Sodium cephalothin (CET) の1カ月間連日静脈注射による毒性ならびに予備試験として1回静注による毒性をSprague-Dawleyラットについて検討した。
1. 1回静注による雄ラットにおけるLD50は, 5,600 (4,750~6,600)mg/kgで, 中毒症状として流涎, 流涙, 呼吸障害, 間代性痙攣がみられ, 死亡例には剖検によつて肺水腫と髄膜出血がみとめられた。
2. 1カ月間投与実験では, CET投与の雄ラットは全例が所定期間の投与に耐えたが, 2,700mg/kg投与 (注射速度600~800mg/min) 雌群の各1例つつが投与5日目と15日目に肺水腫を伴なつて死亡した。死亡は, 急性毒性試験におけると同様に, 注射後数分以内にみられた。注射速度を遅くすることによつて, このような急性死が避けられるかどうかを検討するために, 240mg/minの注射速度で2,700mg/kgを10例の雌ラットに36日間投与したが, 死亡例はなかつた。
3. 300,900, 2,700mg/kg投与群のいずれも体重, 血液検査には異常がなく, 血液の生化学検査においても2,700mg/kg群にGOTの軽度な増加がみられただけであつた。
4. 病理検査によつて, CET 2,700mg/kg群には全例に盲腸の腫大がみられ, 一部の例に肺胞壁の軽度な肥厚と近位細尿管上皮の軽度な腫脹がみとめられた。CET300,900mg/kg群には異常をみとめなかつた。
5. 以上の結果から, 1カ月間連日静脈内投与による最大耐容量は, 約2,700mg/kg (投与速度240mg/min以下), 最大無作用量は約900mg/kg (投与速度600~800mg/min) と判断された。なお, 毒性の発現と血中濃度との関係について考察を加えた。
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