地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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126 巻, 7 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
巡検案内書:第128年学術大会(2021名古屋大会)
  • 西本 昌司
    2020 年 126 巻 7 号 p. 343-353
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    名古屋城の石垣に使われている膨大な量の石材は,どこからどのようにして調達されたのだろうか.詳しくは分かっていないとはいえ,地質学の目で見ればおおよその見当がつく.名古屋城の石垣の特徴は,石材の岩石種がバラエティに富んでいることであり,様々な場所から運ばれたことを示している.それは,名古屋城が全国の大名が動員された天下普請によって築城されたことを反映していると思われる.そこで,地質学的な視点から名古屋城の石垣を見学することで,岩石と人々との関わりを感じてもらいたい.合わせて,近代建築として重要文化財となっている名古屋市役所に使われている石材も見学する.

  • 村宮 悠介, 氏原 温, 大路 樹生, 吉田 英一
    2020 年 126 巻 7 号 p. 355-363
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    愛知県知多半島の南部には,前期中新世の深海底に堆積した師崎層群が広く分布している.師崎層群は,古くから地質構造および化石群集に関する調査・研究が行われてきた.とくに,師崎層群から産出する深海性の化石群集は,極めて保存状態が良いことで知られており,師崎層群は過去の深海性生物群集を垣間見ることができる重要な地層である.これらの化石群集については,現在も研究が進行中である.また近年には,師崎層群から大小の球状炭酸塩コンクリーションの産出と記載が報告され,深海堆積物中での急速な球状炭酸塩コンクリーションの形成に関する新たな知見が得られつつある.本巡検では,師崎層群から産出する球状炭酸塩コンクリーションおよび化石群集について,形成プロセスや産状などを紹介する.

  • 佐野 弘好, 山縣 毅
    2020 年 126 巻 7 号 p. 365-381
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    岐阜県西部,舟伏山地域の美濃帯ジュラ紀メランジュにはペルム系海洋性岩石を主とする孤立岩体(舟伏山岩体)が分布する.岩体は舟伏山層,天の河原層,初鹿谷層の3つの層序ユニットからなる.これらは海洋島起源の玄武岩に伴い,互いに同時異相関係にある.舟伏山層は下部より高有機質・暗灰色の層状石灰岩,塊状・無層理の灰白色石灰岩,塊状・無層理の灰〜暗灰色石灰岩からなる.石灰岩の大半は生砕性で,多くは海山頂部の静穏なラグーン内の潮下帯上部で堆積した.天の河原層は玄武岩質火山砕屑岩と石灰岩角礫岩からなり,海山上部斜面での崖錐堆積物である.初鹿谷層はチャートと砕屑性ドロマイトで特徴づけられ,海山の山麓から周囲の大洋底を覆った深海相である.砕屑性ドロマイトは浅海域から深海のチャートの堆積場に流入した重力流堆積物である.舟伏山層は上部シスウラリアン統〜上部グアダルピアン統,天の河原層は上部シスウラリアン統,初鹿谷層は上部シスウラリアン統〜上部三畳系に対比される.

  • 志村 侑亮, 竹内 誠, 常盤 哲也
    2020 年 126 巻 7 号 p. 383-399
    発行日: 2020/07/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    沈み込み帯における,浅部での付加体形成から深部での高圧型変成岩類の形成・上昇といった一連の付加-上昇テクトニクスを解明する上で,同時期に形成された付加体と高圧型変成岩類を対象とし,両地質体の地質構造の関係を明らかにすることは重要である.近年,砕屑性ジルコンU-Pb年代測定により,三波川帯に属する高圧型変成岩類の主に砂質片岩から白亜紀の砕屑性ジルコンが見出され,主な原岩である陸源砕屑岩の堆積年代が四万十帯の白亜紀付加体の堆積年代と一致することが明らかになった.すなわち,西南日本外帯の白亜紀沈み込み帯においては,浅部で四万十帯の付加体が,深部で三波川帯の高圧型変成岩類が形成されていたことが想定できる.紀伊半島中央部は,秩父帯のジュラ紀付加体が欠如し,四万十帯の白亜紀付加体と三波川帯の高圧型変成岩類が接して分布しているため,白亜紀沈み込み帯における浅部相から深部相までの一連の岩相や地質構造を検討できる重要な研究地域である.本巡検では,紀伊半島中央部の四万十帯と三波川帯をトラバースし,白亜紀の付加体から高圧型変成岩類までの岩相や地質構造を観察する.

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