1995年1月の兵庫県南部地震を契機として, 活断層の危険度評価を行うことが重要になってきた. それには活断層がどれくらいの間隔で活動し, 最終活動時期がいつであるかを明らかにする必要がある. その調査方法としては, 一般に断層の通過地点の表層部を溝状に掘削して新しい地層と断層との関係を直接観察するトレンチ調査が用いられる. 断層によって変位を受けている地層の年代と断層を覆っている地層の年代などから断層の活動時期を推定し, また断層による地層の変位量なども明らかにする. 断層でなくとも, 地割れ, 地すべり, 噴砂などの液状化跡がみつかれば, かつて強い地震動があったことが推定できる場合がある.
ここでは平成8年度に地質調査所が主体となって行った, 近畿地方の活断層 (生駒断層, 金剛断層, 花折断層, 琵琶湖西岸断層)のトレンチ調査結果について, そのトレンチ壁面のようすを中心に紹介する. 各断層の活動履歴などの詳細については, 年代測定結果などの資料が揃った後にそれぞれの断層ごとに報告する予定である.
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