チベット高原南部に位置する古第三紀のガンディス・バソリスは, 廷長1,500km以上, 幅 50kmあまりの規模を有する巨大な花崗岩バソリスであり, K
2Oに富むIタイプ・磁鉄鉱系列の花崗閃緑岩を主体とし, これに花崗岩, トーナル岩, はんれい岩などを伴う複合岩体を構成している. ガンディス・バソリスは場所によっては大量のカルクアルカリ質火山岩類を伴い, インド大陸衝突前のテーチス海の北方への沈み込みによってもたらされた島弧マグマ活動によって形成されたものと推定される. 我々は1988年に行われた中国四川省成都地質鉱産研究所と合同のチベット高原横断海外学術調査 (代表:諏訪兼位) の際, ガンディス・バソリス中において, 未固結な珪長質マグマ溜り中へ貫入したきわめて見事な安山岩質の syn-plutonic dikeを発見した. ここでは, この安山岩質岩脈の産状を紹介したい. 露頭の場所は, ガンディス・バソリスを南北に横断する, 空港からラサ市内へ向かう主要道沿いである.
抄録全体を表示