新しいセフェム系抗生物質であるCefuzonam (L-105, CZON) につき, 基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
1.
Staphylococcus aureus,
Staphylococcus epidermidis,
Streptococcus pneumoniae,
Streptococcuspyogenes,
Escherichia coli,
Klebsiella pneumoniae,
Haemophilus parainfluenzae,
Haemophilus influenzae の当小児科臨床分離株に対するCZONの抗菌力 (MIC) をCefmenoxime (CMX), Latamoxef (LMOX), Cefoperazone (CPZ), Cefmetazole (CMZ), Cefotiam (CTM), Cefazolin (CEZ) と比較した。S.aureus, S.epidermidisに対してはCEZと同等で他剤より優れ,
S.pneumoniae,
S.pyogenesには他剤より優れ, E.coliではCMX, LMOXと同等で他剤より優れ,
K.pneumoniae,
H.parainfluenzae,
H.influenzaeにはCMXと同等で他剤より優れたMICを示した。
2.10mg/kg, 20mg/kg, 40mg/kgのCZONを各々1, 5, 4例ずつ計10例の小児にOneshot静注し, その後の血清中, 尿中濃度の推移をみた。それぞれの平均血清中濃度は投与後15分で11.0, 43.8, 111.5μg/ml, 1時間で2.4, 10.3, 30.3μg/ml, 4時間で0.17, 0.72, 1.28μg/mlであつた。血中半減期はそれぞれ1.79, 0.88, 1.19時間であつた。0~6時間の尿中平均累積排泄率は47.9, 56.3, 40.3%であつた。
3.34例の小児細菌感染症 (扁桃炎2例, 急性気管支炎1例, 肺炎14例, 膿胸1例, 敗血症1例, 化膿性リンパ節炎1例, 尿路感染症13例, 腸炎1例) にCZONを40~94mg/kg/日, 3~4回に分けて投与し, 94.1%の有効率を得た。
4.副作用は軽度の下痢2例だけで, 検査値異常はGOT, GPT上昇2例, 好酸球増多1例, 血小板増多1例がみられたが, いずれも軽度であつた。
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