地質学雑誌
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110 巻, 9 号
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論説
  • 田沢 純一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2004 年 110 巻 9 号 p. 503-517
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    日本列島の先新第三系は, (1) 南部北上テレーン (前期オルドビス紀~後期デボン紀付加テレーン), (2) 秋吉テレーン (中期~後期ペルム紀付加テレーン), (3) 美濃テレーン (前期ジュラ紀~前期白亜紀付加テレーン), (4) 四万十テレーン (後期白亜紀~新第三紀付加テレーン) の4テレーン, およびジュラ紀末期~白亜紀初期に秦嶺—大別縫合帯からナップとして加わった (5) 飛騨—阿武隈ナップ (変成相中・古生界ナップ) に区分される. これらのテレーンおよびナップは, NE-SW方向に伸び, 南東へ向かって若くなる極性をもって配列している. 日本列島の骨格は, 前期オルドビス紀以降北中国東縁の沈み込み帯における連続的付加によってつくられた. そして, 後期ペルム紀~後期ジュラ紀の右横ずれ運動, ジュラ紀末期~白亜紀初期の東フェルゲンツの衝上運動, 前期白亜紀~古第三紀 (主に前期白亜紀) の右横ずれ運動により, 大規模な横ずれ移動と地体群の再配列がなされた. 前期白亜紀~古第三紀の左横ずれ変位は1500-2000 kmと考えられる. 新第三紀 (Miocene) に, “原日本” のリフティングによる日本海形成と西南日本の時計回りおよび東北日本の反時計回りの運動, 千島弧の衝突による北海道中央部の西フェルゲンツの衝上, 伊豆—小笠原弧の衝突による本州弧中央部の変形などが起き, 現在の日本列島が完成した.
  • 天野 敦子, 井上 卓彦, 岩本 直哉, 塩屋 藤彦, 井内 美郎
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2004 年 110 巻 9 号 p. 518-527
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    愛媛県北灘湾において表層と柱状堆積物の粒度と全有機炭素 (TOC), 全窒素 (TN), 全硫黄 (TS) 濃度から過去約100年間の底質環境変遷を復元した. 表層の粒度分布は湾口付近では粗く湾奥に向かって細粒化することから, 湾口では潮流は速く, 湾内では停滞的な水理環境が示唆される. またTOC, TN, TS濃度分布は魚類養殖の行われる湾北部で濃度が高い. これは有機物が養殖漁業から多量に負荷され, 底層は還元的な環境であることを示唆する. また柱状堆積物 (33~79cm) のTOC, TN濃度は養殖漁業の始まった1970年頃から増加しており, 養殖漁業による富栄養化が示唆される. また富栄養化と同時に粒度は湾北部では表層に向かって細粒化, 湾南部と湾口海域では粗粒化する. 北部海域では魚類養殖筏が流れの抵抗になって停滞的な水理環境になり, 反対に湾南部では流速が速くなり, 海水交換が活発になり還元的環境が緩和されたと考えられる.
  • 及川 輝樹, 和田 肇
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2004 年 110 巻 9 号 p. 528-535
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    飛騨山脈の東縁に面した主に礫層で構成される居谷里層の堆積時期は, 層序関係と古地磁気極性から1.65~0.78 Maの間のいずれかとされている. この地層の礫層は, 大部分が茶色の溶結凝灰岩礫 (70%) で構成され, その他, 花崗岩礫 (15%), 緑~黒緑色の溶結凝灰岩・火山岩礫 (5%) も含まれる. これらの礫は, 記載岩石岩学的特徴からすべて飛騨山脈起源である. 花崗岩礫には高率に暗色包有岩を含む特徴的な細粒花崗岩礫があり, 記載岩石学特徴からその花崗岩礫は飛騨山脈北部に露出する黒部川花崗岩からもたらされたと考えられる. 黒部川花崗岩は, 1.5~1.0 Ma (ジルコンFT, 黒雲母 K-Ar年代) の年代値が得られており, これは居谷里層の堆積時期とほぼ一致する. したがって, 居谷里層中から黒部川花崗岩礫が発見されたことは, 1.5~1.0 Ma以降に黒部川花崗岩が分布する飛騨山脈北部の隆起は急激だった事を示している.
  • 星 博幸, 石渡 明
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2004 年 110 巻 9 号 p. 536-544
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    戸室火山の戸室山 (安山岩の溶岩ドーム) で岩石磁気・古地磁気学的研究を行った. 詳細な磁気測定により安山岩に含まれる磁性鉱物の種類, 量, 粒子サイズを推定した. マグネタイトとヘマタイトが残留磁化の担い手だが, 溶岩ドーム内部の大部分をなす淡青灰色の安山岩 (青戸室石) とドーム表層部をなす赤味を帯びた安山岩 (赤戸室石) の間で両鉱物の量とマグネタイトの粒子サイズが異なる. 赤戸室石では高温酸化によりマグネタイトの大部分がヘマタイトに変化し, それがマグネタイト量の減少と細粒化, 及びヘマタイト量の増加をもたらした. 戸室山では3地点で正帯磁の平均方位が決定されたが, それらは有意に異なっていた. 溶岩ドームの表面では熱残留磁化の獲得後に溶岩の変形が起こった可能性が高い.
  • 奈良 正和, 清家 弘治
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 情報学
    2004 年 110 巻 9 号 p. 545-551
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/07
    ジャーナル フリー
    千葉県九十九里浜の前浜堆積物中から, 多数のMacaronichnus segregatis様生痕を発見した. この生痕は, 剥ぎ取り試料面上において高さ2-3 mm, 幅3-50 mmほどの円形もしくは長楕円形を成し, 内部が細粒砂サイズの無色鉱物で充填され, その周囲に磁鉄鉱などの有色鉱物が濃集することが特徴である. この生痕ときわめて似た特徴を有する本邦第四系産生痕化石Macaronichnus segregatisの形成者については, 従来, 小型等脚類ヒメスナホリムシとするものと, オフェリアゴカイの様なゼン虫類とするものの2つの説があった. この生痕が産する堆積物からは, ヒメスナホリムシは一切採集されなかったものの, オフェリアゴカイ科の多毛類であるEuzonus sp. が多数採集された. このことから判断すると, このM. segregatis様生痕の形成者は, オフェリアゴカイ類と判断して良いだろう.
ノート
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口絵
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