な波形がピッチ周期ごとに繰り返された時間構造を持っている。しかし、まったく同じ形の波形が繰り返されているわけではなく、その形は時間と共に微妙に変化している。ここでは、このような波形の時間変動を「波形ゆらぎ」と呼ぶことにし、繰り返し周期の変化である「ピッチゆらぎ」とは区別し、母音に含まれる波形ゆらぎと音声の自然性の関係を心理物理実験に基づいて調べた。加工音声資料内での自然性の比較実験から、母音の自然性には波形ゆらぎの時間的推移が極めて重要であり、正しい順序で並べられた32個程度のピッチ波形が高い自然性を得る上で必要であることが推論された。また、自然性を決める要因は広い周波数範囲にわたって存在しているが、その中でも、高調波成分の周りの∓18Hz程度の側波が重要であることが推論された。更に、試作したパイプ挿入式電気人工喉頭音声による評価実験でこれらの推論を裏付けるような結果が得られた。
  • 石田 明, 小畑 秀文
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 911-917
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    音声認識装置を例にとって考えると、音声信号処理の分野で雑音処理は重要な研究課題である。特に背景雑音は、音声入力と間違えて応答する原因になるなど、認識率の著しい低下を招く。この問題は、実環境に存在する様々な非定常な雑音、とりわけ、ドアの開閉音のような継続時間の短いものに起因することが多く、この種の雑音対策は単純ではなく、より高度な雑音処理技術が必要とされる。本論文は、雑音環境の中の継続時間の短い非定常雑音と人間の音声とを区別する手法について述べたものである。本手法は、雑音と音声とを区別する重要な手掛かりとして、母音らしい部分を含むか否かの情報を用いることとし、そのための特徴量として周期性/ピッチ周波数/最適線形予測次数/5母音との距離/第1ホルマントのQという五つの特徴量を選定した。本論文では、この特徴量について詳細に検討を行い、特徴量の分布とそれらの変化パターンとを用いることで、音声と非音声の区別を高精度に行うことができることを示す。また、この手法をS/N比の低下した信号に対して検討を行い、耐雑音性の点でも優れた特徴量であることを示す。
  • 押野 康夫, 上玉利 恒夫, 橘 秀樹
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 918-927
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    大型自動車の発生騒音を主要音源別に分離して測定する方法に関して、鋭い指向性を持つマイクロホンアレーを用いる方法に着目し、基礎的検討と実験的検討を行った。まず、定速度で移動する二つの音源からなる複合音源に本手法を適用したときに生じる測定システムの時定数によるピークレベルの低下量を理論的に求め、その補正方法を検討した。その妥当性を確認するために、音響パワーレベルが既知の二つの無指向性スピーカを乗用車のルーフ上に搭載して移動させ、本手法を適用して個々の音源の音響パワーレベルを分離して測定したところ、あらかじめ測定しておいた値とほぼ等しい結果が得られた。実際の測定として、大型トラックを用いてテストコースにおける実車走行実験を行った。この実験では、大型車を前部音源(エンジン)と後部音源(タイヤ)の二つからなる複合音源と見なし、それぞれの音源のパワーレベルを本手法によって分離して測定した。その結果から、装着タイヤの種別、積載量及び車両の違いによるエンジン及びタイヤの発生騒音の変化について検討した。
  • 小室 修, 粕谷 英樹
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 928-934
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    本論文では、基本周期のゆらぎと振幅のゆらぎを独立に制御できる新しい分析合成システムを用いて、正常音声の場合について、基本周期ゆらぎのどのような性質が音声の声質に寄与しているかを調べた。聴取実験により、定常母音においては、基本周期ゆらぎのトレンド成分(遅い成分)が原音声の品質を保持するために特に重要であることが分かった。そこで、トレンド成分の特徴を簡単に制御できる基本周期ゆらぎの生成モデルを提案した。聴取実験により、提案したモデルによるゆらぎの方が正規性白色雑音のゆらぎよりも、原音声の品質を保存する上で優れていることが分かった。また、基本周期が大きく変化する非定常母音では、基本周期の変化の概形を保存するだけで原音声の品質を保存することが分かった。
  • 三井田 惇郎, 浮貝 雅裕, 新谷 泰男, 兼先 愛実, 山崎 亨
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 935-940
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    本研究では、三つのフレームメモリにそれぞれ積分時間の異なる画像蓄積を行い、それらの画像データ間で定められた演算を行って、背景画像や移動体画像に埋め込まれた緊急停止体画像成分のみを抽出するシステムを構築した。この方式によって抽出される画像は、移動体の運動が急に停止した直後から現れ、それ以後も演算パラメータで決定されるしばらくの間はその画像を保持し続ける。また、このシステムの応用例として、空中超音波パルスサーチライト方式で走査し、得られた反射音波の信号を用いて、緊急停止物体の映像のみを表示し、更に停止した後もその映像を表示することのできる超音波パルスレーダを試作した。実験の結果は理論的に算出された現象と一致したが、気体の流動が大きいと誤差が生じた。これらの結果から、このシステムは緊急停止体の抽出に十分利用できることが判明した。
  • 三浦 光
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 941-947
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    音圧の節が直交する格子状の2次元分布を持つ空中強力定在波音場(腹はそれぞれの格子の中心位置)において、微小剛体球に作用する放射圧による力(以後、放射圧と呼ぶ)について幾つかの検討を行った。その結果、放射力の大きさは、音圧の節線や腹を通り節線に平行な線が互いに交わる点で極小となる正弦分布になること、放射力の空間的な周期は音波の波長の1/2であること、放射力が作用する方向は、音圧の腹を通り節線に平行な線とその線と直交する節線との交点ではその点へ向かい、節線と節線の交点および音圧の腹ではその点から離れることが分かった。また、放射力の大きさは、球の体積に比例することが分かった。なお、これらの結果は理論値とその傾向がほぼ一致することも分かった。
  • 嶽間沢 昌秀, 金子 誠司
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 948-950
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    本論文では、超音波領域で有効に使用できる乗算型高周波電力計の概要と特性について報告する。この電力計は電子回路において、電力が電圧、電流及びその力率の積で表わされることに注目して設計されている。この電力計を使うことによって、従来の超音波電力計では測定の困難であった高インピーダンスの負荷、例えば10kΩのインピーダンスを持つ負荷に1kWの電力を与えた場合、端子電圧は約2kVの高電圧となるが、このような負荷に対しても有用であり、しかも10MHzまでの高い周波数領域まで測定可能となった。また、力率を考慮に入れたため、歪波や力率の悪い信号に対しても使用可能である。更に、電圧、電流プローブに改良を加えることによって、測定時に負荷の回路を切断することなく電力の測定ができる。
  • 板橋 秀一
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 951-953
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
    日本国内の企業、大学、国立研究所の研究者で構成される委員会で作成した騒音データベースと日本語共通音声データを紹介している。騒音データベースは、音声入力装置の使用が予想される環境を考慮して、典型的な騒音を十数種類収録し、装置の性能評価などに利用できるものである。これはDATテープ18巻に収録されている。日本語共通音声データは、装置の性能評価及び音声処理システムの研究開発への利用を目的として作成された。単音節、地名、4桁数字、制御語、計323語を20代から60代まで男女各75名計150名の話者が各項目を4回ずつ発声している。DATテープ76巻に収録されている。
  • 若栗 尚, 山崎 芳男
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 954-
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
  • 山崎 芳男
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 955-961
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
  • 菅並 秀樹, 中林 克己
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 962-965
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
  • 後藤 道代
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 966-969
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
  • 中須 英輔
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 970-974
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
  • 大串 健吾
    原稿種別: 本文
    1991 年 47 巻 12 号 p. 975-976
    発行日: 1991/12/01
    公開日: 2017/06/02
    ジャーナル フリー
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