地質学雑誌
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126 巻, 10 号
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論説
  • 関東山地東部,黒瀬川帯高圧型変斑れい岩および花崗岩類のジルコンU-Pb年代
    沢田 輝, 磯﨑 行雄, 坂田 周平
    2020 年126 巻10 号 p. 551-561
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2021/01/15
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    電子付録

    東京都日の出町坂本地域の蛇紋岩メランジュ露頭に伴って産する高圧型変斑れい岩および花崗岩類中のジルコンのU-Pb年代を測定した.高圧型変斑れい岩原岩の火成年代は約490Ma(カンブリア紀フロンギアン世~オルドビス紀前期)で,四国や九州の黒瀬川帯に産する類似岩石から報告された年代とよく一致する.花崗岩類の火成年代は約440Maで,約2,400-500Maの年代を持つジルコンも含まれている.本研究の年代測定から,当地域の岩石類は黒瀬川帯の構成要素であり,同帯の東方延長が東京都西部に存在することが再確認された.同地域からの古生代前期高圧型変斑れい岩および花崗岩類の産出は,当時,現在の九州から関東にかけての800km以上におよぶ弧-海溝系が発達していたことを示唆する.

  • 永広 昌之, Miguel Company, 高泉 幸浩, 花松 俊一
    2020 年126 巻10 号 p. 563-574
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル フリー

    南部北上帯牡鹿地域の網地島に分布する最上部ジュラ系~下部白亜系鮎川層の長渡頁岩部層最上部から4種のアンモノイド,Olcostephanus atherstoni, O. cf. stephanophorus, Busnardoites aff. campylotoxusおよびNeocomites? sp.を記載した.これらのアンモノイドから,長渡頁岩部層最上部は下部白亜系下部バランギニアン階の中部(Neocomites neocomiensiformis Zone) に対比される.従来報告されていた鮎川層下部-中部産のアンモノイドの再検討にもとづけば,小長渡砂岩頁岩部層と長渡頁岩部層の境界はほぼベリアシアン/バランギニアン境界に相当する.鮎川層の最上部を占める,長渡頁岩部層の上位のドウメキ砂岩部層は陸成層でその堆積速度は速いと考えられるので,鮎川層の上限は下部バランギニアン階と考えられ,したがって,鮎川層を不整合に覆う山鳥層で示される激しい火山活動の開始,すなわち“大島造山運動”の開始は後期バランギニアン期からオーテリビアン期のどこかと考えられる

  • 納谷 友規, 中山 俊雄, 鈴木 毅彦, 坂田 健太郎, 中澤 努
    2020 年126 巻10 号 p. 575-587
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2021/01/15
    ジャーナル フリー

    東京都区部の地下には東京層と呼ばれる更新統が分布し,模式地(渋谷区代々木公園)の東京層の形成年代はMIS 5eとされている.武蔵野台地東部に位置する北区中央公園で掘削されたボーリングコアの堆積相と珪藻化石群集を検討した結果,コアの深度33m以浅には礫層を基底としその上位に浅海成の泥層と砂層が累重する2つの堆積サイクルが認められた.テフラ層の対比によって,上部の堆積サイクルはMIS 7eに,下部の堆積サイクルはMIS 9かそれよりも古い時代に堆積したことが示された.少なくとも上部の堆積サイクルは従来から東京層として扱われていることから,これまで東京層とされていた地層にはMIS 5eだけでなく,より古い時期に形成された堆積物も混在することが示唆される.今後は東京層の分布形態を層序学的観点から全面的に見直す必要がある.

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