地質学雑誌
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126 巻 , 1 号
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前文・表紙説明
総説
  • 浅田 美穂
    2020 年 126 巻 1 号 p. 3-16
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/04/22
    ジャーナル フリー

    「泥火山」は地下から流体と堆積物を地表に至らせ地形的特徴を形成する地質学的現象だが,地熱地帯,油田地帯,そして堆積物優勢地域など幅広い地質学的バックグラウンドをもって分布する泥火山の活動は未だ理解されたとは言えない.

    泥火山が地下から運ぶ流体と堆積物は地下の性状を反映すると考えられ,掘削では技術的に到達が困難な大深度の情報を持つと期待される.日本における泥火山は海洋で数が多く活動的である.泥火山群発海域に地震津波観測のために敷設された大規模観測網は海域泥火山活動モニタリング手法を拓きつつあるし,火星の泥火山はこれら研究が惑星科学にも寄与する可能性を示唆する.長く地質学者の関心を引きつけてきた泥火山は,いま日本で新しい研究局面を迎えつつある.

  • 喜岡 新
    2020 年 126 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/04/22
    ジャーナル フリー

    泥火山は表層下の堆積物循環,流体移動および炭素循環と強く関わっており,表層現象の中で重要な地質現象の一つである.しかしながら,普通のマグマ性火山とは異なり,泥火山に関する知見は乏しい.本論では,海底に発達する泥火山に着目し,海底泥火山の発達分布と山体地形について地質学的に簡単な概説を行った.まず,海底泥火山の分布を見ると,亜極域のプレート沈み込み縁辺を除いたほとんどの沈み込み縁辺で泥火山が発達していることが確認できた.そして,海底泥火山の山体形態に注目すると,山体形態の特徴が沈み込み縁辺の特性で分類できることが示唆された.本論で概観した山体分布や形態といった基礎研究は,今後,泥火山ダイナミクス全体の理解だけでなく,表層下物質循環の包括的理解にもつながることが期待される.

  • 井尻 暁
    2020 年 126 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/04/22
    ジャーナル フリー

    泥火山は,高間隙水圧をもった堆積物が泥ダイアピルとして上昇し地表に噴出した小丘で世界各地の大陸縁辺域に分布している.近年の研究により,泥ダイアピル中の微生物が海底下の物質循環に貢献していること,泥火山の活動により地下深部の微生物が地表に運ばれていることが明らかになってきた.種子島沖の泥火山では海底下に存在するAtribacteriaがメタンと共に泥火山から海水中に放出・拡散されているのが発見され,海底泥火山が海洋と地下生命圏を繋ぐ地質学的な生命移動・拡散経路となっていることが確かめられている.熊野海盆の泥火山で行われた科学掘削により,流体の移動プロセスが微生物の代謝に深く関与していること,海底下の微生物活動がこれまで認識されてきた以上に地球の炭素循環に大きく寄与している可能性が示唆されている.

  • 田中 和広, 浅野 慶治, 渡辺 征稔, 小松原 大, 鈴木 浩一
    2020 年 126 巻 1 号 p. 39-51
    発行日: 2020/01/15
    公開日: 2020/04/22
    ジャーナル フリー

    日本および台湾の陸上泥火山は冠線および断層沿いに分布している.冠線沿いに分布する泥火山では,不透水性キャップロックの下位に形成される高塩濃度地下水により飽和したマッドチャンバーにおいて,脱ガスが起こり,発生した高いガス圧により流体が上方へ水圧破砕を繰り返しながら移動し,地表において弱線部より破壊的噴出を行う.その際,地表部に様々な規模の陥没地形を生成する.地表部にキャップロックが分布しない場合には,穏やかに高塩濃度地下水がキャップロックの下部や下位の地層から湧出し,日本海側の堆積岩分布地域では地すべりの誘因となっている.流体は含水比が高く,高まりを有しないプール型を形成する.

    断層沿い分布する泥火山は,破砕帯沿いに,より深部から流体が上昇し,破砕帯に沿って穏やかに湧出する.流体は含水比が低くコーン型の高まりを形成する.陸上泥火山の噴出特性や噴出する流体の上昇過程は地表部の地質構造に規制されている.

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