The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
32 巻, 10 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 天野 正道, 田中 啓幹
    1979 年 32 巻 10 号 p. 981-984
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしい経口用半合成Cephalosporin系薬剤であるCefadroxil (BL-S578) は, 米国ブリストル社で開発され, 下記に示す構造をもつている。本剤の抗菌スペクトラムは, 既存のCephalexin (CEX) と同様に, グラム陽性およびグラム陰性菌に広く, 殺菌的に作用し, 抗菌力はCEXとほぼ同等といわれている1, 2)。また, Cefadroxilは, CEXと同様に, 経口投与後12時間までに尿中にほとんど (88%) が未変化のまま排泄されるが, 尿中濃度はCEXより長時間, 高濃度に持続することがみとめられている2, 8)。
    今回, 我々はCefhdroxilを泌尿器科領域の各種感染症に投与し, その治療効果, 有用性, 安全性について検討を加えたので, ここに報告する。
  • 中野 修道, 加藤 正和, 山中 雅夫, 菅原 奎二, 黒沢 昌也, 相沢 正俊, 宍戸 仙太郎
    1979 年 32 巻 10 号 p. 985-989
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性単純性膀胱炎の患者は, ほとんど全科におよび, むしろ我々泌尿器科のもとには難治性膀胱炎や治療後遺症等で来院するばあいが多く, 最近このような患者の来院が増加の傾向にある。この原因の1っは, 第1選択剤として使用されることの多い合成ペニシリンに対する耐性化が進み, Ampicillin (AB-PC) ではすでに30~50%に耐性を示す現実からみても明らかである。
    また, 第2の原因として, 感受性テストを施行せず経験的に数種の薬剤を繰り返し投与することがあげられる。
    このような理由で急性単純性膀胱炎の治療方法も検討すべき時期に来ているとの判断に立ち, 特にE. coliの感受性が高いMecillinamのPiraloxymethyl esterであるPivmecillinam剤 (商品名: メリシン‘武田’) の薬剤効果を6施設において検討したので報告する。
  • IWAO OHTANI, KOHSEI OHTSUKI, TOHRU AIKAWA, JIN OUCHI, TAKEMI NAKAYOSHI
    1979 年 32 巻 10 号 p. 990-997
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Dibekacin(DKB)was the first antibiotic to be chemically synthesized on the basis of atheory concerning the inactivating mechanism clarified by UMEZAWAet al. 1, 2) Its chemical structural formula is as illustrated in Fig. 1. It is known that it has a potent antibacterial effect against both Gram-negative bacteria and Gram-positive bacteria, in particular against Pseudomonas aeruginosaand those bacteria resistant to many antibiotics, including gentamicin (GM). 3, 4)
    It has already been reported that the ototoxicity of DKB is less than that of GM. 5-7) It has also been reported that its ototoxicity is less than that of sisomicin or tobramycin (TOB). 8) However, these reports were based on results from intramuscular administrations, and hardly any reports have so far been published on the ototoxicity of various antibiotics in this group administered intravenously, possibly because of difficulties in experimental technique.
    In order to reproduce the effects of intravenous administration which is one of the methods of dosages for humans, we made a comparative study of the ototoxicity of DKB and TOB using rabbits to which continuous intravenous injections can usually be made with ease. The results obtained are described below.
  • 臨床材料由来P. cepaciaの年次別分離頻度と薬剤感受性
    猪狩 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子
    1979 年 32 巻 10 号 p. 998-1002
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pusdeomonas cepaciaは, プドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に属する1菌種であり, 自然界に生息し, 以前はヒトの感染症の原因菌となることはほとんどないと考えられでいた弱毒菌であった。しかし, 最近は, 本菌による院内感染が増加してきており, Opportunistic infbctionの原因菌の1つとして, にわかに注目されてきた1)。
    P. cepaciaは, 特定の抗細菌剤以外は, ほとんどの化学療法剤に耐性を示すことが多く, 本菌による感染症の治療を困難にしている。すなわち, 試験管内抗菌力実験によれば, Ampicillin (ABPC), Cafbeniciflln (CBPC) などの合成ペニシリン剤やCefazolin (CEZ) などのセファロスポリン剤にはほとんど耐性を示し, わずかに, Minocycline (MINO) がよい抗菌力を示すという結果が得られている1, 2)。また, 本菌の臨床材料からの分離状況に関しては, 数年前までは, 順天堂大学病院中検で, 臨床材料から分離されることがほとんどなかつた本菌が, 最近になり, その分離株数, 頻度が急激に増加してきている。そこで, P. cepaciaの臨床材料からの分離頻度の年次別変化および化学療法剤に対する感受性をしらべることは, 本菌による感染症の治療および予防に意義があることと考え, 以下の事項を検討したので報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸, 星田 交雄
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1003-1008
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tobramycinは1), Streptomnyces tenebrariusによつて産生されるNebramycin混合物中の1成分 (Nebramycin factor 6) としてEli Lilly社において開発されたものである。今回われわれは, 臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    Tobramycinのように新らしく出現した薬剤の臨床的な感性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤投与による臨床効果との集計の上に, 将来定められるべきものであり, したがつて適当に規定された実験条件でのMICを推定することが, 臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うようにわれわれは, 単一ディスク (Single-disc) を用いるMIC測定を含めた化学療法剤の感受性測定についてたびたび報告した2~5)。今回はTobramycinについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • Cophalosporin系抗生物質静注時の血中濃度推移について
    黒須 義宇
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1009-1016
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児における細菌感染症の発症については, 従来から産科的因子としての早期破水, 遷延分娩, 羊水混濁, 分娩時の母体感染症などと, 新生児側因子としての免疫機能の未発遠, とくに食菌細胞系の未分化と免疫クロブリンIg-G, Ig-Mの低値によう感染防禦能の未発達などがあげられ1), ひとたび生体内への細菌の侵入があつたばあい, きわめて重篤な経過をとりやすい。一方, 細菌感染症の治療に使われる薬物, とくに抗生物質は, 薬物代謝の点で他の小児期とくらべて, 薪生児期は特異な時期であることはよく知られている2)。すなわち, 新生児期では解毒, 排泄機能の未発達による抗生物質の排泄運延と血中高濃度持続, 特定の薬物に対する特異な反応一たとえばChloramphenicolとGray syndfome-, 蛋白結合による抗生物質の不活化と高ピリルビン血症の増悪, 一たとえばSulfa剤, Novobiocin-などがみとめられる。さらに近年, 新生児期の筋肉内注射と筋組織障害の発生との因果関係が注目され3), 大きな社会問題として提起された。また, 経口薬剤は, この時期で胃腸管吸収が不安定なこと, 高い血中濃度が得られないことなどから重症感染症には不適切と考えられる。以上のような理由で, 抗生物質の投与は現在一部のものを除いて静注をおこなうのが一般的であり, 欧米諸国が主に筋注であるのと大きな違いとなつている。しかし, 文献上, 静注による新生児期の薬動力学的検討は多くなく, まだ十分に解析されているとはいえない。今回著者は, 新生児期における抗生物質静注時の経過的血中濃度推移を検討し, 多少の知見を得たので報告する。投与をおこなつた抗生物質は, Cephalosporin系薬剤から広く使用されているCephaloridine (以下CERと略す), Cephalothin (以下CETと略す) を選んだ。
  • Penicillin系抗生物質静注時の血中濃度推移について
    黒須 義宇
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1017-1026
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児期, 特に周産期における細胞性, 液性免疫の発達はきわめて未熟であり, 細菌感染に対しまつたくの無防備といつても過言ではない。そのため, 一たび細菌の侵襲を受けたばあい, 重篤な敗血症, 髄膜炎, 肺炎に進展する危険を常に考えなくてはならない。いうまでもなく, 感染症を疑うばあいは直ちに化学療法を開始すべきであり, 予想される細菌に最も強力な殺菌性を発揮するものでなくてはならない1)。しかし, 新生児は成人や他の小児期の個体とことなり, 解毒, 排泄機能が未発達であり, 治療開始にあたつて, これらの点を十分に理解しながら, 薬剤の選択を考えるべきである。最近, これらの感染症に対して, Ampicillin (以下ABPCと略す) とKallamycin (以下KMと略す) またはGentamicin (以下GMと略す) の併用がInitial therapyとして推奨されている。これはABPCのブドウ球菌を除くグラム陽性菌群に対する効果とKMのブドウ球菌とグラム陰性菌群に対するすぐれた抗菌力を期待して, 広く病原菌をカバーしようとするものである。一方, その投与方法であるが, 最近ではAminoglyoside系抗生物質を除き, 静脈内投与が一般化してきた。今回著者は, 新生児期に最も多く使用される抗生物質としてABPCをとりあげ, Crossoverによつて, その血中濃度推移を検討した。また抗ブドウ球菌用Penicillinとして開発され, 新生児に対しても有用性をみとめられていながら静脈内投与の Pharmacokineticsについて検討のなされていないDimethyloxyphenyl penicillin (Methicillin, 以下DMPPCと略す) をとりあげ, 報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 藤井 尚道, 近岡 秀次郎, 岡 秀, 平間 裕一, 成田 章, 新井 蔵吉
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1027-1035
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Doxycycline (以下DOTC) は, 従来のTetracyclineに比較して経口投与で血中濃度が高く, 半減期が長く, 組織内移行もよく, 抗菌性においても一段優れている点を特徴とするいわゆる遷延性TC系抗生物質であり, 従来, 内服用としてSyrup, 錠剤の型で小児科領域においても広く使用されてきていた。一方, 本剤の注射剤も製剤化され, 成人を対象とした各科領域においてOne shot, 点滴静注の投与法で使用され, 本邦においてもその成果については各方面から報告されているが1~8), 小児科領域からの報告がみられない。
    小児急性感染症の治療にさいしても, DOTCの静注を必要とする症例にも遭遇することがあるので, 今回本剤の点滴静注を主体とした一連の小児科領域における基礎的, 臨床的検討をおこなつてみた。
    以下, 今日までの概況について報告する。
  • 篠崎 立彦, 沢井 稔, 藤井 良知
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1036-1043
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalospori鳳系抗生剤の私の分類では, 第IV群の注射剤に属するCefamaudolo (CMD) は, 広くGram陽性・陰性菌にスペクトルをもつ広領域Cephalosporinで, 第II群に属するCephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) よりもβ-Lactamase耐性の点で一歩進んだものと考えられる1~3, 5)。
    米国Eli Lilly社で開発が進められたのは, CMD nafate (Formylester) でNEUの報告2) をはじめとして多数の基礎的・臨床的報告がおこなわれ, 小児についての報告もAZIMI等4), かなりみ, られるが, 日本では側鎖の問題からCMD sodium (以下CMD) による臨床開発が進められるごとになつたため, 時期的にはかなり遅れた。
    しかし, この両者の間にin vitro, in vivo成績ともに本質的な相違はない。
    私達はCMDを小児期適応感染症に使用し, 知見を得たので, 報告する。
  • 橋本 俊, 林 周作, 成田 洋, 鶴賀 信篤, 由良 二郎
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1044-1048
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefamandole sodium (以下CMDと略す) は, 米国Eli Lilly社で開発された注射用Cephalosporin (CEPs) 系抗生物質で, 化学構造式はFig.1に示すとおりである。抗菌力は, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に強い抗菌力を示し, 特にEscherichia coli, klebsiella pneumoniaeなどに対しては, Cofazolin (CEZ) よりやや優れた抗菌力を示す1, 2)。投与後の血中濃度は, 速かに上昇し, 尿中への排泄は比較的早く, 投与量の70%が2時間以内に回収される3)。また, 胆汁中への移行もよく, CEZよりも高い4)。
    今画本剤を用いて小児外科系患者への応用の機会を得たので, その投与法, 治療効果, 副作用について検討し, 報告する。
  • Cefamandoleの胆汁中移行に関する研究
    谷村 弘, 竹中 正文, 日笠 頼則, 端野 博康, 頼 文夫, 片岡 三朗, 佐藤 友信
    1979 年 32 巻 10 号 p. 1049-1055
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    従来・胆道感染症の化学療法にさいして選択すべき抗生物質として, 胆汁中移行の良好な薬剤がもつばら選ばれてきたが, その基礎的根拠となるべきヒトの胆道感染症例における薬剤の胆汁中移行などとんどなされ, 臨床的な比較検討はほていない1)。その理由は, Tチューブ設置例の成績が著るしくばらつきが, 一定の傾向を判読することかなり困難であつたことによると考えられる。
    最近新らしく開発されたCephalosporin剤であるCefamandole (以下CMD) もまた床例におけるC, この点について, 臨ross over法による他剤との胆汁中移行の比較検討は, ほとんどおこなわれていない2)。
    例回, われわれは同じCephalosporin剤である市販のCefazolin (以下CEZ) とCMDをヒトTチューブ設においてCross over法によつて胆汁中移行を比較検討したので報告する。
feedback
Top