地質学雑誌
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114 巻, 11 号
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論説
  • 藤内 智士, 大岩根 尚, 清川 昌一
    2008 年 114 巻 11 号 p. 547-559
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    西南日本弧と琉球弧の会合部に位置する甑島列島北部における応力の変遷を明らかにするため,野外調査,断層系の区分,および小断層解析を行った.その結果,調査地域の新生代における変動ステージを2つ(D1,D2)に区分した.D1は古第三系堆積以後,中期中新世までの期間であり,北東―南西方向の引張応力のもとで,北西-南東走向の正断層群が形成され,調査地域は複数の構造ブロックに分かれ傾動運動を起こした.この運動により,北東へ傾斜する現在の甑島列島の大局的な地質構造が形成された.D2は,後期中新世以降に西北西-東南東方向の引張応力が作用した期間である.この応力により,北北東-南南西走向の斜めすべり正断層群が形成された.これらの断層の活動に伴い,調査地域はさらにいくつかの構造ブロックに分かれ,構造ブロックの一部は南東方向にさらなる傾動運動を起こした.
  • -海底谷の地形的特徴と問題点-
    嶋村 清
    2008 年 114 巻 11 号 p. 560-576
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    シービーム海底地形図およびJ-EGG500データをもとに日本列島海底谷系図を改訂した.大陸棚外縁から大洋底・海溝まで連続する谷線を持つ海底谷は天竜海底谷,富山海底谷および最上海底谷のみである.曲流を呈するのは釧路海底谷,広尾海底谷および谷末端水深が2000 m以浅の海底峡谷と深海チャネルに限られ,他の海底峡谷は屈曲を主とする適従谷である.ほとんどの海谷とガリ状海底谷および御蔵海底谷,黒瀬海底谷は必従的である.ガリ状海底谷は太平洋側の水深2000 m以浅に分布する.海底谷の縦断面形状は勾配の違いにより7区分される.縦断面は海域によらず1,2の傾斜変換点で連結した単斜谷の組合せからなる.海底谷地形は流動体による作用を示すが,海底谷の形成機構は堆積物重力流の作用だけでなく,海水準変動や地殻変動も併せて考慮するべきであろう.
  • 小林 文夫, 後藤 篤
    2008 年 114 巻 11 号 p. 577-586
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    兵庫県中東部,篠山盆地西方の上滝-下滝地域の篠山川河床には,非海成の下部白亜系篠山層群下部層が好露出する.下部層赤色岩は厚さ数10 mから数100 mで,緩やかに屈曲しながら同一層準が数回繰り返す.また上部層を欠き,上部白亜系有馬層群に不整合で被われる.本地域の礫岩は石灰岩・変玄武岩類・花崗岩・結晶片岩など,篠山盆地のものには稀な礫を多種含む.構成礫種の違いから,本地域と篠山盆地域は,堆積時の水系を異にしていた可能性が高い.
    泥質結晶片岩礫のフェンジャイト濃集物から,271 MaのK-Ar年代を得た.結晶片岩の年代分布から,この礫は,現在では上滝-下滝地域から50 km以上北に分布する,三郡テレーン最古の蓮華帯に由来すると考えられる.西南日本の階層構造の原型が下部層堆積前に完成していて,その構成要素の蓮華帯が篠山層群堆積盆域に露出していたと考えれば,今回の礫の産出は説明できる.
短報
  • 梅田 美由紀, 安曽 潤子, 服部 勇
    2008 年 114 巻 11 号 p. 587-590
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Fossil-bearing limestone associated with shale was newly found at Nishiamada, Miyama area of Fukui City. The fossils seem to be casts of Brachiopoda and Bryozoa, although genus and species names of them are unknown. The limestone is associated with sandstone, shale, and cherty rock. These rocks were intruded and metamorphosed by the Funatsu-type granites. The shale is characterized by partial weak schistosity. Two types of garnet were recognized: one is grossular-type found in the limestone, and the other spessartine-type in the schistose shale. Garnet is present in sandstone, too. These rocks differ from the Hida Metamorphic Rocks and sedimentary rocks of the Mino Terrane. Accordingly, it is very likely that the limestone, sandstone, and shale occurring at Nishiamada belong to the Kuzuryukawa Belt, the Unazuki Belt, or an unknown belt.
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