地質学雑誌
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119 巻, 5 号
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論説
  • 牧野内 猛, 塚本 将康, 檀原 徹, 山下 透, 内園 立男, 濃尾地盤研究委員会断面WG
    2013 年119 巻5 号 p. 335-349
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/09/28
    ジャーナル フリー
    濃尾平野東部において,南北約31 kmの地質断面図の作成と泥質堆積物のテフラ分析によって,地下地質の特徴や解明すべき課題が明らかになった.それらは,①軽石を含む砂層からなる熱田層上部(D3U)には2枚の泥層挟在層準がある.②海成粘土層からなる熱田層下部(D3L)には,平野西部の臨海部地下から検出された長島テフラ(BT36, B75-2)が挟まれる.長島テフラは,平野東部ではD3Lの上部,西部では下部に挟まれ,挟在層準が大きく異なる.この差異が何を意味しているのか,今後の課題である.③東部のD3Lは西部に劣らない層厚を有している.④海部・弥富累層には,Ata-Thの降灰層準を含む厚い海成粘土層(Dmc-m)が挟まれる.⑤濃尾傾動運動による沈降が平野西部より小規模であったと想定される東部において,厚いD3LやDmc-mの挟在が何を意味するのか,これも今後の課題である.
  • 田辺 晋, 石原 与四郎
    2013 年119 巻5 号 p. 350-367
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/09/28
    ジャーナル フリー
    日本の沿岸河口低地の沖積層に一般的にみられる最上部陸成層は,これまでその分布深度や堆積年代にもとづいて“弥生の小海退”の根拠とされてきた.しかし“弥生の小海退”の存在は汎世界的なコンセンサスを得ているわけではない.東京低地と中川低地の最上部陸成層の堆積相と放射性炭素年代値を整理したところ,最上部陸成層を構成する氾濫原堆積物が標高-1 m以浅に分布し,最上部陸成層の下部(標高-7~-3 m,約3~2 ka)と上部(標高-3 m以浅,約2~0 ka)で河川システムの形態がシート状からアナストモーズする河川チャネル堆積物へと変化することが明らかになった.シート状とアナストモーズする河川チャネル堆積物はそれぞれ低海水準期と海水準上昇期に一般的である.したがって,これらの事象は,約3~2 kaに相対的な海水準が現在よりも低く,その後現在にかけて上昇したことによって整合的に説明することができる.
  • 菅森 義晃
    2013 年119 巻5 号 p. 368-374
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/09/28
    ジャーナル フリー
    兵庫県北部の豊岡市但東地域には古生界と考えられている地層が露出している.しかし,この地層の詳細な岩相,年代および地質構造は明らかにされていない.地質学的検討を行った結果,この地層は泥岩,珪長質凝灰岩を主体とし,礫岩や珪長質凝灰岩を挟む赤色チャートを伴う地質体であることが判明した.泥岩からはPseudoalbaillella aff. longicornis Ishiga and Imotoを特徴的に含む放散虫化石群集が産出し,この群集はペルム紀古世最後期~中世中期の年代を示すと考えられる.秋吉帯ないし“志高帯”の下見谷層の岩相および年代と本地域の古生層のそれらを比較した結果,従来の解釈と同様に研究地域の古生層は下見谷層に対比されると考えられる.
  • 納谷 友規, 平松 力, 古澤 明, 柳沢 幸夫, 山口 和雄
    2013 年119 巻5 号 p. 375-395
    発行日: 2013/05/15
    公開日: 2013/09/28
    ジャーナル フリー
    埼玉県加須市大利根町で掘削された1505 mの温泉井の地質年代を,テフラ層序,石灰質ナンノ化石層序,珪藻化石層序に基づいて明らかにし,関東平野縁辺部に露出する新第三系および第四系との対比を行った.最下部の岩相ユニットA(深度1434–1505 m)は,中部中新統の比企層群に,岩相ユニットB~E(深度773–1434 m)は中~上部中新統の都幾川層群にそれぞれ対比される.また,最上部の岩相ユニットF(深度0–773 m)は上部鮮新統~更新統の上総層群・下総層群に対比される.岩相と年代層序基づくと,岩相ユニットAとB境界は庭谷不整合,岩相ユニットEとF境界は黒滝不整合に相当する不整合である可能性がある.反射法深度断面(Kazo1, Shobu1測線)との対応を検討した結果,上総層群相当層基底の深度は菖蒲町付近で最も大きく,深度1000 m程度となることが分かった.
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