地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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115 巻, 2 号
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論説
  • 中澤 努, 中里 裕臣, 大嶋 秀明, 堀内 誠示
    2008 年 115 巻 2 号 p. 49-63
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    関東平野中央部,埼玉県越谷市大杉で掘削したGS-KS-1コアにおいて,層相,テフラ,花粉化石,珪藻化石の解析を基に,房総半島の上総-下総層群境界に相当する海洋酸素同位体ステージ(MIS)12層準の特定を試みた.検討の結果,掘削地点でのMIS 12層準は,内湾相基底のベイラビンメント面に相当すると考えられ,河川チャネル成の粗粒堆積物は伴わないことが明らかになった.また,MIS 12層準直下の上総層群上部相当層は,下総層群と同様の陸成層と海成層の互層からなり,関東平野中央部では,房総半島の上総-下総層群境界に相当する層準の上下で,房総半島でみられるような層相の大きな違いはないことが明らかになった.
  • 本郷 美佐緒
    2008 年 115 巻 2 号 p. 64-79
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    大阪堆積盆地における中期更新世の陸域環境変遷を明らかにするために,神戸市東灘1700 mコアを試料としてMa 2層からMa 12層(大阪層群上部~中位段丘構成層相当層)までの花粉化石群集の構成を明らかにした.その結果に基づき,20帯の花粉化石群集帯と5つの花粉超帯を設定した.森林古植生は最下位の花粉超帯が堆積した時代(前期更新世末)には暖温帯落葉広葉樹林であったと推定され,この時代の後になって次第に温帯針葉樹の勢力が増して暖温帯落葉広葉樹林に温帯針葉樹林が加わった森となり,温帯落葉樹林と温帯針葉樹林の交代が繰り返される時代を経て,後背地に温帯針葉樹林を伴う照葉樹林,そして温帯針葉樹林へ移り変わったと考えられる.一方,非海成層堆積期の平野部の古植生は,草本植物花粉やシダ植物・コケ植物胞子などの産出傾向から,氾濫原に広がったかなり広大な原野植生から河畔林や後背湿地の安定した植生へ移り変わったと考えられる.
  • 菅森 義晃
    2008 年 115 巻 2 号 p. 80-95
    発行日: 2009/02/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    兵庫県南東部の川西-猪名川地域の超丹波帯は構造的上位の国崎コンプレックス(再定義)と構造的下位の猪名川コンプレックス(再定義)に区分される.国崎コンプレックスは砕屑岩からなる整然相および破断相と,砕屑岩,チャートおよび苦鉄質岩類からなる混在相を呈し,珪長質凝灰岩からペルム紀新世最前期,泥岩からペルム紀新世前期の放散虫化石が産出する.猪名川コンプレックスは砕屑岩からなる整然相および破断相を呈し,珪長質凝灰岩からペルム紀中世後期,新世最前期および新世中期,泥岩からペルム紀新世中期の放散虫化石を産出する.研究地域の超丹波帯は構造的下位ほど砕屑岩の年代が若くなるナップ群をなすと判断される.国崎コンプレックスおよび猪名川コンプレックスは層相および地質構造から,猪名川コンプレックスと岩相が酷似する研究地域東方の高槻層とともに,ペルム紀新世以降に付加複合体として一連に形成された可能性がある.
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