The Japanese Journal of Antibiotics
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25 巻, 2 号
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  • 木村 行雄, 安達 国昭, 宮田 宏洋
    1972 年 25 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年の抗生物質の進歩は感染症の治療を容易にしているが, 同時にその安易な使用は, 感染起因菌の抗生物質に対する感受性低下と耐性獲得をもたらした。このため, 抗生物質を使用するばあい, 起因菌の薬剤感受性がじゆうぶんにあつて安全性の高いものが要求される。
    今回, 万有製薬から広範囲な抗菌スペクトルをもち, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対してすぐれた抗菌作用を示す注射用Ampicillin (注射用Pentrex ‘Banyu’) の提供を受けたので, その使用経験を報告する。
  • 1972 年 25 巻 2 号 p. 64-64,71
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 実験腫瘍に対する効果について
    北浦 晧三, 渡辺 善博, 石原 由紀子, 高平 汎志
    1972 年 25 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ADMについて実験腫瘍に対する抗腫瘍性を検討した。
    1. ADMは, 腹腔内投与で移植24時間目の腹水型のEHBLICH ascites carcinoma. Sarcoma-180, Hepatoma MH-134, Lymphoma 6C3HED・OG, Leukemia L-1210およびYOSHIDA sarcomaに対して強い抗腫瘍効果を示し, EHRLICH ascites carcinomaに対しては, 対照薬剤のMM-Cとほぼ同程度か, 僅かに優る効果を, DMおよびEXよりは優る効果を示した。しかし, 腹腔内投与以外の経路では, 抗腫瘍効果を示さない成績であった。一方, Leukemia L-1210に対しては, 対照薬剤のEXには劣るが, DMおよびMM-Cよりは優る抗腫瘍効果を示した。
    2. ADMは, 結節型のSarcoma-180に対して良好な抗腫瘍効果を示すが, YOSHIDA sarcomaに対しては僅かに抗腫瘍効果を示す成績であつた。
    3. ADMは, Lymphoma 6C3HED・OG, Hepatoma MH-134およびLeukemia L-1210腫瘍細胞の生体内での増殖を著明に抑制する成績であつた。
  • 尿路感染症に対するDouble Blind Controlled Trial
    青河 寛次, 皆川 正雄, 三好 勝彦, 山路 邦彦, 杉山 陽子
    1972 年 25 巻 2 号 p. 72-78
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefazolin (CEZ) の臨床価値については, わが国における多数の墓礎的・臨床的研究によつて明らかにされつつあるが, 今回, われわれは, 半合成Cephalosporin Cとして長も有力なCephaloridine (CER) とClfazolin (CEZ) とのDouble blind controlied trialを試みたので, その成績を報告する。
  • 谷山 兵三, 沢田 洋介, 後田 洋子, 田原 敬子
    1972 年 25 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者らはRecemomycin complexの研究1) から始まり, さらにRacemomycin-Oの構造についての発表2) 以来, 数多くのStreptothricin群抗生物質を分離し, 同定や構造研究をおこなつてきたが, 一方, 土壌から頻繁に分離される抗生物質を生産する放線菌のうちで特にStreptothricin群抗生物質を生産する放線菌だけを取り除こうとする試みをおこなつてきた。
    すでに柳沢ら3) は, StreptomycinとStreptothricinおよびNeomycin群抗生物質の耐性はOne wayの耐性を示し, Streptomycin耐性大腸菌はStreptothricin, Neomycinに対して感受性であるが, 逆にStreptothricinやNeomycin耐性大腸菌はStreptomycinにも耐性であるとされている。
    また黒尾ら4) によつて, Streptothricin耐性大腸菌を放線菌スクリーニングの被検菌の1つとして応用し, その生菌抗菌像から第1群放線菌の細分類に適していることも報告されている。
    著者らは, 感受性標準株から継代植継ぎ法によつてStreptothricin類の耐性菌 (Escherichia coliおよびStaphylococcus aureus) をつくり, それらの性状, 各種抗生物質に対する耐性感受性について検討した。
    Streptothricin群抗生物質といえば, その主構成成分として, Streptolidine, α-D-Gulosamine, それにL-β-Lysineを含んでいる抗生物質 (旧型Streptothricin) であつたが, SF-701, LL-AC 541 5) の発見を端緒に, 構成々分が部分的に変化したものの存在が明らかにされてきた。すなわち, Streptolidineまたはα-D-GulosamineのN-メチル誘導体, β-LysineのかわりにFormiminoglycineまたはSarcosineのような単純アミノ酸が構成成分として含まれる抗生物質 (新型Streptothricin) があいついで分離され, これによつてStreptothricin群抗生物質の構造概念は拡大された。新型Streptothricin類は, グラム陽性, 陰性菌に抗菌作用を示すが, 旧型Streptothricin類と同様に強い毒性を有している。これらの生産菌は, 土壌から数多く分離されるようになつたことから, 新型, 旧型を問わずStreptothricin産生放線菌をPrimary screeningの段階で区別できることが望ましく, その点についても若干の検討をおこなつたので報告する。
  • 谷山 兵三, 沢田 洋介, 奥野 哲, 橋本 敬三
    1972 年 25 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    放線菌によつて生産される抗生物質のうちで, 一般にグラム陽性菌, 陰性菌および抗酸性菌を広範囲にかつ強く阻止するグループとして水溶性塩基性抗生物質群がある。水溶性塩基性抗生物質は, 通常培養濾液を弱酸性陽イオン交換樹脂で処理したのち, 各種のクロマトグラフィーを適用して分離精製されるが, 抗生物質を完全に結晶として分離することは容易でなく, したがつて化学的鑑別も困難な物質である。これまで放線菌の培養濾液に含まれる抗生物質を早急に見別ける, いわゆる第2次スクリーニングの段階で, ペーパークロマトグラフィー1, 2, 3), シリカゲル4), セルローズ5), 活性炭1) 6) 等の薄層クロマトグラフィー, セファデックスのカラムクロマトグラフィー7), また高圧濾紙電気泳動法8) 等を用いてきたが, また微結晶セルロースアビセルを用いる薄層およびカラムクロマトグラフィーが水溶性塩基性抗生物質に鋭敏な分離能を示し, 特に構造類似の物質も区別されやすく, Rf値の再現性がよいため, 水溶性塩基性抗生物質のスクリーニングにとり入れ, 物質の検索や同定をおこなうのにきわめて便利であることを見出した。なかでも特に, Streptothricin系抗生物質の精製に適用し, すでに新規抗生物質として報告されている3種の抗生物質はアビセルのカラムクロマトグラフィーによつて活性成分を分離し, それらの性質を明確にすることによつて既知物質と同定できた。
  • 佐藤 肇, 渡辺 修, 小島 碩哉, 中島 晋介, 中沢 進, 岡 秀, 近岡 秀次郎
    1972 年 25 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広域抗菌性を特徴とする合成PenicillinであるAmpicillin (Aminobenzylpenicillin, Viccillin ‘Meiji’, 以下AB-PCと略)は, 内服および筋注用製剤として本邦小児科領域においても広く使用されつつある現況である1, 3, 4)。本剤の静脈内投与法による臨床的成績については, 内科領域から中川等2) の報告がみられるが, 私等は今回, 小児疾患を対象として検討したので, 最近までの成績について報告する。
  • 藤田 正敬, 真山 武志, 安部 政弘, 友野 法子, 深津 俊三
    1972 年 25 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく合成された水溶性テトラサイクリン誘導体であるプロリノメチルテトラサイクリンおよびその静注用製剤の毒性, 血清中濃度, 尿中排泄および組織中濃度をマウス, ラットおよび犬を用いて検討した。
    1. PM-TC静注剤の静脈内注射でのLD50は,マウスのばあい, 114mg (力価)/kg, ラットのばあい115mg (力価)/kgで, 急性致死作用にほとんど種差がみとめられなかつた。また, 対照として用いたPRM-TC静注剤のマウスLD5060mg (力価)/kgにくちべ, 急性致死毒性の低いことは明らかである。
    2. 7日間の連続腹腔内投与では, 200mg (力価)/kgの大量投与でも全例生存したが, 300mg (力価)/kg投与では, 6日目の投与で全例死亡した。一方, PRM-TC静注剤のばあい, 全例生存するのは100mg (力価)/kg投与のばあいで, 300mg (力価)/kg投与では1回の投与で全例死亡し, このばあいもPM-TC静注剤の致死毒性はPRM-TC静注剤よりも明らかに低い結果を示した。
    3. ラットに5mg (力価)/kgを静脈内注射したばあい, 30時間までの尿中回収率は, 平均66.2%で, PRM-TC静注剤よりもやや少なかつた。
    4. ビーグル犬に5mg (力価) /kgを静脈内注射したばあいの血清中濃度は, PRM-TC静注剤と同様に30分でピークに達し, そのピーク値は約5μg (力価)/mlであつた。しかし, その後の減少は, PM-TC静注剤のほうがゆるやかで, やや持続的であると思われるパターンを示した。
    5. ラットに5mg (力価)/kgを静脈内注射し斥ばあいの組織中濃度は, 腎, 肝, 卑清, 肺, 脾の順で高く, 膨では検出できなかつた。これらは, PRM-TC静注剤でも同様の傾向であつたが, 濃度はPM-TC静注剤のほうが高く, 膿器移行性がやや良好であると考えられた。
    6. 以上の実験結果から, PM-TC静注剤は組織分布が良好で, 高い血清中濃度を持続する, 致死毒性の低い, 新らしいテトラサイクリン誘導体であるといえる。
  • 村川 武雄, 岡野 圭介, 若井 芳美, 西田 実
    1972 年 25 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    さきにわれわれは, 新らしいCephalosporin誘導体, Cefazolin (CEZ) の抗菌活性1), 免疫学的特性2) および吸収排泄3) などに関して報告した。CEZを実験動物および志願者に非経口的に投与すると, 他の市販Cephalosporin誘導体と比較して高い血清中濃度が得られる。しかし, CEZはCephalothin (CET) と同様に血清蛋白との結合性が高く, 血管系内のCompartmentから組織病巣部への移行が抑制されるのではないかという懸念が生ずる。われわれはこれらの疑問を解明するため, 本報のような実験をおこなつたので, その結果を報告する。
  • 懸濁用Cephalexinによる治療成績を中心として
    小林 裕, 赤石 強司, 西尾 利一, 後藤 薫, 相原 雅典, 原田 敦喜, 小林 祥男
    1972 年 25 巻 2 号 p. 104-119
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    尿路感染症は, 小児では, 呼吸器感染症についで多い疾患とされているが1~3), 従来比較的簡単に考えられ, 起炎菌の検出さえおこなわれていないばあいもあり, その取扱いに慎重さが欠けているうらみがある。もちろん, 炎症が膀胱のみに限局し, しかも尿流障害がないばあいは問題が少ないが, その証明は困難であり, 小児ではこのような急性単純性膀胱炎はむしろ例外であつて4), 膀胱炎は多くは腎盂炎と共存し, 腎盂炎があれば多くは病変が腎実質にもおよんでいる5, 6)。WEISS & PARKER7) は, 腎実質がおかされていない腎盂炎はないと述べており, 下部尿道を除く尿路の細菌感染症に対して, 一般に腎盂腎炎という名称が用いられている。
    腎盂腎炎は, その末期には, 高血圧症や血管障害をきたして腎不全におちいる例が少なくなく, 慢性または潜伏性腎盂腎炎は, 慢性糸球体腎炎より頻度が高いといわれる7)。RHOADSら8) は, 成人の剖検例のうち腎盂腎炎が少なくとも20%を占めると述べているのに対して, 小児ではNEUMANN & PRYLES6) は1999例の剖検例中で1.6%と, 成人にくらべて低率ではあるが, いずれもその生前診断率が約1/3にすぎないことは注目されねばならない。STANSFELD9) は, 一般地域での頻度は, 人口1,000に対し, 男児0.17人, 女児0.4人であつたと述べ, 入院患者中の頻度について, BURKE5) は3~4%, STANSFELD9) は1.23%, 福田2) は1.28%と報告している。腎盂腎炎が出産期, 老年期に初発する頻度も高い3) にしても, かなりの症例は小児期に発症し, 進展して成人期にいたり, やがては腎不全におちいる連続性の疾患として理解すべきであること3, 4)を考えると, 早期の適確な診断による充分な治療と, その慢性化の防止は, 小児科医にとつて重要な課題である。
    小児細菌感染症に対する懸濁用Cephalexin (CEX-Susp.) の使用成績については既に報告したが10), その後, 尿路感染症についてさらに検討を加え, 以前の24例を含めて70例に達したので, その成績について述べるとともに, 小児尿路感染症の化学療法における2~3の問題点について考察してみたい。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 渡辺 修, 小島 碩哉, 岡 秀, 近岡 秀次郎, 田中 英, 山口 剛
    1972 年 25 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 1972/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefazolin (以下CEZと略記)は, 1967年藤沢薬品中央研究所で開発された7-Aminocephalosporanic acidを母核とした新しい邦製Cephalosporin系製剤であり, 常用抗生剤耐性獲得株を含むグラム陰性・陽性球・桿菌類に対して強い抗菌性をもつ点が特徴であり, 現在, 注射剤として使用されている1, 2)。
    私等も本剤を使用しての小児科領域における一連の検討をおこない, その成績の一部については, 既に報告してきた。3) 今回, 本剤の内服による治療の可能性について2, 3の基礎的, 臨床的検討をおこない, みるべき成果が得られたので, 以下に現在までの概況について報告したいと思う。
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