地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
124 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
125周年記念特集:グリーンタフ・ルネサンス
前文・表紙説明
総説
  • 鹿野 和彦
    2018 年 124 巻 10 号 p. 781-803
    発行日: 2018/10/15
    公開日: 2019/01/24
    ジャーナル フリー

    グリーンタフは主に本州の日本海沿岸に沿って分布する火山岩主体の地層群で,最近明らかになってきた特徴的な岩相の時空分布に基づけば,下位から順に上部始新統~下部漸新統(44~28Ma),上部漸新統(28~23Ma),下部中新統下部(23~20Ma),下部中新統中部(20~18Ma),下部中新統上部(18~15.3Ma),中部中新統下部(15.3~12.3Ma)に区分できる.これらの層序単元は,1)陸弧内リフティング,2)リフティングと火山活動を伴う地殻のドーム状隆起,3)背弧盆の拡大とリフティングの周辺地域への伝播,4)背弧盆拡大とリフティングの急速な進展,背弧側への暖流の本格的流入,5)日本海東縁での急激なリフティングと日本海盆などにおける熱的沈降の始まり,6)フィリピン海プレートの衝突と沈みこみ,火山前線の太平洋岸への移動,短縮変形の始まりを反映している.

  • 星 博幸
    2018 年 124 巻 10 号 p. 805-817
    発行日: 2018/10/15
    公開日: 2019/01/24
    ジャーナル フリー

    筆者は「関東対曲構造の形成はいつ始まったか」という問題について主に地質と古地磁気の両面から最近の研究をレビューし,現状の到達点について整理した.伊豆衝突帯の櫛形山地塊の地質より,伊豆弧と本州弧の衝突は17Ma頃には始まりつつあったと考えられる.対曲構造の東西両翼から得られた古地磁気データは,対曲構造の形成が約17Maから15Maまでの間のある時期に始まった可能性が高いことを示す.地質から推定される年代と古地磁気から推定される年代が整合することから,約17Maから15Maまでの間のある時期に本州弧と伊豆弧の衝突が始まり,衝突開始と同時に対曲構造の形成も始まったと考えられる.伊豆弧衝突と対曲構造の形成開始を約15Maと考える研究者が多かったが,実際には15Maには衝突も対曲構造形成もすでに始まっていたようだ.小論では対曲構造形成に関連する検証可能な仮説についてもいくつか紹介した.

論説
  • 細井 淳, 中嶋 健, 檀原 徹, 岩野 英樹, 平田 岳史, 天野 一男
    2018 年 124 巻 10 号 p. 819-835
    発行日: 2018/10/15
    公開日: 2019/01/24
    ジャーナル フリー
    電子付録

    岩手県西和賀町周辺に分布するグリーンタフについて,ジルコンFTおよびU-Pbダブル年代測定を実施し,本地域のグリーンタフ層序と堆積年代を再検討した.堆積年代は下位から順に,大荒沢層(20-18Ma),大荒沢層を不整合に被覆する大石層主部(16-15.4Ma),大石層上部に相当する川尻凝灰岩部層(15.4-13.6Ma),大石層を整合に覆う小繋沢層(13.6-12Ma)と推定した.この結果は,近年改訂されたグリーンタフの模式層序の年代と調和的である.本調査地域は16Ma頃にテクトニクスが変化し,急速に沈降した.この変化は15.4-13.6Ma頃に活発な珪長質火山活動と調査地域の回転運動を伴って,12Ma頃に収束した.

通常号
論説
  • 山田 眞嵩, 河合 貴之, 西澤 文勝, 鈴木 毅彦
    2018 年 124 巻 10 号 p. 837-855
    発行日: 2018/10/15
    公開日: 2019/01/24
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究では火砕流堆積物を3枚記載し,上位からSo-OT,So-TN,So-KTとした.So-OTは上位の火砕流堆積物と下位の降下軽石堆積物とに大別される.3枚の火砕流堆積物は火山ガラスの主成分化学組成などにより明確に区別できる.また,So-OTの降下テフラを6地点で確認し,陸域での観察地点の北端は福島市南部である.火砕流堆積物群と他のテフラとの関係は,上位よりSo-OT,So-TN,A4Pm,So-KT,A2PmまたはA1Pmとなり,BT72がSo-TNの下位に位置する.これらのことからSo-OTおよびSo-TNの噴出年代は300~337ka,So-KTの噴出年代は337~410kaと推定される.So-OT,So-TN,So-KTの給源は,各火砕流堆積物が含む本質物の粒径や降下火砕物の粒径・層厚変化などから塩原カルデラであると考えられる.

報告
口絵
feedback
Top