地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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121 巻, 3 号
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特集 トピックセッション「ジュラ系+」の10年(その2):ジュラ系研究の将来展望
総説
  • 鈴木 寿志, ガウリック ハンス-ユルゲン, 尾上 哲治, 三上 禎次, 佐藤 峰南, 山下 大輔, 石田 啓祐
    2015 年 121 巻 3 号 p. 83-90
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    ジュラ系の国際境界模式層序・位置がオーストリア国チロル州のクーヨッホ層序断面に置かれることが2010年に正式に決まった.それはジュラ紀最古のアンモナイトPsiloceras spelae tirolicumが初産出する層準で,ケンドゥルバッハ層の基底から5.8 m上位に位置する.筆者らは2012年に行われた国際堆積学会の巡検でクーヨッホ層序断面を訪れたので,その概要を紹介する.
    ジュラ系の国際模式境界が置かれた北部石灰アルプスでは,近年の研究でオリストリスの基質をなす珪質堆積岩からジュラ紀の放散虫化石が数多く報告され,年代決定に有効なことが示された.本稿では特に研究が進んでいるザルツカンマーグート地方の代表的なジュラ紀層を紹介し,北部石灰アルプスの地質構造発達史を概観する.
  • 尾上 哲治, 佐藤 峰南
    2015 年 121 巻 3 号 p. 91-108
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    層状チャートは堆積速度が非常に遅く,陸源性の粗粒砕屑物を含まないため,地球外物質の混入をみつけやすいという特徴がある.本研究では,西南日本のジュラ紀付加体である美濃帯および秩父帯の三畳系・ジュラ系層状チャートに残された地球外物質付加の記録についてレビューした.これまでの研究では,コズミックスフェルールとよばれる大気圏突入時に溶融した宇宙塵が,美濃-丹波帯および秩父帯の三畳紀・ジュラ紀層状チャートから発見されている.これらのコズミックスフェルールは,鉄質タイプと珪質タイプに分類され,鉱物組成や全岩化学組成から地球外物質であることが明らかにされている.また層状チャートの白金族元素やオスミウム同位体比の分析から,三畳紀後期の層状チャートには,隕石衝突の証拠が残されていることが明らかになった.
  • 李 罡, 松岡 篤
    2015 年 121 巻 3 号 p. 109-122
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/06/19
    ジャーナル フリー
    中国東北部では,ジュラ系および白亜系は,主として非海成の地層からなる.中国東北部における非海成層中のジュラ系・白亜系境界の認定は,遼寧省西部から産出するJehol生物群の年代決定に大きく依存している.同生物群の年代観は,幾多の変遷をたどっている.中国,モンゴルおよびロシア・トランスバイカルの含Eosestheria-Ephemeropsis-Lycoptera層は,1920年代には白亜紀古世に位置づけられていた.しかし,1960年代以降は,ジュラ紀中世ないし新世へと変更された.1990年代前半以降,黒竜江省東部から産する海生生物相の年代位置づけが修正されたことにより,Jehol生物群の年代は,再び白亜紀古世を示すと考えられるようになった.最近の放射年代の測定によれば,ジュラ紀・白亜紀境界は,Jehol層群の層準よりもずっと下位に位置づけられる.
口絵
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