地質学雑誌
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105 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 高清水 康博, 増田 富士雄, 立石 雅昭
    1999 年 105 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    静岡県牧ノ原地域の上部統中の砂層の粒度特性と, それらの堆積環境との関連を解明しシークェンス層序学的観点から考察を加えた.堆積環境ごとに粒度特性値が異なり, その分布幅は環境ごとの営力の振動幅による.低海水準期の開切谷の河川は, 高海水準期の沖積扇状地の河川より細粒で淘汰が悪い.海浜-外浜システムでは, 海浜から下部外浜へ細粒になり, 泥分含有量も高くなる.溺れ谷-エスチュアリーシステムでは, 陸側は多様な粒度特性値を示し, 中央部は細粒で, 泥分含有量も多く不淘汰で, 海側は泥分含有量が少なく淘汰が良い.最大海氾濫面は細粒で泥分含有量が多い.津波堆積物は比較的細粒で淘汰が良く, 泥分含有量がやや多い.バリアーの津波堆積物は海側からの砂とバリアー自身を侵食した砂を起源とし, 溺れ谷のものは, 谷に沿った振動流による陸/海からの掃流物質を多量に含む.これらの砂層の粒度特性は相対的海水準変動に支配された堆積環境に影響される.
  • 垣原 康之
    1999 年 105 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道北部函岳地域には, 平坦な地形を形成した安山岩質の溶岩類が分布している.本地域の火山岩類は, 下位からサックル安山岩, 音威富士安山岩, 函岳溶岩に区分され, これらは中期中新世の堆積岩類からなる恩根内層と指交関係にあることが, 層序学的に確かめられた.この結果は, これらの火山岩類で測定されているK-Ar年代(10~14Ma)とも調和的である.恩根内層は河川から浅海の堆積相を示している.溶岩類は沈降する堆積盆(平野地域)に流出したために, 平坦な地形を形成し, 堆積盆中に埋積されていった.さらに埋積された火山岩類は, 調査地域にみられる南北性の断層や南北に軸をもつ褶曲などの構造運動にともない上昇した.溶岩地形の保存の程度が比較的よいことから, 地表に露出してからそれほど時間がたっていないと推定される.
  • 窪田 安打
    1999 年 105 巻 1 号 p. 25-44
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    長野県諏訪湖南西に分布する塩嶺累層をもたらした安山岩質の火山活動は, 時間とともに漸次珪長質から, より苦鉄質に変化(主要斑晶組成が普通角閃石→斜方輝石, 単斜輝石→かんらん石)するステージの4回の繰り返しからなり, 各ステージ末期を中心に, 火山活動の休止が認められる.4ステージ全体をとおして, 後期になるほど噴出物に占める珪長質な安山岩の相対的割合が増大し, 噴出物量が減少する傾向が認められる.また本調査地域では, 塩嶺累層の堆積盆地は, 北西へ傾斜し, 北西縁をアンティセティックな縦走性成長断層に境された3つの傾動盆地-小野, 上野-天神および松倉堆積盆地-が並列している.これらの堆積盆地は, 塩嶺累層堆積期間を通じて, 基盤岩の北西への傾動沈降と3つの主要縦走断層群のアンティセティックな変位が, 相補的に進行したことを物語っている.
  • 中村 羊大, 小澤 智生, 延原 尊美
    1999 年 105 巻 1 号 p. 45-60_2
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    宮崎県青島地域に分布する宮崎層群は, 下位から双石累層, 家一郷累層, 郷之原累層, 蛇ノ河内累層, 青島累層, 田野累層に区分される.浮遊性有孔虫化石層序, 岩相の垂直変化, そして軟体動物化石の情報を総合すると, 家一郷累層から蛇ノ河内累層は後期中新世中期から後期に, 青島累層と田野累層は後期中新世後期から鮮新世初期に堆積したと考えられる.家一郷累層から産する軟体動物化石群は, Megacardita taiwanensis, Amusium cf. pleuronectesなどの熱帯-亜熱帯性種を優占種として含み, 台湾の中新統から産する軟体動物化石群と類縁性が高い.一方, 田野累層にみられる軟体動物化石群は, 後期中新世から鮮新世初期に中部~西南日本で繁栄した逗子動物群の特徴種で構成される.家一郷累層産の軟体動物化石群は逗子動物群に先立って繁栄したものと考えられる.この熱帯-亜熱帯性動物群に対して家一郷動物群という名称を提唱し, 古生物地理上の意義を考察した.
  • 富田 裕子, 黒川 勝己
    1999 年 105 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    大阪層群最下部に挟在する鮮新世後期(約2.7 Ma)の土生滝I火山灰層および東海層群の南谷1火山灰層と, 日本海側の氷見層群のMT2火山灰層, 新潟地域の西山層中のArg-2火山灰層との対比を検討した.これらはいずれも黄白色ないし白色細粒のガラス質火山灰層で, 水底に堆積した降下火山灰層と考えられる.全層厚は13-150 cmであるが, 1-3ユニットから構成される.これらの火山灰層はその層準や年代, 高温型石英を含み, 斜方輝石, ホルンブレンドを主とする重鉱物組成などの記載岩石学的特徴, およびbubble wall型を主とする火山ガラスの形状, ガラスの屈折率, 化学組成の検討から同一の火山灰層と認定できる.南谷1火山灰層はすでに掛川層群の有ヶ谷I火山灰層にも対比されていることから, これらの火山灰層(土生滝1-MT2火山灰層と総称する)は中央日本における太平洋側から日本海側にわたる広域火山灰層として有効に活用しうると考えられる.
  • 田中 秀実, 樋口 孝幸, 冨田 直人, 藤本 光一郎, 大谷 具幸, 伊藤 久男
    1999 年 105 巻 1 号 p. 72-85
    発行日: 1999/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    1995年の兵庫県南部地震(M 7.2)の地震断層である野島断層の掘削が, 通産省工業技術院地質調査所によって野島平林において実施され, 活断層の中軸破砕帯を貫通する約600 mのコア(GSJコア)が引き上げられた.GSJコアの断層破砕帯に現われた断層岩を解析するために破砕-変質作用の影響を考慮した断層岩区分ダイアグラムを新たに提案した.ダイアグラムを用いて断層岩の分布様式を精密に解析し, 断層岩分布図を作成した.また, 破砕帯中の6つの破砕および変質の卓越した帯(破砕変質帯)について, ダイアグラムから破砕変質過程を読み取り, 破砕-変質系列, 破砕系列および変質系列の3タイプを識別した.破砕-変質系列に属する破砕変質帯は, 断層中軸部付近に, 残りの2タイプは下盤側に, それぞれ現われている.この原因は今後の物質解析によってが明らかにされることが期待される.
  • —an example of continental growth and evolution evidence at an Archean continental crust—
    Shoichi Kiyokawa, Asahiko Taira, Tim Byrne
    1999 年 105 巻 1 号 p. I-II
    発行日: 1999年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    The middle Archean (3.25-3.20Ga) coastal Pilbara Terrane was formed by an immature oceanic island arc-continent collision [D1: 3.15-3.05Ga] and was deformed by regional intraplate strike-slip deformations [D2: 3.0-2.95Ga; D3: 2.90-2.80Ga] (Kiyokwa and Taira, 1999; Kiyokawa et al., submit). The immatured oceanic island arc unit of the Cleaverville-Roebourne Supercomplex tectonically overthrusts the granitecontinental shelf metasedimentary Karratha Supercomplex (see cross section) (Kiyokawa and Taira, 1998). D1 thrust deformation evidences, such as klippen structure, imbricated thrust piles and a basal decollement with quartz mylonite, are well preserved in the complexes boundary. On the other hand, the D2 event identified regional strike-slip deformations (eg. reactivated quartz mylonite, steep axis asymmetric fold) and the D3 deformation locally preserved at the terrane boundary with mylonite shear zone [Sholl shear zone]. These deformations are identified as formation of a juvenile continent and stabilization of early continent in Middle Archean.
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