地質学雑誌
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119 巻, 10 号
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論説
  • 佐藤 亮介, 村井 辰太朗, 北瀬(村上) 晶子, 山崎 秀夫, 吉川 周作, Ju-Yong Kim, 香村 一夫
    2013 年 119 巻 10 号 p. 655-664
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2014/03/26
    ジャーナル フリー
    東アジア地域ではエネルギー消費量が増加傾向にあり,今日までに多量の大気汚染物質が排出されたと考えられる.大気観測システムの向上により,その飛散状況が明らかにされているが,観測データのない時代の状況は不明である.本研究では,ため池底質中の球状炭化粒子(SCPs)に着目し,過去から現在へのその含有量推移を検討した.また,球状炭化粒子の化学組成比により,燃料種の推定を試みた.北陸地方にある夜叉ヶ池底質の深度に伴う球状炭化粒子の含有量トレンドは,1970年頃まで日本の都市部のそれらと類似するが,1980年以降は全く異なっている.1980年以降の堆積物中の微細な球状炭化粒子を分析したところ,中国で確認された球状炭化粒子の化学組成比と類似する傾向を示した.富士山頂の残雪からも同様の球状炭化粒子が確認され,これらは越境汚染の痕跡であるといえる.
  • 宮城 直樹, 馬場 壮太郎, 新城 竜一
    2013 年 119 巻 10 号 p. 665-678
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2014/03/26
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究では砂岩および緑色岩の全岩化学組成に基づき,後背地の構成要素および造構場の推定を試みた.その結果,伊平屋ユニットは陸弧・開析された島弧を後背地とすること,本部ユニットは異なる後背地に由来する堆積物が二次的に混合し,形成したことがそれぞれ示唆された.名護層,嘉陽層は大陸縁島弧から活動的大陸縁,陸弧・開析された島弧を後背地とし,両層の砂岩はNbの元素含有量で2つのグループに区分できることが明らかとなった.また,慶良間層は名護層と一連の地質体と考えられていたが,砂岩の化学組成は著しく異なっている.四万十帯相当層である名護層・嘉陽層の測定結果を四国西部に分布する四万十帯と比較すると,Sr,Ni,Crなどの含有量に相違が認められ,これは供給源に苦鉄質岩類が含まれることや,後背地の気候条件の相違に由来すると考えられる.
  • 星 博幸, 服部 憲児, 田中 里志, 宇佐美 徹, 中川 良平, 津村 善博, 小竹 一之, 森 勇一
    2013 年 119 巻 10 号 p. 679-692
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2014/03/26
    ジャーナル フリー
    三重県亀山地域の東海層群において,ガウス/松山境界に対比される古地磁気極性反転層準は寺川火山灰層と鈴峰火山灰層の間(鈴峰の下位30 m付近)に存在する.19地点でテフラと細粒砕屑物の試料を採取し,段階消磁と岩石磁気実験によって残留磁化方位と磁性鉱物を決定した.鈴峰火山灰層は先行研究によって正極性とされていたが,本研究によって逆極性であることが判明した.鈴峰火山灰層は千倉層群(房総半島)のガウス/松山境界よりも下位のテフラと対比される可能性が指摘されているが,その対比は再検討が必要である.既報データを含む計22地点の残留磁化方位は逆転テストに合格し,それらの全平均方位は調査地域の鮮新世末~前期更新世(2.6 Ma前後)の平均的な古地磁気方位とみなせる.平均偏角が真北から有意に東偏しているため,調査地域では第四紀に地軸に対して7.4 ± 4.6° (約3~12°)の時計回り回転が起こった可能性がある.
報告
  • 房総半島中新統-鮮新統清澄層の例
    浦本 豪一郎, 清家 一馬
    2013 年 119 巻 10 号 p. 693-698
    発行日: 2013/10/15
    公開日: 2014/03/26
    ジャーナル フリー
    電子付録
    We report a quantitative examination of stacking patterns of sheet-like turbidite beds in a submarine-fan succession using the Straub method. The Straub method is a quantitative metric for the detection of compensational stacking of sedimentary successions in which the standard deviation of the sedimentation rate of the deposits is described by a power-law function within a given measurement time window. The method can be applied to successions in which it is possible to trace both the spatial distribution of sediment and datum levels. Bed-by-bed correlation was used to reveal the spatial distribution of sheet-like turbidite beds within a submarine-fan succession in the middle Kiyosumi Formation of the Boso Peninsula, central Japan. The compensation index of the studied interval represents the exponent of the power-law trend in the decay of the standard deviation and can serve as a quantitative indicator of the degree of compensational stacking. The values of compensation index are consistent with sheet-like turbidite stacking patterns determined from stratigraphic cross-sections of the studied succession. The Straub method is useful for exploring sediment stacking patterns in sedimentary environments characterized by feedback from basin morphology.
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