The Japanese Journal of Antibiotics
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28 巻, 2 号
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  • 藤井 良知, 吉岡 一, 中村 孝, 中沢 進, 堀 誠, 西村 忠史, 小林 裕, 福井 昭, 本広 孝
    1975 年 28 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発された薬剤の有効性の検討について, 最近慎重の度を加えてきたことはもちろん好ましい傾向であるが, 一様に二重盲検法による研究成績が要求されることになると, また別の問題が派生すると思う。化学療法剤を研究対象とした二重盲検法の内蔵するものについては, 著者らのうち藤井が日本化学療法学会におけるシンポジウム1, 2) で採りあげたし, また熊本3) の司会によつてもおこなわれている。これに関する問題点は, ここではとりあげない。
    いうまでもなく, 化学療法剤 (ここでは抗菌剤を指す) は, 対症療法剤ではない。作用対象は病原細菌であるから, 病巣内の細菌の発育阻止あるいは殺菌に成功した後の炎症部の治癒, また, 示していた自他覚症状の消退は, すべて宿主側に備わった自然治癒機転によるものとしてもよい。したがつて, 従来からおこなわれてきたように, 自他覚症状を指標として化学療法剤の効果を追求するときは, 宿主側の因子の介入する余地が大きく, もつばら主観的の判定に傾く点が問題とされ, 二重盲検法の要求される素地ともなつた。
    抗菌剤であれば, 病巣から起因菌を永続的に消滅させることが有効性の根拠であり, 菌の態度を指標とするのが最も正しいことは異論がないと思われるが, ただ現在私達が日常あつかう細菌性と考えられる感染症で起炎菌を検出し, 同定することが必ずしも容易でないばあいがあり, しかも抗菌剤が確かに有効に作用したと考えられる例が少なくないのが多くの経験であろう。このうちには, 自然治癒にもとづくものも混在すると思われる。血液, 髄液, 胸水などからの検出菌は例外として, 気道感染症はじめ外界との交通の可能な部位から検出した病原菌が, はたしてその炎症の主役であったかどうかにも問題があるが, 化学療法はin vitroの抗菌効果がin vivoの臨床効果に反映するのが原則であるから, 小児科領域の急性感染症のOpen trialについて細菌学的効果を中心にしてある薬剤の有効性を検討しようとしたのが, このGroup workの目的である。すなわち対症療法剤のばあいには二重盲検法が是非必要であろうが, 抗菌剤のばあいには細菌学的の指標があるのだから二重盲検法によらずとも有効性の評価は正しく行えると考える。またその材料として私達が対象としたような小児期急性感染症が用い得られるか否かを明らかにしたい。なおこの評価方式は1973年LondonでおこなわれたAmoxycillinの国際シンポジウムで藤井4) がすでに用いたものである。
  • 大田 治幸, 大口 善郎, 坂口 寛正, 朱 明義, 小澤 正澄, 韓 憲男, 南波 正敦, 狩野 光将, 吉田 静雄, 得能 輝男, 伊藤 ...
    1975 年 28 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年における外科学の発展は, 手術手技, 麻酔法, 術前術後の患者管理の進歩によるものであり, その中における抗生物質の寄与も重要な役割を果している。術後感染予防に対する抗生物質療法は, 手術適応の拡大に伴なつて感染症の種類も全身的となり, 呼吸器感染, 尿路感染, 腹腔内感染, 術創部感染などが対象となるため, 現在では広範囲の殺菌性抗生物質を静注や筋注など全身的に投与する方法が一般に用いられている。
    腹部手術は, 一般に無菌手術ではあり得ず, 表1に示すような種々の原因によつて手術野の汚染を伴なうため, 術後の腹腔内感染症に発展する可能性がある。これに対して抗生物質を直接腹腔内に投与する方法が古くから試みられ, 種々の報告がなされている。抗生物質腹腔内投与の利点は,(1) 汚染直後に,(2) 直接汚染部位に,(3) 高濃度に, 薬剤を作用させることができる点にあるが, 一方, その欠点として抗生物質の種類によつては, 腹膜に対する刺激症状, 腹膜癒着, 麻酔時使用の呼吸抑制などの副作用も指摘されている。
    我々は, 腹部手術後の感染予防としてSodium cephalothin (商品名, ケフリン, 以下CETと略す) の腹腔内投与を全身投与と併用することによつて良好な成績を得ているが, 今回, 特に抗生物質腹腔内投与の臨床的意義について検討する機会を得たので報告する。
  • 小栗 豊子, 村瀬 光春, 小酒井 望
    1975 年 28 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 感染症の変貌がクローズアップされ, 中でもOpportunistic infectionならびにSuper-ないしSuprainfectionへの関心が高まってきた。特に後者においては, 各種化学療法剤に対する多剤耐性化の傾向が顕著であるグラム陰性桿菌が重要視されている。Serratia感染症もこの1つといえよう。私共は最近, 当院の日常細菌検査においてSerratia色素非産生株の多剤耐性菌をかなりみているが, 本菌はEnterobacterと性状がかなり類似しており, この点で鑑別を要する。そこで, 最近分離したSerratiaEnterobacterについて, 薬剤感受性を測定し, 併わせて多剤耐性化の傾向を比較検討した。
  • 束村 道雄
    1975 年 28 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lividomycin (LVDM) の肺結核に対する臨床効果については, 東村ら1, 2), 山本ら3), 東海北陸地方国療共同研究班4) および日結研5) によつて報告されているが, 結核以外の一般呼吸器感染症に対する臨床効果については, まだ報告が少ない。著者は, 呼吸器一般感染症に対するLVDMの臨床効果について観察したので, 本報に結果を報告したい。
  • 近藤 博恒, 三輪 太郎, 横内 寿八郎, 安藤 良輝
    1975 年 28 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    \Hvidomycinは, 名古屋市の土壌から分離されたStreptomyces lividus n. sp. ATCC 21178によつて産生されるアミノ配糖体系の新規抗生物質で, 下記の構造をもち, グラム陰性菌, グラム陽性菌および結核菌に対して, 抗菌力を示すことが報告されている1~6)。
    また, 臨床的にも泌尿器科領域を中心に各種の感染症に対するLividomycin (以下LVDMと略す) の効果が検討され, Kanamycin (KM) とほぼ同等の効果をもつとされている7)。
    我々は, 先に慢性空洞性肺結核に対する効果を報告した8) が, 今回は, まだ報告の少ない呼吸器一般感染症に対するLVDMの効果を検討したので, その成績を報告する。
  • 真島 武, 寺田 鉱一郎
    1975 年 28 巻 2 号 p. 155-165
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lividomycinは,Streptomnyces lividusによつて産生されるアミノ配糖体系の新規抗生物質であり, グラム陽性菌, グラム陰性菌ならびに結核菌に対して抗菌力を示し, かつ緑膿菌に対しても抗菌力を示すことが報告されている1~6)。
    我々は, 先にLividomycin (以下LVDMと略す) の慢性空洞性肺結核に対する効果を報告した7) が, 今回は, 呼吸器感染症特に気管支拡張症のWet caseに使用したので, その成績を報告する。
  • 青柳 昭雄, 河合 健, 山田 幸寛, 五味 二郎, 荻原 宏治, 吉沢 繁雄, 南波 明光, 綿引 定昭, 宮内 輝夫, 喜多川 浩, 長 ...
    1975 年 28 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lividomycin (LVDM) は, 興和 (株) によつて開発されたStreptomyces lividusによつて産生されたアミノ配糖体系抗生物質である。本抗生物質は, 結核菌を含めてGram陽性および陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムをもつことが知られている。
    結核菌では, KM高度耐性株に対しては, 本剤の抗菌力は低下することがみとめられており1, 2), 一般細菌においても結核菌と同様の関係がみられるが, KM耐性大腸菌, 緑膿菌の一部に本剤に感受性を示す菌種の存することが知られている8, 4)。
    肺結核症に対する本剤の治療効果は, すでにみとめられているし5~7), 尿路感染症に対しても, KM, SMと同等の効果を示すことが報告されている8~10)。
    今回われわれは, 呼吸器感染症に対する本剤の治療効果について検討をおこなったので, その成績を報告する。
  • 井上 昭一, 酒井 正生, 中根 正雄, 北村 隆雄, 宮田 金泰, 丹羽 省三
    1975 年 28 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    人工心肺使用下開心術において, 細菌感染は他の手術より以上に重要な問題である。それは, 開心術そのもののFactorはもとより, 人工心肺を用いることによつて宿主側にさまざまな障害をもたらすためである。それが宿主の予後を左右する大きなFactorとなる以上, 我々外科医は, その感染防止について十分対策を考えなければならない。
    現在の発達した抗生物質であっても, 大量使用は少なからず人体に影響をおよぼすため, 必要かつ十分量を使用することが望ましい。特に体外循環により腎機能の障害は少なからずあり, その上に腎障害をおこしやすい抗生物質使用の危険なことは周知のとおりである。
    そこで, 我々は人工心肺使用下開心術中から予防的に広範囲殺菌性抗生物質Sodium cephalothin (CET) を使用しているが, その最適投与量を知るため, 体外循環中の血中濃度を測定したので,第1報として報告する。
  • 寺尾 征史
    1975 年 28 巻 2 号 p. 179-187
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹部内臓の感染症のなかで, 胆道系の感染症は, 日常の臨床において, 我々が遭遇する最もポピュラーで, かつ重要な疾患である。胆嚢炎, 胆管炎をはじめとする種々の疾患に対して, 従来から多くの種類の抗生剤が投与されてきているが, いまだ適切な投与法というものは確立されていないのが現状である。
    胆道感染症ならびに術後の胆道感染症予防に対する化学療法においては, まず胆汁と抗生剤との関連を把握しなければならないと考える。胆汁中への抗生剤の移行およびその消失, 胆汁内細菌の種類と感受性, 薬剤の胆道系組織内移行動態等である。抗生剤の胆汁内移行の問題をとってみても, 従来から種々の薬剤で検討され, 報告1~4) もなされてはいるが, いまだすべては解明されていない。また, 抗生剤の濃度と細菌のMIC値との関連からみた適切な抗生剤投与方法の問題も, 検討されてはいるが, いまだ充分であるとはいい難い。
    以上のことから, 今回, 抗生剤としてSodium cephalothin (CET, Kenin) を使用し, ヒト胆汁内への移行を検討するため, 基礎的・臨床的実験をおこなった。
  • [A]局所刺激性試験 [B]肉芽組織形成試験
    原田 喜男, 花房 友行
    1975 年 28 巻 2 号 p. 188-194
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    薬剤の投与方法には, 静注や筋注あるいは経口などによる全身投与と限局した部位に対する局所投与とがある。抗生物質を腹腔内に投与する方法は, 腹膜炎治療における薬剤投与の1手段として古くから用いられてきた方法であり, 現在も各種の抗生物質が腹腔内に投与されている1)。また近年, 腹部手術時における細菌汚染に対して, 術中に抗生物質を腹腔内に投与し, 術後の腹腔内感染を予防する旨の報告もある1~3)。
    手術時における抗生物質腹腔内投与の利点は,(1) 汚染直後に,(2) 直接汚染部位に,(3) 高濃度に, 薬剤を作用させることができる点であり, 一方その副作用としては, 抗生物質の種類によつて,
    (1) 腹膜に対する刺激作用一腸管癒着による癒着性イレウスの発生など。
    (2) 腹腔内諸臓器に対する刺激作用一特に腸管運動の抑制をも含む。
    (3) 術創部の治癒遅延。
    (4) 血中移行による全身性の毒性一特に麻酔下における呼吸抑制をも含む。などのあることが指摘されている1, 4)。
    Sodium cephalothin (商品名, ケプリン, 以下CETと略す) は, 広範囲のスペクトルをもつ殺菌性の抗生物質で, 非常に毒性が少なく, 特に腎毒性の少ないことなどの利点によつて, 術後の全身投与の抗生物質として広く用いられているものである。
    一方, CETの腹腔内投与に関しては,米国での臨床報告があり, その安全性と有効性が確認されているが5~7), 我国でもCETの腹腔内投与を推奨する意見があるので1, 2, 8), 我々はCETの腹腔内投与の安全性について検討するため, ラットを用いて毒性試験をおこなった。
  • 第2報慢性毒性
    倉本 昌明, 石村 泰子, 森本 順子, 李 雄毅, 香取 恒男, 大久保 孝明
    1975 年 28 巻 2 号 p. 195-203
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年Sodium Cophalothin (以下CETと略す) の大量が臨床的に投与されており, 従来難治とされていた種々の感染症に対しても著効を呈したと報告されている1, 2, 8)。しかし, 大量投与による副作用ないし毒性に関しては, まだ充分検討されていない現状である。筆者らは, 前報においてCETのマウスおよびラットによる各投与経路からの急性毒性ならびに大量投与によるラットの亜急性毒性を検討し, 腹腔内投与では, 投与部位における所見が最も著るしく, 投与量が大きいための物理的影響が相加されているにもかかわらず, 他の抗生物質でしばしばみられる肝, 腎に対する変化は比較的軽微であることを報告した4)。
    本編では, ひきつづきCETの大量長期投与における安全性の確認を目的として, 技術的限界量とみなされる大量をラットに腹腔内投与し, その毒性を検討し, 成績を得たので報告する。
  • 林 裕造, 松浦 稔, 奈良 博, 今井 清, 針原 明弘, 石川 路夫, 吉田 正
    1975 年 28 巻 2 号 p. 205-230
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium cephalothin (CET) は, Eli Lilly社研究所において開発された広範囲スペクトラムをもつ抗生物質で, 毒性が少なく, 静脈内投与が可能なため, ブドウ球菌, 溶血性連鎖球菌, 肺炎球菌, 大腸菌を含む多くの細菌による感染症の治療剤として臨床的に広く使用されている。この抗生物質の標準的な臨床使用量は, 1日量にして1~6gであるが, 近年, この常用量では, 制圧困難な難治性感染症に対して大量投与が試みられ, 良好な結果が得られている1)。一方, 大量投与のばあいには, 副作用の発生が増加することも考えられ, 毒性面についてのより詳細な検討が必要とされている2)。
    実験動物に対するCETの毒性については, LEEら8), SILVERBLATTら4), 峰下ら5) の報告があり, いずれもこの薬物の毒性, 特に腎毒性が低いことを示しているが, これらの実験において採用されている投与量はかなり低く, 連続投与における最高用量がラットで500mg/kg, イヌで400mg/kg, ネコで200mg/kgに過ぎない。CETの大量投与における安全性の評価を目的とした毒性試験として, 最近, 倉本ら6) は1日量4,000mg/kgまでの腹腔内注射および2,000mg/kgまでの筋肉内注射によるWistarラットに対する1カ月間投与実験の結果を報告している。我々も, Sprague-Dawleyラットについて, 静脈注射による2,700mg/kgまでの1カ月間投与実験をおこなったが7), 引き続き本実験において雌雄Beagle犬を使用し, 技術的限界とみなし得る用量の1回, 連日10日間および連日1カ月間の静脈内投与 (急速静注および点滴静注) による毒性について検討した。
    今回の実験は,(1) CETの大量投与たよる中毒症状ならびに病理変化の確認と,(2) 1回投与および連続投与によるイヌにおける最大安全量または最大無作用量の推定を主目的としたが, 同時に,(3) 急速静注と点滴静注による毒性の差異,(4) 血中濃度と毒性との関係および (5) 大量連続投与によるCETの臓器内蓄積の有無についても検討した。
  • 林 裕造, 古川 仁, 川野 祐次, 吉田 正
    1975 年 28 巻 2 号 p. 231-242
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium cephalothin (CET) の1カ月間連日静脈注射による毒性ならびに予備試験として1回静注による毒性をSprague-Dawleyラットについて検討した。
    1. 1回静注による雄ラットにおけるLD50は, 5,600 (4,750~6,600)mg/kgで, 中毒症状として流涎, 流涙, 呼吸障害, 間代性痙攣がみられ, 死亡例には剖検によつて肺水腫と髄膜出血がみとめられた。
    2. 1カ月間投与実験では, CET投与の雄ラットは全例が所定期間の投与に耐えたが, 2,700mg/kg投与 (注射速度600~800mg/min) 雌群の各1例つつが投与5日目と15日目に肺水腫を伴なつて死亡した。死亡は, 急性毒性試験におけると同様に, 注射後数分以内にみられた。注射速度を遅くすることによつて, このような急性死が避けられるかどうかを検討するために, 240mg/minの注射速度で2,700mg/kgを10例の雌ラットに36日間投与したが, 死亡例はなかつた。
    3. 300,900, 2,700mg/kg投与群のいずれも体重, 血液検査には異常がなく, 血液の生化学検査においても2,700mg/kg群にGOTの軽度な増加がみられただけであつた。
    4. 病理検査によつて, CET 2,700mg/kg群には全例に盲腸の腫大がみられ, 一部の例に肺胞壁の軽度な肥厚と近位細尿管上皮の軽度な腫脹がみとめられた。CET300,900mg/kg群には異常をみとめなかつた。
    5. 以上の結果から, 1カ月間連日静脈内投与による最大耐容量は, 約2,700mg/kg (投与速度240mg/min以下), 最大無作用量は約900mg/kg (投与速度600~800mg/min) と判断された。なお, 毒性の発現と血中濃度との関係について考察を加えた。
  • 武田 寛, 松村 彰一, 宇野 攻, 上田 元彦
    1975 年 28 巻 2 号 p. 243-248
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalothin Na (以下CETと略す) は, 種々の重症感染症に対して, 通常成人は1日1~6gを4~6回に分割して投与される。しかし, 従来の投与量で制圧困難な敗血症, 細菌性心内膜炎, 髄膜炎およびグラム陰性菌による重症または難治性感染症については, 1日6~12gに増量することによつて効力を示すばあいもあると考えられる。このように, 臨床的にCETを増量して投与するばあいにおける薬物安全性の立場から, 大量急速静注および点滴静注時のイヌの呼吸, 血圧, 心電図および尿排泄に対する作用の差異を検討した。
  • イヌによる解析
    山本 研一, 内海 静雄, 沢田 亨, 内藤 行雄, 吉村 弘二, 越田 光, 広野 悟, 原田 喜男, 中野 瞭, 中谷 佳子, 河合 尚 ...
    1975 年 28 巻 2 号 p. 249-264
    発行日: 1975/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    3-(Hydromethy1)-8-oxo-7-[2-(2-thieny1)-acetamide]-5-thia-azabicyclo [4, 2, 0]oct-2-ene-2-carboxylic acid acetateのsodium salt (Cephalothin sodium) は, Eli Lilly社研究所において開発された広範囲の抗菌スペクトラムをもつセファロスポリン系の化合物で, その注射用製剤は右記の構造式をもつ (Fig.1)。
    Cephalothin (以下CETと略記) は, 現在臨床的に成人1人当り6g/day (体重50kgのヒトに換算して120mg/kg) の割合で使用されているが, さらに投与量を12g/day (240mg/kg) に増量するための安全性確認を今回の実験目的とする。SANDERSら1)(1974) の報告によれば, CETやCephapirinをヒトに1日当り0.5g, 1g, 2g, 4g, 8gと漸増的に5日間連続投与すると数日後, 全例に脱力感, 関節痛, 発熱, 悪心嘔吐などの副作用が発現した。このため, 林ら2) はイヌ (Beagle犬) にCET500~6,000mg/kgを単回または連日1カ月間, 静脈内注射をおこなつたところ, 1,000mg/kgの用量で流涙, 下痢などの自律機能の変化, さらに6,000mg/kgの単回注射例および3,000mg/kgの連日注射例では痙攣発作を伴なつた死亡例が現われ, 剖検によつて脳に浮腫と出血がみとめられた。さらに, これらの副作用の発現には, 用量ばかりでなく注射速度も影響することが判明した。このため, CETの最大耐容量の投与において発現する副作用の詳細な検討と副作用発現に至る用量と注射速度との相互関係を調べるため,
    (1) 緩徐 (点滴) に投与しても, 何らかの副作用が発現する用量
    (2) 緩徐に投与すれば副作用は現われないが, 急速に注射すると副作用が発現する用量
    (3) 急速に注射しても全く副作用が発現しない用量の3点についてイヌによる実験をおこなった。
  • 1975 年 28 巻 2 号 p. e1-
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Vol. 28 (1975) No. 1 p. 44-46
    修正箇所:著者名
    修正内容:
    (誤) 一丁田裕子
    (正) 一町田裕子
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