地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
112 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論説
  • 氏家 良博, 谷口 貴康, 蝦名 正輝
    2006 年 112 巻 10 号 p. 581-593
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/02/17
    ジャーナル フリー
    青森県東津軽郡外ヶ浜町蟹田において津軽断層近傍に分布する中新統小泊層と鮮新-更新統蟹田層の地質調査を行い,堆積岩に含まれる有機物の熟成度をビトリナイトの反射率(Ro)と、花粉の明度に基づく統計的熱変質指標(stTAI)から測定した.次に,津軽断層で接する小泊層と蟹田層の有機熟成度の差,および小泊層と蟹田層中でのそれぞれの有機熟成速度から津軽断層の変位量を推定するためのモデルを考えた.地質調査と露頭観察結果から,津軽断層の断層面は鉛直で,その走向は周辺の地層の走向と一致し,地層の傾斜は30°とした.これらの値と,津軽断層の両側での統計的熱変質指標の値の差をモデルに外挿すると,津軽断層の変位量(落差; 走向スリップ成分は無視)は901~1389 mの間と推定される.この値は,地質学的に推定された断層の層位学的隔離は最大1000 m以上との見積り(三村, 1979)、重力異常からの断層の落差は約1500 mとの見積もり(松橋ほか, 1989)とも,よく一致する.有機熟成度は,続成作用,不整合,接触変成作用の研究に役立つが,断層の研究にも有効な指標である.
  • 嵯峨山 積
    2006 年 112 巻 10 号 p. 594-607
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/02/17
    ジャーナル フリー
    北海道の3大河川である十勝川,天塩川および石狩川の河口沖の表層堆積物について珪藻分析を行い,淡水生種殻の割合と分布を明らかにし,その意義を考察した.表面から厚さ数cmの表層堆積物から得られた淡水生種の産出率を,河口から採泥地点までの直線距離,汀線と採泥地点までの最短距離,深度との関係について検討した.産出率は河口から沖合へ徐々に減少し,淡水生種は海水により河口から沖合へ運搬されていると推定され,その分布は沿岸の流れの研究にとって重要な資料となる.
短報
口絵
feedback
Top