The Japanese Journal of Antibiotics
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46 巻, 9 号
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  • 熊澤 浮一
    1993 年 46 巻 9 号 p. 749-772
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR, CS-807) は三共株式会社で開発された新規のエステル型経ロセフェム系抗生物質製剤で, その構造式はFig. 1に示したが, 経口投与後腸管から吸収され, 腸管壁の非特異的エステラーゼによって抗菌活性を示すCefpodoxime (CPDX) となる。
    CPDX-PRの構造的特徴は, セフェム骨格7位にメトキシイミノ基を持つアミノチアゾール基を, 又, 3位にメトキシメチル基を, そして4位のカルボン酸にプロキセチル基 (エステル) をそれぞれ有することである。
    本剤の基礎的・臨床的検討は, 前臨床試験後, 第1相試験が1984年に, 一般臨床試験が1985年から1987 年にわたって実施され, その間に二重盲検試験を実施し, 本剤の有用性が確認された。
    その成績は第35回日本化学療法学会総会 (1987年5月22日, 盛岡) において新薬シンポジウムとして発表され, この報告は日本化学療法学会雑誌 (Chemotherapy) に36巻Suppl. 1として発表されている。
    以下, CPDX-PRの概要について記述する。
  • 糸山 利生, 青木 友季世, 平谷 民雄, 内田 勝久, 山口 英世
    1993 年 46 巻 9 号 p. 773-780
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規イミダゾール系抗真菌剤Omoconazole nitrate (OMZ) のin vitro抗真菌活性を, 既存のイミダゾール系抗真菌剤Bifonazole (BFZ) を対照薬として, 主要な病原真菌を含む22属47種 364株を対象に寒天平板希釈法によって測定した。OMZの抗菌スペクトルは広く, 病原性酵母, 二形性真菌, 非着色性糸状菌, 皮膚糸状菌など大部分の真菌に対してBFZと同等か又はそれを上回る活性を示した。しかし, Candida属菌種をはじめとする一部の真菌に対するOMZの抗真菌活性は培地の種類によつて著しい影響を受け, Candida albicansに対してはSabouraud dextrose agar及びKimmig agar上で測定したMICに比べて, Casitone agar上での値は1/32 ~1/256に低下した。又, OMZはBFZよりは劣るものの, Malasseziaに対しても明かな抗菌活性を示した。患者由来の皮膚糸状菌並びにC. albicansの新鮮分離株も又, 保存株と対応する OMZ感受性を示した。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1993 年 46 巻 9 号 p. 781-793
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年8月~1993年2月において, 当所で検出した主として外来患者由来臨床分離株を対象としSultamicillin (SBTPC) の抗菌活性を知ることを目的に, 他のβ-ラクタム系経口薬剤などを加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. Staphylococcus aureusのPenicillinase (PCase) 産生株の割合は96.0%, Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) のそれは12.0%だつたが, MRSAを含むS. aureusに対するSBTPCの MIC90は6.25μg/mlであり, SBTPC耐性S. aureusの経年的増加は認められなかつた。
    2. Streptococcus pyogenesEnterococcus faecalisのSBTPCを含むペニシリン系薬剤耐性株はなかつたが, Streptococcus pneumnoniaeのペニシリン系及びセフェム系薬剤低感受性もしくは耐性株が22.0%に認められた。
    3. Escherichia coli, Proteus mirabilisのβ-ラクタマーゼ産生株は各々が100%, Haemophilus influenzae, Neisseria gonorrhoeaeのそれは前者が12.0%, 後者が16.0%であり, SBTPCは大部分のβ-ラクタマーゼ産生株に強い抗菌活性を示していた。しかし, 複数の基質と試験法によるβ-ラクタマーゼ産生性の検討では, E. coliの一部に“Extended broad-spectrum β-lactamase”産生を示唆する株が認められており, そうした株に対するSBTPCとセフェム系薬剤のMICは高い方に分布していた。
    4. SBTPC及びセフェム系薬剤に共通な耐性株の経年的な増加が示唆されたのはS. pneumoniae であるが, E. coliの一部にも両者に共通な耐性株が認められたことから, 今後においては, こうした耐性菌の動向に注目することが大切である。
    5. 今回示した臨床分離株に対するSBTPCの抗菌活性には上記の問題点が残る。しかし, SBTPCは日常診療で関与し得る大部分のβ-ラクタマーゼ産生株には, 依然として強い抗菌活性を示すことも合せて確認された。そして, 近年に報告されている常在菌が産生するβ-ラクタマーゼによる「間接的病原性」にもSBTPCが強い性質を加味するならば, SBTPCは1990年代を迎えた今日においても, 市中感染症における有用性の高いβ-ラクタム系薬剤の一つである。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1993 年 46 巻 9 号 p. 794-800
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年に検出した小児由来Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) を対象にして, Arbekacin (ABK) の抗菌活性を知ることを目的にABKを含む合計8薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 合せて供試株のコアグラーゼ型の検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 供試78株のコアグラーゼ型はII型84.6%, IV型12.8%, VII型2.6%であり, 由来別の大きな差は認められなかつた。
    2. 肺炎症状を伴うと推定された気道由来42株, 及び敗血症が推定された血液由来36株に対するABKのMIC90は, 前者に対しては1.56μg/ml, 後者に対しては3.13μg/ml, そして両者を合せた78株に対するABKのMIC90は1.56μg/mlであり, Vancomycinと同等だつた。
    3. 供試株の多くはCefmetazole (CMZ), Imipenem (IPM), Fosfomycin (FOM), Minocycline にも耐性な多剤耐性を示していた。そして, 血液由来株には多剤耐性であり, CMZ, IPMにも高度耐性の占ある割合がより高い傾向だつたが, そうした株にもABKは数年前と同様の強い抗菌活性を示していた。
    4. ABKは近年に検出された小児由来MRSAにも強い抗菌活性を示すが, ABKは更に, MRSAに対するβ-LactamsやFOMとの強い併用効果を示すことから, 小児のMRSA感染症に対する臨床的な有用性が期待できる。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 鈴木 香苗
    1993 年 46 巻 9 号 p. 801-817
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1990年7月~1991年6月, そして1992年7月~1993年2月において, 全国の医療機関から送付されてきた臨床分離株, 及び各種感染症患者採取材料から検出した臨床分離株を対象とし, Cefteram (CFTM) の抗菌活性を知る目的で, 他のセフェム系薬剤などを加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. β-Streptococci, Klebsiella spp., Proteus mirabilis, Haemophilus influenzae, 及びNeisseria gonorrhoeaeのCFTM耐性株は皆無もしくは極めて低率だつた。
    2. Streptococcus pneumoniaeのβ-Lactams低感受性又は耐性株, 更にEscherichia coliのセフェム耐性株の経年的増加が示唆された。そして, 前者においては, Benzylpenicillin (PCG)-insensitive S. pneumoniae (PISP) 又はPCG-resistant S. pneumoniae (PRSP) であり, 後者においては“Extended broad-spectrum β-lactamase”産生株である可能性を示唆していた。一方, 上記のPISP又はPRSP, セフェム耐性E. coliに対するCFTMのMICは比較的低い方に分布していた。
    3. Citrobacter spp., Enterobacter spp., Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Morganella morganii, 及びProvidencia rettgeriのCFTMを含むセフェム耐性株の割合は高く, 加えてこれらの菌種は, ニューキノロン系薬剤にも耐性を示す多剤耐性株の増加が示唆された。
    4. CFTMは日常診療の感染症に関与し得る大部分の臨床分離株には, MIC80レベルでは依然として強い抗菌活性を保持していた。
  • 小原 康治
    1993 年 46 巻 9 号 p. 818-826
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    マクロライド2'-リン酸化酵素MPH (2') のマクロライド系抗生物質2'-誘導体に対する反応機構を微生物検定法, 核磁気共鳴分光 (NMR) 法及びマススペクトロメトリーを用いて解析した。微生物検定法によつてトリアセチルOL,(TAO), エチルコハク酸エリスロマイシン (EME), エリスロマイシンエストレイトのようなマクロライド系抗生物質2'-誘導体はMPH (2') とATP で不活化されることが分かつた。マクロライド系抗生物質2'-誘導体に関するMPH (2') 反応解析に関してはATPよりも反応性の高い補酵素GTPを用いたNMR法を確立した。NMR法とマススペクトル解析によつて, TAOやEMEのC2'側鎖がリン酸緩衝液中で自然脱離し, その後C2'位がMPH (2') とGTPによりリン酸化されることが明かとなった。
  • 千村 哲朗, 平山 寿雄, 舟山 達, 奈良 紀紘, 宮田 礼輔, 金杉 浩, 佐藤 聡, 小田 隆晴, 斉藤 憲康, 森崎 伸之, 高橋 ...
    1993 年 46 巻 9 号 p. 827-835
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域の各種感染症に対しAspoxicillin (ASPC) とCeftazidime (CAZ) の併用ないしは単独投与の臨床効果を検討し, 以下の成績を得た。
    1. 産婦人科領域の各種感染症 (n=91) を対象とし, CAZ1~2g×2/日点滴静注, ASPC1~2g×2/日点滴静注を施行した。CAZ単独投与 (n=54), CAZ+ASPC併用投与 (n=37) である。
    2. CAZ単独投与の有効率50例/54例 (92.6%), CAZ+ASPC併用群で33例/36例 (91.7%) であった。婦人科感染症で46例/49例 (93.9%), 周産の感染症で21例/25例 (84.0%), その他 16例/16例 (100%) であった。細菌学的効果では有効率21例/21例 (100%) を, 分離菌別臨床効果は20例/21例 (95.2%) であつた。他剤無効例に対する臨床効果では, CAZ単独群では15 例/16例 (93.8%), CAZ+ASPC併用治療群6例/8例 (75.0%) で, 全体で21例/24例 (87.5%) の有効率を示した。
    3. 臨床検査値異常の発現例数は3例/91例 (3.3%), 副作用は全例に認あられなかった。
  • MUNEO HIKIDA, MASAHIKO MORI, MASUHITO YOSHIDA, TAKESHI YOKOTA
    1993 年 46 巻 9 号 p. 836-839
    発行日: 1993/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The validity of clinical use of cephem antibiotics for preventing the spread of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) was investigated using a methicillin-susceptible S. aureus (MSSA) carrying mecA gene. It became evident that drug with anti-staphylococcal activity, such as cefuzonam (CZON) or cefazolin (CEZ), has comparatively low selectivity of high-level methicillin resistant clones (methicillin MIC range from 25 to 800 μg/ml) from MSSA carrying mecA gene among cephem antibiotics tested. At concentrations over 1.56 μg/ml of both CZON and CEZ, about a 2-3 log10 decrease in viable count was observed. Therefore, it seems that much satisfactory disappearance of bacterial cells can be obtained in cooperation with host defence mechanisms.
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